交易営団解散令
法令番号: 勅令第三百三十號
公布年月日: 昭和21年6月20日
法令の形式: 勅令
朕は、昭和二十年勅令第五百四十二號ポツダム宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件に基く交易營團解散令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年六月十九日
內閣總理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郞
商工大臣 星島二郞
厚生大臣 河合良成
大藏大臣 石橋湛山
勅令第三百三十號
交易營團解散令
第一條 交易營團は、これを解散する。
第二條 商工大臣は、交易營團の主たる事務所及び從たる事務所の所在地の登記所に、その解散の登記を囑託することを必要とする。
第三條 交易營團の總裁は、政府以外の出資者に對して、たゞちに解散の通知を發しなければならない。
第四條 商工大臣は、交易營團の總裁、副總裁又は理事の中から、淸算人を選任しなければならない。
商工大臣は、公益上必要があると認めたときは、淸算人を解任することができる。
淸算人が缺けたとき、又はその增員の必要があるときは、商工大臣がこれを選任する。この場合においては、第一項に揭げる者以外からも選任することができる。
第五條 淸算人は他の職業に從事することはできない、但し、商工大臣の認可を受けたときは差支へない。
淸算人は、自己又は第三者の爲に、交易營團と取引をすることはできない。但し、商工大臣の認可を受けたときは、差支へない。この場合には、民法第百八條の規定を適用しない。
第六條 淸算人は、就職の後たゞちに、交易營團の財產の現況を調査して、財產目錄及び貸借對照表を作り、これを商工大臣に提出してその承認を受けなければならない。
淸算人は、商工大臣の定めた淸算計畫に從つて、淸算を行はなければならない。
商工大臣は、必要があると認めたときは、淸算人に對して、淸算に關して必要な事項を命令することができる。
第七條 交易營團に現存する財產が、その債務を完濟するために不足であるときは、淸算人は、商工大臣の認可を受けた上で、出資者をして出資させることができる。
前項の場合には、商法第三百九十二條及び第三百九十三條竝びに非訟事件手續法第百三十五條の四十三乃至第百三十五條ノ四十六の規定を準用する。
前項において準用する商法第三百九十二條及び第三百九十三條に規定する事件は、交易營團の主たる事務所の所在地の、地方裁判所の管轄とする。
第八條 淸算人が、左の行爲をするときは、商工大臣の認可を必要とする。
一 交易營團の財產を處分すること。
二 訴を提起すること。
三 和解及び仲裁契約をすること。
四 權利を抛棄すること。
淸算人が、前項の規定に違反したときも、交易營團は、善意の第三者に對して、その責に任ずる。
商工大臣は、必要があると認めたときは、淸算人に對して、第一項各號の行爲について、必要な事項を命令することができる。
第九條 殘餘財產は、出資者に對して、その出資金額の割合に應じてこれを分配しなければならない。但し、その額は各出資者の拂込金額を超えることはできない。
出資者に對して分配する金額を超える殘餘財產は、國庫に歸屬する。
第十條 公易營團の聯合軍需品調達業務に關して貸付をなす金融機關は、交易營團の聯合軍需品調達業務に關して生じた債權を有する場合において、交易營團が當該業務により取得した聯合軍需品の賣渡代金その他の財產の上に、先取特權を有する。
前項の先取特權の順位は、民法第三百二十五條第三號及び第三百三十條第一項第三の先取特權に次ぐ。
第十一條 商工大臣は、必要があると認めたときは、淸算事務及び財產の狀況について、當該官吏をして檢査をなさしめ、淸算人に對し、その報吿を命じその他監督上必要な命令又は處分をすることができる。
第十二條 商工大臣の諮問に應じて、交易營團の財產の評價、その他淸算に關する重要事項を調査審議せしめるため交易營團淸算監理委員會を置く。
