第一條 本法ハ牛乳ノ需給ノ圓滑及取引ノ公正ヲ圖リ竝ニ牛乳ノ生產業及乳製品ノ製造業ヲ調整シ以テ畜產ノ健全ナル發達ヲ期スルコトヲ目的トス
第二條 行政官廳ノ指定スル地域內ニ於テ牛乳ノ生產ヲ業トスル者ノ組織スル法人ニシテ勅令ヲ以テ定ムルモノ牛乳ノ販賣ニ關スル施設ヲ行フ場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ニ屆出ヲ爲スベシ
第三條 行政官廳牛乳ノ取引上ノ弊害ヲ豫防シ又ハ矯正スル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ前條ノ法人ニ對シ牛乳ノ販賣ノ統制ニ關スル決定ヲ爲スベキコトヲ命ジ又ハ同條ノ地域內ニ於テ牛乳ノ生產ヲ業トスル者ニ對シ同條ノ法人ノ統制ニ關スル決定ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第四條 牛乳ノ販賣ヲ業トシ又ハ乳製品ノ製造事業ヲ爲ス者行政官廳ノ指定スル地域內ニ於テ牛乳ノ生產ヲ業トスル者又ハ其ノ組織スル法人ト繼續シテ牛乳ノ取引ヲ爲サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ價格、數量其ノ他牛乳ノ取引ニ關スル事項ニ付行政官廳ノ許可ヲ受クベシ
行政官廳牛乳ノ取引上ノ弊害ヲ豫防シ又ハ矯正スル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ前項ノ取引ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第五條 勅令ヲ以テ定ムル乳製品ノ製造事業(製酪業)ヲ爲サントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ工場ノ位置、製品ノ種類及數量其ノ他其ノ事業ニ關スル事項ニ付行政官廳ノ許可ヲ受クベシ
第六條 前條ノ許可ヲ受ケタル者(製酪業者)ハ製酪業ノ改良發達及統制ヲ圖ル爲製酪業者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ行政官廳ノ認可ヲ受ケ製酪業組合ヲ設立スルコトヲ得
第七條 製酪業者製酪業組合ヲ設立セザル場合ニ於テ行政官廳特ニ必要アリト認ムルトキハ製酪業者ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ製酪業組合ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル者ハ前條ノ規定ニ從ヒ其ノ設立ニ付行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
製酪業組合ハ營利ヲ目的トシテ其ノ事業ヲ營ムコトヲ得ズ
製酪業組合前項第一號ノ事業ヲ行フ場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
製酪業組合ノ設立アリタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ登記シタル事項中ニ變更ヲ生ジタルトキ亦同ジ
製酪業組合ノ設立又ハ登記シタル事項ノ變更ハ其ノ登記ヲ爲スニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第十二條 製酪業組合ノ設立アリタルトキハ製酪業者ハ其ノ組合ノ組合員トス
第十三條 製酪業組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合員ニ對シ經費ヲ分賦シ及過怠金ヲ課スルコトヲ得
第十四條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ製酪業組合ノ組合員ニ對シ第十條第一項第一號ノ統制ニ關スル組合ノ決定ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十五條 行政官廳ハ製酪業組合又ハ其ノ組合員ニ對シ其ノ業務ニ關シ報吿ヲ爲サシメ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
行政官廳監督上必要アリト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ製酪業組合又ハ其ノ組合員ノ事務所、工場其ノ他ノ場所ニ臨檢シ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十六條 製酪業組合ノ決議又ハ組合ノ役員ノ行爲ガ法令、定款若ハ行政官廳ノ處分ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ行政官廳ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
第十七條 本法ニ規定スルモノヲ除クノ外製酪業組合ノ設立、登記、管理、解散、淸算其ノ他組合ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條 行政官廳ハ第四條第一項又ハ第五條ノ許可ヲ受ケタル者ニ對シ許可ヲ受ケタル事項ニ關シ必要ナル報吿ヲ爲サシムルコトヲ得
行政官廳監督上必要アリト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ前項ニ規定スル者ノ事務所、工場其ノ他ノ場所ニ臨檢シ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十九條 第五條ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズ又ハ許可ヲ受ケタル事項ニ依ラズシテ製酪業ヲ爲シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
二 第四條第一項ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズ又ハ許可ヲ受ケタル事項ニ依ラズシテ取引ヲ爲シタル者
第二十一條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第十五條第一項又ハ第十八條第一項ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者
二 第十五條第一項ノ規定ニ依ル命令又ハ處分ニ違反シタル者
三 第十五條第二項又ハ第十八條第二項ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
第二十二條 法人又ハ人ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第十九條、第二十條又ハ第二十一條第一號若ハ第二號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第二十三條 第十九條、第二十條竝ニ第二十一條第一號及第二號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十四條 左ノ場合ニ於テハ法人ノ理事其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ヲ三百圓以下ノ過料ニ處ス
一 第二條ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ屆出ヲ爲シタルトキ
二 第十六條第三號ノ規定ニ依ル處分ニ違反シ事業ヲ停止セザルトキ
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス