第一條 木船保險組合(以下組合ト稱ス)ノ爲ス保險ノ目的タルベキ木船(漁船ヲ除ク以下同ジ)ハ總噸數二十噸以上ノ日本船舶ニシテ其ノ船體ノ構造ニ主トシテ木材ヲ使用スルモノトス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ拘ラズ命令ヲ以テ定ムル木船ハ之ヲ保險ノ目的ト爲スコトヲ得
戰爭保險トハ戰爭其ノ他ノ變亂ニ因ル襲擊、捕獲其ノ他定款ヲ以テ定ムル事故(以下戰爭保險事故ト稱ス)ヲ保險事故トスル保險ヲ謂ヒ普通保險トハ戰爭保險事故ニ非ザル沈沒、坐礁、膠沙、火災、衝突其ノ他ノ事故ヲ保險事故トスル保險ヲ謂フ
第三條 戰爭保險關係ハ普通保險ノ目的タル木船ニ付其ノ所有者ガ組合ニ對シ戰爭保險ノ申込ヲ爲シ組合ガ其ノ承諾ヲ爲スニ因リテ成立ス
第四條 戰爭保險竝ニ木船保險法第十一條第一項及第四十九條第一項ニ規定スル木船以外ノ木船ノ普通保險(以下任意保險ト總稱ス)ニ在リテハ組合ノ責任ハ組合ガ保險料ヲ受領シタル日ノ翌日ノ正午ニ始マリ保險料期間ノ最終ノ日ノ正午ニ終ル
第五條 組合ハ木船保險法第十一條第一項及第四十九條第一項ニ規定スル木船ノ普通保險ニ在リテハ保險價額ノ全部ニ付、任意保險ニ在リテハ保險價額ノ全部又ハ一部ニ付保險ヲ爲スモノトス
第六條 保險ノ目的タル木船ガ事故ニ因リ滅失シタル場合ニ於テハ組合ハ保險價額ニ相當スル額ニ付損害ヲ塡補スルモノトス
第七條 第九條ニ規定スル場合ヲ除クノ外保險ノ目的タル木船ニ付事故ニ因リ救助ヲ要スル場合ニ於テ第三者ノ救助アリタルトキハ組合ハ當該木船ヲ救助シテ之ヲ安全ニ碇泊シ得ベキ最寄ノ場所ニ挽船スルニ要スル費用、救助者ニ對スル報酬其ノ他ノ救助ノ爲必要ナル費用ニシテ組合員ガ確定判決(裁判上ノ和解、調停其ノ他ノ確定判決ト同一ノ效力ヲ有スルモノヲ含ム以下同ジ)ニ依リ又ハ書面ニ依ル組合ノ同意ヲ得テ支拂ヒタル金額ニ相當スル額ニ付損害ヲ塡補スルモノトス
第八條 第六條及第九條ニ規定スル場合ヲ除クノ外保險ノ目的タル木船ニ付事故ニ因リ損害ヲ生ジタル場合ニ於テハ組合ハ當該木船ヲ事故發生直前ノ狀態ニ復舊スル爲必要ナル費用(以下修繕費ト稱ス)ニ相當スル額ニ付損害ヲ塡補スルモノトス但シ定款ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第九條 保險ノ目的タル木船ニ關シ共同海損タル處分アリタル場合ニ於テハ組合ハ當該木船ニ付生ジタル損傷ノ修繕費又ハ組合員ガ當該木船ノ所有者トシテ支拂フベキ共同海損ノ分擔額ニ相當スル額ニ付損害ヲ塡補スルモノトス
第十條 保險ノ目的タル木船ガ他ノ物體ト衝突シ之ニ因リ當該物體(當該物體ガ船舶ナルトキハ其ノ積荷ヲ含ム)ニ付損害ヲ生ジタル場合ニ於テハ組合ハ組合員ガ確定判決ニ依リ又ハ書面ニ依ル組合ノ同意ヲ得テ賠償シタル金額ニ相當スル額ニ付損害ヲ塡補スルモノトス
前項ノ規定ハ保險ノ目的タル木船ガ他ノ物體ト衝突シ之ニ因リ更ニ他ノ物體ニ付損害ヲ生ジタル場合ニ之ヲ準用ス
戰爭保險ニ在リテハ前二項ノ規定ニ拘ラズ定款ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第十一條 保險價額ノ一部ヲ保險ニ付シタル場合ニ於テハ組合ノ負擔ハ保險金額ノ保險價額ニ對スル割合ニ依リテ之ヲ定ム
第十二條 損害ニ對スル組合ノ塡補ノ責任ハ一囘ノ事故每ニ之ヲ定ム
一囘ノ海難ニ基ク損害ニ付組合ノ塡補スベキ金額ハ第六條乃至第九條ノ規定ニ依ルモノニ在リテハ其ノ合算額ニ付、第十條ノ規定ニ依ルモノニ在リテハ當該賠償金額ニ付保險金額ヲ限度トス
第十三條 木船保險法第二十三條各號ノ場合ニ於テハ組合ハ塡補額ノ全部又ハ一部ニ付責ヲ負フコトナシ但シ同條各號ノ事實ガ正當ノ理由ニ因ルモノナルトキ又ハ事故若ハ損害ノ發生ニ影響ヲ及ボサザリシトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ場合ニ於テ塡補責任ノ有無及塡補額ハ一切ノ事情ヲ斟酌シテ組合之ヲ定ム
第十四條 保險價額ハ遞信大臣ノ定ムル基準ニ基キ定款ノ定ムル所ニ依リ組合之ヲ定ム
第十六條 追徵金ノ額ハ當該事業年度中ニ經過シタル期間ニ對スル普通保險ノ保險料ノ額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第十七條 組合員ハ其ノ所有スル保險ノ目的タル木船ノ全部ニ付保險關係消滅シタルトキハ之ニ因リテ組合ヲ脫退ス
前項ニ定ムル場合ノ外木船保險法第十一條第一項及第四十九條第一項ニ規定スル木船以外ノ木船ノミノ所有者タル組合員ハ定款ノ定ムル所ニ依リ豫吿ヲ爲シ組合ヲ脫退スルコトヲ得
第十八條 組合員ハ組合ヲ脫退シタルトキト雖モ脫退ノ日ノ屬スル事業年度ノ追徵金ニ關シテハ其ノ義務ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十九條 組合ハ木船保險法施行地外ノ地ニ船籍港ヲ定ムル木船ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ所有者ヲ組合員ト爲スコトヲ得
組合前項ノ所有者ヲ組合員ト爲サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ遞信大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十條 本令ニ規定スルモノヲ除クノ外組合ノ爲ス保險ニ關シ必要ナル事項ハ定款ヲ以テ之ヲ定ム
第二十一條 組合ノ設立ノ登記ハ木船保險法第五十條第二項ノ規定ニ依ル監事ノ選任アリタル日ヨリ二週間以內ニ主タル事務所ノ所在地ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス
組合ハ設立ノ登記ヲ爲シタル後二週間以內ニ從タル事務所ノ所在地ニ於テ前項ニ揭グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第二十二條 組合ノ成立後從タル事務所ヲ設ケタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間以內ニ從タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記シ其ノ從タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以內ニ前條第二項ニ揭グル事項ヲ登記シ他ノ從タル事務所ノ所在地ニ於テハ同期間內ニ其ノ從タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記スルコトヲ要ス
主タル事務所又ハ從タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル登記所ノ管轄區域內ニ於テ新ニ從タル事務所ヲ設ケタルトキハ其ノ從タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記スルヲ以テ足ル
第二十三條 組合ガ主タル事務所ヲ移轉シタルトキハ舊所在地ニ於テハ二週間以內ニ移轉ノ登記ヲ爲シ新所在地ニ於テハ三週間以內ニ第二十一條第二項ニ揭グル事項ヲ登記シ從タル事務所ヲ移轉シタルトキハ舊所在地ニ於テハ三週間以內ニ移轉ノ登記ヲ爲シ新所在地ニ於テハ四週間以內ニ同項ニ揭グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
同一ノ登記所ノ管轄區域內ニ於テ主タル事務所又ハ從タル事務所ヲ移轉シタルトキハ其ノ移轉ノ登記ヲ爲スヲ以テ足ル
第二十四條 第二十一條第二項ニ揭グル事項中ニ變更ヲ生ジタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、從タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以內ニ變更ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第三十五條 登記スベキ事項ニシテ遞信大臣ノ認可ヲ要スルモノハ其ノ認可書ノ到達シタル時ヨリ登記ノ期間ヲ起算ス
第二十六條 登記シタル事項ハ裁判所ニ於テ遲滯ナク之ヲ公吿スルコトヲ要ス
第二十七條 組合ノ登記ニ付テハ其ノ事務所ノ所在地ノ區裁判所又ハ其ノ出張所ヲ以テ管轄登記所トス
第二十八條 設立ノ登記ヲ除クノ外本令ニ依ル登記ハ理事長ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
第二十九條 設立ノ登記ノ申請書ニハ定款竝ニ理事長、理事及監事ノ資格ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第三十條 從タル事務所ノ新設又ハ事務所ノ移轉其ノ他第二十一條第二項ニ揭グル事項ノ變更ノ登記ノ申請書ニハ從タル事務所ノ新設又ハ登記事項ノ變更ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第三十一條 非訟事件手續法第百四十二條乃至第百五十一條ノ六及第百五十四條乃至第百五十七條ノ規定ハ本令ニ依ル登記ニ之ヲ準用ス