関東州国有財産令
法令番号: 勅令第四十八號
公布年月日: 昭和12年3月31日
法令の形式: 勅令
朕關東州國有財產令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年三月三十一日
內閣總理大臣 林銑十郞
大藏大臣 結城豊太郞
勅令第四十八號
關東州國有財產令
第一條 關東州ニ於ケル國有財產ニ關シテハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外國有財產法、國有財產法施行令及昭和二年法律第一號ニ依ル但シ國有財產法第十三條及第二十四條竝ニ國有財產法施行令第二條、第四條乃至第六條、第十四條、第十九條、第二十八條及第二十九條ノ規定ハ此ノ限ニ在ラズ
第二條 關東局ニ屬スル國有財產ニ關スル事務ハ滿洲國駐箚特命全權大使之ヲ管理スベシ
第三條 各省大臣公用財產ノ用途ヲ廢止セントスルトキハ豫メ之ヲ大使及大藏大臣ニ通知シ特ニ大使ト協定シタルモノヲ除クノ外用途廢止後遲滯ナク之ヲ大使ニ引繼グベシ但シ其ノ用途廢止ト同時ニ國有財產タルノ性質ヲ失フモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
大使前項ノ規定ニ依リ引繼ヲ受ケタルトキハ遲滯ナク之ヲ大藏大臣ニ通知スベシ
第四條 前條ノ規定ニ依リ引繼ヲ受ケタル財產又ハ之ト交換シタル財產ハ國有財產整理資金ノ爲大使之ヲ管理スベシ但シ大使大藏大臣ト協定シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第五條 大使各省大臣ノ管理ニ屬スル國有財產ノ管理換ヲ受ケントスルトキハ所管大臣及大藏大臣ニ協議スベシ
各省大臣大使ノ管理ニ屬スル國有財產ノ管理換ヲ受ケントスルトキハ大使及大藏大臣ニ協議スベシ
第六條 大使國有財產整理資金ノ爲管理スル雜種財產ヲ公用財產若ハ營林財產ト爲サントスルトキ又ハ讓與、交換若ハ無償ニテ貸付セントスルトキハ大藏大臣ニ協議スベシ
第七條 雜種財產ハ營利ヲ目的トセザル公共ノ利益ト爲ルベキ事業ニ供スル爲必要アルトキハ國有財產法第五條ノ規定ニ拘ラズ之ヲ當該事業者ニ讓與スルコトヲ得
第八條 國有財產ニ付境界ノ分明ナラザルモノアル場合ニ於テ當該官廳必要ト認メタルトキ又ハ隣接地所有者ノ申請アリタルトキハ當該官廳ハ其ノ境界査定ヲ民政署長ニ委囑スベシ
前項ニ規定スル委囑アリタルトキハ民政署長ハ其ノ境界査定ヲ施行スベシ
國有財產法施行令第十五條乃至第十八條中當該官廳トアルハ前項ノ規定ニ依リ境界査定ヲ施行スベキ民政署長トス
第九條 國有財產法第十二條ノ公吿ハ關東局局報ヲ以テ之ヲ爲シ且關係アル市長又ハ會長ヲシテ揭示其ノ他ノ方法ニ依リ之ヲ爲サシムベシ
第十條 隣接地所有者其ノ他境界査定ニ對シ不服アル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ裁定ヲ求ムルコトヲ得
第十一條 大使ハ其ノ管理ニ屬スル國有財產ニ付每會計年度間ニ於ケル國有財產增減報吿書ヲ調製シ翌年度七月三十一日迄ニ之ヲ所管大臣ニ送付スベシ
大使ハ其ノ管理ニ屬スル國有財產ニ付每五年三月三十一日現在ニ於ケル國有財產現在額報吿書ヲ調製シ其ノ年八月三十一日迄ニ之ヲ所管大臣ニ送付スベシ
第十二條 國有財產法施行令第三十八條ニ規定スル事項ハ大使ノ管理ニ屬スル國有財產ニ付テハ大使大藏大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
第十三條 國有財產法第三條ノ規定ハ關東局ニ屬スル國有財產ニ付之ヲ適用セズ
國有財產法施行令第三條、第八條但書及第三十八條ノ規定ハ大使ノ管理ニ屬スル國有財產ニ付之ヲ適用セズ