第十三條 交易營團淸算監理委員會は商工大臣の管理に屬する。
委員會は、會長一人及び委員三十人以內でこれを組織する。
委員は、關係官廳二級以上の官吏、交易營團の出資者及びその債權者竝びに學識經驗者の中から、商工大臣の奏請によつて、內閣でこれを命ずる。
會長は委員の中から、商工大臣がこれを指名する。
この勅令に定めるものの外委員會に關して、必要な事項は、商工大臣がこれを定める。
第十四條 淸算事務が終つなときは、淸算人は、たゞちに、決算報吿書を作り、これを商工大臣に提出して、その認可を受けなければならない。
前項の決算報吿書には、淸算に關する重要な書類、交易營團の帳簿及びその營業に關する重要な書類を、添附することを必要とする。
第十五條 淸算が結了したときは、淸算人は、前條の認可があつた後主たる事務所の所在地では二週間、從たる事務所の所在地では三週間以內に、淸算結了の登記をしなければならない。
第十六條 この勅令による登記は、交易營團を代表する淸算人の申請によつて、これをする。
第十七條 民法第四十四條第一項、第五十四條及び第八十一條、商法第三十九條第二項、第百十六條、第百二十三條、第百二十四條第一項第二項、第百二十五條、第百二十八條、第百二十九條第二項第三項、第百三十一條、第百三十四條、第二百五十四條第二項、第二百六十六條、第四百二十一條乃至第四百二十四條及び第四百三十四條竝びに非訟事件手續法第百三十五條ノ三十五の規定は、交易營團の淸算に準用する。但し、商法第百二十五條中「裁判所ノ選任シタル鑑定人」とあるのは、「商工大臣ノ選任シタル鑑定人」と、第百二十九條第三項及び第四百二十三條中「裁判所」とあるのは、「商工大臣」と讀み替へるものとする。
第十八條 淸算人、又は淸算に關して特定の事項の委任を受けた代理人若しくは使用人が、自己若しくは第三者を利し又は交易營團を害しようと圖つて、その任務に背き、交易營團に財產上の損害を加へたときは、これらの者を七年以下の懲役、又は三萬圓以下の罰金に處する。
前項の未遂罪は、これを罰する。
前二項の罪を犯した者には、情狀により、懲役及び罰金を併せ科することができる。
第十九條 左の場合には淸算人を六月以下の懲役又は五千圓以下の罰金に處する。
一 第五條、第七條第一項又は第八條第一項の規定により、認可を受くべき行爲について、認可を受けることを怠つたとき。
二 第十一條の規定による報吿を怠り又は虛僞の報吿をなしたとき。
三 第六條第三項、第八條第三項又は第十一條の規定による命令に違反したとき。
第二十條 第十一條の規定による檢査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、これを千圓以下の罰金に處する。
第二十一條 左の場合には、淸算人を、五千圓以下の過料に處する。但し、その行爲について、刑を科するときは、過料には處さない。
一 第六條の規定による承認又は第十四條の規定による許可又は第十七條の規定による許可を受けることを怠つたとき。
二 この勅令に定めた登記をすることを怠つたとき。
三 この勅令に定めた公吿若しくは通知を怠り又は不正の公吿若しくは通知をしたとき。
四 財產目錄、貸借對照表又は決算報吿書に不實の記載をしたとき。
第二十二條 この勅令に基づいてなす登記には、登錄稅を賦課しない。
第二十三條 この勅令で定めるものの外交易營團の淸算に關して必要な事項は命令でこれを定める。
附 則
第二十四條 この勅令の施行の期日は、別に、これを定める。
第二十五條 交易營團法及び交易營團法施行令は、これを廢止する。この勅令の施行の前になした行爲に關する罰則の適用については、舊法及び舊令は、この勅令の施行の後も、なほその效力を有する。
交易營團の淸算に關しては、この勅令の施行の後も舊法及び舊令は、なほその效力を有する。
交易營團は解散後においては、あらたな業務を行ふことができない。
第二十六條 登錄稅法の一部を次のやうに改正する。
第十九條第七號中、「交易營團」及び「交易營團法」を削る。
第二十七條 印紙稅法の一部を次のやうに改正する。
第五條第六號の六を次のやうに改める。
