交易営団法
法令番号: 法律第二十六號
公布年月日: 昭和18年3月6日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル交易營團法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月五日
內閣總理大臣 東條英機
厚生大臣 小泉親彥
大藏大臣 賀屋興宣
商工大臣 岸信介
法律第二十六號
交易營團法
第一章 總則
第一條 交易營團ハ戰時ニ際シ國家經濟總力ノ增强ヲ圖ル爲交易ノ統制運營ヲ爲スト共ニ重要物資ノ貯藏ヲ確保及增强シ竝ニ貯藏重要物資ノ利用ヲ有效且適切ナラシムルコトヲ目的トス
交易營團ハ法人トス
本法ノ重要物資ノ範圍ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條 交易營團ハ主タル事務所ヲ東京市ニ置ク
交易營團ハ政府ノ認可ヲ受ケ必要ノ地ニ從タル事務所ヲ設置スルコトヲ得
第三條 交易營團ノ資本金ハ三億圓トシ之ヲ三百萬口ニ分チ一口ノ出資金額ヲ百圓トス但シ資本金ハ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第四條 交易營團ハ出資ニ對シ出資證券ヲ發行ス
前項ノ出資證券ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條 政府ハ二億五千萬圓ヲ交易營團ニ出資スベシ
前項ノ出資ハ國債證券ヲ交付シテ之ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證券ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之ヲ定ム
政府ノ引受ケタル出資ノ出資金拂込ハ其ノ他ノ出資ノ出資金拂込ト之ヲ異ニスルコトヲ得
第六條 交易營團ハ定款ヲ以テ出資者ノ資格ヲ制限スルコトヲ得
第七條 交易營團ノ出資者ノ責任ハ其ノ出資額ヲ限度トス
出資者ハ交易營團ニ拂込ムベキ出資額ニ付相殺ヲ以テ之ニ對抗スルコトヲ得ズ
第八條 出資者ハ交易營團ノ承認ヲ經テ其ノ持分ヲ讓渡スコトヲ得
第九條 拂込ヲ怠リタル出資者ニ對シ交易營團ガ一月以上ノ相當ノ期間ヲ定メ拂込ノ請求ヲ爲シタルニ拘ラズ出資者ガ拂込ヲ爲サザルトキハ交易營團ハ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ出資者ノ持分ヲ處分スルコトヲ得
交易營團ハ持分ノ處分ニ依リテ得タル金額ヨリ滯納金額及定款ヲ以テ定ムル違約金ノ額ヲ控除シタル金額ヲ從前ノ出資者ニ拂戾スコトヲ要ス
持分ノ處分ニ依リテ得タル金額ガ滯納金額ニ滿タザル場合ニ於テハ交易營團ハ從前ノ出資者ニ對シ不足額ノ辨濟ヲ請求スルコトヲ得
前三項ノ規定ハ交易營團ガ損害賠償及定款ヲ以テ定ムル違約金ノ請求ヲ爲スコトヲ妨ゲズ
出資者ガ第一項ノ期間內ニ拂込ヲ爲サザルトキハ交易營團ハ其ノ出資者ニ對シ二週間以內ニ出資證券ヲ交易營團ニ提出スベキ旨ヲ通知スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ提出ナキ出資證券ハ其ノ效力ヲ失フ
前項ノ場合ニ於テハ交易營團ハ遲滯ナク失效シタル出資證券ノ番號竝ニ其ノ出資者ノ氏名及住所ヲ公吿スルコトヲ要ス
第十條 交易營團ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名稱
三 事務所ノ所在地
四 資本金額、出資及資產ニ關スル事項
五 役員ニ關スル事項
六 業務及其ノ執行ニ關スル事項
七 會計ニ關スル事項
八 公吿ノ方法
定款ハ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ變更スルコトヲ得
第十一條 交易營團ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第十二條 交易營團ニハ營業稅ヲ課セズ
第十三條 交易營團ニ付解散ヲ必要トスル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條 交易營團ニ非ザル者ハ交易營團又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フルコトヲ得ズ
第十五條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條及第五十七條竝ニ非訟事件手續法第三十五條第一項ノ規定ハ交易營團ニ之ヲ準用ス
第二章 職員
第十六條 交易營團ニ役員トシテ總裁一人、副總裁二人、理事五人以上、監事三人以上及評議員若干人ヲ置ク
總裁ハ交易營團ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副總裁ハ定款ノ定ムル所ニ依リ交易營團ヲ代表シ總裁ヲ輔佐シテ交易營團ノ業務ヲ掌理シ總裁事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ交易營團ヲ代表シ總裁及副總裁ヲ輔佐シテ交易營團ノ業務ヲ掌理シ總裁及副總裁共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ總裁及副總裁共ニ缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ交易營團ノ業務ヲ監査ス