第十四條 大使ノ管理ニ屬スル國有財產ニ付テハ國有財產法第六條中法律トアルハ勅令、國有財產法施行令第一條中所管大臣又ハ第三十五條中各省大臣トアルハ大使、同令第三十條中所管ノ各省又ハ各省トアルハ關東局トス
附 則
第十五條 本令ハ昭和十二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十六條 本令施行ノ際ニ於ケル各省所管ノ雜種財產ハ第三條ノ規定ニ準ジ本令施行ノ日ノ現在ニ依リ之ヲ大使ニ引繼グベシ
第十七條 鹽田、造林又ハ牧野經營ニ關シ大使ノ定メタル命令中國有財產ノ無償貸付又ハ無償使用ニ關スル規定ニシテ本令施行ノ際現ニ存スルモノハ本令ニ拘ラズ當分ノ內仍其ノ效力ヲ有ス
第十八條 雜種財產ハ國有財產法第七條第一項ノ規定ニ依ル場合ヲ除クノ外當分ノ內土地及土地ノ定著物ニ限リ帝室用又ハ國、公共團體若ハ私人ニ於テ公共用、公用若ハ公益事業ニ供スル爲必要アルトキハ之ヲ他ノ土地及土地ノ定著物ト交換ヲ爲スコトヲ得
國有財產法第七條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第十九條 本令施行前國有財產ノ使用又ハ貸付ニ關シ爲シタル處分又ハ契約ニシテ本令施行ノ際現ニ其ノ效力ヲ有スルモノニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
第二十條 國有財產ノ增減異動ニシテ本令施行前ニ係ルモノノ報吿ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
第二十一條 本令施行ノ際國有財產ノ臺帳ニ登錄スベキ土地及立木ノ價格ハ其ノ購入、交換又ハ收用ニ係ルモノト雖モ爾後二年ヲ經過シタルモノニ付テハ國有財產法施行令第三十二條第一號又ハ第二號ノ規定ニ依リ算定シタル金額ニ依ル
第二十二條 國有財產現在額報吿書ノ第一囘分ハ昭和十二年三月三十一日ノ現在ニ依リ之ヲ調製スベシ
朕関東州国有財産令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年三月三十一日
内閣総理大臣 林銑十郎
大蔵大臣 結城豊太郎
勅令第四十八号
関東州国有財産令
第一条 関東州ニ於ケル国有財産ニ関シテハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外国有財産法、国有財産法施行令及昭和二年法律第一号ニ依ル但シ国有財産法第十三条及第二十四条並ニ国有財産法施行令第二条、第四条乃至第六条、第十四条、第十九条、第二十八条及第二十九条ノ規定ハ此ノ限ニ在ラズ
第二条 関東局ニ属スル国有財産ニ関スル事務ハ満洲国駐箚特命全権大使之ヲ管理スベシ
第三条 各省大臣公用財産ノ用途ヲ廃止セントスルトキハ予メ之ヲ大使及大蔵大臣ニ通知シ特ニ大使ト協定シタルモノヲ除クノ外用途廃止後遅滞ナク之ヲ大使ニ引継グベシ但シ其ノ用途廃止ト同時ニ国有財産タルノ性質ヲ失フモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
大使前項ノ規定ニ依リ引継ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク之ヲ大蔵大臣ニ通知スベシ
第四条 前条ノ規定ニ依リ引継ヲ受ケタル財産又ハ之ト交換シタル財産ハ国有財産整理資金ノ為大使之ヲ管理スベシ但シ大使大蔵大臣ト協定シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第五条 大使各省大臣ノ管理ニ属スル国有財産ノ管理換ヲ受ケントスルトキハ所管大臣及大蔵大臣ニ協議スベシ
各省大臣大使ノ管理ニ属スル国有財産ノ管理換ヲ受ケントスルトキハ大使及大蔵大臣ニ協議スベシ
