農地調整法施行令
法令番号: 勅令第五百二十六號
公布年月日: 昭和13年7月29日
法令の形式: 勅令
朕農地調整法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年七月二十八日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
司法大臣 鹽野季彥
農林大臣 伯爵 有馬賴寧
內務大臣 末次信正
大藏大臣 池田成彬
勅令第五百二十六號
農地調整法施行令
第一條 農地調整法第四條ノ事業ヲ行フ團體ハ道府縣及市町村ノ外產業組合及農事實行組合トス
第二條 農地調整法第四條ノ自作農創設維持ノ事業トハ同條ノ團體ガ命令ノ定ムル所ニ依リ行フ左ノ事業ヲ謂フ
一 個人ノ自作地ト爲スベキ土地ノ購入ニ必要ナル資金ヲ貸付ケ自作地ノ創設ヲ爲スコト
二 個人ノ自作地トシテ土地ヲ購入シタルニ因リ生ジタル債務ノ借替ニ必要ナル資金ヲ貸付ケ自作地ノ維持ヲ爲スコト
三 個人ノ自作地ト爲ス爲ノ未墾地ノ購入若ハ開墾ニ必要ナル資金ヲ貸付ケ又ハ其ノ開墾ニ對シ助成ヲ爲シ自作地ノ創設ヲ爲スコト
四 自作地ト爲スベキ土地ヲ購入シ、自作地ト爲ス爲未墾地ヲ購入シテ開發シ又ハ自作地ト爲ス爲其ノ所有スル未墾地ヲ開發シ之ヲ資金ノ貸付又ハ代金割賦支拂ノ方法ニ依リ讓渡シ自作地ノ創設ヲ爲スコト
五 其ノ所有スル土地ヲ代金割賦支拂ノ方法ニ依リ讓渡シ自作地ノ創設ヲ爲スコト
第三條 農地調整法第六條ノ自作農創設維持ノ事業トハ道府縣、市町村、產業組合又ハ農事實行組合ガ直接又ハ間接ニ政府ノ資金ノ融通又ハ補助若ハ助成ヲ受ケ命令ノ定ムル所ニ依リ行フ前條第一號乃至第四號ノ事業及同法第四條第二項ノ規定ニ依リ土地又ハ其ノ使用收益ノ權利ヲ取得シテ行フ前條ノ事業ヲ謂フ
第四條 農地調整法第六條ノ事業ニ依リ創設又ハ維持セラレタル自作地ノ所有者左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ同條ノ規定ニ依ル行政官廳ノ認可ヲ受クルコトヲ要セズ
一 自作地ノ創設又ハ維持セラレタル年ヨリ起算シ三十年ヲ經過シ且其ノ創設又ハ維持ノ爲生ジタル事業者ニ對スル債務ノ辨濟ヲ完了シタル後ニ於テ其ノ自作地ノ讓渡若ハ貸付ヲ爲シ又ハ之ニ付物權ヲ設定スルトキ
二 自作地ノ創設又ハ維持ノ爲生ジタル事業者ニ對スル債務ノ爲其ノ自作地ニ付抵當權ヲ設定スルトキ
三 自己若ハ家族ノ兵役又ハ徵用ニ因リ自ラ耕作スルコト能ハザル場合ニ於テ事業者ノ承認ヲ得テ其ノ自作地ノ讓渡ヲ爲ストキ
四 自己若ハ家族ノ兵役、徵用若ハ疾病又ハ牛馬ノ徵發其ノ他特別ノ事由ニ因リ自ラ耕作スルコト能ハザル場合ニ於テ事業者ノ承認ヲ得テ其ノ自作地ヲ一時貸付クルトキ
第五條 市町村農地委員會ノ設置及廢止ハ地方長官市町村長ノ意見ヲ徵シ之ヲ定ム
第六條 市町村農地委員會ハ左ニ揭グル事項ヲ處理スルモノトス
一 農地調整法第三條ノ事業ニ關スル調査審議及斡旋
二 農地調整法第四條ノ事業ニ關スル調査審議及斡旋
三 農地調整法第六條ノ自作農創設維持ノ事業ニ關スル調査審議及斡旋
四 農地調整法第五條又ハ第九條第三項ノ通知ヲ受ケタル場合ニ於ケル斡旋
五 小作關係、相隣關係其ノ他農地ノ利用關係ニ關スル斡旋及爭議ノ防止
六 農地調整法第十四條ノ規定ニ依ル裁判所ニ對スル意見ノ申出
七 農地ノ交換分合ノ斡旋其ノ他農地事情ノ改善ニ關スル事項
八 前各號ニ揭グルモノノ外農地關係ノ調整ニ關シ地方長官ノ命ズル事項
第七條 市町村農地委員會ハ當該市町村ノ區域內ニ存スル農地ニ關スル事項ヲ處理スルモノトス但シ耕作者又ハ農地ノ所有者ノ爲必要アル場合ニ於テハ他ノ市町村ノ區域內ニ存スル農地ニ關スル事項ヲ處理スルコトヲ得
市町村農地委員會其ノ處理スベキ事項ガ二以上ノ市町村ニ關係ヲ有シ之ヲ處理スルコト困難又ハ不適當ト認ムルトキハ道府縣農地委員會ニ對シ當該事項ノ處理ヲ申出ヅルコトヲ得
第八條 市町村農地委員會ハ會長及委員ヲ以テ之ヲ組織ス
第九條 市町村農地委員會ノ委員ハ八人以內トス但シ特別ノ事由アルトキハ地方長官ハ其ノ定數ヲ增加スルコトヲ得
特別ノ事項ヲ處理スル爲必要アルトキハ臨時委員ヲ置クコトヲ得
第十條 市町村農地委員會ノ會長、委員及臨時委員ハ地方長官之ヲ選任シ又ハ解任ス
會長ハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外市町村長ヲ之ニ選任スルモノトス
第十一條 市町村農地委員會ノ會長、委員及臨時委員ハ名譽職トス
會長及委員ノ任期ハ二年トス但シ特別ノ事由アルトキハ任期中ト雖モ之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
補缺選任其ノ他ノ事由ニ因リ他ノ委員ト選任ノ時ヲ異ニスル委員ノ任期ハ他ノ委員ノ殘任期間トス
會長ハ其ノ任期滿了シタルトキト雖モ後任ノ會長就任スル迄仍其ノ職務ヲ行フ
第十二條 市町村農地委員會ノ會長、委員又ハ臨時委員ハ正當ノ事由ナクシテ其ノ職ヲ辭スルコトヲ得ズ
第十三條 市町村農地委員會ノ會長ハ會務ヲ總理ス
會長事故アルトキハ地方長官ノ指名スル委員其ノ職務ヲ代理ス
第十四條 市町村農地委員會必要アリト認ムルトキハ重要ナル事項ヲ除クノ外會長ノ指名スル委員又ハ臨時委員ヲシテ其ノ事務ノ處理ヲ擔任セシムルコトヲ得
第十五條 市町村農地委員會又ハ前條ノ規定ニ依リ事務ノ處理ヲ擔任スル委員若ハ臨時委員ハ事務ノ處理ノ爲必要アリト認ムルトキハ期日及場所ヲ定メ當事者ヲ呼出シ又ハ利害關係人ノ參加ヲ求ムルコトヲ得
第十六條 前條ノ場合ニ於テハ當事者又ハ利害關係人ハ自身出頭スルコトヲ要ス但シ特別ノ事情アル場合ニ於テハ市町村農地委員會又ハ第十四條ノ規定ニ依リ事務ノ處理ヲ擔任スル委員若ハ臨時委員ノ承認ヲ受ケ代理人ヲシテ出頭セシメ又ハ輔佐人ヲ同伴スルコトヲ得
市町村農地委員會又ハ第十四條ノ規定ニ依リ事務ノ處理ヲ擔任スル委員若ハ臨時委員ハ何時ニテモ前項ノ承認ヲ取消スコトヲ得
第十七條 市町村農地委員會ニ關スル費用ハ市町村ノ負擔トス
第十八條 市町村農地委員會ノ事務ノ處理ニ關シ當事者ノ申出ニ因リ特別ノ行爲ヲ爲シタル爲要シタル費用ニ付市町村長ハ地方長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ實費ヲ徵スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ市町村長ハ其ノ費用ヲ豫納セシムルコトヲ得
第十九條 前條第一項ノ規定ニ依リ徵收シタル費用ハ市町村ノ收入トス
第二十條 北海道廳又ハ府縣ノ小作官又ハ自作農創設維持其ノ他農地ニ關スル事務ニ從事スル官吏若ハ待遇官吏ハ市町村農地委員會ノ會議ニ出席シ且意見ヲ述ブルコトヲ得
第二十一條 道府縣ニ道府縣農地委員會ヲ置ク
第二十二條 道府縣農地委員會ハ左ニ揭グル事項ヲ處理スルモノトス
一 農地調整法第四條ノ事業ニ關スル調査審議及斡旋
二 農地調整法第六條ノ自作農創設維持ノ事業ニ關スル調査審議及斡旋
三 小作關係其ノ他農地ノ利用關係ニ關スル斡旋及爭議ノ防止
四 農地調整法第十四條ノ規定ニ依ル裁判所ニ對スル意見ノ申出
五 第七條第二項ノ規定ニ依リ申出アリタル事項
六 前各號ニ揭グルモノノ外農地事情ノ改善ニ關スル事項及農地關係ノ調整ニ關シ農林大臣ノ命ズル事項
第二十三條 道府縣農地委員會ハ會長及委員ヲ以テ之ヲ組織ス
第二十四條 道府縣農地委員會ノ會長ハ地方長官ヲ以テ之ニ充ツ
第二十五條 道府縣農地委員會ノ委員ハ十五人以內トス
特別ノ事項ヲ處理スル爲必要アルトキハ臨時委員ヲ置クコトヲ得
第二十六條 道府縣農地委員會ノ委員及臨時委員ハ農林大臣之ヲ選任シ又ハ解任ス
第二十七條 第十一條乃至第十六條ノ規定ハ道府縣農地委員會ニ之ヲ準用ス
第二十八條 道府縣農地委員會ニ關スル費用ハ道府縣ノ負擔トス
第二十九條 道府縣農地委員會ノ事務ノ處理ニ關シ當事者ノ申出ニ因リ特別ノ行爲ヲ爲シタル爲要シタル費用ニ付地方長官ハ其ノ實費ヲ徵スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ地方長官ハ其ノ費用ヲ豫納セシムルコトヲ得
第三十條 前條第一項ノ規定ニ依リ徵收シタル費用ハ道府縣ノ收入トス
第三十一條 市町村農地委員會及道府縣農地委員會ハ農林大臣及地方長官ノ監督ニ屬ス
第三十二條 農林大臣又ハ地方長官ハ市町村農地委員會又ハ道府縣農地委員會ニ對シ監督上必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第三十三條 本令中町村又ハ町村長トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズルモノトス
附 則
第三十四條 本令ハ農地調整法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第三十五條 農地調整法第十九條ノ自作農創設維持ノ事業トハ道府縣、市町村、產業組合又ハ農事實行組合ガ自作農創設維持補助規則若ハ自作農創設維持補助助成規則ニ依ル補助若ハ助成ニ依リ又ハ其ノ補助若ハ助成ニ依ルモノト左ニ揭グル事項ニ付同一ノ條件ヲ以テ道府縣ノ施設ニ依リ行ヒタル自作農創設維持ノ事業ヲ謂フ
一 創設又ハ維持セラルル自作地ノ所有者ノ資格
二 創設又ハ維持セラルル土地ノ單價及總價額ノ制限
三 自作ヲ繼續スベキ年限
四 讓渡又ハ抵當權設定ノ制限
五 創設又ハ維持セラルル自作地ノ所有者ガ前各號ノ事項ニ違反シタル場合ノ處置
第四條ノ規定ハ前項ノ自作農創設維持ノ事業ニ依リ創設又ハ維持セラレタル自作地ノ所有者ニ之ヲ準用ス
朕農地調整法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年七月二十八日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
司法大臣 塩野季彦
農林大臣 伯爵 有馬頼寧
内務大臣 末次信正
大蔵大臣 池田成彬
勅令第五百二十六号
農地調整法施行令
第一条 農地調整法第四条ノ事業ヲ行フ団体ハ道府県及市町村ノ外産業組合及農事実行組合トス
第二条 農地調整法第四条ノ自作農創設維持ノ事業トハ同条ノ団体ガ命令ノ定ムル所ニ依リ行フ左ノ事業ヲ謂フ
一 個人ノ自作地ト為スベキ土地ノ購入ニ必要ナル資金ヲ貸付ケ自作地ノ創設ヲ為スコト
二 個人ノ自作地トシテ土地ヲ購入シタルニ因リ生ジタル債務ノ借替ニ必要ナル資金ヲ貸付ケ自作地ノ維持ヲ為スコト
三 個人ノ自作地ト為ス為ノ未墾地ノ購入若ハ開墾ニ必要ナル資金ヲ貸付ケ又ハ其ノ開墾ニ対シ助成ヲ為シ自作地ノ創設ヲ為スコト
四 自作地ト為スベキ土地ヲ購入シ、自作地ト為ス為未墾地ヲ購入シテ開発シ又ハ自作地ト為ス為其ノ所有スル未墾地ヲ開発シ之ヲ資金ノ貸付又ハ代金割賦支払ノ方法ニ依リ譲渡シ自作地ノ創設ヲ為スコト
五 其ノ所有スル土地ヲ代金割賦支払ノ方法ニ依リ譲渡シ自作地ノ創設ヲ為スコト
第三条 農地調整法第六条ノ自作農創設維持ノ事業トハ道府県、市町村、産業組合又ハ農事実行組合ガ直接又ハ間接ニ政府ノ資金ノ融通又ハ補助若ハ助成ヲ受ケ命令ノ定ムル所ニ依リ行フ前条第一号乃至第四号ノ事業及同法第四条第二項ノ規定ニ依リ土地又ハ其ノ使用収益ノ権利ヲ取得シテ行フ前条ノ事業ヲ謂フ
第四条 農地調整法第六条ノ事業ニ依リ創設又ハ維持セラレタル自作地ノ所有者左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ同条ノ規定ニ依ル行政官庁ノ認可ヲ受クルコトヲ要セズ
一 自作地ノ創設又ハ維持セラレタル年ヨリ起算シ三十年ヲ経過シ且其ノ創設又ハ維持ノ為生ジタル事業者ニ対スル債務ノ弁済ヲ完了シタル後ニ於テ其ノ自作地ノ譲渡若ハ貸付ヲ為シ又ハ之ニ付物権ヲ設定スルトキ
二 自作地ノ創設又ハ維持ノ為生ジタル事業者ニ対スル債務ノ為其ノ自作地ニ付抵当権ヲ設定スルトキ
三 自己若ハ家族ノ兵役又ハ徴用ニ因リ自ラ耕作スルコト能ハザル場合ニ於テ事業者ノ承認ヲ得テ其ノ自作地ノ譲渡ヲ為ストキ
四 自己若ハ家族ノ兵役、徴用若ハ疾病又ハ牛馬ノ徴発其ノ他特別ノ事由ニ因リ自ラ耕作スルコト能ハザル場合ニ於テ事業者ノ承認ヲ得テ其ノ自作地ヲ一時貸付クルトキ
第五条 市町村農地委員会ノ設置及廃止ハ地方長官市町村長ノ意見ヲ徴シ之ヲ定ム
第六条 市町村農地委員会ハ左ニ掲グル事項ヲ処理スルモノトス
一 農地調整法第三条ノ事業ニ関スル調査審議及斡旋
二 農地調整法第四条ノ事業ニ関スル調査審議及斡旋
三 農地調整法第六条ノ自作農創設維持ノ事業ニ関スル調査審議及斡旋
四 農地調整法第五条又ハ第九条第三項ノ通知ヲ受ケタル場合ニ於ケル斡旋
五 小作関係、相隣関係其ノ他農地ノ利用関係ニ関スル斡旋及争議ノ防止
六 農地調整法第十四条ノ規定ニ依ル裁判所ニ対スル意見ノ申出
七 農地ノ交換分合ノ斡旋其ノ他農地事情ノ改善ニ関スル事項
八 前各号ニ掲グルモノノ外農地関係ノ調整ニ関シ地方長官ノ命ズル事項
第七条 市町村農地委員会ハ当該市町村ノ区域内ニ存スル農地ニ関スル事項ヲ処理スルモノトス但シ耕作者又ハ農地ノ所有者ノ為必要アル場合ニ於テハ他ノ市町村ノ区域内ニ存スル農地ニ関スル事項ヲ処理スルコトヲ得
市町村農地委員会其ノ処理スベキ事項ガ二以上ノ市町村ニ関係ヲ有シ之ヲ処理スルコト困難又ハ不適当ト認ムルトキハ道府県農地委員会ニ対シ当該事項ノ処理ヲ申出ヅルコトヲ得
第八条 市町村農地委員会ハ会長及委員ヲ以テ之ヲ組織ス
第九条 市町村農地委員会ノ委員ハ八人以内トス但シ特別ノ事由アルトキハ地方長官ハ其ノ定数ヲ増加スルコトヲ得
特別ノ事項ヲ処理スル為必要アルトキハ臨時委員ヲ置クコトヲ得
第十条 市町村農地委員会ノ会長、委員及臨時委員ハ地方長官之ヲ選任シ又ハ解任ス
会長ハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外市町村長ヲ之ニ選任スルモノトス
第十一条 市町村農地委員会ノ会長、委員及臨時委員ハ名誉職トス
会長及委員ノ任期ハ二年トス但シ特別ノ事由アルトキハ任期中ト雖モ之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
補欠選任其ノ他ノ事由ニ因リ他ノ委員ト選任ノ時ヲ異ニスル委員ノ任期ハ他ノ委員ノ残任期間トス
会長ハ其ノ任期満了シタルトキト雖モ後任ノ会長就任スル迄仍其ノ職務ヲ行フ
第十二条 市町村農地委員会ノ会長、委員又ハ臨時委員ハ正当ノ事由ナクシテ其ノ職ヲ辞スルコトヲ得ズ
第十三条 市町村農地委員会ノ会長ハ会務ヲ総理ス
会長事故アルトキハ地方長官ノ指名スル委員其ノ職務ヲ代理ス
第十四条 市町村農地委員会必要アリト認ムルトキハ重要ナル事項ヲ除クノ外会長ノ指名スル委員又ハ臨時委員ヲシテ其ノ事務ノ処理ヲ担任セシムルコトヲ得
第十五条 市町村農地委員会又ハ前条ノ規定ニ依リ事務ノ処理ヲ担任スル委員若ハ臨時委員ハ事務ノ処理ノ為必要アリト認ムルトキハ期日及場所ヲ定メ当事者ヲ呼出シ又ハ利害関係人ノ参加ヲ求ムルコトヲ得
第十六条 前条ノ場合ニ於テハ当事者又ハ利害関係人ハ自身出頭スルコトヲ要ス但シ特別ノ事情アル場合ニ於テハ市町村農地委員会又ハ第十四条ノ規定ニ依リ事務ノ処理ヲ担任スル委員若ハ臨時委員ノ承認ヲ受ケ代理人ヲシテ出頭セシメ又ハ輔佐人ヲ同伴スルコトヲ得
市町村農地委員会又ハ第十四条ノ規定ニ依リ事務ノ処理ヲ担任スル委員若ハ臨時委員ハ何時ニテモ前項ノ承認ヲ取消スコトヲ得
第十七条 市町村農地委員会ニ関スル費用ハ市町村ノ負担トス
第十八条 市町村農地委員会ノ事務ノ処理ニ関シ当事者ノ申出ニ因リ特別ノ行為ヲ為シタル為要シタル費用ニ付市町村長ハ地方長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ実費ヲ徴スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ市町村長ハ其ノ費用ヲ予納セシムルコトヲ得
第十九条 前条第一項ノ規定ニ依リ徴収シタル費用ハ市町村ノ収入トス
第二十条 北海道庁又ハ府県ノ小作官又ハ自作農創設維持其ノ他農地ニ関スル事務ニ従事スル官吏若ハ待遇官吏ハ市町村農地委員会ノ会議ニ出席シ且意見ヲ述ブルコトヲ得
第二十一条 道府県ニ道府県農地委員会ヲ置ク
第二十二条 道府県農地委員会ハ左ニ掲グル事項ヲ処理スルモノトス
一 農地調整法第四条ノ事業ニ関スル調査審議及斡旋
二 農地調整法第六条ノ自作農創設維持ノ事業ニ関スル調査審議及斡旋
三 小作関係其ノ他農地ノ利用関係ニ関スル斡旋及争議ノ防止
四 農地調整法第十四条ノ規定ニ依ル裁判所ニ対スル意見ノ申出
五 第七条第二項ノ規定ニ依リ申出アリタル事項
六 前各号ニ掲グルモノノ外農地事情ノ改善ニ関スル事項及農地関係ノ調整ニ関シ農林大臣ノ命ズル事項
第二十三条 道府県農地委員会ハ会長及委員ヲ以テ之ヲ組織ス
第二十四条 道府県農地委員会ノ会長ハ地方長官ヲ以テ之ニ充ツ
第二十五条 道府県農地委員会ノ委員ハ十五人以内トス
特別ノ事項ヲ処理スル為必要アルトキハ臨時委員ヲ置クコトヲ得
第二十六条 道府県農地委員会ノ委員及臨時委員ハ農林大臣之ヲ選任シ又ハ解任ス
第二十七条 第十一条乃至第十六条ノ規定ハ道府県農地委員会ニ之ヲ準用ス
第二十八条 道府県農地委員会ニ関スル費用ハ道府県ノ負担トス
第二十九条 道府県農地委員会ノ事務ノ処理ニ関シ当事者ノ申出ニ因リ特別ノ行為ヲ為シタル為要シタル費用ニ付地方長官ハ其ノ実費ヲ徴スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ地方長官ハ其ノ費用ヲ予納セシムルコトヲ得
第三十条 前条第一項ノ規定ニ依リ徴収シタル費用ハ道府県ノ収入トス
第三十一条 市町村農地委員会及道府県農地委員会ハ農林大臣及地方長官ノ監督ニ属ス
第三十二条 農林大臣又ハ地方長官ハ市町村農地委員会又ハ道府県農地委員会ニ対シ監督上必要ナル命令又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第三十三条 本令中町村又ハ町村長トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズルモノトス
附 則
第三十四条 本令ハ農地調整法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第三十五条 農地調整法第十九条ノ自作農創設維持ノ事業トハ道府県、市町村、産業組合又ハ農事実行組合ガ自作農創設維持補助規則若ハ自作農創設維持補助助成規則ニ依ル補助若ハ助成ニ依リ又ハ其ノ補助若ハ助成ニ依ルモノト左ニ掲グル事項ニ付同一ノ条件ヲ以テ道府県ノ施設ニ依リ行ヒタル自作農創設維持ノ事業ヲ謂フ
一 創設又ハ維持セラルル自作地ノ所有者ノ資格
二 創設又ハ維持セラルル土地ノ単価及総価額ノ制限
三 自作ヲ継続スベキ年限
四 譲渡又ハ抵当権設定ノ制限
五 創設又ハ維持セラルル自作地ノ所有者ガ前各号ノ事項ニ違反シタル場合ノ処置
第四条ノ規定ハ前項ノ自作農創設維持ノ事業ニ依リ創設又ハ維持セラレタル自作地ノ所有者ニ之ヲ準用ス