有価証券引受業法
法令番号: 法律第五十四號
公布年月日: 昭和13年3月31日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル有價證券引受業法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月三十日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
大藏大臣 賀屋興宣
法律第五十四號
有價證券引受業法
第一條 本法ニ於テ有價證券引受業トハ有價證券ノ引受又ハ募集ノ取扱ヲ爲ス營業ヲ謂フ
前項ノ有價證券ノ種類ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條 有價證券引受業ハ主務大臣ノ免許ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ營ムコトヲ得ズ
第三條 有價證券引受業ハ資本金二百萬圓以上ノ株式會社ニ非ザレバ之ヲ營ムコトヲ得ズ
第四條 第二條ノ免許ヲ受ケタル者(以下證券引受會社ト稱ス)ハ有價證券引受業ニ附隨スル業務又ハ有價證券ノ賣買若ハ其ノ媒介ノ外他ノ業務ヲ營ムコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ許可ヲ受クルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第五條 證券引受會社ハ他ノ法律ノ制限ニ拘ラズ社債募集ノ委託ヲ受ケ又ハ社債募集ノ委託ヲ受ケタル會社ナキニ至リタル場合ノ事務承繼者ト爲ルコトヲ得
第六條 證券引受會社ハ左ノ場合ニ於テハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
一 商號ヲ變更セントスルトキ
二 資本金ヲ變更セントスルトキ
三 支店其ノ他ノ營業所又ハ代理店ヲ設置セントスルトキ
四 本店其ノ他ノ營業所ノ位置ヲ變更セントスルトキ
第七條 證券引受會社ノ合併ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第八條 證券引受會社ハ資本ノ總額ニ達スル迄ハ利益ヲ配當スル每ニ準備金トシテ其ノ利益ノ十分ノ一以上ヲ積立ツベシ
第九條 證券引受會社ノ營業年度ハ六月ヨリ十一月迄及十二月ヨリ五月迄トス
第十條 證券引受會社ハ營業年度每ニ業務報吿書ヲ作成シテ之ヲ主務大臣ニ提出スベシ
第十一條 證券引受會社ハ營業年度每ニ主務大臣ノ定ムル樣式ニ依リ貸借對照表ヲ作成シ新聞紙ニ依リ之ヲ公吿スベシ
第十二條 主務大臣ハ何時ニテモ證券引受會社ヲシテ其ノ業務ニ關スル報吿ヲ爲サシメ又ハ其ノ帳簿書類ヲ提出セシムルコトヲ得
第十三條 主務大臣ハ何時ニテモ部下ノ官吏ニ命ジテ證券引受會社ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢査セシムルコトヲ得
第十四條 主務大臣ハ證券引受會社ノ業務又ハ財產ノ狀況ニ依リ必要ト認ムルトキハ業務ノ停止ヲ命ジ其ノ他必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十五條 證券引受會社ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スベキ行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ業務ノ停止若ハ取締役、監査役ノ改任ヲ命ジ又ハ營業ノ免許ヲ取消スコトヲ得
第十六條 主務大臣ハ業務ノ停止ヲ命ゼラレタル證券引受會社ニ對シ其ノ整理ノ狀況ニ依リ必要ト認ムルトキハ營業ノ免許ヲ取消スコトヲ得
第十七條 主務大臣ノ免許ヲ受ケズシテ有價證券引受業ヲ營ミタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十八條 左ノ場合ニ於テハ取締役、監査役又ハ支配人ヲ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第十條ノ規定ニ違反シ業務報吿書ヲ提出セズ又ハ虛僞ノ業務報吿書ヲ提出シタルトキ
二 第十一條ノ規定ニ違反シ公吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ公吿ヲ爲シタルトキ
三 第十二條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ報吿ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シ又ハ帳簿書類ヲ提出セザルトキ
四 第十三條ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタルトキ
第十九條 左ノ場合ニ於テハ取締役、監査役又ハ支配人ヲ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス但シ其ノ行爲ニ付刑ヲ科スベキトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 第四條、第六條又ハ第八條ノ規定ニ違反シタルトキ
二 第十條ノ規定ニ依ル業務報吿書ノ提出又ハ第十一條ノ規定ニ依ル公吿ヲ怠リタルトキ
三 本法ニ基キテ爲ス命令ニ違反シタルトキ
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ニ定ムル過料ニ之ヲ準用ス
第二十條 銀行、信託會社又ハ特別ノ法律ニ依リ設立セラレタル法人ニシテ有價證券引受業ヲ營ム者ニハ本法ヲ適用セズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ有價證券引受業ヲ營ム者又ハ其ノ營業ヲ承繼シタル者ハ本法施行ノ日ヨリ三月ヲ限リ第二條ノ規定ニ拘ラズ其ノ營業ヲ爲スコトヲ得
前項ニ揭グル者前項ノ期間內ニ第二條ノ免許ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ對スル免許又ハ不免許ノ處分ノ日迄亦前項ニ同ジ
本法施行ノ際迄一年以上引續キ有價證券引受業ヲ營ム者第二項ノ期間內ニ免許ヲ申請スルトキハ本法施行後二年ヲ限リ第三條及第四條ノ規定ヲ適用セズ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル有価証券引受業法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月三十日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
大蔵大臣 賀屋興宣
法律第五十四号
有価証券引受業法
第一条 本法ニ於テ有価証券引受業トハ有価証券ノ引受又ハ募集ノ取扱ヲ為ス営業ヲ謂フ
前項ノ有価証券ノ種類ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二条 有価証券引受業ハ主務大臣ノ免許ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ営ムコトヲ得ズ
第三条 有価証券引受業ハ資本金二百万円以上ノ株式会社ニ非ザレバ之ヲ営ムコトヲ得ズ
第四条 第二条ノ免許ヲ受ケタル者(以下証券引受会社ト称ス)ハ有価証券引受業ニ附随スル業務又ハ有価証券ノ売買若ハ其ノ媒介ノ外他ノ業務ヲ営ムコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ許可ヲ受クルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第五条 証券引受会社ハ他ノ法律ノ制限ニ拘ラズ社債募集ノ委託ヲ受ケ又ハ社債募集ノ委託ヲ受ケタル会社ナキニ至リタル場合ノ事務承継者ト為ルコトヲ得
第六条 証券引受会社ハ左ノ場合ニ於テハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
一 商号ヲ変更セントスルトキ
二 資本金ヲ変更セントスルトキ
三 支店其ノ他ノ営業所又ハ代理店ヲ設置セントスルトキ
四 本店其ノ他ノ営業所ノ位置ヲ変更セントスルトキ
第七条 証券引受会社ノ合併ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第八条 証券引受会社ハ資本ノ総額ニ達スル迄ハ利益ヲ配当スル毎ニ準備金トシテ其ノ利益ノ十分ノ一以上ヲ積立ツベシ
第九条 証券引受会社ノ営業年度ハ六月ヨリ十一月迄及十二月ヨリ五月迄トス
第十条 証券引受会社ハ営業年度毎ニ業務報告書ヲ作成シテ之ヲ主務大臣ニ提出スベシ
第十一条 証券引受会社ハ営業年度毎ニ主務大臣ノ定ムル様式ニ依リ貸借対照表ヲ作成シ新聞紙ニ依リ之ヲ公告スベシ
第十二条 主務大臣ハ何時ニテモ証券引受会社ヲシテ其ノ業務ニ関スル報告ヲ為サシメ又ハ其ノ帳簿書類ヲ提出セシムルコトヲ得
第十三条 主務大臣ハ何時ニテモ部下ノ官吏ニ命ジテ証券引受会社ノ業務及財産ノ状況ヲ検査セシムルコトヲ得
第十四条 主務大臣ハ証券引受会社ノ業務又ハ財産ノ状況ニ依リ必要ト認ムルトキハ業務ノ停止ヲ命ジ其ノ他必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第十五条 証券引受会社ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スベキ行為ヲ為シタルトキハ主務大臣ハ業務ノ停止若ハ取締役、監査役ノ改任ヲ命ジ又ハ営業ノ免許ヲ取消スコトヲ得
第十六条 主務大臣ハ業務ノ停止ヲ命ゼラレタル証券引受会社ニ対シ其ノ整理ノ状況ニ依リ必要ト認ムルトキハ営業ノ免許ヲ取消スコトヲ得
第十七条 主務大臣ノ免許ヲ受ケズシテ有価証券引受業ヲ営ミタル者ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス
第十八条 左ノ場合ニ於テハ取締役、監査役又ハ支配人ヲ千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第十条ノ規定ニ違反シ業務報告書ヲ提出セズ又ハ虚偽ノ業務報告書ヲ提出シタルトキ
二 第十一条ノ規定ニ違反シ公告ヲ為サズ又ハ虚偽ノ公告ヲ為シタルトキ
三 第十二条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ報告ヲ為サズ若ハ虚偽ノ報告ヲ為シ又ハ帳簿書類ヲ提出セザルトキ
四 第十三条ノ規定ニ依ル検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタルトキ
第十九条 左ノ場合ニ於テハ取締役、監査役又ハ支配人ヲ十円以上千円以下ノ過料ニ処ス但シ其ノ行為ニ付刑ヲ科スベキトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 第四条、第六条又ハ第八条ノ規定ニ違反シタルトキ
二 第十条ノ規定ニ依ル業務報告書ノ提出又ハ第十一条ノ規定ニ依ル公告ヲ怠リタルトキ
三 本法ニ基キテ為ス命令ニ違反シタルトキ
非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前項ニ定ムル過料ニ之ヲ準用ス
第二十条 銀行、信託会社又ハ特別ノ法律ニ依リ設立セラレタル法人ニシテ有価証券引受業ヲ営ム者ニハ本法ヲ適用セズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ有価証券引受業ヲ営ム者又ハ其ノ営業ヲ承継シタル者ハ本法施行ノ日ヨリ三月ヲ限リ第二条ノ規定ニ拘ラズ其ノ営業ヲ為スコトヲ得
前項ニ掲グル者前項ノ期間内ニ第二条ノ免許ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ対スル免許又ハ不免許ノ処分ノ日迄亦前項ニ同ジ
本法施行ノ際迄一年以上引続キ有価証券引受業ヲ営ム者第二項ノ期間内ニ免許ヲ申請スルトキハ本法施行後二年ヲ限リ第三条及第四条ノ規定ヲ適用セズ