評議員ハ交易營團ノ業務ニ關スル重要事項ニ付總裁ノ諮問ニ應ジ又ハ總裁ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第十七條 總裁、副總裁、理事、監事及評議員ハ政府之ヲ命ズ
總裁、副總裁及理事ノ任期ハ三年、監事及評議員ノ任期ハ二年トス
第十八條 總裁、副總裁及理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ從タル事務所ノ業務ニ關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第十九條 總裁、副總裁及理事ハ他ノ職業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ政府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十條 交易營團ノ役員其ノ他ノ職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ從事スル職員ト看做ス
第三章 業務
第二十一條 交易營團ハ左ノ業務ヲ行フ
一 物資ノ輸出及輸入竝ニ之ニ伴フ當該物資ノ買入及賣渡
二 重要物資ノ保有、買入及賣渡
三 前二號ノ業務ニ附帶スル業務
交易營團ハ政府ノ認可ヲ受ケ前項ノ業務ノ外交易營團ノ目的達成上必要ナル業務ヲ行フコトヲ得
第一項第一號ノ輸出及輸入ノ業務ノ範圍ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
交易營團ハ第一項第一號及第二號ノ業務ニ付テハ政府ノ定ムル計畫ニ依リテ之ヲ行フベシ
第二十二條 交易營團ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受ケ契約ニ依リ法人其ノ他ノ團體ヲシテ前條第一項ノ業務ノ一部ヲ取扱ハシムルコトヲ得
前條第四項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ法人其ノ他ノ團體ガ同條第一項ノ業務ヲ取扱フ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ規定ニ依リ同項ノ法人其ノ他ノ團體ガ同項ノ業務ヲ行フ場合ニ於テハ同項ノ法人其ノ他ノ團體ノ役員又ハ使用人ニシテ同項ノ業務ニ從事スルモノハ之ヲ交易營團ノ當該業務ニ從事スル職員ト看做ス
第二十三條 交易營團ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受ケ物資ノ生產、輸出、輸入、販賣又ハ保管ヲ業トスル者ヲシテ交易營團ノ所有スル重要物資ノ保管ヲ爲サシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ保管ニ要シタル費用ハ交易營團ノ負擔トス
第二十四條 交易營團必要アリト認ムルトキハ輸出若ハ輸入ヲ業トスル者又ハ業務ニ關シ重要物資ヲ所有若ハ保管スル者ニ對シ其ノ輸出若ハ輸入ノ狀況又ハ所有若ハ保管ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシムルコトヲ得
交易營團必要アリト認ムルトキハ政府ノ認可ヲ受ケ職員ヲシテ前項ニ揭グル者ノ業務ニ關スル帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
交易營團前項ノ規定ニ依リ職員ヲシテ檢査セシムル場合ニ於テハ同項ノ規定ニ依ル認可アリタルコトヲ證スル書面及其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第四章 會計
第二十五條 交易營團ノ事業年度ハ每年四月ヨリ翌年三月迄トス
第二十六條 交易營團ハ設立ノ時及每事業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借對照表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共ニ之ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
第五章 監督及補助
第二十七條 交易營團ハ政府之ヲ監督ス
第二十八條 交易營團ハ業務開始ノ際業務ノ方法ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第二十九條 交易營團借入金ヲ爲サントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第三十條 交易營團剩餘金ノ處分ヲ爲サントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第三十一條 交易營團ハ命令ノ定ムル所ニ依リ剩餘金中ヨリ準備金ノ積立ヲ爲スベシ
第三十二條 交易營團ノ每事業年度ニ於ケル配當シ得ベキ剩餘金額ガ政府以外ノ出資者ノ拂込出資金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ達セザルトキハ政府ハ之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ但シ其ノ額ハ政府以外ノ出資者ノ拂込出資金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ相當スル額及第二十一條第一項第二號ノ業務ノ爲借入レタル借入金ノ利息ニシテ當該事業年度ニ於テ支拂ヒタル額ノ合計額ヲ超ユルコトヲ得ズ
每事業年度ニ於ケル配當シ得ベキ剩餘金額ガ政府以外ノ出資者ノ拂込出資金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先ヅ之ヲ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
前條ノ準備金中損失ノ塡補又ハ配當準備ノ爲積立テタル金額ハ後事業年度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ剩餘金ト看做ス
第三十三條 交易營團ハ每事業年度ニ於ケル配當シ得ベキ剩餘金額(前條第二項ノ規定ニ依リ償還ニ充ツベキ金額アルトキハ之ヲ控除シタル殘額トス以下同ジ)ガ政府以外ノ出資者ノ拂込出資金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過セザルトキハ政府ノ出資ニ對シ剩餘金ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ
交易營團ハ每事業年度ニ於ケル配當シ得ベキ剩餘金額ガ拂込出資金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ達セザル場合ニ於テ政府以外ノ出資者ノ拂込出資金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額ヲ政府ニ配當スベシ
第三十四條 交易營團ガ第三十二條第一項ノ規定ニ依リ受クル補給金ハ法人稅法ニ依ル所得及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ益金ニ算入セズ
第三十五條 政府ハ交易營團ニ對シ第二十一條第一項第一號ノ輸出及輸入ニ伴フ價格差損ヲ補償スル爲價格差損補償金ヲ交付スルノ契約ヲ爲スコトヲ得
前項ノ契約ハ之ニ基キ交付スベキ價格差損補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第一項ノ價格差損ヲ決定スル基準ハ政府之ヲ定ム
第三十六條 政府ハ交易營團ニ對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第三十七條 政府ハ交易營團ノ役員ノ行爲ガ法令、定款又ハ政府ノ命令ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他交易營團ノ業務運營上役員ヲ不適當ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第六章 罰則
第三十八條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 正當ノ事由ナクシテ第二十三條第一項ノ規定ニ依ル保管ヲ爲サザル者
二 第二十四條第一項ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者
三 第二十四條第二項ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
第三十九條 人又ハ法人ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ人又ハ法人ノ業務ニ關シ前條第一號又ハ第二號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ人又ハ法人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第四十條 第三十八條第一號及第二號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十一條 左ノ場合ニ於テハ交易營團ノ總裁、副總裁、理事又ハ監事ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス
一 本法ニ依リ政府ノ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 本法ニ規定セザル業務ヲ營ミタルトキ
三 第二十一條第四項ノ規定ニ違反シ政府ノ定ムル計畫ニ依ラズシテ業務ヲ行ヒタルトキ
四 政府ノ監督上ノ命令又ハ處分ニ違反シタルトキ
第四十二條 第二十二條第一項ノ規定ニ依リ交易營團ノ業務ノ一部ヲ取扱フ法人其ノ他ノ團體同條第二項ノ規定ニ違反シ政府ノ定ムル計畫ニ依ラズシテ業務ヲ取扱ヒタルトキハ當該法人其ノ他ノ團體ノ役員ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス
第四十三條 左ノ場合ニ於テハ交易營團ノ總裁、副總裁、理事又ハ監事ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
一 第九條第六項ノ規定ニ違反シ公吿ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ公吿ヲ爲シタルトキ
二 本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ爲シタルトキ
三 第二十六條ノ規定ニ違反シ書類ヲ備置カザルトキ又ハ其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ
第四十四條 第十四條ノ規定ニ違反シ交易營團又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用ヒタル者ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
附 則
第四十五條 本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十六條 重要物資管理營團法ハ之ヲ廢止ス但シ本法施行前從前ノ罰則ヲ適用スベカリシ行爲ニ付テハ仍從前ノ規定ニ依ル
第四十七條 政府ハ設立委員ヲ命ジ交易營團ノ設立ニ關スル事務ヲ處理セシム
第四十八條 設立委員ハ定款ヲ作成シ政府ノ認可ヲ受クベシ
第四十九條 前條ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク二億三千萬圓ノ出資ノ引受ヲ政府ニ禀請シ且總出資ヨリ重要物資管理營團ノ出資ニ引當ツベキ出資及政府ニ割當ツベキ出資ヲ控除シタル殘餘ノ出資ニ付出資者ヲ募集スベシ
第五十條 設立委員ハ前條ノ募集ヲ終リタルトキハ出資申込書ヲ政府ニ提出シ設立ノ認可ヲ申請スベシ
前項ノ認可ヲ受ケタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク重要物資管理營團ノ出資ニ引當ツベキ出資以外ノ出資ニ付第一囘ノ拂込ヲ爲サシムルコトヲ要ス
第五十一條 前條第二項ノ拂込完了シタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務ヲ交易營團總裁ニ引繼グベシ
總裁前項ノ事務ノ引繼ヲ受ケタルトキハ總裁、副總裁、理事及監事ノ全員ハ設立ノ登記ヲ爲スベシ
交易營團ハ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
第五十二條 交易營團ノ成立ニ依リ重要物資管理營團ハ之ニ吸收セラルルモノトシ重要物資管理營團ノ權利義務ハ交易營團ニ於テ之ヲ承繼ス
第五十三條 本法ニ規定スルモノノ外交易營團ノ設立ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十四條 登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第七號中「重要物資管理營團」ヲ「交易營團」ニ、「重要物資管理營團法」ヲ「交易營團法」ニ改ム
第五十五條 印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第六號ノ六ヲ左ノ如ク改ム
六ノ六 交易營團ノ發スル出資證券
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル交易営団法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月五日
内閣総理大臣 東条英機
厚生大臣 小泉親彦
大蔵大臣 賀屋興宣
商工大臣 岸信介
法律第二十六号
交易営団法
第一章 総則
第一条 交易営団ハ戦時ニ際シ国家経済総力ノ増強ヲ図ル為交易ノ統制運営ヲ為スト共ニ重要物資ノ貯蔵ヲ確保及増強シ並ニ貯蔵重要物資ノ利用ヲ有効且適切ナラシムルコトヲ目的トス
交易営団ハ法人トス
本法ノ重要物資ノ範囲ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二条 交易営団ハ主タル事務所ヲ東京市ニ置ク
交易営団ハ政府ノ認可ヲ受ケ必要ノ地ニ従タル事務所ヲ設置スルコトヲ得
第三条 交易営団ノ資本金ハ三億円トシ之ヲ三百万口ニ分チ一口ノ出資金額ヲ百円トス但シ資本金ハ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ増加スルコトヲ得
第四条 交易営団ハ出資ニ対シ出資証券ヲ発行ス
前項ノ出資証券ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五条 政府ハ二億五千万円ヲ交易営団ニ出資スベシ
前項ノ出資ハ国債証券ヲ交付シテ之ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル国債証券ノ交付価格ハ時価ヲ参酌シテ大蔵大臣之ヲ定ム
政府ノ引受ケタル出資ノ出資金払込ハ其ノ他ノ出資ノ出資金払込ト之ヲ異ニスルコトヲ得
第六条 交易営団ハ定款ヲ以テ出資者ノ資格ヲ制限スルコトヲ得
第七条 交易営団ノ出資者ノ責任ハ其ノ出資額ヲ限度トス
出資者ハ交易営団ニ払込ムベキ出資額ニ付相殺ヲ以テ之ニ対抗スルコトヲ得ズ
第八条 出資者ハ交易営団ノ承認ヲ経テ其ノ持分ヲ譲渡スコトヲ得
第九条 払込ヲ怠リタル出資者ニ対シ交易営団ガ一月以上ノ相当ノ期間ヲ定メ払込ノ請求ヲ為シタルニ拘ラズ出資者ガ払込ヲ為サザルトキハ交易営団ハ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ出資者ノ持分ヲ処分スルコトヲ得