第六条 大使国有財産整理資金ノ為管理スル雑種財産ヲ公用財産若ハ営林財産ト為サントスルトキ又ハ譲与、交換若ハ無償ニテ貸付セントスルトキハ大蔵大臣ニ協議スベシ
第七条 雑種財産ハ営利ヲ目的トセザル公共ノ利益ト為ルベキ事業ニ供スル為必要アルトキハ国有財産法第五条ノ規定ニ拘ラズ之ヲ当該事業者ニ譲与スルコトヲ得
第八条 国有財産ニ付境界ノ分明ナラザルモノアル場合ニ於テ当該官庁必要ト認メタルトキ又ハ隣接地所有者ノ申請アリタルトキハ当該官庁ハ其ノ境界査定ヲ民政署長ニ委嘱スベシ
前項ニ規定スル委嘱アリタルトキハ民政署長ハ其ノ境界査定ヲ施行スベシ
国有財産法施行令第十五条乃至第十八条中当該官庁トアルハ前項ノ規定ニ依リ境界査定ヲ施行スベキ民政署長トス
第九条 国有財産法第十二条ノ公告ハ関東局局報ヲ以テ之ヲ為シ且関係アル市長又ハ会長ヲシテ掲示其ノ他ノ方法ニ依リ之ヲ為サシムベシ
第十条 隣接地所有者其ノ他境界査定ニ対シ不服アル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ裁定ヲ求ムルコトヲ得
第十一条 大使ハ其ノ管理ニ属スル国有財産ニ付毎会計年度間ニ於ケル国有財産増減報告書ヲ調製シ翌年度七月三十一日迄ニ之ヲ所管大臣ニ送付スベシ
大使ハ其ノ管理ニ属スル国有財産ニ付毎五年三月三十一日現在ニ於ケル国有財産現在額報告書ヲ調製シ其ノ年八月三十一日迄ニ之ヲ所管大臣ニ送付スベシ
第十二条 国有財産法施行令第三十八条ニ規定スル事項ハ大使ノ管理ニ属スル国有財産ニ付テハ大使大蔵大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
第十三条 国有財産法第三条ノ規定ハ関東局ニ属スル国有財産ニ付之ヲ適用セズ
国有財産法施行令第三条、第八条但書及第三十八条ノ規定ハ大使ノ管理ニ属スル国有財産ニ付之ヲ適用セズ
第十四条 大使ノ管理ニ属スル国有財産ニ付テハ国有財産法第六条中法律トアルハ勅令、国有財産法施行令第一条中所管大臣又ハ第三十五条中各省大臣トアルハ大使、同令第三十条中所管ノ各省又ハ各省トアルハ関東局トス
附 則
第十五条 本令ハ昭和十二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十六条 本令施行ノ際ニ於ケル各省所管ノ雑種財産ハ第三条ノ規定ニ準ジ本令施行ノ日ノ現在ニ依リ之ヲ大使ニ引継グベシ
第十七条 塩田、造林又ハ牧野経営ニ関シ大使ノ定メタル命令中国有財産ノ無償貸付又ハ無償使用ニ関スル規定ニシテ本令施行ノ際現ニ存スルモノハ本令ニ拘ラズ当分ノ内仍其ノ効力ヲ有ス
第十八条 雑種財産ハ国有財産法第七条第一項ノ規定ニ依ル場合ヲ除クノ外当分ノ内土地及土地ノ定著物ニ限リ帝室用又ハ国、公共団体若ハ私人ニ於テ公共用、公用若ハ公益事業ニ供スル為必要アルトキハ之ヲ他ノ土地及土地ノ定著物ト交換ヲ為スコトヲ得
国有財産法第七条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第十九条 本令施行前国有財産ノ使用又ハ貸付ニ関シ為シタル処分又ハ契約ニシテ本令施行ノ際現ニ其ノ効力ヲ有スルモノニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
第二十条 国有財産ノ増減異動ニシテ本令施行前ニ係ルモノノ報告ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
第二十一条 本令施行ノ際国有財産ノ台帳ニ登録スベキ土地及立木ノ価格ハ其ノ購入、交換又ハ収用ニ係ルモノト雖モ爾後二年ヲ経過シタルモノニ付テハ国有財産法施行令第三十二条第一号又ハ第二号ノ規定ニ依リ算定シタル金額ニ依ル
第二十二条 国有財産現在額報告書ノ第一回分ハ昭和十二年三月三十一日ノ現在ニ依リ之ヲ調製スベシ