第一條 國家總動員法第八條ノ規定ニ基ク港灣運送業ニ於ケル貨物ノ移動ニ關スル命令、同法第十六條ノ二ノ規定ニ基ク港灣運送業等ニ屬スル設備ノ讓渡其ノ他ノ處分及使用ニ關スル命令、同法第十六條ノ三ノ規定ニ基ク港灣運送業等ノ開始、委託、共同經營、讓渡若ハ廢止ニ關スル命令又ハ港灣運送業等ヲ營ム會社ノ合併若ハ解散ニ關スル命令竝ニ同法第十八條ノ規定ニ基ク港灣運送業ノ統制ヲ目的トスル團體ノ設立等ニ關スル命令及當該團體ニ關シ必要ナル事項ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 本令ニ於テ港灣運送業トハ海上運送ニ附隨シテ貨物ノ船積又ハ陸揚ノ爲荷捌、積卸又ハ艀船若ハ曳船ニ依ル運搬ヲ爲ス事業及此等ノ作業ノ請負ヲ爲ス事業ヲ謂フ
第三條 港灣運送業ヲ開始セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ遞信大臣ノ許可ヲ受クベシ
第四條 遞信大臣ハ港灣運送業者ニ對シ事業ノ委託、受託、共同經營、讓渡若ハ讓受又ハ會社ノ合併ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ場合ニ於ケル委託、共同經營、讓渡又ハ合併ノ條件ハ當事者間ノ協議ニ依ル協議調ハズ又ハ協議ヲ爲スコト能ハザルトキハ遞信大臣之ヲ裁定ス
遞信大臣前項ノ裁定ヲ爲サントスルトキハ事案ノ重要ナルモノニ付テハ海事審議會ノ議ヲ經ベシ
第五條 遞信大臣ハ港灣運送業者ニ對シ事業設備ノ讓渡、讓受若ハ貸借ヲ命ジ又ハ事業設備ノ使用ニ關シ其ノ方法ノ改善其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
前條第二項及第三項ノ規定ハ前項前段ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六條 遞信大臣ハ港灣運送業者ニ對シ貨物ヲ指定シテ其ノ取扱ヲ爲スベキコトヲ命ジ又ハ貨物ノ取扱ノ方法若ハ順位ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第七條 港灣運送業者事業ヲ讓渡シ又ハ廢止セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ遞信大臣ノ許可ヲ受クベシ
港灣運送業ヲ營ム會社ノ合併又ハ解散ノ決議又ハ總社員ノ同意ハ命令ノ定ムル所ニ依リ遞信大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第八條 第四條、第五條及前條ノ規定ハ港灣運送業ノ用ニ供スル設備ノ賃貸ヲ爲ス事業ヲ營ム者ニ之ヲ準用ス
第九條 遞信大臣ハ港灣荷役ノ總力ヲ最モ有效ニ發揮セシムル爲必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ第十二條ノ規定ニ依リ團體員タル資格ヲ有スル者ニ對シ港灣運送業ノ綜合的統制運營ヲ圖リ且港灣運送業ニ關スル國策ノ遂行ニ協力スルコトヲ目的トスル團體(以下中央團體ト稱ス)ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル中央團體ノ設立ノ命令アリタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ創立總會ヲ開キ之ニ諮リテ定款其ノ他中央團體ノ設立ニ必要ナル事項ヲ定メ遞信大臣ノ認可ヲ受クベシ
第十條 中央團體ハ其ノ目的ヲ達スル爲左ニ揭グル事業ヲ行フ
一 團體員及團體員タル團體ヲ組織スル者ノ港灣運送業ニ關スル統制指導
三 能率ノ增進、經理ノ改善其ノ他團體員及團體員タル團體ヲ組織スル者ノ港灣運送業ノ發達ニ關スル施設
五 團體員及團體員タル團體ヲ組織スル者ノ港灣運送業ニ關スル檢査
六 前各號ニ揭グルモノノ外中央團體ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
第十一條 中央團體ノ定款ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
第十二條 中央團體ノ團體員タル資格ヲ有スル者ハ左ニ揭グルモノトス
第十三條 中央團體ハ第九條第二項ノ認可アリタル時又ハ國家總動員法第十八條第三項ノ規定ニ依リ定款ノ作成アリタル時成立ス
前項ノ場合ニ於テハ遞信大臣ハ中央團體成立ノ旨及定款ヲ吿示スベシ
第十四條 中央團體成立シタルトキハ其ノ團體員タル資格ヲ有スル者ハ總テ中央團體ノ團體員トス
第十五條 中央團體ニハ役員トシテ會長一人、理事長一人、理事若干人、監事若干人及評議員若干人ヲ置クベシ