交易営団ハ持分ノ処分ニ依リテ得タル金額ヨリ滞納金額及定款ヲ以テ定ムル違約金ノ額ヲ控除シタル金額ヲ従前ノ出資者ニ払戻スコトヲ要ス
持分ノ処分ニ依リテ得タル金額ガ滞納金額ニ満タザル場合ニ於テハ交易営団ハ従前ノ出資者ニ対シ不足額ノ弁済ヲ請求スルコトヲ得
前三項ノ規定ハ交易営団ガ損害賠償及定款ヲ以テ定ムル違約金ノ請求ヲ為スコトヲ妨ゲズ
出資者ガ第一項ノ期間内ニ払込ヲ為サザルトキハ交易営団ハ其ノ出資者ニ対シ二週間以内ニ出資証券ヲ交易営団ニ提出スベキ旨ヲ通知スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ提出ナキ出資証券ハ其ノ効力ヲ失フ
前項ノ場合ニ於テハ交易営団ハ遅滞ナク失効シタル出資証券ノ番号並ニ其ノ出資者ノ氏名及住所ヲ公告スルコトヲ要ス
第十条 交易営団ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名称
三 事務所ノ所在地
四 資本金額、出資及資産ニ関スル事項
五 役員ニ関スル事項
六 業務及其ノ執行ニ関スル事項
七 会計ニ関スル事項
八 公告ノ方法
定款ハ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ変更スルコトヲ得
第十一条 交易営団ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第十二条 交易営団ニハ営業税ヲ課セズ
第十三条 交易営団ニ付解散ヲ必要トスル事由発生シタル場合ニ於テ其ノ処置ニ関シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第十四条 交易営団ニ非ザル者ハ交易営団又ハ之ニ類似スル名称ヲ用フルコトヲ得ズ
第十五条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条及第五十七条並ニ非訟事件手続法第三十五条第一項ノ規定ハ交易営団ニ之ヲ準用ス
第二章 職員
第十六条 交易営団ニ役員トシテ総裁一人、副総裁二人、理事五人以上、監事三人以上及評議員若干人ヲ置ク
総裁ハ交易営団ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス
副総裁ハ定款ノ定ムル所ニ依リ交易営団ヲ代表シ総裁ヲ輔佐シテ交易営団ノ業務ヲ掌理シ総裁事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ総裁欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ交易営団ヲ代表シ総裁及副総裁ヲ輔佐シテ交易営団ノ業務ヲ掌理シ総裁及副総裁共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ総裁及副総裁共ニ欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ交易営団ノ業務ヲ監査ス
評議員ハ交易営団ノ業務ニ関スル重要事項ニ付総裁ノ諮問ニ応ジ又ハ総裁ニ対シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第十七条 総裁、副総裁、理事、監事及評議員ハ政府之ヲ命ズ
総裁、副総裁及理事ノ任期ハ三年、監事及評議員ノ任期ハ二年トス
第十八条 総裁、副総裁及理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ従タル事務所ノ業務ニ関シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第十九条 総裁、副総裁及理事ハ他ノ職業ニ従事スルコトヲ得ズ但シ政府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十条 交易営団ノ役員其ノ他ノ職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ従事スル職員ト看做ス
第三章 業務
第二十一条 交易営団ハ左ノ業務ヲ行フ
一 物資ノ輸出及輸入並ニ之ニ伴フ当該物資ノ買入及売渡
二 重要物資ノ保有、買入及売渡
三 前二号ノ業務ニ附帯スル業務
交易営団ハ政府ノ認可ヲ受ケ前項ノ業務ノ外交易営団ノ目的達成上必要ナル業務ヲ行フコトヲ得
第一項第一号ノ輸出及輸入ノ業務ノ範囲ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
交易営団ハ第一項第一号及第二号ノ業務ニ付テハ政府ノ定ムル計画ニ依リテ之ヲ行フベシ
第二十二条 交易営団ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受ケ契約ニ依リ法人其ノ他ノ団体ヲシテ前条第一項ノ業務ノ一部ヲ取扱ハシムルコトヲ得
前条第四項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ法人其ノ他ノ団体ガ同条第一項ノ業務ヲ取扱フ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ規定ニ依リ同項ノ法人其ノ他ノ団体ガ同項ノ業務ヲ行フ場合ニ於テハ同項ノ法人其ノ他ノ団体ノ役員又ハ使用人ニシテ同項ノ業務ニ従事スルモノハ之ヲ交易営団ノ当該業務ニ従事スル職員ト看做ス