六ノ六 削除
朕は、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く交易営団解散令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年六月十九日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
商工大臣 星島二郎
厚生大臣 河合良成
大蔵大臣 石橋湛山
勅令第三百三十号
交易営団解散令
第一条 交易営団は、これを解散する。
第二条 商工大臣は、交易営団の主たる事務所及び従たる事務所の所在地の登記所に、その解散の登記を嘱託することを必要とする。
第三条 交易営団の総裁は、政府以外の出資者に対して、たゞちに解散の通知を発しなければならない。
第四条 商工大臣は、交易営団の総裁、副総裁又は理事の中から、清算人を選任しなければならない。
商工大臣は、公益上必要があると認めたときは、清算人を解任することができる。
清算人が欠けたとき、又はその増員の必要があるときは、商工大臣がこれを選任する。この場合においては、第一項に掲げる者以外からも選任することができる。
第五条 清算人は他の職業に従事することはできない、但し、商工大臣の認可を受けたときは差支へない。
清算人は、自己又は第三者の為に、交易営団と取引をすることはできない。但し、商工大臣の認可を受けたときは、差支へない。この場合には、民法第百八条の規定を適用しない。
第六条 清算人は、就職の後たゞちに、交易営団の財産の現況を調査して、財産目録及び貸借対照表を作り、これを商工大臣に提出してその承認を受けなければならない。
清算人は、商工大臣の定めた清算計画に従つて、清算を行はなければならない。
商工大臣は、必要があると認めたときは、清算人に対して、清算に関して必要な事項を命令することができる。
第七条 交易営団に現存する財産が、その債務を完済するために不足であるときは、清算人は、商工大臣の認可を受けた上で、出資者をして出資させることができる。
前項の場合には、商法第三百九十二条及び第三百九十三条並びに非訟事件手続法第百三十五条の四十三乃至第百三十五条ノ四十六の規定を準用する。
前項において準用する商法第三百九十二条及び第三百九十三条に規定する事件は、交易営団の主たる事務所の所在地の、地方裁判所の管轄とする。
第八条 清算人が、左の行為をするときは、商工大臣の認可を必要とする。
一 交易営団の財産を処分すること。
二 訴を提起すること。
三 和解及び仲裁契約をすること。
四 権利を抛棄すること。
清算人が、前項の規定に違反したときも、交易営団は、善意の第三者に対して、その責に任ずる。
商工大臣は、必要があると認めたときは、清算人に対して、第一項各号の行為について、必要な事項を命令することができる。
第九条 残余財産は、出資者に対して、その出資金額の割合に応じてこれを分配しなければならない。但し、その額は各出資者の払込金額を超えることはできない。
出資者に対して分配する金額を超える残余財産は、国庫に帰属する。
第十条 公易営団の連合軍需品調達業務に関して貸付をなす金融機関は、交易営団の連合軍需品調達業務に関して生じた債権を有する場合において、交易営団が当該業務により取得した連合軍需品の売渡代金その他の財産の上に、先取特権を有する。
前項の先取特権の順位は、民法第三百二十五条第三号及び第三百三十条第一項第三の先取特権に次ぐ。
第十一条 商工大臣は、必要があると認めたときは、清算事務及び財産の状況について、当該官吏をして検査をなさしめ、清算人に対し、その報告を命じその他監督上必要な命令又は処分をすることができる。
第十二条 商工大臣の諮問に応じて、交易営団の財産の評価、その他清算に関する重要事項を調査審議せしめるため交易営団清算監理委員会を置く。
第十三条 交易営団清算監理委員会は商工大臣の管理に属する。
委員会は、会長一人及び委員三十人以内でこれを組織する。
