軽金属製造事業法
法令番号: 法律第八十八號
公布年月日: 昭和14年5月1日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル輕金屬製造事業法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月二十八日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
海軍大臣 米內光政
內務大臣 侯爵 木戶幸一
陸軍大臣 板垣征四郞
商工大臣 八田嘉明
大藏大臣 石渡莊太郞
法律第八十八號
輕金屬製造事業法
第一條 本法ハ國防ノ整備及產業ノ發達ヲ期スル爲本邦ニ於ケル輕金屬製造事業ノ確立ヲ圖ルコトヲ目的トス
第二條 本法ニ於テ輕金屬製造事業ト稱スルハアルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ製造ヲ爲ス事業ヲ謂フ
第三條 輕金屬製造事業ヲ營マントスル者ハ政府ノ許可ヲ受クベシ但シ命令ヲ以テ定ムル輕金屬製造事業ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
本法ニ定ムルモノノ外前項ノ許可ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條 前條ノ許可ヲ受クルコトヲ得ベキ者ハ帝國法令ニ依リ設立シタル株式會社ニシテ其ノ株主ノ半數以上、取締役ノ半數以上、資本ノ半額以上及議決權ノ過半數ガ帝國臣民又ハ帝國法令ニ依リ設立シタル法人ニ屬スルモノニ限ル
前項ノ法人ハ其ノ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人又ハ外國法人ニ屬セザルモノナルコトヲ要ス
前條ノ許可ヲ受ケタル者前二項ノ規定ニ該當セザルニ至リタルトキハ許可ハ其ノ效力ヲ失フ
第五條 第三條ノ許可ヲ受ケタル會社(輕金屬製造會社)ハ政府ノ指定スル期間內ニ其ノ事業ヲ開始スベシ
政府ハ正當ノ事由アリト認ムル場合ニ限リ前項ノ期間ノ延長ヲ許可スルコトヲ得
輕金屬製造會社前二項ノ期間內ニ其ノ事業ヲ開始セザルトキハ第三條ノ許可ハ其ノ效力ヲ失フ
第六條 輕金屬製造會社其ノ設備ヲ增設シ又ハ變更セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
第七條 輕金屬製造會社政府ノ認可ヲ受ケ本法施行後五年以內ニ於テ政府ノ指定スル期間內ニ命令ノ定ムル規模以上ノ設備ヲ新設シ又ハ增設シタルトキハ設備完成ノ年及其ノ翌年ヨリ五年間其ノ新設シ又ハ增設シタル設備ヲ以テ營ム輕金屬製造事業ニ付所得稅及營業收益稅ヲ免除ス
前項ノ輕金屬製造會社其ノ設備完成前其ノ一部ヲ以テ輕金屬製造事業ヲ營ム場合ニ於テモ其ノ事業ニ付所得稅及營業收益稅ヲ免除ス但シ前項ノ規定ニ依ル期間內ニ設備ヲ完成セザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第八條 北海道、府縣及市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ前條ノ規定ニ依リ所得稅及營業收益稅ヲ免除セラレタル輕金屬製造會社ニハ其ノ免除セラレタル事業ニ對シ課稅スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ基キ政府ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第九條 第七條ノ規定ニ依リ所得稅及營業收益稅ノ免除ヲ受クベキ事業ヲ繼續スル者又ハ其ノ事業ヲ繼續スルモノト認ムベキ事實アル者ハ前事業者ガ第七條ノ規定ニ依ル所得稅及營業收益稅免除期間內ニ在ルトキハ其ノ期間ヲ承繼ス
第十條 輕金屬製造會社其ノ事業ノ爲必要ナル器具又ハ機械ヲ政府ノ認可ヲ受ケ輸入スルトキハ本法施行ノ日ヨリ五年間命令ノ定ムル所ニ依リ輸入稅ヲ免除ス
第十一條 輕金屬製造會社ノ營ム輕金屬製造事業ハ土地收用法第二條ノ土地ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得ル事業トシ同法ヲ適用ス
第十二條 輕金屬製造會社ハ事業擴張ノ場合ニ於テ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ事業ニ屬スル設備ノ費用ニ充ツル爲株金全額拂込前ト雖モ其ノ資本ヲ增加スルコトヲ得
第十三條 輕金屬製造會社ハ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ事業ニ屬スル設備ノ費用ニ充ツル爲商法ニ規定スル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ總額ハ拂込ミタル株金額ノ二倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
最終ノ貸借對照表ニ依リ會社ニ現存スル財產ガ拂込ミタル株金額ニ滿タザルトキハ前項ノ規定ヲ適用セズ
第一項ノ規定ニ依リ募集スル社債ニ付テハ工場抵當法ニ依リ會社ノ事業ニ屬スルモノヲ抵當ト爲スコトヲ要ス但シ特別ノ事情アル場合ニ於テ政府其ノ必要ナシト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十四條 輕金屬製造會社其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
輕金屬製造會社ノ合併又ハ解散ノ決議ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十五條 輕金屬製造會社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ事業計畫ヲ定メ政府ニ之ヲ屆出ヅベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
政府必要アリト認ムルトキハ事業計畫ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第十六條 政府ハ輕金屬製造會社ニ對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシムルコトヲ得
政府ハ輕金屬製造會社ニ對シ業務及會計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
政府監督上必要アリト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ輕金屬製造會社ノ事務所、營業所、工場、倉庫其ノ他ノ場所ニ臨檢シ業務若ハ財產ノ狀況又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十七條 政府公益上必要アリト認ムルトキハ輕金屬製造會社ニ對シアルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ製造又ハ販賣ニ關シアルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ需給ノ圓滑又ハ價格ノ公正ヲ圖ル爲必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十八條 政府軍事上其ノ他公益上必要アリト認ムルトキハ輕金屬製造會社ニ對シ其ノ設備ノ擴張若ハ改良又ハ製造方法ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第十九條 政府軍事上必要アリト認ムルトキハ輕金屬製造會社ニ對シ命令ヲ以テ定ムルアルミニウム、アルミナ若ハマグネシウムノ原料若ハ其ノ製造ニ必要ナル材料ノ貯藏又ハアルミニウム、アルミナ若ハマグネシウムノ製造ニ關スル特殊事項ノ硏究ヲ命ズルコトヲ得
第二十條 第十八條又ハ前條ノ規定ニ依リ爲シタル命令ニ因リ生ジタル損失ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ補償ス
前項ノ補償ヲ伴フベキ命令ハ之ニ因リ要スベキ補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第二十一條 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ指定スル原料又ハ製造方法ニ依ルアルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ製造ニ關スル硏究又ハ試驗ヲ爲ス者ニ對シ豫算ノ範圍內ニ於テ奬勵金ヲ交付スルコトヲ得
第二十二條 政府アルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ需給ノ圓滑及價格ノ公正ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ適當ト認ムル會社ニ對シ左ノ各號ニ揭グル事業ノ全部又ハ一部ヲ行フベキコトヲ命ズルコトヲ得
一 アルミニウム又ハマグネシウムノ買入、販賣、輸出、輸入、移出及移入
二 アルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ原料及其ノ製造ニ必要ナル材料ノ買入、販賣、輸出、輸入、移出及移入
三 其ノ他アルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ需給ノ圓滑及價格ノ公正ヲ圖ル爲必要ナル事業
第二十三條 前條ノ規定ニ依ル命令ヲ受クルコトヲ得ベキ會社ハ帝國法令ニ依リ設立シタル株式會社ニシテ其ノ株式ヲ記名式トシ株主ノ全部ガ政府、公共團體、帝國臣民又ハ帝國法令ニ依リ設立シタル法人ニ屬シ且其ノ資本ノ三分ノ二以上及議決權ノ三分ノ二以上ガ二以上ノ輕金屬製造會社ニ屬スルモノニ限ル
前項ノ法人ハ其ノ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人又ハ外國法人ニ屬セザルモノナルコトヲ要ス
前條ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者前二項ノ規定ニ該當セザルニ至リタルトキハ政府ハ其ノ命令ヲ取消スコトヲ得
第二十四條 第二十二條ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル會社(受命會社)其ノ命ゼラレタル事業以外ノ事業ヲ行ハントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
第二十五條 政府ハアルミニウム又ハマグネシウムノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造、輸入又ハ移入ニ係ルアルミニウム又ハマグネシウムヲ受命會社ニ賣渡スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十六條 受命會社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受ケタル價格ニ依ルニ非ザレバアルミニウム又ハマグネシウムノ買入、販賣、輸出、輸入、移出又ハ移入ヲ爲スコトヲ得ズ
第二十七條 受命會社ノ取締役及監査役ノ選任及解任、定款ノ變更、利益金ノ處分、社債ノ募集、合併竝ニ解散ノ決議ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十八條 受命會社借入金ヲ爲サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
第二十九條 受命會社ハ其ノ命ゼラレタル事業ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ業務規程ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
政府必要アリト認ムルトキハ業務規程ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第三十條 受命會社ハ其ノ命ゼラレタル事業ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ事業計畫ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
政府必要アリト認ムルトキハ事業計畫ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第三十一條 政府ハ受命會社ニ對シ其ノ命ゼラレタル事業ノ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシムルコトヲ得
政府ハ受命會社ニ對シ其ノ命ゼラレタル事業ノ業務及會計ニ關シ監督上必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
政府監督上必要アリト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ受命會社ノ事務所、營業所、倉庫其ノ他ノ場所ニ臨檢シ其ノ命ゼラレタル事業ニ關シ業務若ハ財產ノ狀況又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第三十二條 政府軍事上其ノ他公益上必要アリト認ムルトキハ受命會社ニ對シ販賣先及販賣數量ノ指定其ノ他アルミニウム又ハマグネシウムノ配給ニ關シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十三條 政府ハ輕金屬製造會社及受命會社ヲ除クノ外アルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ製造、輸入又ハ移入ヲ爲ス者ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ業務又ハ設備ノ狀況ニ關シ必要ナル事項ヲ屆出デシムルコトヲ得
第三十四條 政府第三條ノ許可、第六條ノ許可、第十七條ノ命令、第十八條ノ規定ニ依ル命令、第二十條ノ規定ニ依ル補償金額ノ決定又ハ第二十二條ノ規定ニ依ル命令ヲ爲サントスルトキハ勅令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外輕金屬製造事業委員會ノ議ヲ經ベシ
輕金屬製造事業委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十五條 輕金屬製造會社本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキハ政府ハ其ノ業務ヲ停止シ若ハ制限シ、第三條ノ許可ヲ取消シ又ハ取締役若ハ其ノ職務ヲ行フ監査役ノ解任ヲ爲スコトヲ得
受命會社本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキハ政府ハ第二十二條ノ規定ニ依ル命令ヲ取消シ又ハ取締役若ハ其ノ職務ヲ行フ監査役ノ解任ヲ爲スコトヲ得
第三十六條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第三條ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ輕金屬製造事業ヲ營ミタル者
二 第二十二條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者
第三十七條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第六條ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ設備ヲ增設シ又ハ變更シタル者
二 第十四條第一項ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ事業ノ全部又ハ一部ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止シタル者
三 第十五條第一項ノ規定ニ違反シテ事業計畫ノ屆出ヲ爲サズ又ハ屆出デタル事業計畫ヲ實施セザル者
四 第十五條第二項ノ規定ニ依ル變更命令ニ違反シ事業計畫ヲ變更セズシテ之ヲ實施シタル者
五 第十七條乃至第十九條、第二十五條又ハ第三十二條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者
六 第二十四條ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ其ノ命ゼラレタル事業以外ノ事業ヲ行ヒタル者
七 第二十六條ノ規定ニ違反シ認可ヲ受ケタル價格ニ依ラズシテアルミニウム又ハマグネシウムノ買入、販賣、輸出、輸入、移出又ハ移入ヲ爲シタル者
八 第二十八條ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ借入金ヲ爲シタル者
九 第二十九條第一項ノ規定ニ依リ認可ヲ受ケタル業務規程ニ依ラズシテ業務ヲ行ヒタル者
十 第二十九條第二項ノ規定ニ依ル變更命令ニ違反シ業務規程ヲ變更セズシテ之ヲ實施シタル者
十一 第三十條第一項ノ規定ニ依リ認可ヲ受ケタル事業計畫ニ依ラズシテ事業ヲ行ヒタル者
十二 第三十條第二項ノ規定ニ依ル變更命令ニ違反シ事業計畫ヲ變更セズシテ之ヲ實施シタル者
第三十八條 第十六條第二項又ハ第三十一條第二項ノ規定ニ依ル命令又ハ處分ニ違反シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第十六條第一項又ハ第三十一條第一項ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者
二 第十六條第三項又ハ第三十一條第三項ノ規定ニ依ル當該官吏ノ臨檢檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者
第四十條 當該官吏又ハ其ノ職ニ在リタル者本法ニ依ル職務執行ニ關シ知得シタル個人又ハ法人ノ業務上ノ祕密ヲ漏洩シ又ハ竊用シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第四十一條 營業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ第三十六條乃至第三十八條又ハ第三十九條第一號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第四十二條 第三十六條乃至第三十八條及第三十九條第一號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十三條 第三十三條ノ規定ニ依ル屆出ヲ怠リ又ハ不正ノ屆出ヲ爲シタル者ハ百圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ第三條ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベキ輕金屬製造事業ヲ營ム者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ之ヲ同條ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
前項ノ者ニシテ本法施行ノ際現ニ第六條ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベキ設備ノ增設又ハ變更ノ工事中ニ在ルモノハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ之ヲ同條ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
第三條ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベキ輕金屬製造事業ヲ營ム爲本法施行ノ際現ニ其ノ設備ノ建設工事中ニ在ル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ之ヲ同條ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
前二項ノ規定ニ該當スル者ノ當該設備ニ關シテハ第七條及第八條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル軽金属製造事業法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月二十八日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
海軍大臣 米内光政
内務大臣 侯爵 木戸幸一
陸軍大臣 板垣征四郎
商工大臣 八田嘉明
大蔵大臣 石渡荘太郎
法律第八十八号
軽金属製造事業法
第一条 本法ハ国防ノ整備及産業ノ発達ヲ期スル為本邦ニ於ケル軽金属製造事業ノ確立ヲ図ルコトヲ目的トス
第二条 本法ニ於テ軽金属製造事業ト称スルハアルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ製造ヲ為ス事業ヲ謂フ
第三条 軽金属製造事業ヲ営マントスル者ハ政府ノ許可ヲ受クベシ但シ命令ヲ以テ定ムル軽金属製造事業ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
本法ニ定ムルモノノ外前項ノ許可ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四条 前条ノ許可ヲ受クルコトヲ得ベキ者ハ帝国法令ニ依リ設立シタル株式会社ニシテ其ノ株主ノ半数以上、取締役ノ半数以上、資本ノ半額以上及議決権ノ過半数ガ帝国臣民又ハ帝国法令ニ依リ設立シタル法人ニ属スルモノニ限ル
前項ノ法人ハ其ノ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決権ノ過半数ガ外国人又ハ外国法人ニ属セザルモノナルコトヲ要ス
前条ノ許可ヲ受ケタル者前二項ノ規定ニ該当セザルニ至リタルトキハ許可ハ其ノ効力ヲ失フ
第五条 第三条ノ許可ヲ受ケタル会社(軽金属製造会社)ハ政府ノ指定スル期間内ニ其ノ事業ヲ開始スベシ
政府ハ正当ノ事由アリト認ムル場合ニ限リ前項ノ期間ノ延長ヲ許可スルコトヲ得
軽金属製造会社前二項ノ期間内ニ其ノ事業ヲ開始セザルトキハ第三条ノ許可ハ其ノ効力ヲ失フ
第六条 軽金属製造会社其ノ設備ヲ増設シ又ハ変更セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
第七条 軽金属製造会社政府ノ認可ヲ受ケ本法施行後五年以内ニ於テ政府ノ指定スル期間内ニ命令ノ定ムル規模以上ノ設備ヲ新設シ又ハ増設シタルトキハ設備完成ノ年及其ノ翌年ヨリ五年間其ノ新設シ又ハ増設シタル設備ヲ以テ営ム軽金属製造事業ニ付所得税及営業収益税ヲ免除ス
前項ノ軽金属製造会社其ノ設備完成前其ノ一部ヲ以テ軽金属製造事業ヲ営ム場合ニ於テモ其ノ事業ニ付所得税及営業収益税ヲ免除ス但シ前項ノ規定ニ依ル期間内ニ設備ヲ完成セザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第八条 北海道、府県及市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ前条ノ規定ニ依リ所得税及営業収益税ヲ免除セラレタル軽金属製造会社ニハ其ノ免除セラレタル事業ニ対シ課税スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ基キ政府ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第九条 第七条ノ規定ニ依リ所得税及営業収益税ノ免除ヲ受クベキ事業ヲ継続スル者又ハ其ノ事業ヲ継続スルモノト認ムベキ事実アル者ハ前事業者ガ第七条ノ規定ニ依ル所得税及営業収益税免除期間内ニ在ルトキハ其ノ期間ヲ承継ス
第十条 軽金属製造会社其ノ事業ノ為必要ナル器具又ハ機械ヲ政府ノ認可ヲ受ケ輸入スルトキハ本法施行ノ日ヨリ五年間命令ノ定ムル所ニ依リ輸入税ヲ免除ス
第十一条 軽金属製造会社ノ営ム軽金属製造事業ハ土地収用法第二条ノ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル事業トシ同法ヲ適用ス
第十二条 軽金属製造会社ハ事業拡張ノ場合ニ於テ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ事業ニ属スル設備ノ費用ニ充ツル為株金全額払込前ト雖モ其ノ資本ヲ増加スルコトヲ得
第十三条 軽金属製造会社ハ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ事業ニ属スル設備ノ費用ニ充ツル為商法ニ規定スル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ総額ハ払込ミタル株金額ノ二倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
最終ノ貸借対照表ニ依リ会社ニ現存スル財産ガ払込ミタル株金額ニ満タザルトキハ前項ノ規定ヲ適用セズ
第一項ノ規定ニ依リ募集スル社債ニ付テハ工場抵当法ニ依リ会社ノ事業ニ属スルモノヲ抵当ト為スコトヲ要ス但シ特別ノ事情アル場合ニ於テ政府其ノ必要ナシト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十四条 軽金属製造会社其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ譲渡シ、廃止シ又ハ休止セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
軽金属製造会社ノ合併又ハ解散ノ決議ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第十五条 軽金属製造会社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ事業計画ヲ定メ政府ニ之ヲ届出ヅベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
政府必要アリト認ムルトキハ事業計画ノ変更ヲ命ズルコトヲ得
第十六条 政府ハ軽金属製造会社ニ対シ業務及財産ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシムルコトヲ得
政府ハ軽金属製造会社ニ対シ業務及会計ニ関シ監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
政府監督上必要アリト認ムルトキハ当該官吏ヲシテ軽金属製造会社ノ事務所、営業所、工場、倉庫其ノ他ノ場所ニ臨検シ業務若ハ財産ノ状況又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第十七条 政府公益上必要アリト認ムルトキハ軽金属製造会社ニ対シアルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ製造又ハ販売ニ関シアルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ需給ノ円滑又ハ価格ノ公正ヲ図ル為必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第十八条 政府軍事上其ノ他公益上必要アリト認ムルトキハ軽金属製造会社ニ対シ其ノ設備ノ拡張若ハ改良又ハ製造方法ノ変更ヲ命ズルコトヲ得
第十九条 政府軍事上必要アリト認ムルトキハ軽金属製造会社ニ対シ命令ヲ以テ定ムルアルミニウム、アルミナ若ハマグネシウムノ原料若ハ其ノ製造ニ必要ナル材料ノ貯蔵又ハアルミニウム、アルミナ若ハマグネシウムノ製造ニ関スル特殊事項ノ研究ヲ命ズルコトヲ得
第二十条 第十八条又ハ前条ノ規定ニ依リ為シタル命令ニ因リ生ジタル損失ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ補償ス
前項ノ補償ヲ伴フベキ命令ハ之ニ因リ要スベキ補償金ノ総額ガ帝国議会ノ協賛ヲ経タル金額ヲ超エザル範囲内ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
第二十一条 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ指定スル原料又ハ製造方法ニ依ルアルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ製造ニ関スル研究又ハ試験ヲ為ス者ニ対シ予算ノ範囲内ニ於テ奨励金ヲ交付スルコトヲ得
第二十二条 政府アルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ需給ノ円滑及価格ノ公正ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ適当ト認ムル会社ニ対シ左ノ各号ニ掲グル事業ノ全部又ハ一部ヲ行フベキコトヲ命ズルコトヲ得
一 アルミニウム又ハマグネシウムノ買入、販売、輸出、輸入、移出及移入
二 アルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ原料及其ノ製造ニ必要ナル材料ノ買入、販売、輸出、輸入、移出及移入
三 其ノ他アルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ需給ノ円滑及価格ノ公正ヲ図ル為必要ナル事業
第二十三条 前条ノ規定ニ依ル命令ヲ受クルコトヲ得ベキ会社ハ帝国法令ニ依リ設立シタル株式会社ニシテ其ノ株式ヲ記名式トシ株主ノ全部ガ政府、公共団体、帝国臣民又ハ帝国法令ニ依リ設立シタル法人ニ属シ且其ノ資本ノ三分ノ二以上及議決権ノ三分ノ二以上ガ二以上ノ軽金属製造会社ニ属スルモノニ限ル
前項ノ法人ハ其ノ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決権ノ過半数ガ外国人又ハ外国法人ニ属セザルモノナルコトヲ要ス
前条ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者前二項ノ規定ニ該当セザルニ至リタルトキハ政府ハ其ノ命令ヲ取消スコトヲ得
第二十四条 第二十二条ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル会社(受命会社)其ノ命ゼラレタル事業以外ノ事業ヲ行ハントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
第二十五条 政府ハアルミニウム又ハマグネシウムノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者ニ対シ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造、輸入又ハ移入ニ係ルアルミニウム又ハマグネシウムヲ受命会社ニ売渡スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十六条 受命会社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受ケタル価格ニ依ルニ非ザレバアルミニウム又ハマグネシウムノ買入、販売、輸出、輸入、移出又ハ移入ヲ為スコトヲ得ズ
第二十七条 受命会社ノ取締役及監査役ノ選任及解任、定款ノ変更、利益金ノ処分、社債ノ募集、合併並ニ解散ノ決議ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第二十八条 受命会社借入金ヲ為サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
第二十九条 受命会社ハ其ノ命ゼラレタル事業ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ業務規程ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
政府必要アリト認ムルトキハ業務規程ノ変更ヲ命ズルコトヲ得
第三十条 受命会社ハ其ノ命ゼラレタル事業ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ事業計画ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
政府必要アリト認ムルトキハ事業計画ノ変更ヲ命ズルコトヲ得
第三十一条 政府ハ受命会社ニ対シ其ノ命ゼラレタル事業ノ業務及財産ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシムルコトヲ得
政府ハ受命会社ニ対シ其ノ命ゼラレタル事業ノ業務及会計ニ関シ監督上必要ナル命令又ハ処分ヲ為スコトヲ得
政府監督上必要アリト認ムルトキハ当該官吏ヲシテ受命会社ノ事務所、営業所、倉庫其ノ他ノ場所ニ臨検シ其ノ命ゼラレタル事業ニ関シ業務若ハ財産ノ状況又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第三十二条 政府軍事上其ノ他公益上必要アリト認ムルトキハ受命会社ニ対シ販売先及販売数量ノ指定其ノ他アルミニウム又ハマグネシウムノ配給ニ関シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十三条 政府ハ軽金属製造会社及受命会社ヲ除クノ外アルミニウム、アルミナ又ハマグネシウムノ製造、輸入又ハ移入ヲ為ス者ニ対シ命令ノ定ムル所ニ依リ業務又ハ設備ノ状況ニ関シ必要ナル事項ヲ届出デシムルコトヲ得
第三十四条 政府第三条ノ許可、第六条ノ許可、第十七条ノ命令、第十八条ノ規定ニ依ル命令、第二十条ノ規定ニ依ル補償金額ノ決定又ハ第二十二条ノ規定ニ依ル命令ヲ為サントスルトキハ勅令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外軽金属製造事業委員会ノ議ヲ経ベシ
軽金属製造事業委員会ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十五条 軽金属製造会社本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行為ヲ為シタルトキハ政府ハ其ノ業務ヲ停止シ若ハ制限シ、第三条ノ許可ヲ取消シ又ハ取締役若ハ其ノ職務ヲ行フ監査役ノ解任ヲ為スコトヲ得
受命会社本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行為ヲ為シタルトキハ政府ハ第二十二条ノ規定ニ依ル命令ヲ取消シ又ハ取締役若ハ其ノ職務ヲ行フ監査役ノ解任ヲ為スコトヲ得
第三十六条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第三条ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ軽金属製造事業ヲ営ミタル者
二 第二十二条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者
第三十七条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第六条ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ設備ヲ増設シ又ハ変更シタル者
二 第十四条第一項ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ事業ノ全部又ハ一部ヲ譲渡シ、廃止シ又ハ休止シタル者
三 第十五条第一項ノ規定ニ違反シテ事業計画ノ届出ヲ為サズ又ハ届出デタル事業計画ヲ実施セザル者
四 第十五条第二項ノ規定ニ依ル変更命令ニ違反シ事業計画ヲ変更セズシテ之ヲ実施シタル者
五 第十七条乃至第十九条、第二十五条又ハ第三十二条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者
六 第二十四条ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ其ノ命ゼラレタル事業以外ノ事業ヲ行ヒタル者
七 第二十六条ノ規定ニ違反シ認可ヲ受ケタル価格ニ依ラズシテアルミニウム又ハマグネシウムノ買入、販売、輸出、輸入、移出又ハ移入ヲ為シタル者
八 第二十八条ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ借入金ヲ為シタル者
九 第二十九条第一項ノ規定ニ依リ認可ヲ受ケタル業務規程ニ依ラズシテ業務ヲ行ヒタル者
十 第二十九条第二項ノ規定ニ依ル変更命令ニ違反シ業務規程ヲ変更セズシテ之ヲ実施シタル者
十一 第三十条第一項ノ規定ニ依リ認可ヲ受ケタル事業計画ニ依ラズシテ事業ヲ行ヒタル者
十二 第三十条第二項ノ規定ニ依ル変更命令ニ違反シ事業計画ヲ変更セズシテ之ヲ実施シタル者
第三十八条 第十六条第二項又ハ第三十一条第二項ノ規定ニ依ル命令又ハ処分ニ違反シタル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第三十九条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
一 第十六条第一項又ハ第三十一条第一項ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ又ハ虚偽ノ報告ヲ為シタル者
二 第十六条第三項又ハ第三十一条第三項ノ規定ニ依ル当該官吏ノ臨検検査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ質問ニ対シ答弁ヲ為サズ若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シタル者
第四十条 当該官吏又ハ其ノ職ニ在リタル者本法ニ依ル職務執行ニ関シ知得シタル個人又ハ法人ノ業務上ノ秘密ヲ漏洩シ又ハ窃用シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第四十一条 営業者ハ其ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ業務ニ関シ第三十六条乃至第三十八条又ハ第三十九条第一号ノ違反行為ヲ為シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第四十二条 第三十六条乃至第三十八条及第三十九条第一号ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十三条 第三十三条ノ規定ニ依ル届出ヲ怠リ又ハ不正ノ届出ヲ為シタル者ハ百円以下ノ過料ニ処ス
非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ第三条ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベキ軽金属製造事業ヲ営ム者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ之ヲ同条ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
前項ノ者ニシテ本法施行ノ際現ニ第六条ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベキ設備ノ増設又ハ変更ノ工事中ニ在ルモノハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ之ヲ同条ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
第三条ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベキ軽金属製造事業ヲ営ム為本法施行ノ際現ニ其ノ設備ノ建設工事中ニ在ル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ之ヲ同条ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
前二項ノ規定ニ該当スル者ノ当該設備ニ関シテハ第七条及第八条ノ規定ハ之ヲ適用セズ