第二十三条 交易営団ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受ケ物資ノ生産、輸出、輸入、販売又ハ保管ヲ業トスル者ヲシテ交易営団ノ所有スル重要物資ノ保管ヲ為サシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ保管ニ要シタル費用ハ交易営団ノ負担トス
第二十四条 交易営団必要アリト認ムルトキハ輸出若ハ輸入ヲ業トスル者又ハ業務ニ関シ重要物資ヲ所有若ハ保管スル者ニ対シ其ノ輸出若ハ輸入ノ状況又ハ所有若ハ保管ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシムルコトヲ得
交易営団必要アリト認ムルトキハ政府ノ認可ヲ受ケ職員ヲシテ前項ニ掲グル者ノ業務ニ関スル帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
交易営団前項ノ規定ニ依リ職員ヲシテ検査セシムル場合ニ於テハ同項ノ規定ニ依ル認可アリタルコトヲ証スル書面及其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第四章 会計
第二十五条 交易営団ノ事業年度ハ毎年四月ヨリ翌年三月迄トス
第二十六条 交易営団ハ設立ノ時及毎事業年度ノ初ニ於テ財産目録、貸借対照表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共ニ之ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
第五章 監督及補助
第二十七条 交易営団ハ政府之ヲ監督ス
第二十八条 交易営団ハ業務開始ノ際業務ノ方法ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
第二十九条 交易営団借入金ヲ為サントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第三十条 交易営団剰余金ノ処分ヲ為サントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第三十一条 交易営団ハ命令ノ定ムル所ニ依リ剰余金中ヨリ準備金ノ積立ヲ為スベシ
第三十二条 交易営団ノ毎事業年度ニ於ケル配当シ得ベキ剰余金額ガ政府以外ノ出資者ノ払込出資金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ニ達セザルトキハ政府ハ之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ但シ其ノ額ハ政府以外ノ出資者ノ払込出資金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ニ相当スル額及第二十一条第一項第二号ノ業務ノ為借入レタル借入金ノ利息ニシテ当該事業年度ニ於テ支払ヒタル額ノ合計額ヲ超ユルコトヲ得ズ
毎事業年度ニ於ケル配当シ得ベキ剰余金額ガ政府以外ノ出資者ノ払込出資金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先ヅ之ヲ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
前条ノ準備金中損失ノ填補又ハ配当準備ノ為積立テタル金額ハ後事業年度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計算ニ付テハ之ヲ配当シ得ベキ剰余金ト看做ス
第三十三条 交易営団ハ毎事業年度ニ於ケル配当シ得ベキ剰余金額(前条第二項ノ規定ニ依リ償還ニ充ツベキ金額アルトキハ之ヲ控除シタル残額トス以下同ジ)ガ政府以外ノ出資者ノ払込出資金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過セザルトキハ政府ノ出資ニ対シ剰余金ノ配当ヲ為スコトヲ要セズ
交易営団ハ毎事業年度ニ於ケル配当シ得ベキ剰余金額ガ払込出資金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ニ達セザル場合ニ於テ政府以外ノ出資者ノ払込出資金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額ヲ政府ニ配当スベシ
第三十四条 交易営団ガ第三十二条第一項ノ規定ニ依リ受クル補給金ハ法人税法ニ依ル所得及臨時利得税法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ益金ニ算入セズ
第三十五条 政府ハ交易営団ニ対シ第二十一条第一項第一号ノ輸出及輸入ニ伴フ価格差損ヲ補償スル為価格差損補償金ヲ交付スルノ契約ヲ為スコトヲ得
前項ノ契約ハ之ニ基キ交付スベキ価格差損補償金ノ総額ガ帝国議会ノ協賛ヲ経タル金額ヲ超エザル範囲内ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
第一項ノ価格差損ヲ決定スル基準ハ政府之ヲ定ム
第三十六条 政府ハ交易営団ニ対シ業務及財産ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシメ、検査ヲ為シ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第三十七条 政府ハ交易営団ノ役員ノ行為ガ法令、定款又ハ政府ノ命令ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他交易営団ノ業務運営上役員ヲ不適当ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第六章 罰則
第三十八条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
一 正当ノ事由ナクシテ第二十三条第一項ノ規定ニ依ル保管ヲ為サザル者
二 第二十四条第一項ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ又ハ虚偽ノ報告ヲ為シタル者
三 第二十四条第二項ノ規定ニ依ル検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
第三十九条 人又ハ法人ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ人又ハ法人ノ業務ニ関シ前条第一号又ハ第二号ノ違反行為ヲ為シタルトキハ其ノ人又ハ法人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第四十条 第三十八条第一号及第二号ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十一条 左ノ場合ニ於テハ交易営団ノ総裁、副総裁、理事又ハ監事ヲ千円以下ノ過料ニ処ス
一 本法ニ依リ政府ノ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 本法ニ規定セザル業務ヲ営ミタルトキ
三 第二十一条第四項ノ規定ニ違反シ政府ノ定ムル計画ニ依ラズシテ業務ヲ行ヒタルトキ
四 政府ノ監督上ノ命令又ハ処分ニ違反シタルトキ
第四十二条 第二十二条第一項ノ規定ニ依リ交易営団ノ業務ノ一部ヲ取扱フ法人其ノ他ノ団体同条第二項ノ規定ニ違反シ政府ノ定ムル計画ニ依ラズシテ業務ヲ取扱ヒタルトキハ当該法人其ノ他ノ団体ノ役員ヲ千円以下ノ過料ニ処ス
第四十三条 左ノ場合ニ於テハ交易営団ノ総裁、副総裁、理事又ハ監事ヲ五百円以下ノ過料ニ処ス
一 第九条第六項ノ規定ニ違反シ公告ヲ為スコトヲ怠リ又ハ不正ノ公告ヲ為シタルトキ
二 本法又ハ本法ニ基キテ発スル勅令ニ違反シ登記ヲ為スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ為シタルトキ
三 第二十六条ノ規定ニ違反シ書類ヲ備置カザルトキ又ハ其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ為シタルトキ
第四十四条 第十四条ノ規定ニ違反シ交易営団又ハ之ニ類似スル名称ヲ用ヒタル者ハ五百円以下ノ過料ニ処ス
附 則
第四十五条 本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十六条 重要物資管理営団法ハ之ヲ廃止ス但シ本法施行前従前ノ罰則ヲ適用スベカリシ行為ニ付テハ仍従前ノ規定ニ依ル
第四十七条 政府ハ設立委員ヲ命ジ交易営団ノ設立ニ関スル事務ヲ処理セシム
第四十八条 設立委員ハ定款ヲ作成シ政府ノ認可ヲ受クベシ
第四十九条 前条ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク二億三千万円ノ出資ノ引受ヲ政府ニ禀請シ且総出資ヨリ重要物資管理営団ノ出資ニ引当ツベキ出資及政府ニ割当ツベキ出資ヲ控除シタル残余ノ出資ニ付出資者ヲ募集スベシ
第五十条 設立委員ハ前条ノ募集ヲ終リタルトキハ出資申込書ヲ政府ニ提出シ設立ノ認可ヲ申請スベシ
前項ノ認可ヲ受ケタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク重要物資管理営団ノ出資ニ引当ツベキ出資以外ノ出資ニ付第一回ノ払込ヲ為サシムルコトヲ要ス
第五十一条 前条第二項ノ払込完了シタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク其ノ事務ヲ交易営団総裁ニ引継グベシ
総裁前項ノ事務ノ引継ヲ受ケタルトキハ総裁、副総裁、理事及監事ノ全員ハ設立ノ登記ヲ為スベシ
交易営団ハ設立ノ登記ヲ為スニ因リテ成立ス
第五十二条 交易営団ノ成立ニ依リ重要物資管理営団ハ之ニ吸収セラルルモノトシ重要物資管理営団ノ権利義務ハ交易営団ニ於テ之ヲ承継ス
第五十三条 本法ニ規定スルモノノ外交易営団ノ設立ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十四条 登録税法中左ノ通改正ス
第十九条第七号中「重要物資管理営団」ヲ「交易営団」ニ、「重要物資管理営団法」ヲ「交易営団法」ニ改ム
第五十五条 印紙税法中左ノ通改正ス
第五条第六号ノ六ヲ左ノ如ク改ム
六ノ六 交易営団ノ発スル出資証券