委員は、関係官庁二級以上の官吏、交易営団の出資者及びその債権者並びに学識経験者の中から、商工大臣の奏請によつて、内閣でこれを命ずる。
会長は委員の中から、商工大臣がこれを指名する。
この勅令に定めるものの外委員会に関して、必要な事項は、商工大臣がこれを定める。
第十四条 清算事務が終つなときは、清算人は、たゞちに、決算報告書を作り、これを商工大臣に提出して、その認可を受けなければならない。
前項の決算報告書には、清算に関する重要な書類、交易営団の帳簿及びその営業に関する重要な書類を、添附することを必要とする。
第十五条 清算が結了したときは、清算人は、前条の認可があつた後主たる事務所の所在地では二週間、従たる事務所の所在地では三週間以内に、清算結了の登記をしなければならない。
第十六条 この勅令による登記は、交易営団を代表する清算人の申請によつて、これをする。
第十七条 民法第四十四条第一項、第五十四条及び第八十一条、商法第三十九条第二項、第百十六条、第百二十三条、第百二十四条第一項第二項、第百二十五条、第百二十八条、第百二十九条第二項第三項、第百三十一条、第百三十四条、第二百五十四条第二項、第二百六十六条、第四百二十一条乃至第四百二十四条及び第四百三十四条並びに非訟事件手続法第百三十五条ノ三十五の規定は、交易営団の清算に準用する。但し、商法第百二十五条中「裁判所ノ選任シタル鑑定人」とあるのは、「商工大臣ノ選任シタル鑑定人」と、第百二十九条第三項及び第四百二十三条中「裁判所」とあるのは、「商工大臣」と読み替へるものとする。
第十八条 清算人、又は清算に関して特定の事項の委任を受けた代理人若しくは使用人が、自己若しくは第三者を利し又は交易営団を害しようと図つて、その任務に背き、交易営団に財産上の損害を加へたときは、これらの者を七年以下の懲役、又は三万円以下の罰金に処する。
前項の未遂罪は、これを罰する。
前二項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併せ科することができる。
第十九条 左の場合には清算人を六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
一 第五条、第七条第一項又は第八条第一項の規定により、認可を受くべき行為について、認可を受けることを怠つたとき。
二 第十一条の規定による報告を怠り又は虚偽の報告をなしたとき。
三 第六条第三項、第八条第三項又は第十一条の規定による命令に違反したとき。
第二十条 第十一条の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、これを千円以下の罰金に処する。
第二十一条 左の場合には、清算人を、五千円以下の過料に処する。但し、その行為について、刑を科するときは、過料には処さない。
一 第六条の規定による承認又は第十四条の規定による許可又は第十七条の規定による許可を受けることを怠つたとき。
二 この勅令に定めた登記をすることを怠つたとき。
三 この勅令に定めた公告若しくは通知を怠り又は不正の公告若しくは通知をしたとき。
四 財産目録、貸借対照表又は決算報告書に不実の記載をしたとき。
第二十二条 この勅令に基づいてなす登記には、登録税を賦課しない。
第二十三条 この勅令で定めるものの外交易営団の清算に関して必要な事項は命令でこれを定める。
附 則
第二十四条 この勅令の施行の期日は、別に、これを定める。
第二十五条 交易営団法及び交易営団法施行令は、これを廃止する。この勅令の施行の前になした行為に関する罰則の適用については、旧法及び旧令は、この勅令の施行の後も、なほその効力を有する。
交易営団の清算に関しては、この勅令の施行の後も旧法及び旧令は、なほその効力を有する。
交易営団は解散後においては、あらたな業務を行ふことができない。
第二十六条 登録税法の一部を次のやうに改正する。
第十九条第七号中、「交易営団」及び「交易営団法」を削る。
第二十七条 印紙税法の一部を次のやうに改正する。
第五条第六号の六を次のやうに改める。
六ノ六 削除