理事長ハ會長ヲ輔佐シ團體事務ヲ掌理シ會長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ會長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ會長及理事長ヲ輔佐シ團體事務ヲ分掌シ豫メ會長ノ定ムル順位ニ依リ會長及理事長共ニ事故アルトキハ會長ノ職務ヲ代理シ會長及理事長共ニ缺員ノトキハ會長ノ職務ヲ行フ
評議員ハ會長ノ諮問ニ對シ答申シ又ハ會長ニ對シ意見ヲ具申ス
第十七條 會長、理事長、理事、監事及評議員ハ港灣運送業ニ關シ經驗アル者及學識アル者ノ中ヨリ遞信大臣之ヲ命ズ
遞信大臣前項ノ規定ニ依リ會長、理事長又ハ理事ヲ任命シタルトキハ其ノ旨ヲ吿示スベシ
會長、理事長及理事ノ任期ハ三年、監事及評議員ノ任期ハ二年トス
第十八條 會長、理事長及理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ遞信大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十九條 中央團體ハ港灣運送業ニ關スル事項ニ付關係各大臣ニ建議スルコトヲ得
第二十條 中央團體ハ其ノ團體員及團體員タル團體ヲ組織スル者ニ對シ港灣運送業ニ關スル事項ノ調査ヲ爲ス爲必要ナル資料ノ提出ヲ求ムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ資料ノ提出ヲ求メラレタル者ハ遲滯ナク之ヲ提出スベシ
第二十一條 中央團體ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ團體員ニ對シ經費ヲ賦課スルコトヲ得
第二十二條 中央團體ハ其ノ事業ヲ行フ爲特ニ必要アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ遞信大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ團體員ノ全部又ハ一部ニ對シ前條ノ規定ニ依ル賦課金ノ外特別ノ賦課金ヲ課スルコトヲ得
第二十三條 中央團體ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款又ハ統制規程ニ違反シタル團體員ニ對シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第二十四條 第二十一條若ハ第二十二條ノ規定ニ依ル賦課金又ハ過怠金ヲ滯納スル者アル場合ニ於テ中央團體ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ中央團體ハ其ノ徵收金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スベシ
前項ノ規定ニ依ル徵收金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徵收金ニ次ギ其ノ時效ニ付テハ市町村稅ノ例ニ依ル
第二十五條 中央團體ハ其ノ團體員又ハ團體員タル團體ヲ組織スル者ノ港灣運送業ニ關スル統制規程ヲ設定スベシ
第二十六條 定款ノ變更竝ニ統制規程ノ設定及變更ハ遞信大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
遞信大臣前項ノ認可ヲ爲シタルトキハ其ノ旨ヲ吿示スベシ
第二十七條 中央團體ノ團體員及團體員タル團體ヲ組織スル者ハ中央團體ノ統制規程ニ依ルベシ
第二十八條 中央團體必要アリト認ムルトキハ中央團體ノ役員又ハ使用人ヲシテ團體員及團體員タル團體ヲ組織スル者ノ業務若ハ財產ノ狀況又ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
中央團體ノ團體員及團體員タル團體ヲ組織スル者ハ前項ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避スルコトヲ得ズ
中央團體第一項ノ規定ニ依リ役員又ハ使用人ヲシテ檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
會長必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ、臨時總會ヲ招集スルコトヲ得
第三十一條 會長ハ每年總會ニ中央團體ノ事業ノ狀況ヲ報吿シ監事ヲシテ財產ノ狀況ヲ報吿セシムベシ
第三十二條 遞信大臣港灣運送業ノ統制運營上必要アリト認ムルトキハ中央團體ニ對シ必要ナル事業ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ變更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十三條 遞信大臣ハ中央團體ニ對シ業務及會計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
