(所得税等ノ日満二重課税防止ニ関スル法律施行ニ関スル件)
法令番号: 勅令第四百五十七號
公布年月日: 昭和17年4月30日
法令の形式: 勅令
朕昭和十七年法律第七十四號所得稅等ノ日滿二重課稅防止ニ關スル法律施行ニ關スル件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年四月二十八日
內閣總理大臣 東條英機
大藏大臣 賀屋興宣
勅令第四百五十七號
第一條 所得稅法施行地ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノニ付テハ所得稅法ニ依ル分類所得稅ヲ課セズ
一 滿洲國ニ於ケル事業ヨリ生ズル所得稅法第十條ニ規定スル事業所得ニシテ同國ニ於ケル法令ニ依リ事業所得稅ヲ課スルモノ
二 滿洲國ニ於テ支拂ヲ受クル俸給、給料、年金、恩給(一時金タル恩給ヲ除ク)及賞與竝ニ此等ノ性質ヲ有スル給與ニシテ同國ニ於ケル法令ニ依リ勤勞所得稅ヲ課スルモノ
三 滿洲國ニ於テ支拂ヲ受クル一時恩給及退職給與竝ニ此等ノ性質ヲ有スル給與ニシテ同國ニ於ケル法令ニ依リ勤勞所得稅ヲ課スルモノ
第二條 所得稅法施行地ニ住所又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得稅法第十條ニ規定スル乙種ノ配當利子所得中ニ滿洲國ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ヨリ受クル利益ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ニシテ同國ニ於ケル法令ニ依リ資本所得稅ヲ課セラレタルモノアルトキハ其ノ部分ノ所得ニ付テハ所得稅法第二十一條第一項ニ規定スル稅率百分ノ十五ヲ百分ノ九トシタル場合ノ差減額ニ相當スル分類所得稅ヲ輕減ス
前項ノ規定ニ依リ分類所得稅ノ輕減ヲ受ケントスル者ハ所得稅法第三十四條ノ規定ニ依ル申吿ト同時ニ其ノ旨所轄稅務署ニ申請スベシ
第三條 法人稅法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ各事業年度ノ所得中ニ滿洲國ニ於ケル資產又ハ營業ヨリ生ズル所得アルトキハ其ノ部分ノ所得ニ付テハ臨時租稅措置法第一條ノ五第一項ノ規定ニ拘ラズ法人稅法第十六條第一項ニ規定スル稅率百分ノ二十五ヲ百分ノ十三トシタル場合ノ差減額ニ相當スル法人稅ヲ輕減ス
前項ノ規定ニ依ル輕減稅額算出ノ基礎タル法人ノ滿洲國ニ於ケル資產又ハ營業ヨリ生ズル所得金額ニハ法人稅法其ノ他ノ法律ニ依リ法人稅ヲ課セラレザルモノノ金額ハ之ヲ算入セズ
第一項ノ規定ニ依リ法人稅ノ輕減ヲ受ケントスル法人ハ法人稅法第十八條ノ規定ニ依ル申吿ト同時ニ其ノ旨所轄稅務署ニ申請スベシ
前項ノ場合ニ於テハ滿洲國ニ於ケル資產又ハ營業ヨリ生ズル所得ト其ノ他ノ所得トヲ區別シタル計算書ヲ添附スベシ
第四條 法人稅法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ガ滿洲國ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ヨリ受クル利益ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ニ付各事業年度ニ於テ同國ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル資本所得稅ニ相當スル金額(其ノ金額ガ配當金額又ハ分配金額ノ百分ノ六ヲ超ユルトキハ百分ノ六ニ相當スル金額)ハ當該事業年度ノ所得ニ對スル法人稅額ヨリ之ヲ控除ス
前項ノ場合ニ於テ控除スベキ金額ハ法人稅法ニ依ル所得、營業稅法ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
前二項ノ規定ハ淸算所得ニ對スル法人稅ニ付之ヲ準用ス
前項ノ規定ニ依リ淸算所得ニ對スル法人稅額ヨリ控除スベキ金額ハ法人ノ淸算純益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
法人稅法施行規則第十二條ノ規定ハ第一項又ハ第三項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第一項又ハ第三項ノ規定ニ依リ控除ヲ受ケントスル法人ハ法人稅法第十八條ノ規定ニ依ル申吿ト同時ニ其ノ旨所轄稅務署ニ申請スベシ
法人稅法施行規則第十三條第二項及第十四條ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第五條 滿洲國ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ臨時利得稅法施行地ニ於ケル資產又ハ營業ヨリ生ズル利得ニ付テハ臨時利得稅ヲ課セズ
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
乙種ノ配當利子所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得及乙種ノ退職所得ニ對スル分類所得稅ニ付テハ昭和十七年分ヨリ、各事業年度ノ所得ニ對スル法人稅、法人ノ各事業年度ノ純益ニ對スル營業稅及法人ノ臨時利得稅ニ付テハ昭和十七年一月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、淸算所得ニ對スル法人稅及法人ノ淸算純益ニ對スル營業稅ニ付テハ同日以後ノ解散又ハ合併ニ因ル分ヨリ本令ヲ適用ス
第二條第二項ノ規定ニ依ル申請ハ昭和十七年分ニ限リ本令施行ノ日ヨリ十五日以內ニ之ヲ爲スベシ
本令施行前ニ決算確定シタル法人ノ各事業年度分ノ法人稅又ハ本令施行前ニ合併ヲ爲シ若ハ淸算ニ着手シタル法人ノ淸算所得ニ對スル法人稅ノ第三條第三項及第四條第六項ノ規定ニ依ル申請ハ本令施行ノ日ヨリ十五日以內ニ之ヲ爲スベシ
朕昭和十七年法律第七十四号所得税等ノ日満二重課税防止ニ関スル法律施行ニ関スル件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年四月二十八日
内閣総理大臣 東条英機
大蔵大臣 賀屋興宣
勅令第四百五十七号
第一条 所得税法施行地ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノニ付テハ所得税法ニ依ル分類所得税ヲ課セズ
一 満洲国ニ於ケル事業ヨリ生ズル所得税法第十条ニ規定スル事業所得ニシテ同国ニ於ケル法令ニ依リ事業所得税ヲ課スルモノ
二 満洲国ニ於テ支払ヲ受クル俸給、給料、年金、恩給(一時金タル恩給ヲ除ク)及賞与並ニ此等ノ性質ヲ有スル給与ニシテ同国ニ於ケル法令ニ依リ勤労所得税ヲ課スルモノ
三 満洲国ニ於テ支払ヲ受クル一時恩給及退職給与並ニ此等ノ性質ヲ有スル給与ニシテ同国ニ於ケル法令ニ依リ勤労所得税ヲ課スルモノ
第二条 所得税法施行地ニ住所又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得税法第十条ニ規定スル乙種ノ配当利子所得中ニ満洲国ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ヨリ受クル利益ノ配当又ハ剰余金ノ分配ニシテ同国ニ於ケル法令ニ依リ資本所得税ヲ課セラレタルモノアルトキハ其ノ部分ノ所得ニ付テハ所得税法第二十一条第一項ニ規定スル税率百分ノ十五ヲ百分ノ九トシタル場合ノ差減額ニ相当スル分類所得税ヲ軽減ス
前項ノ規定ニ依リ分類所得税ノ軽減ヲ受ケントスル者ハ所得税法第三十四条ノ規定ニ依ル申告ト同時ニ其ノ旨所轄税務署ニ申請スベシ
第三条 法人税法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ各事業年度ノ所得中ニ満洲国ニ於ケル資産又ハ営業ヨリ生ズル所得アルトキハ其ノ部分ノ所得ニ付テハ臨時租税措置法第一条ノ五第一項ノ規定ニ拘ラズ法人税法第十六条第一項ニ規定スル税率百分ノ二十五ヲ百分ノ十三トシタル場合ノ差減額ニ相当スル法人税ヲ軽減ス
前項ノ規定ニ依ル軽減税額算出ノ基礎タル法人ノ満洲国ニ於ケル資産又ハ営業ヨリ生ズル所得金額ニハ法人税法其ノ他ノ法律ニ依リ法人税ヲ課セラレザルモノノ金額ハ之ヲ算入セズ
第一項ノ規定ニ依リ法人税ノ軽減ヲ受ケントスル法人ハ法人税法第十八条ノ規定ニ依ル申告ト同時ニ其ノ旨所轄税務署ニ申請スベシ
前項ノ場合ニ於テハ満洲国ニ於ケル資産又ハ営業ヨリ生ズル所得ト其ノ他ノ所得トヲ区別シタル計算書ヲ添附スベシ
第四条 法人税法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ガ満洲国ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ヨリ受クル利益ノ配当又ハ剰余金ノ分配ニ付各事業年度ニ於テ同国ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル資本所得税ニ相当スル金額(其ノ金額ガ配当金額又ハ分配金額ノ百分ノ六ヲ超ユルトキハ百分ノ六ニ相当スル金額)ハ当該事業年度ノ所得ニ対スル法人税額ヨリ之ヲ控除ス
前項ノ場合ニ於テ控除スベキ金額ハ法人税法ニ依ル所得、営業税法ニ依ル純益及臨時利得税法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
前二項ノ規定ハ清算所得ニ対スル法人税ニ付之ヲ準用ス
前項ノ規定ニ依リ清算所得ニ対スル法人税額ヨリ控除スベキ金額ハ法人ノ清算純益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
法人税法施行規則第十二条ノ規定ハ第一項又ハ第三項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第一項又ハ第三項ノ規定ニ依リ控除ヲ受ケントスル法人ハ法人税法第十八条ノ規定ニ依ル申告ト同時ニ其ノ旨所轄税務署ニ申請スベシ
法人税法施行規則第十三条第二項及第十四条ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第五条 満洲国ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ臨時利得税法施行地ニ於ケル資産又ハ営業ヨリ生ズル利得ニ付テハ臨時利得税ヲ課セズ
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
乙種ノ配当利子所得、事業所得、乙種ノ勤労所得及乙種ノ退職所得ニ対スル分類所得税ニ付テハ昭和十七年分ヨリ、各事業年度ノ所得ニ対スル法人税、法人ノ各事業年度ノ純益ニ対スル営業税及法人ノ臨時利得税ニ付テハ昭和十七年一月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、清算所得ニ対スル法人税及法人ノ清算純益ニ対スル営業税ニ付テハ同日以後ノ解散又ハ合併ニ因ル分ヨリ本令ヲ適用ス
第二条第二項ノ規定ニ依ル申請ハ昭和十七年分ニ限リ本令施行ノ日ヨリ十五日以内ニ之ヲ為スベシ
本令施行前ニ決算確定シタル法人ノ各事業年度分ノ法人税又ハ本令施行前ニ合併ヲ為シ若ハ清算ニ着手シタル法人ノ清算所得ニ対スル法人税ノ第三条第三項及第四条第六項ノ規定ニ依ル申請ハ本令施行ノ日ヨリ十五日以内ニ之ヲ為スベシ