製鉄事業法施行令
法令番号: 勅令第五百七號
公布年月日: 昭和12年9月21日
法令の形式: 勅令
朕製鐵事業法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年九月二十日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
海軍大臣 米內光政
陸軍大臣 杉山元
大藏大臣 賀屋興宣
商工大臣 吉野信次
拓務大臣 大谷尊由
勅令第五百七號
製鐵事業法施行令
第一條 製鐵事業法第三條ノ許可ハ製鐵工場每ニ左ノ事業別ニ之ヲ爲スモノトス
一 銑鐵、鋼鐵又ハ鋼材ノ製造事業
二 鍛鋼品又ハ鑄鋼品ノ製造事業
三 電氣製鐵事業
四 坩堝製鋼事業
五 燐ノ標準含有量一萬分ノ三以下ノ銑鐵ノ製造事業
六 砂鐵又ハ命令ヲ以テ定ムル鐵鑛ノ製鍊ヲ目的トスル特殊ノ設備ヲ以テ營ム製鐵事業
第二條 一ノ場所ニ於テ製銑及製鋼ノ設備ヲ以テ營ム製鐵事業ニ付製鐵事業法第三條ノ許可ヲ受ケントスル場合ニ於テハ其ノ設備ハ一年十萬瓲以上ノ製銑能力及一年十萬瓲以上ノ製鋼能力ヲ有シ且各爐ニ付左ニ揭グル能力ヲ有スルコトヲ要ス
一 製銑ニ在リテハ一日ノ製銑量三百瓲以上
二 製鋼ニ在リテハ一囘ノ製鋼量平爐ニ在リテハ五十瓲以上、轉爐ニ在リテハ十瓲以上
第三條 製鐵事業法第三條第一項但書ノ製鐵事業ハ左ニ揭グルモノトス
一 製鋼設備ヲ有セズ又ハ製鋼能力一ノ場所ニ於テ一年五千二百五十瓲ニ達セザル設備ヲ以テ營ム鍛鋼品又ハ鑄鋼品ノ製造事業
二 製銑能力又ハ製鋼能力一ノ場所ニ於テ一年二千五百瓲ニ達セザル設備ヲ以テ營ム電氣製鐵事業、坩堝製鋼事業及第一條第五號ノ銑鐵ノ製造事業
三 第一條各號ニ該當セザル製鐵事業
第四條 製鐵事業法第五條ノ規定ニ依リ增設又ハ變更ニ付許可ヲ受クベキ設備ハ左ニ揭グルモノトス
一 製銑(コークスノ製造ヲ含ム)、製鋼、鋼材製造設備其ノ他ノ鐵鋼ノ製造設備
二 副生物製造設備
製鐵事業者一ノ場所ニ於テ一年十萬瓲以上ノ製銑能力及一年十萬瓲以上ノ製鋼能力ニ達スベキ設備ヲ增設スル爲製鐵事業法第五條ノ許可ヲ受ケントスル場合ニ於テハ其ノ設備ハ第二條各號ノ能力ヲ有スルコトヲ要ス一ノ場所ニ於テ一年十萬瓲以上ノ製銑能力及一年十萬瓲以上ノ製鋼能力ヲ有スル設備ヲ以テ營ム製鐵事業者其ノ場所ニ於テ製銑又ハ製鋼ノ設備ヲ增設スル爲製鐵事業法第五條ノ許可ヲ受ケントスル場合亦同ジ
第五條 製鐵事業法第六條ノ設備ハ第二條各號ノ能力ヲ有スルコトヲ要ス
第六條 製鐵事業法第九條第二項ノ規定ニ依リ所得稅及營業收益稅ノ免除ヲ受クルコトヲ得ベキ低燐銑鐵製造事業ハ第一條第五號ノ銑鐵ノ製造事業ニ限ル
第七條 製鐵事業法第七條乃至第十條ノ期間ハ製鐵能力一年三萬五千瓲未滿ノ場合ニ在リテハ二年以內、十萬瓲未滿ノ場合ニ在リテハ三年以內、二十萬瓲未滿ノ場合ニ在リテハ五年以內、二十萬瓲以上ノ場合ニ在リテハ七年以內ニ於テ商工大臣之ヲ定ム
前項ノ期間ハ商工大臣災害其ノ他已ムヲ得ザル事由アリト認ムルトキハ三年ヲ限リ之ヲ延長スルコトヲ得
第八條 製鐵事業法第七條第三項ノ法人ノ各事業年度ノ資本金額ハ各月末ニ於ケル拂込ミタル株金額又ハ出資金額及積立金額ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算ス
前項ニ於テ積立金額ト稱スルハ積立金其ノ他名義ノ何タルヲ問ハズ法人ノ所得中其ノ留保シタル金額ヲ謂フ
第九條 前條ノ場合ニ於テ所得稅及營業收益稅ノ免除ヲ受クル製鐵事業ト其ノ他ノ事業トヲ營ム法人ノ資本金額ハ總資產價額ニ對スル當該製鐵事業ヨリ生ズル所得又ハ純益ノ基本タル資產價額ノ割合ヲ總資本金額ニ乘ジ之ヲ計算ス
前項ノ場合ニ於テ資產價額ノ割合ニ依ルヲ不適當トスルトキハ收入金ノ割合又ハ所得若ハ純益ノ割合其ノ他適當ナル方法ニ依リ之ヲ計算ス
第十條 製鐵事業法第七條第三項ノ個人ノ各年ノ資本金額ハ前年中各月末ニ於ケル固定資本及運轉資本ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算ス但シ所得稅法第十四條第一項第六號但書又ハ營業收益稅法第六條第一項但書ノ規定ニ依リ所得又ハ純益ヲ算出スル場合ニ於テハ其ノ所得又ハ純益ノ算出當時ノ現況ニ依リ資本金額ヲ計算ス
前項ノ固定資本ハ直接ニ製鐵事業ノ用ニ供スル土地、家屋其ノ他ノ工作物、船舶、機械、器具等ノ價額ニ依リ之ヲ計算ス
前條ノ規定ハ個人ノ資本金額ノ計算ニ之ヲ準用ス
第十一條 製鐵事業法第七條第三項ノ資本金額ニ對スル年百分ノ十ノ割合ノ金額ハ法人ニ在リテハ當該事業年度ノ月數、個人ニ在リテハ其ノ年ノ營業ノ期間ノ月數ヲ資本金額ニ乘ジ之ヲ十二分シタル金額ニ百分ノ十ヲ乘ジテ之ヲ計算ス
前項ノ月數ハ曆ニ從ヒ之ヲ計算シ一月未滿ノ端數ヲ生ジタルトキハ之ヲ一月トス
第十二條 製鐵事業法第十一條ノ規定ニ依リ所得稅及營業收益稅ノ免除ヲ受クル所得又ハ純益ハ其ノ製鐵事業ヨリ生ズル所得又ハ純益ニ法人ニ在リテハ當該事業年度、個人ニ在リテハ其ノ年ニ於テ配合シタル砂鐵又ハ製鐵事業法第十條ノ鐵鑛ノ重量ノ割合ヲ乘ジテ得タル金額ニ相當スル金額トス
第十三條 所得稅ノ免除ヲ受ケントスル者ハ所得稅法第二十四條又ハ第二十五條ノ規定ニ依リ所得ヲ申吿スルトキ製鐵事業法第七條又ハ第十一條ノ規定ニ依リ計算シタル免除ヲ受クル所得及資本金額ノ明細書ヲ添附シ其ノ旨所轄稅務署ニ申請スベシ
前項ノ場合ニ於テ所得稅ノ免除ヲ受クル製鐵事業ヨリ生ズル所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スルトキハ之ヲ區別シタル計算書ヲ添附スベシ
第十四條 營業收益稅ノ免除ヲ受ケントスル者ハ營業收益稅法第十一條又ハ第十二條ノ規定ニ依リ純益金額ヲ申吿スルトキ製鐵事業法第七條又ハ第十一條ノ規定ニ依リ計算シタル免除ヲ受クル純益及資本金額ノ明細書ヲ添附シ其ノ旨所轄稅務署ニ申請スベシ
前項ノ場合ニ於テ營業收益稅ノ免除ヲ受クル製鐵事業ヨリ生ズル純益ト其ノ他ノ純益トヲ有スルトキハ之ヲ區別シタル計算書ヲ添附スベシ
第十五條 製鐵事業法第十四條ノ奬勵金ハ左ニ揭グル鋼材ニシテ本令施行後ノ製造ニ係リ其ノ製造者又ハ其ノ製造者ヨリ之ヲ讓受ケタル者ガ鐵鋼船ノ建造又ハ修繕ニ使用シタルモノニ付之ヲ交付ス但シ國ノ工場ニ於テ製造セラレタル鋼材ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 鋼塊及鋼片(鍛造用ノモノ)
二 條及竿(丁形、山形等ノ形狀ヲ有スルモノ及タービンブレーディングヲ含ム)
三 
四 筒及管(鑄タルモノヲ除ク)
前項第一號ニ揭グル鋼材ヲ其ノ製造者ガ加工シテ讓渡シタルトキハ其ノ素材タル鋼材ニ付奬勵金ヲ交付ス
第十六條 前條ノ奬勵金ノ交付ヲ受ケントスル者ハ其ノ者ガ鋼材ヲ鐵鋼船ノ建造又ハ修繕ニ使用セントスル場合ニ在リテハ其ノ使用ノ前、其ノ他ノ場合ニ在リテハ鋼材引渡ノ前ニ其ノ鋼材ノ種類、數量、用途、製造時期及製造工場ヲ記載シタル屆書ヲ商工大臣ニ提出スベシ
前項ノ屆書ニハ其ノ鋼材ガ海軍艦船以外ノ船舶ノ建造又ハ修繕ニ使用セラルル場合ニ於テハ造船者又ハ船舶修繕者ガ商工大臣ノ定ムル事項ニ付管海官廳ノ承認ヲ受ケタルコトヲ證スル書面ヲ添附スベシ
第一項ノ屆書ニ記載シタル事項ニ變更アリタルトキハ其ノ變更ノ事項ニ付遲滯ナク商工大臣ニ屆出ヅベシ
第二項ノ管海官廳ノ承認ヲ受ケタル事項ニ變更アリタルトキハ其ノ變更ノ事項ニ付造船者又ハ船舶修繕者ガ管海官廳ノ承認ヲ受ケタルコトヲ證スル書面ヲ添附シ遲滯ナク商工大臣ニ屆出ヅベシ
第十七條 第十五條ノ奬勵金ノ交付ヲ受ケントスル者ハ前條ノ規定ニ依リ屆出ヲ爲シタル鋼材ガ海軍艦船ノ建造又ハ修繕ニ使用セラレタルトキハ海軍官憲ノ鋼材使用證明書ヲ添附シ、其ノ他ノ船舶ノ建造又ハ修繕ニ使用セラレタルトキハ鋼材使用說明書及造船者又ハ船舶修繕者ガ受ケタル管海官廳ノ竣工承認書ヲ添附シ奬勵金交付申請書ヲ商工大臣ニ提出スベシ
第十八條 第十五條ノ奬勵金ノ金額ハ左ノ區別ニ依ル
一 鋼塊及鋼片 其ノ價額ノ一割五分以內
二 條及竿 一瓲ニ付二十四圓六十六錢以內
三 
甲 厚サ三粍ヲ超エザルモノ 一瓲ニ付三十一圓五十錢以內
乙 其ノ他 一瓲ニ付二十四圓六十六錢以內
四 筒及管
甲 內徑百五十粍ヲ超エザルモノ 其ノ價額ノ一割八分以內
乙 其ノ他 其ノ價額ノ一割五分以內
五 關稅定率法別表輸入稅表第四六二號ノ二特殊鋼ニ該當スルモノ 其ノ價額ノ一割八分以內
前項第一號、第四號及第五號ノ價額ハ第十六條第一項ノ使用又ハ引渡ノ時ニ於ケル其ノ鋼材ト同種ノ鋼材ノ輸入ノ際ニ於ケル到著價格ヲ標準トシテ商工大臣之ヲ定ム
第十九條 輸入稅ノ免除ヲ受クルコトヲ得ベキ器具、機械其ノ他ノ材料ハ商工大臣ノ定ムル物品ニシテ豫メ商工大臣ノ認可ヲ受ケ輸入スルモノニ限ル
第二十條 輸入稅ノ免除ヲ受ケントスル者ハ輸入申吿書ニ前條ノ認可ヲ受ケタルコトヲ證スル書類ヲ添附スベシ
輸入申吿ハ製鐵事業者ノ名ヲ以テスルコトヲ要ス
第二十一條 輸入稅ノ免除ヲ受ケタル物品ヲ製鐵事業法第十六條ノ規定ニ依リ輸入稅ノ免除ヲ受クルコトヲ得ベキ他ノ用途ニ供セントスル場合ニ於テハ商工大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ旨稅關ニ申吿スルコトヲ要ス
第二十二條 輸入稅ノ免除ヲ受ケタル物品ヲ輸入ノ日ヨリ三年以內ニ目的タル用途又ハ前條ノ規定ニ依ル他ノ用途ニ供セザルトキハ其ノ輸入稅ヲ追徵ス但シ已ムヲ得ザル事由ニ依リ其ノ期間ノ延長ニ付商工大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ旨稅關ニ申吿シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十三條 商工大臣必要アリト認ムルトキハ所得稅及營業收益稅ノ免除ヲ受ケントスル者ニ對シ製鐵事業ニ關スル書類又ハ製鐵原料若ハ製品ノ試料ノ提出ヲ命ジ又ハ當該官吏ヲシテ製鐵事業ニ關スル設備、帳簿其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得輸入稅ノ免除ヲ受ケ又ハ受ケントスル者ニ對シ亦同ジ
商工大臣必要アリト認ムルトキハ奬勵金ノ交付ヲ受ケ又ハ受ケントスル者ニ對シ前項ノ書類又ハ試料ノ提出ヲ命ジ、當該官吏ヲシテ前項ノ檢査ヲ爲サシメ其ノ他必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十四條 收稅官吏又ハ稅關官吏必要アリト認ムルトキハ前條第一項ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
第二十五條 第十六條乃至第十八條及第二十三條第二項中商工大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督トス
附 則
第二十六條 本令ハ製鐵事業法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第二十七條 製鐵業奬勵法施行令第十三條但書ノ規定ニ依リ爲シタル認可又ハ申吿ハ第二十一條ノ規定ニ依リ之ヲ爲シタルモノト看做ス
製鐵事業法第四十四條ノ規定ニ依リ同法第十六條ノ認可ヲ受ケタルモノト看做サレタルモノノ輸入稅ノ追徵ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
第二十八條 本令施行前ノ製造ニ係ル第十五條ノ鋼材ニシテ第十六條第一項ニ相當スル使用又ハ引渡ガ本令施行前ナルモノニ付テハ仍從前ノ例ニ依リ、本令施行後ナルモノニ付テハ本令ノ規定ニ準ジ奬勵金ヲ交付ス
朕製鉄事業法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年九月二十日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
海軍大臣 米内光政
陸軍大臣 杉山元
大蔵大臣 賀屋興宣
商工大臣 吉野信次
拓務大臣 大谷尊由
勅令第五百七号
製鉄事業法施行令
第一条 製鉄事業法第三条ノ許可ハ製鉄工場毎ニ左ノ事業別ニ之ヲ為スモノトス
一 銑鉄、鋼鉄又ハ鋼材ノ製造事業
二 鍛鋼品又ハ鋳鋼品ノ製造事業
三 電気製鉄事業
四 坩堝製鋼事業
五 燐ノ標準含有量一万分ノ三以下ノ銑鉄ノ製造事業
六 砂鉄又ハ命令ヲ以テ定ムル鉄鉱ノ製錬ヲ目的トスル特殊ノ設備ヲ以テ営ム製鉄事業
第二条 一ノ場所ニ於テ製銑及製鋼ノ設備ヲ以テ営ム製鉄事業ニ付製鉄事業法第三条ノ許可ヲ受ケントスル場合ニ於テハ其ノ設備ハ一年十万瓲以上ノ製銑能力及一年十万瓲以上ノ製鋼能力ヲ有シ且各炉ニ付左ニ掲グル能力ヲ有スルコトヲ要ス
一 製銑ニ在リテハ一日ノ製銑量三百瓲以上
二 製鋼ニ在リテハ一回ノ製鋼量平炉ニ在リテハ五十瓲以上、転炉ニ在リテハ十瓲以上
第三条 製鉄事業法第三条第一項但書ノ製鉄事業ハ左ニ掲グルモノトス
一 製鋼設備ヲ有セズ又ハ製鋼能力一ノ場所ニ於テ一年五千二百五十瓲ニ達セザル設備ヲ以テ営ム鍛鋼品又ハ鋳鋼品ノ製造事業
二 製銑能力又ハ製鋼能力一ノ場所ニ於テ一年二千五百瓲ニ達セザル設備ヲ以テ営ム電気製鉄事業、坩堝製鋼事業及第一条第五号ノ銑鉄ノ製造事業
三 第一条各号ニ該当セザル製鉄事業
第四条 製鉄事業法第五条ノ規定ニ依リ増設又ハ変更ニ付許可ヲ受クベキ設備ハ左ニ掲グルモノトス
一 製銑(コークスノ製造ヲ含ム)、製鋼、鋼材製造設備其ノ他ノ鉄鋼ノ製造設備
二 副生物製造設備
製鉄事業者一ノ場所ニ於テ一年十万瓲以上ノ製銑能力及一年十万瓲以上ノ製鋼能力ニ達スベキ設備ヲ増設スル為製鉄事業法第五条ノ許可ヲ受ケントスル場合ニ於テハ其ノ設備ハ第二条各号ノ能力ヲ有スルコトヲ要ス一ノ場所ニ於テ一年十万瓲以上ノ製銑能力及一年十万瓲以上ノ製鋼能力ヲ有スル設備ヲ以テ営ム製鉄事業者其ノ場所ニ於テ製銑又ハ製鋼ノ設備ヲ増設スル為製鉄事業法第五条ノ許可ヲ受ケントスル場合亦同ジ
第五条 製鉄事業法第六条ノ設備ハ第二条各号ノ能力ヲ有スルコトヲ要ス
第六条 製鉄事業法第九条第二項ノ規定ニ依リ所得税及営業収益税ノ免除ヲ受クルコトヲ得ベキ低燐銑鉄製造事業ハ第一条第五号ノ銑鉄ノ製造事業ニ限ル
第七条 製鉄事業法第七条乃至第十条ノ期間ハ製鉄能力一年三万五千瓲未満ノ場合ニ在リテハ二年以内、十万瓲未満ノ場合ニ在リテハ三年以内、二十万瓲未満ノ場合ニ在リテハ五年以内、二十万瓲以上ノ場合ニ在リテハ七年以内ニ於テ商工大臣之ヲ定ム
前項ノ期間ハ商工大臣災害其ノ他已ムヲ得ザル事由アリト認ムルトキハ三年ヲ限リ之ヲ延長スルコトヲ得
第八条 製鉄事業法第七条第三項ノ法人ノ各事業年度ノ資本金額ハ各月末ニ於ケル払込ミタル株金額又ハ出資金額及積立金額ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算ス
前項ニ於テ積立金額ト称スルハ積立金其ノ他名義ノ何タルヲ問ハズ法人ノ所得中其ノ留保シタル金額ヲ謂フ
第九条 前条ノ場合ニ於テ所得税及営業収益税ノ免除ヲ受クル製鉄事業ト其ノ他ノ事業トヲ営ム法人ノ資本金額ハ総資産価額ニ対スル当該製鉄事業ヨリ生ズル所得又ハ純益ノ基本タル資産価額ノ割合ヲ総資本金額ニ乗ジ之ヲ計算ス
前項ノ場合ニ於テ資産価額ノ割合ニ依ルヲ不適当トスルトキハ収入金ノ割合又ハ所得若ハ純益ノ割合其ノ他適当ナル方法ニ依リ之ヲ計算ス
第十条 製鉄事業法第七条第三項ノ個人ノ各年ノ資本金額ハ前年中各月末ニ於ケル固定資本及運転資本ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算ス但シ所得税法第十四条第一項第六号但書又ハ営業収益税法第六条第一項但書ノ規定ニ依リ所得又ハ純益ヲ算出スル場合ニ於テハ其ノ所得又ハ純益ノ算出当時ノ現況ニ依リ資本金額ヲ計算ス
前項ノ固定資本ハ直接ニ製鉄事業ノ用ニ供スル土地、家屋其ノ他ノ工作物、船舶、機械、器具等ノ価額ニ依リ之ヲ計算ス
前条ノ規定ハ個人ノ資本金額ノ計算ニ之ヲ準用ス
第十一条 製鉄事業法第七条第三項ノ資本金額ニ対スル年百分ノ十ノ割合ノ金額ハ法人ニ在リテハ当該事業年度ノ月数、個人ニ在リテハ其ノ年ノ営業ノ期間ノ月数ヲ資本金額ニ乗ジ之ヲ十二分シタル金額ニ百分ノ十ヲ乗ジテ之ヲ計算ス
前項ノ月数ハ暦ニ従ヒ之ヲ計算シ一月未満ノ端数ヲ生ジタルトキハ之ヲ一月トス
第十二条 製鉄事業法第十一条ノ規定ニ依リ所得税及営業収益税ノ免除ヲ受クル所得又ハ純益ハ其ノ製鉄事業ヨリ生ズル所得又ハ純益ニ法人ニ在リテハ当該事業年度、個人ニ在リテハ其ノ年ニ於テ配合シタル砂鉄又ハ製鉄事業法第十条ノ鉄鉱ノ重量ノ割合ヲ乗ジテ得タル金額ニ相当スル金額トス
第十三条 所得税ノ免除ヲ受ケントスル者ハ所得税法第二十四条又ハ第二十五条ノ規定ニ依リ所得ヲ申告スルトキ製鉄事業法第七条又ハ第十一条ノ規定ニ依リ計算シタル免除ヲ受クル所得及資本金額ノ明細書ヲ添附シ其ノ旨所轄税務署ニ申請スベシ
前項ノ場合ニ於テ所得税ノ免除ヲ受クル製鉄事業ヨリ生ズル所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スルトキハ之ヲ区別シタル計算書ヲ添附スベシ
第十四条 営業収益税ノ免除ヲ受ケントスル者ハ営業収益税法第十一条又ハ第十二条ノ規定ニ依リ純益金額ヲ申告スルトキ製鉄事業法第七条又ハ第十一条ノ規定ニ依リ計算シタル免除ヲ受クル純益及資本金額ノ明細書ヲ添附シ其ノ旨所轄税務署ニ申請スベシ
前項ノ場合ニ於テ営業収益税ノ免除ヲ受クル製鉄事業ヨリ生ズル純益ト其ノ他ノ純益トヲ有スルトキハ之ヲ区別シタル計算書ヲ添附スベシ
第十五条 製鉄事業法第十四条ノ奨励金ハ左ニ掲グル鋼材ニシテ本令施行後ノ製造ニ係リ其ノ製造者又ハ其ノ製造者ヨリ之ヲ譲受ケタル者ガ鉄鋼船ノ建造又ハ修繕ニ使用シタルモノニ付之ヲ交付ス但シ国ノ工場ニ於テ製造セラレタル鋼材ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 鋼塊及鋼片(鍛造用ノモノ)
二 条及竿(丁形、山形等ノ形状ヲ有スルモノ及タービンブレーディングヲ含ム)
三 
四 筒及管(鋳タルモノヲ除ク)
前項第一号ニ掲グル鋼材ヲ其ノ製造者ガ加工シテ譲渡シタルトキハ其ノ素材タル鋼材ニ付奨励金ヲ交付ス
第十六条 前条ノ奨励金ノ交付ヲ受ケントスル者ハ其ノ者ガ鋼材ヲ鉄鋼船ノ建造又ハ修繕ニ使用セントスル場合ニ在リテハ其ノ使用ノ前、其ノ他ノ場合ニ在リテハ鋼材引渡ノ前ニ其ノ鋼材ノ種類、数量、用途、製造時期及製造工場ヲ記載シタル届書ヲ商工大臣ニ提出スベシ
前項ノ届書ニハ其ノ鋼材ガ海軍艦船以外ノ船舶ノ建造又ハ修繕ニ使用セラルル場合ニ於テハ造船者又ハ船舶修繕者ガ商工大臣ノ定ムル事項ニ付管海官庁ノ承認ヲ受ケタルコトヲ証スル書面ヲ添附スベシ
第一項ノ届書ニ記載シタル事項ニ変更アリタルトキハ其ノ変更ノ事項ニ付遅滞ナク商工大臣ニ届出ヅベシ
第二項ノ管海官庁ノ承認ヲ受ケタル事項ニ変更アリタルトキハ其ノ変更ノ事項ニ付造船者又ハ船舶修繕者ガ管海官庁ノ承認ヲ受ケタルコトヲ証スル書面ヲ添附シ遅滞ナク商工大臣ニ届出ヅベシ
第十七条 第十五条ノ奨励金ノ交付ヲ受ケントスル者ハ前条ノ規定ニ依リ届出ヲ為シタル鋼材ガ海軍艦船ノ建造又ハ修繕ニ使用セラレタルトキハ海軍官憲ノ鋼材使用証明書ヲ添附シ、其ノ他ノ船舶ノ建造又ハ修繕ニ使用セラレタルトキハ鋼材使用説明書及造船者又ハ船舶修繕者ガ受ケタル管海官庁ノ竣工承認書ヲ添附シ奨励金交付申請書ヲ商工大臣ニ提出スベシ
第十八条 第十五条ノ奨励金ノ金額ハ左ノ区別ニ依ル
一 鋼塊及鋼片 其ノ価額ノ一割五分以内
二 条及竿 一瓲ニ付二十四円六十六銭以内
三 
甲 厚サ三粍ヲ超エザルモノ 一瓲ニ付三十一円五十銭以内
乙 其ノ他 一瓲ニ付二十四円六十六銭以内
四 筒及管
甲 内径百五十粍ヲ超エザルモノ 其ノ価額ノ一割八分以内
乙 其ノ他 其ノ価額ノ一割五分以内
五 関税定率法別表輸入税表第四六二号ノ二特殊鋼ニ該当スルモノ 其ノ価額ノ一割八分以内
前項第一号、第四号及第五号ノ価額ハ第十六条第一項ノ使用又ハ引渡ノ時ニ於ケル其ノ鋼材ト同種ノ鋼材ノ輸入ノ際ニ於ケル到著価格ヲ標準トシテ商工大臣之ヲ定ム
第十九条 輸入税ノ免除ヲ受クルコトヲ得ベキ器具、機械其ノ他ノ材料ハ商工大臣ノ定ムル物品ニシテ予メ商工大臣ノ認可ヲ受ケ輸入スルモノニ限ル
第二十条 輸入税ノ免除ヲ受ケントスル者ハ輸入申告書ニ前条ノ認可ヲ受ケタルコトヲ証スル書類ヲ添附スベシ
輸入申告ハ製鉄事業者ノ名ヲ以テスルコトヲ要ス
第二十一条 輸入税ノ免除ヲ受ケタル物品ヲ製鉄事業法第十六条ノ規定ニ依リ輸入税ノ免除ヲ受クルコトヲ得ベキ他ノ用途ニ供セントスル場合ニ於テハ商工大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ旨税関ニ申告スルコトヲ要ス
第二十二条 輸入税ノ免除ヲ受ケタル物品ヲ輸入ノ日ヨリ三年以内ニ目的タル用途又ハ前条ノ規定ニ依ル他ノ用途ニ供セザルトキハ其ノ輸入税ヲ追徴ス但シ已ムヲ得ザル事由ニ依リ其ノ期間ノ延長ニ付商工大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ旨税関ニ申告シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十三条 商工大臣必要アリト認ムルトキハ所得税及営業収益税ノ免除ヲ受ケントスル者ニ対シ製鉄事業ニ関スル書類又ハ製鉄原料若ハ製品ノ試料ノ提出ヲ命ジ又ハ当該官吏ヲシテ製鉄事業ニ関スル設備、帳簿其ノ他ノ物件ノ検査ヲ為サシムルコトヲ得輸入税ノ免除ヲ受ケ又ハ受ケントスル者ニ対シ亦同ジ
商工大臣必要アリト認ムルトキハ奨励金ノ交付ヲ受ケ又ハ受ケントスル者ニ対シ前項ノ書類又ハ試料ノ提出ヲ命ジ、当該官吏ヲシテ前項ノ検査ヲ為サシメ其ノ他必要ナル命令又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第二十四条 収税官吏又ハ税関官吏必要アリト認ムルトキハ前条第一項ノ検査ヲ為スコトヲ得
第二十五条 第十六条乃至第十八条及第二十三条第二項中商工大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督トス
附 則
第二十六条 本令ハ製鉄事業法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第二十七条 製鉄業奨励法施行令第十三条但書ノ規定ニ依リ為シタル認可又ハ申告ハ第二十一条ノ規定ニ依リ之ヲ為シタルモノト看做ス
製鉄事業法第四十四条ノ規定ニ依リ同法第十六条ノ認可ヲ受ケタルモノト看做サレタルモノノ輸入税ノ追徴ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
第二十八条 本令施行前ノ製造ニ係ル第十五条ノ鋼材ニシテ第十六条第一項ニ相当スル使用又ハ引渡ガ本令施行前ナルモノニ付テハ仍従前ノ例ニ依リ、本令施行後ナルモノニ付テハ本令ノ規定ニ準ジ奨励金ヲ交付ス