第一條 木船保險組合ハ木船建造ノ促進及木船ニ依ル輸送力ノ增强ヲ圖ル爲組合員ノ所有スル木船(漁船ヲ除ク以下同ジ)ニ關シ保險ヲ爲スヲ以テ目的トス
第三條 木船保險組合ニ非ザルモノハ木船保險組合又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フルコトヲ得ズ
第四條 木船保險組合(以下組合ト稱ス)ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
定款ノ變更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第五條 組合ニ役員トシテ理事長一人、理事五人以上、監事二人以上及評議員若干人ヲ置ク
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ理事長ヲ補佐シ組合ノ事務ヲ分掌シ理事長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ理事長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
第七條 理事長、理事及評議員ハ組合員及學識經驗アル者ノ中ヨリ主務大臣之ヲ命ズ
理事長及理事ノ任期ハ四年、監事及評議員ノ任期ハ二年トス
理事長ハ每事業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借對照表、事業報吿書、損益計算書及剩餘金處分案又ハ不足金塡補案ヲ監事ニ提出シ且之ヲ主タル事務所ニ備置クベシ
組合員及組合ノ債權者ハ前二項ニ揭グル書類ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第九條 評議員會ハ理事長ノ諮問ニ對シ答申シ又ハ理事長ニ對シ意見ヲ具申ス
理事長ハ前條第二項ニ揭グル書類及監事ノ意見書ヲ評議員會ニ提出スベシ
本法ニ規定スルモノノ外評議員會ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條 組合ノ役員其ノ他ノ職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ從事スル職員ト看做ス
第十一條 組合ノ成立後ニ於テ保險ノ目的タルベキ木船ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ取得シタル者ハ命令ヲ以テ定ムル時其ノ組合員ト爲ルモノトス
第五十二條及前項ノ規定ニ依リ組合員ト爲ル者ヲ除クノ外保險ノ目的タルベキ木船ノ所有者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ組合ノ組合員ト爲ルコトヲ得
第十二條 前條第一項ニ規定スル木船ノ所有者第五十二條又ハ前條第一項ノ規定ニ依リ組合ノ組合員ト爲リタルトキハ第十四條第一項ニ規定スル場合ヲ除クノ外之ニ因リテ組合ト組合員トノ間ニ當該木船ニ付保險關係成立スルモノトス
組合員前條第一項ニ規定スル木船ヲ取得シタルトキハ第十四條第一項ニ規定スル場合ヲ除クノ外命令ヲ以テ定ムル時組合ト組合員トノ間ニ當該木船ニ付保險關係成立スルモノトス
第十三條 戰爭其ノ他ノ變亂ニ因ル襲擊、捕獲其ノ他勅令ヲ以テ定ムル事故ニ關シ組合ノ爲ス保險ニ付テハ前條ノ規定ニ拘ラズ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第十四條 保險ノ目的タル第十一條第一項ニ規定スル木船ノ讓受人ハ命令ヲ以テ定ムル時當該木船ニ關スル保險關係ヲ承繼スルモノトス
保險ノ目的タル木船ニシテ第十一條第一項ニ規定スルモノ以外ノモノノ讓受人ハ組合ノ承諾ヲ得テ當該木船ニ關スル保險關係ヲ承繼スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ讓受人ガ組合員以外ノ者ナルトキハ讓受人ハ組合ノ組合員ト爲ルモノトス
組合ハ正當ノ事由ナクシテ前項ノ承諾ヲ拒ムコトヲ得ズ
第十五條 組合ハ保險ノ目的タル木船ニ付沈沒、損傷其ノ他ノ事故ニ因リテ生ジタル損害ヲ塡補スルモノトス
前項ノ事故及塡補スベキ損害ノ範圍、保險金額、保險料其ノ他組合ノ爲ス保險ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六條 組合ハ組合員ヨリ保險料ヲ徵收スルノ外定款ノ定ムル所ニ依リ追徵金ヲ徵收スルコトヲ得
第十七條 組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ過怠金ヲ徵收スルコトヲ得
第十八條 保險料、追徵金又ハ過怠金ヲ滯納スル者アル場合ニ於テ組合ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ組合ハ其ノ徵收金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スベシ
前項中町村トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキモノトス
第一項ニ規定スル徵收金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徵收金ニ次グモノトス
第十九條 保險料、追徵金又ハ過怠金ヲ徵收スル權利ハ一年、保險金ノ給付又ハ保險料ノ還付ヲ受クル權利ハ二年ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
前項ノ時效ノ中斷、停止其ノ他ノ事項ニ關シテハ民法ノ時效ニ關スル規定ヲ準用ス
組合ガ定款ノ定ムル所ニ依リテ爲ス保險料、追徵金又ハ過怠金ノ徵收ノ吿知ハ民法第百五十三條ノ規定ニ拘ラズ時效中斷ノ效力ヲ有ス
第二十條 組合員ハ損害ノ防止輕減ヲ力ムルコトヲ要ス但シ之ガ爲必要又ハ有益ナリシ費用ハ組合之ヲ塡補ス
第二十一條 組合員ハ定款ノ定ムル所ニ依リ保險ノ目的タル木船ノ構造、設備等ニ付重大ナル變更ヲ加ヘントスルトキハ豫メ組合ニ通知スベシ
保險ノ目的タル木船ノ危險ガ其ノ構造、設備等ノ重大ナル變更ニ因リ著シク增加スル場合ニ於テハ組合ハ組合員ニ對シ其ノ變更ヲ制限シ其ノ他必要ナル處置ヲ爲サシムルコトヲ得
第二十二條 組合ハ保險ノ目的タル木船ニ關シ調査ヲ爲シ又ハ組合員ヲシテ通常ノ修繕其ノ他必要ナル處置ヲ爲サシムルコトヲ得
第二十三條 左ノ場合ニ於テハ組合ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ塡補額ニ付塡補ノ責ヲ負フコトナシ
一 組合員保險ノ目的タル木船ニ付損害ノ防止輕減ヲ怠リタルトキ
二 組合員第二十一條第一項ノ規定ニ依ル通知ヲ怠リ又ハ同條第二項ノ規定ニ依ル組合ノ指示ニ從ハザルトキ
三 組合員前條ノ規定ニ依ル組合ノ調査ヲ拒ミ又ハ組合ノ指示ニ從ハザルトキ
第二十四條 組合ハ組合員ノ故意又ハ重大ナル過失ニ因リテ生ジタル損害ヲ塡補スル責ニ任ゼズ船長其ノ他木船ヲ指揮スル者ノ故意ニ因リテ生ジタル損害ニ付亦囘ジ
第二十五條 組合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ一定期間組合ノ責ニ歸スベキ損害ノ發生ナカリシ木船ニ關シ其ノ期間ノ保險料ノ一部ヲ拂戾スコトヲ得
第二十六條 組合員ノ脫退ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十七條 組合ノ事業年度ハ四月ヨリ翌年三月迄トス
第二十八條 組合ハ每事業年度ノ終ニ於テ存スル木船保險ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ責任準備金ヲ積立ツベシ
組合ハ不足金ノ塡補ニ備フル爲每事業年度ノ剩餘金中ヨリ命令ノ定ムル所ニ依リ準備金ヲ積立ツベシ
第二十九條 組合ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スベシ
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第三十一條 組合ガ本法ニ基キテ爲ス登記ニ付テハ登錄稅ヲ課セズ
第三十二條 木船保險ニ關スル書類ニハ印紙稅ヲ課セズ
第三十三條 主務大臣必要アリト認ムルトキハ組合ニ對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ、檢査ヲ爲シ、定款ノ變更ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第三十四條 役員ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ之ヲ解任スルコトヲ得
第三十五條 組合ニ付解散ヲ必要トスル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第三十六條 民法第四十四條第一項、第五十條、第五十四條、第五十五條及第五十七條竝ニ非訟事件手續法第三十五條第一項ノ規定ハ組合ニ之ヲ準用ス
商法第六百三十七條、第六百四十六條、第六百四十九條第一項、第六百五十八條、第六百五十九條、第六百六十一條、第六百六十二條、第八百三十三條、第八百三十四條第一項、第八百三十六條第一項第二項及第八百三十七條乃至第八百四十一條ノ規定ハ木船保險ニ之ヲ準用ス但シ同法第八百三十四條第一項ノ規定中六个月及同法第八百三十六條第一項ノ規定中三个月トアルハ命令ヲ以テ定ムル期間トス
第三十七條 本法ニ規定スルモノノ外組合ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十八條 政府ハ豫算ノ範圍內ニ於テ組合ニ對シ組合ノ事務ノ執行ニ關スル費用ノ一部ヲ補助スルコトヲ得
第三十九條 保險金ニ關スル決定ニ不服アル者ハ木船保險審査會ニ審査ヲ請求シ其ノ決定ニ不服アルトキハ通常裁判所ニ訴ヲ提起スルコトヲ得
前項ノ審査ノ請求ハ時效ノ中斷ニ關シテハ之ヲ裁判上ノ請求ト看做ス
本法ニ規定スルモノノ外木船保險審査會ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十條 組合ノ爲シタル保險料、追徵金若ハ過怠金ノ賦課若ハ徵收ノ處分又ハ第十八條第一項及第二項ノ規定ニ依ル滯納處分ニ不服アル者ハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル訴願又ハ行政訴訟ニ關シテハ組合ハ之ヲ行政廳ト看做ス
第四十一條 前條第一項ノ規定ニ依ル訴願ノ提起アリタルトキハ主務大臣ハ木船保險審査會ノ審査ヲ經テ裁決ヲ爲スベシ
第四十二條 審査ノ請求、訴ノ提起又ハ訴願若ハ行政訴訟ノ提起ハ處分又ハ决定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ之ヲ爲スベシ此ノ場合ニ於テ審査ノ請求ニ付テハ訴願法第八條第三項ノ規定ヲ、訴ノ提起ニ付テハ民事訴訟法第百五十八條第二項及第百五十九條ノ規定ヲ準用ス
第四十三條 組合ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本法施行地外ノ地ニ船籍港ヲ定ムル木船ノ所有者ヲ組合員ト爲スコトヲ得
第四十四條 左ノ場合ニ於テハ組合ノ理事長、理事又ハ監事ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス
一 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 第三十三條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタルトキ、同條ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタルトキ又ハ同條ノ規定ニ依ル命令若ハ處分ニ違反シタルトキ
第四十五條 左ノ場合ニ於テハ組合ノ理事長、理事又ハ監事ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
一 第八條ノ規定ニ違反シ書類ヲ備置カザルトキ、其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ又ハ正當ノ事由ナクシテ其ノ閱覽ヲ拒ミタルトキ
二 第九條第二項又ハ第三項ノ規定ニ違反シ評議員會ニ諮問セズ又ハ書類若ハ意見書ヲ提出セザルトキ
三 定款又ハ第十六條第二項ノ規定ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ追徵金又ハ過怠金ヲ徵收シタルトキ
四 第二十八條ノ規定ニ違反シ準備金ヲ積立テザルトキ
五 本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ爲シタルトキ
第四十六條 第三條ノ規定ニ違反シ木船保險組合又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用ヒタル者ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
第四十七條 本法ヲ朝鮮又ハ臺灣ニ施行スル場合ニ於テ必要ナル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム