(陸軍軍法会議法中改正法律)
法令番号: 法律第八號
公布年月日: 昭和16年2月28日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル陸軍軍法會議法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年二月二十七日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
陸軍大臣 東條英機
法律第八號
陸軍軍法會議法中左ノ通改正ス
第八條 軍法會議ヲ設クルコト左ノ如シ
一 高等軍法會議
二 軍軍法會議
三 師團軍法會議
四 合圍地軍法會議
五 臨時軍法會議
第九條 高等軍法會議、軍軍法會議及師團軍法會議ハ之ヲ常設ス
合圍地軍法會議ハ戒嚴ノ宣吿アリタルトキ合圍地境ニ之ヲ特設ス
臨時軍法會議ハ戰時事變ニ際シ編成シタル陸軍ノ部隊ニ必要ニ因リ之ヲ特設ス
第十條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
軍軍法會議ハ軍司令官ヲ以テ長官トス
第十一條第一號中「將官相當官、」ヲ削ル
第十二條 軍軍法會議ハ左ノ事件ニ付管轄權ヲ有ス
一 軍司令官ノ部下ニ屬スル者及監督ヲ受クル者ニ對スル被吿事件但シ師團長ノ部下ニ屬スル者及監督ヲ受クル者ニ對スル被吿事件ヲ除ク
二 軍管區內ニ在ル陸軍ノ部隊ニ屬スル者及其ノ部隊ノ長ノ監督ヲ受クル者ニ對スル被吿事件但シ其ノ部隊ニ軍法會議ヲ設ケサル場合ニ限ル
三 軍管區內ニ在リ又ハ軍管區內ニ於テ罪ヲ犯シタル第一條乃至第三條記載ノ者ニ對スル被吿事件但シ被吿人ノ所屬部隊ノ軍法會議軍管區內ニ在ラサル場合ニ限ル
第十三條 師團軍法會議ハ師團長ノ部下ニ屬スル者及監督ヲ受クル者ニ對スル被吿事件ニ付管轄權ヲ有ス
師團軍法會議ハ前項ノ外左ノ事件ヲ管轄スルコトヲ得
一 師管內ニ在ル陸軍ノ部隊ニ屬スル者及其ノ部隊ノ長ノ監督ヲ受クル者ニ對スル被吿事件但シ其ノ部隊ニ軍法會議ヲ設ケサル場合ニ限ル
二 師管內ニ在リ又ハ師管內ニ於テ罪ヲ犯シタル第一條乃至第三條記載ノ者ニ對スル被吿事件但シ被吿人ノ所屬部隊ノ軍法會議師管內ニ在ラサル場合ニ限ル
第十四條 削除
第十六條 臨時軍法會議ハ左ノ事件ニ付管轄權ヲ有ス
一 臨時軍法會議ノ設置セラレタル部隊ノ長ノ部下ニ屬スル者及監督ヲ受クル者ニ對スル被吿事件但シ其ノ隸下部隊ニ軍法會議ヲ設ケタル場合ハ當該部隊ノ長ノ部下ニ屬スル者及監督ヲ受クル者ニ對スル被吿事件ヲ除ク
二 臨時軍法會議ノ設置セラレタル部隊ノ作戰地域、管轄地域若ハ守備地域ニ在リ又ハ此等ノ地域ニ於テ罪ヲ犯シタル第一條乃至第三條記載ノ者ニ對スル被吿事件但シ被吿人ノ所屬部隊ノ軍法會議此等ノ地域ニ在ラサル場合ニ限ル
三 臨時軍法會議ノ設置セラレタル部隊ノ作戰地域、管轄地域又ハ守備地域ニ在ル第六條記載ノ者ニ對スル被吿事件
第三十二條中「將校」ヲ「兵科將校」ニ改ム
第四十四條中「下士」ヲ「下士官」ニ、「兵卒」ヲ「兵」ニ改ム
第四十七條第三項中「減スルコトヲ得」ノ下ニ「戰時事變ニ際シ高等軍法會議以外ノ常設軍法會議ニ付亦同シ」ヲ加フ
第四十九條 高等軍法會議以外ノ軍法會議ニ於テハ判士四人及法務官一人ヲ以テ裁判官トス
前項ノ判士ハ左ノ區別ニ從フ
一 被吿人下士官又ハ兵ナルトキハ佐官一人尉官三人又ハ佐官二人尉官二人
二 被吿人尉官又ハ准士官ナルトキハ佐官二人尉官二人
三 被吿人佐官ナルトキハ將官一人佐官三人又ハ將官二人佐官二人
四 被吿人將官ナルトキハ將官四人
前項ノ判士ハ其ノ官等被吿人ヨリ下ルコトヲ得ス
交通斷絕シタル地ニ在ル軍法會議ニ於テハ被吿人ト同等以上ノ判士ヲ以テ裁判官ト爲スコトヲ得
第五十條中「將校」ヲ「兵科將校」ニ改ム
第五十一條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ判士ハ左ノ區別ニ從フ
一 被吿人下士官又ハ兵ナルトキハ佐官二人尉官一人
二 被吿人尉官又ハ准士官ナルトキハ佐官三人又ハ將官一人佐官二人
三 被吿人佐官ナルトキハ將官二人佐官一人又ハ將官三人
四 被吿人將官ナルトキハ將官三人
前項ノ判士ハ其ノ官等被吿人ヨリ下ルコトヲ得ス
第五十二條中「少尉」ヲ「尉官」ニ、「下士」ヲ「下士官」ニ改ム
第五十三條中「將校相當官、」ヲ削リ「下士」ヲ「下士官」ニ、「兵卒」ヲ「兵」ニ改ム
第五十四條第一項中「下士」ヲ「下士官」ニ、「兵卒」ヲ「兵」ニ改ム
第六十三條中「將校」ヲ「兵科將校」ニ改ム
第六十五條ニ左ノ一項ヲ加フ
軍司令官ハ隸下部隊ノ軍法會議ノ管轄ニ屬スル事件ニ付公訴ヲ指揮監督シ隸下部隊ノ軍法會議ノ管轄ニ屬スル事件、之ト牽連スル事件及當該部隊內ノ犯罪事件ニ付搜査ヲ指揮監督ス
第七十條中「將校」ヲ「兵科將校」ニ改ム
第七十三條第一項中「下士」ヲ「下士官」ニ改ム
第七十七條第一項中「憲兵卒」ヲ「憲兵兵」ニ改ム
第八十八條第一號中「又ハ將校相當官」ヲ削ル
第百五十五條第四項中「陸軍下士卒」ヲ「陸軍ノ下士官又ハ兵」ニ改ム
第百五十六條中「陸軍下士卒」ヲ「陸軍ノ下士官若ハ兵」ニ改ム
第百九十七條第二項中「海軍軍令部長」ヲ「軍令部總長」ニ改ム
第百九十八條中「辯護人、」ノ下ニ「辨理士、計理士、」ヲ加フ
第二百二十三條第二項中「下士卒」ヲ「陸軍ノ下士官若ハ兵」ニ改ム
第二百三十五條第二項中「海軍軍令部長」ヲ「軍令部總長」ニ改ム
第二百三十七條中「辯護人、」ノ下ニ「辨理士、計理士、」ヲ加フ
第三百九條第一項及第三百三十一條第一項第三號中「被吿事件其ノ軍法會議ノ管轄ニ屬セサルモノナルトキ」ノ下ニ「若ハ其ノ軍法會議ノ管轄ニ屬スルモ他ノ管轄軍法會議ニ移送スルヲ相當トスルモノナルトキ」ヲ加フ
第四百十八條中「師團軍法會議」ノ上ニ「軍軍法會議又ハ」ヲ加フ
第四百五十九條第二項中「師團軍法會議」ノ上ニ「軍軍法會議若ハ」ヲ加フ
第四百六十五條、第四百八十七條及第四百九十一條中「師團軍法會議」ノ上ニ「軍軍法會議又ハ」ヲ加フ
第五百五十九條中「樺太及關東州」ヲ「樺太、關東州及南洋群島」ニ改ム
第五百六十條中「臺灣及關東州」ヲ「臺灣、關東州及南洋群島」ニ改ム
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
大正十年法律第八十六號、同年法律第八十七號及同年法律第八十八號ハ之ヲ廢止ス
舊法ニ依リ設ケラレタル朝鮮軍軍法會議及臺灣軍軍法會議ハ之ヲ第九條第一項ノ改正規定ニ依ル軍軍法會議トス
本法施行ノ際現ニ存スル特設軍法會議ハ之ヲ第九條第三項ノ改正規定ニ依ル臨時軍法會議トス
本法ハ本法施行前ニ生ジタル事件ニ亦之ヲ適用ス
本法施行前管轄權ヲ有スル事件ニ付公訴ノ提起アリタルトキハ本法ニ依リ管轄權ヲ有セザルトキト雖モ其ノ軍法會議之ヲ審判ス
本法施行ノ際現ニ公判中ノ事件ニ付テハ裁判官タル判士ノ區別ハ仍從前ノ例ニ依ル
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル陸軍軍法会議法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年二月二十七日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
陸軍大臣 東条英機
法律第八号
陸軍軍法会議法中左ノ通改正ス
第八条 軍法会議ヲ設クルコト左ノ如シ
一 高等軍法会議
二 軍軍法会議
三 師団軍法会議
四 合囲地軍法会議
五 臨時軍法会議
第九条 高等軍法会議、軍軍法会議及師団軍法会議ハ之ヲ常設ス
合囲地軍法会議ハ戒厳ノ宣告アリタルトキ合囲地境ニ之ヲ特設ス
臨時軍法会議ハ戦時事変ニ際シ編成シタル陸軍ノ部隊ニ必要ニ因リ之ヲ特設ス
第十条第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
軍軍法会議ハ軍司令官ヲ以テ長官トス
第十一条第一号中「将官相当官、」ヲ削ル
第十二条 軍軍法会議ハ左ノ事件ニ付管轄権ヲ有ス
一 軍司令官ノ部下ニ属スル者及監督ヲ受クル者ニ対スル被告事件但シ師団長ノ部下ニ属スル者及監督ヲ受クル者ニ対スル被告事件ヲ除ク
二 軍管区内ニ在ル陸軍ノ部隊ニ属スル者及其ノ部隊ノ長ノ監督ヲ受クル者ニ対スル被告事件但シ其ノ部隊ニ軍法会議ヲ設ケサル場合ニ限ル
三 軍管区内ニ在リ又ハ軍管区内ニ於テ罪ヲ犯シタル第一条乃至第三条記載ノ者ニ対スル被告事件但シ被告人ノ所属部隊ノ軍法会議軍管区内ニ在ラサル場合ニ限ル
第十三条 師団軍法会議ハ師団長ノ部下ニ属スル者及監督ヲ受クル者ニ対スル被告事件ニ付管轄権ヲ有ス
師団軍法会議ハ前項ノ外左ノ事件ヲ管轄スルコトヲ得
一 師管内ニ在ル陸軍ノ部隊ニ属スル者及其ノ部隊ノ長ノ監督ヲ受クル者ニ対スル被告事件但シ其ノ部隊ニ軍法会議ヲ設ケサル場合ニ限ル
二 師管内ニ在リ又ハ師管内ニ於テ罪ヲ犯シタル第一条乃至第三条記載ノ者ニ対スル被告事件但シ被告人ノ所属部隊ノ軍法会議師管内ニ在ラサル場合ニ限ル
第十四条 削除
第十六条 臨時軍法会議ハ左ノ事件ニ付管轄権ヲ有ス
一 臨時軍法会議ノ設置セラレタル部隊ノ長ノ部下ニ属スル者及監督ヲ受クル者ニ対スル被告事件但シ其ノ隷下部隊ニ軍法会議ヲ設ケタル場合ハ当該部隊ノ長ノ部下ニ属スル者及監督ヲ受クル者ニ対スル被告事件ヲ除ク
二 臨時軍法会議ノ設置セラレタル部隊ノ作戦地域、管轄地域若ハ守備地域ニ在リ又ハ此等ノ地域ニ於テ罪ヲ犯シタル第一条乃至第三条記載ノ者ニ対スル被告事件但シ被告人ノ所属部隊ノ軍法会議此等ノ地域ニ在ラサル場合ニ限ル
三 臨時軍法会議ノ設置セラレタル部隊ノ作戦地域、管轄地域又ハ守備地域ニ在ル第六条記載ノ者ニ対スル被告事件
第三十二条中「将校」ヲ「兵科将校」ニ改ム
第四十四条中「下士」ヲ「下士官」ニ、「兵卒」ヲ「兵」ニ改ム
第四十七条第三項中「減スルコトヲ得」ノ下ニ「戦時事変ニ際シ高等軍法会議以外ノ常設軍法会議ニ付亦同シ」ヲ加フ
第四十九条 高等軍法会議以外ノ軍法会議ニ於テハ判士四人及法務官一人ヲ以テ裁判官トス
前項ノ判士ハ左ノ区別ニ従フ
一 被告人下士官又ハ兵ナルトキハ佐官一人尉官三人又ハ佐官二人尉官二人
二 被告人尉官又ハ准士官ナルトキハ佐官二人尉官二人
三 被告人佐官ナルトキハ将官一人佐官三人又ハ将官二人佐官二人
四 被告人将官ナルトキハ将官四人
前項ノ判士ハ其ノ官等被告人ヨリ下ルコトヲ得ス
交通断絶シタル地ニ在ル軍法会議ニ於テハ被告人ト同等以上ノ判士ヲ以テ裁判官ト為スコトヲ得
第五十条中「将校」ヲ「兵科将校」ニ改ム
第五十一条第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ判士ハ左ノ区別ニ従フ
一 被告人下士官又ハ兵ナルトキハ佐官二人尉官一人
二 被告人尉官又ハ准士官ナルトキハ佐官三人又ハ将官一人佐官二人
三 被告人佐官ナルトキハ将官二人佐官一人又ハ将官三人
四 被告人将官ナルトキハ将官三人
前項ノ判士ハ其ノ官等被告人ヨリ下ルコトヲ得ス
第五十二条中「少尉」ヲ「尉官」ニ、「下士」ヲ「下士官」ニ改ム
第五十三条中「将校相当官、」ヲ削リ「下士」ヲ「下士官」ニ、「兵卒」ヲ「兵」ニ改ム
第五十四条第一項中「下士」ヲ「下士官」ニ、「兵卒」ヲ「兵」ニ改ム
第六十三条中「将校」ヲ「兵科将校」ニ改ム
第六十五条ニ左ノ一項ヲ加フ
軍司令官ハ隷下部隊ノ軍法会議ノ管轄ニ属スル事件ニ付公訴ヲ指揮監督シ隷下部隊ノ軍法会議ノ管轄ニ属スル事件、之ト牽連スル事件及当該部隊内ノ犯罪事件ニ付捜査ヲ指揮監督ス
第七十条中「将校」ヲ「兵科将校」ニ改ム
第七十三条第一項中「下士」ヲ「下士官」ニ改ム
第七十七条第一項中「憲兵卒」ヲ「憲兵兵」ニ改ム
第八十八条第一号中「又ハ将校相当官」ヲ削ル
第百五十五条第四項中「陸軍下士卒」ヲ「陸軍ノ下士官又ハ兵」ニ改ム
第百五十六条中「陸軍下士卒」ヲ「陸軍ノ下士官若ハ兵」ニ改ム
第百九十七条第二項中「海軍軍令部長」ヲ「軍令部総長」ニ改ム
第百九十八条中「弁護人、」ノ下ニ「弁理士、計理士、」ヲ加フ
第二百二十三条第二項中「下士卒」ヲ「陸軍ノ下士官若ハ兵」ニ改ム
第二百三十五条第二項中「海軍軍令部長」ヲ「軍令部総長」ニ改ム
第二百三十七条中「弁護人、」ノ下ニ「弁理士、計理士、」ヲ加フ
第三百九条第一項及第三百三十一条第一項第三号中「被告事件其ノ軍法会議ノ管轄ニ属セサルモノナルトキ」ノ下ニ「若ハ其ノ軍法会議ノ管轄ニ属スルモ他ノ管轄軍法会議ニ移送スルヲ相当トスルモノナルトキ」ヲ加フ
第四百十八条中「師団軍法会議」ノ上ニ「軍軍法会議又ハ」ヲ加フ
第四百五十九条第二項中「師団軍法会議」ノ上ニ「軍軍法会議若ハ」ヲ加フ
第四百六十五条、第四百八十七条及第四百九十一条中「師団軍法会議」ノ上ニ「軍軍法会議又ハ」ヲ加フ
第五百五十九条中「樺太及関東州」ヲ「樺太、関東州及南洋群島」ニ改ム
第五百六十条中「台湾及関東州」ヲ「台湾、関東州及南洋群島」ニ改ム
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
大正十年法律第八十六号、同年法律第八十七号及同年法律第八十八号ハ之ヲ廃止ス
旧法ニ依リ設ケラレタル朝鮮軍軍法会議及台湾軍軍法会議ハ之ヲ第九条第一項ノ改正規定ニ依ル軍軍法会議トス
本法施行ノ際現ニ存スル特設軍法会議ハ之ヲ第九条第三項ノ改正規定ニ依ル臨時軍法会議トス
本法ハ本法施行前ニ生ジタル事件ニ亦之ヲ適用ス
本法施行前管轄権ヲ有スル事件ニ付公訴ノ提起アリタルトキハ本法ニ依リ管轄権ヲ有セザルトキト雖モ其ノ軍法会議之ヲ審判ス
本法施行ノ際現ニ公判中ノ事件ニ付テハ裁判官タル判士ノ区別ハ仍従前ノ例ニ依ル