遞信大臣必要アリト認ムルトキハ監事ヲシテ監査ノ結果ヲ報吿セシムルコトヲ得
第三十四條 遞信大臣ハ中央團體ノ役員ノ行爲ガ法令又ハ法令ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他港灣運送業ノ統制運營上役員ヲ不適當ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
遞信大臣前項ノ規定ニ依リ會長、理事長又ハ理事ヲ解任シタルトキハ其ノ旨ヲ吿示スベシ
第三十五條 中央團體ハ遞信大臣ノ命令ニ因リテ解散ス
遞信大臣前項ノ命令ヲ爲シタルトキハ其ノ旨ヲ吿示スベシ
第三十六條 遞信大臣ハ港灣荷役ノ總力ヲ最モ有效ニ發揮セシムル爲必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ豫メ地區ヲ定メ其ノ地區內ニ於テ第三十九條ノ規定ニ依リ團體員タル資格ヲ有スル者ニ對シ當該地區內ニ於ケル港灣運送業ノ統制運營ヲ圖ルコトヲ目的トスル團體(以下地區別團體ト稱ス)ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
第三十七條 地區別團體ハ其ノ目的ヲ達スル爲左ニ揭グル事業ヲ行フ
一 團體員ノ港灣運送業及之ニ附隨スル事業ニ關スル統制指導
三 能率ノ增進、經理ノ改善其ノ他團體員ノ港灣運送業ノ發達ニ關スル施設
四 港灣運送業及之ニ附隨スル事業ニ關スル調査及硏究
五 團體員ノ港灣運送業及之ニ附隨スル事業ニ關スル檢査
六 前各號ニ揭グルモノノ外地區別團體ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
第三十八條 地區別團體ノ定款ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
第三十九條 地區別團體ノ團體員タル資格ヲ有スル者ハ左ニ揭グルモノトス
二 港灣運送業ニ附隨スル事業ヲ營ム者ニシテ遞信大臣ノ指定スルモノ
第四十條 地區別團體ハ命令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第四十一條 第九條第二項、第十三條乃至第十六條、第十七條第一項第三項、第十九條乃至第三十三條、第三十四條第一項及第三十五條第一項ノ規定ハ地區別團體ニ之ヲ準用ス但シ第十九條中關係各大臣トアルハ關係行政官廳トス
第四十二條 遞信大臣又ハ遞信局長必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ中央團體、地區別團體、港灣運送業者、港灣運送業ニ附隨スル事業ヲ營ム者又ハ港灣運送業ノ用ニ供スル設備ノ賃貸ヲ爲ス事業ヲ營ム者ヨリ其ノ事業ニ關シ報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ其ノ事務所、營業所、船舶、倉庫其ノ他ノ場所ニ臨檢シ業務ノ狀況若ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第四十三條 遞信大臣ハ本令ニ定ムル職權ノ一部ヲ遞信局長ニ委任スルコトヲ得
第四十四條 遞信大臣ハ左ニ揭グル場合ニ於テハ內務大臣ニ協議スベシ
一 第四條第一項、第五條第一項又ハ第八條ノ規定ニ基キ命令ヲ爲サントスル場合ニ於テ港灣運送業者又ハ港灣運送業ノ用ニ供スル設備ノ賃貸ヲ爲ス事業ヲ營ム者ガ其ノ命令事項ノ實施上港灣、運河又ハ公有水面ニ關シ許可ヲ必要トスルモノナルトキ
二 公共團體ニ對シ第四條第一項、第五條第一項又ハ第八條ノ規定ニ基キ命令ヲ爲サントスルトキ
第四十五條 本令中遞信大臣又ハ關係各大臣トアルハ朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ在リテハ各朝鮮總督、臺灣總督又ハ樺太廳長官トシ遞信局長トアルハ朝鮮又ハ臺灣ニ在リテハ各朝鮮總督府遞信局長又ハ臺灣總督府交通局總長トス
第二十四條中市町村トアルハ朝鮮ニ在リテハ府邑面、臺灣ニ在リテハ市街庄トシ市町村稅トアルハ朝鮮ニ在リテハ國稅、臺灣ニ在リテハ市街庄稅トシ百分ノ四トアルハ朝鮮ニ在リテハ百分ノ五トス
第四條第三項(第五條第二項及第八條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前條ノ規定ハ朝鮮、臺灣及樺太ニ在リテハ之ヲ適用セズ
第四十六條 本令ニ規定スルモノヲ除クノ外中央團體及地區別團體ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム