(国有財産法ヲ台湾ニ施行スルノ件)
法令番号: 勅令第三十六號
公布年月日: 昭和12年3月27日
法令の形式: 勅令
朕國有財產法ヲ臺灣ニ施行スルノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年三月二十六日
內閣總理大臣 林銑十郞
大藏大臣兼拓務大臣 結城豊太郞
勅令第三十六號
第一條 國有財產法ハ第二十四條及行政訴訟ニ關スル規定ヲ除クノ外之ヲ臺灣ニ施行ス
第二條 臺灣總督府ニ屬スル國有財產ニ關スル事務ハ臺灣總督之ヲ管理スベシ
第三條 各省大臣公用財產ノ用途ヲ廢止セントスルトキハ豫メ之ヲ臺灣總督及大藏大臣ニ通知シ特ニ臺灣總督ト協定シタルモノヲ除クノ外用途廢止後遲滯ナク之ヲ臺灣總督ニ引繼グベシ但シ其ノ用途廢止ト同時ニ國有財產タルノ性質ヲ失フモノ及大學資金ニ屬スルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
臺灣總督前項ノ規定ニ依リ引繼ヲ受ケタルトキハ遲滯ナク之ヲ大藏大臣ニ通知スベシ
第四條 前條ノ規定ニ依リ引繼ヲ受ケタル財產又ハ之ト交換シタル財產ハ國有財產整理資金ノ爲臺灣總督之ヲ管理スベシ但シ臺灣總督大藏大臣ト協定シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第五條 臺灣總督各省大臣ノ管理ニ屬スル國有財產ノ管理換ヲ受ケントスルトキハ所管大臣及大藏大臣ニ協議スベシ
各省大臣臺灣總督ノ管理ニ屬スル國有財產ノ管理換ヲ受ケントスルトキハ臺灣總督及大藏大臣ニ協議スベシ
第六條 臺灣總督國有財產整理資金ノ爲管理スル雜種財產ヲ公用財產若ハ營林財產ト爲サントスルトキ又ハ公用財產ト爲スノ目的ヲ以テ交換セントスルトキハ大藏大臣ニ協議スベシ
第七條 雜種財產ハ營利ヲ目的トセザル公共ノ利益ト爲ルベキ事業ニ供スル爲必要アルトキハ國有財產法第五條ノ規定ニ拘ラズ之ヲ當該事業者ニ讓與スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ其ノ財產ガ國有財產整理資金ノ爲管理セラルルモノナルトキハ臺灣總督ハ大藏大臣ニ協議スベシ
第八條 國有財產ニ付境界ノ分明ナラザルモノアル場合ニ於テ當該官廳必要ト認メタルトキ又ハ隣接地所有者ノ申請アリタルトキハ當該官廳ハ其ノ境界査定ヲ知事又ハ廳長ニ委囑スベシ
前項ニ規定スル委囑アリタルトキハ知事又ハ廳長ハ其ノ境界査定ヲ施行スベシ
國有財產法施行令第十五條乃至第十八條中當該官廳トアルハ前項ノ規定ニ依リ境界査定ヲ施行スベキ知事又ハ廳長トス
第九條 國有財產法第十二條ノ公吿ハ臺灣總督府報ヲ以テ之ヲ爲シ且關係アル市尹、街庄長又ハ大正九年勅令第三百六十一號第二條ノ區長ヲシテ揭示其ノ他ノ方法ニ依リ之ヲ爲サシムベシ
第十條 臺灣總督ハ其ノ管理ニ屬スル國有財產ニ付每會計年度間ニ於ケル國有財產增減報吿書ヲ調製シ翌年度七月三十一日迄ニ之ヲ拓務大臣ニ送付スベシ
臺灣總督ハ其ノ管理ニ屬スル國有財產ニ付每五年三月三十一日現在ニ於ケル國有財產現在額報吿書ヲ調製シ其ノ年八月三十一日迄ニ之ヲ拓務大臣ニ送付スベシ
第十一條 國有財產法施行令第三十八條ニ規定スル事項ハ臺灣總督ノ管理ニ屬スル國有財產ニ付テハ臺灣總督大藏大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
第十二條 國有財產法第三條ノ規定ハ臺灣總督府ニ屬スル國有財產ニ付之ヲ適用セズ
國有財產法施行令第二條、第四條、第五條、第十四條及第十九條ノ規定ハ臺灣ニ於ケル國有財產ニ付之ヲ適用セズ
國有財產法施行令第三條、第八條但書及第三十六條乃至第三十八條ノ規定ハ臺灣總督ノ管理ニ屬スル國有財產ニ付之ヲ適用セズ
第十三條 臺灣總督ノ管理ニ屬スル國有財產ニ付テハ國有財產法施行令第一條中所管大臣又ハ第三十五條中各省大臣トアルハ臺灣總督、同令第三十條中所管ノ各省又ハ各省トアルハ臺灣總督府トス
附 則
第十四條 本令ハ昭和十二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十五條 明治三十年勅令第百七十四號、明治三十年勅令第三百八十九號及臺灣官有財產管理規則ハ之ヲ廢止ス但シ臺灣官有財產管理規則第六條第三號及第五號ノ規定ハ當分ノ內仍其ノ效力ヲ有ス
第十六條 臺灣官有森林原野及產物特別處分令、臺灣鹽田規則、臺灣樟樹造林奬勵規則、臺灣森林令及臺灣都市計畫令中ノ國有財產ノ賣拂、讓與、貸付又ハ貸付ニ依ラザル使用若ハ收益ニ關スル事項ニ付テハ國有財產法トノ關係ニ於テハ當分ノ內當該勅令又ハ律令ニ依ル
第十七條 本令施行ノ際現ニ存スル官租地ノ貸付ニ付テハ當分ノ內仍從前ノ例ニ依ル
第十八條 官有財產ノ增減異動ニシテ本令施行前ニ係ルモノノ報吿ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
第十九條 國有財產現在額報吿書ノ第一囘分ハ昭和十二年三月三十一日ノ現在ニ依リ之ヲ調製スベシ
第二十條 國有財產法、國有財產法施行令及本令中國有財產ノ臺帳、計算書及報吿書ニ關スル規定ハ當分ノ內國有ノ林野及蕃地ニ付之ヲ適用セズ但シ國有財產ノ臺帳記載事項ニ付調査ヲ爲シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十一條 本令施行ノ際國有財產ノ臺帳ニ登錄スベキ土地及立木竹ノ價格ハ臺灣總督ノ定ムル所ニ依リ算定シタル金額ニ依ル
朕国有財産法ヲ台湾ニ施行スルノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年三月二十六日
内閣総理大臣 林銑十郎
大蔵大臣兼拓務大臣 結城豊太郎
勅令第三十六号
第一条 国有財産法ハ第二十四条及行政訴訟ニ関スル規定ヲ除クノ外之ヲ台湾ニ施行ス
第二条 台湾総督府ニ属スル国有財産ニ関スル事務ハ台湾総督之ヲ管理スベシ
第三条 各省大臣公用財産ノ用途ヲ廃止セントスルトキハ予メ之ヲ台湾総督及大蔵大臣ニ通知シ特ニ台湾総督ト協定シタルモノヲ除クノ外用途廃止後遅滞ナク之ヲ台湾総督ニ引継グベシ但シ其ノ用途廃止ト同時ニ国有財産タルノ性質ヲ失フモノ及大学資金ニ属スルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
台湾総督前項ノ規定ニ依リ引継ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク之ヲ大蔵大臣ニ通知スベシ
第四条 前条ノ規定ニ依リ引継ヲ受ケタル財産又ハ之ト交換シタル財産ハ国有財産整理資金ノ為台湾総督之ヲ管理スベシ但シ台湾総督大蔵大臣ト協定シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第五条 台湾総督各省大臣ノ管理ニ属スル国有財産ノ管理換ヲ受ケントスルトキハ所管大臣及大蔵大臣ニ協議スベシ
各省大臣台湾総督ノ管理ニ属スル国有財産ノ管理換ヲ受ケントスルトキハ台湾総督及大蔵大臣ニ協議スベシ
第六条 台湾総督国有財産整理資金ノ為管理スル雑種財産ヲ公用財産若ハ営林財産ト為サントスルトキ又ハ公用財産ト為スノ目的ヲ以テ交換セントスルトキハ大蔵大臣ニ協議スベシ
第七条 雑種財産ハ営利ヲ目的トセザル公共ノ利益ト為ルベキ事業ニ供スル為必要アルトキハ国有財産法第五条ノ規定ニ拘ラズ之ヲ当該事業者ニ譲与スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ其ノ財産ガ国有財産整理資金ノ為管理セラルルモノナルトキハ台湾総督ハ大蔵大臣ニ協議スベシ
第八条 国有財産ニ付境界ノ分明ナラザルモノアル場合ニ於テ当該官庁必要ト認メタルトキ又ハ隣接地所有者ノ申請アリタルトキハ当該官庁ハ其ノ境界査定ヲ知事又ハ庁長ニ委嘱スベシ
前項ニ規定スル委嘱アリタルトキハ知事又ハ庁長ハ其ノ境界査定ヲ施行スベシ
国有財産法施行令第十五条乃至第十八条中当該官庁トアルハ前項ノ規定ニ依リ境界査定ヲ施行スベキ知事又ハ庁長トス
第九条 国有財産法第十二条ノ公告ハ台湾総督府報ヲ以テ之ヲ為シ且関係アル市尹、街庄長又ハ大正九年勅令第三百六十一号第二条ノ区長ヲシテ掲示其ノ他ノ方法ニ依リ之ヲ為サシムベシ
第十条 台湾総督ハ其ノ管理ニ属スル国有財産ニ付毎会計年度間ニ於ケル国有財産増減報告書ヲ調製シ翌年度七月三十一日迄ニ之ヲ拓務大臣ニ送付スベシ
台湾総督ハ其ノ管理ニ属スル国有財産ニ付毎五年三月三十一日現在ニ於ケル国有財産現在額報告書ヲ調製シ其ノ年八月三十一日迄ニ之ヲ拓務大臣ニ送付スベシ
第十一条 国有財産法施行令第三十八条ニ規定スル事項ハ台湾総督ノ管理ニ属スル国有財産ニ付テハ台湾総督大蔵大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
第十二条 国有財産法第三条ノ規定ハ台湾総督府ニ属スル国有財産ニ付之ヲ適用セズ
国有財産法施行令第二条、第四条、第五条、第十四条及第十九条ノ規定ハ台湾ニ於ケル国有財産ニ付之ヲ適用セズ
国有財産法施行令第三条、第八条但書及第三十六条乃至第三十八条ノ規定ハ台湾総督ノ管理ニ属スル国有財産ニ付之ヲ適用セズ
第十三条 台湾総督ノ管理ニ属スル国有財産ニ付テハ国有財産法施行令第一条中所管大臣又ハ第三十五条中各省大臣トアルハ台湾総督、同令第三十条中所管ノ各省又ハ各省トアルハ台湾総督府トス
附 則
第十四条 本令ハ昭和十二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十五条 明治三十年勅令第百七十四号、明治三十年勅令第三百八十九号及台湾官有財産管理規則ハ之ヲ廃止ス但シ台湾官有財産管理規則第六条第三号及第五号ノ規定ハ当分ノ内仍其ノ効力ヲ有ス
第十六条 台湾官有森林原野及産物特別処分令、台湾塩田規則、台湾樟樹造林奨励規則、台湾森林令及台湾都市計画令中ノ国有財産ノ売払、譲与、貸付又ハ貸付ニ依ラザル使用若ハ収益ニ関スル事項ニ付テハ国有財産法トノ関係ニ於テハ当分ノ内当該勅令又ハ律令ニ依ル
第十七条 本令施行ノ際現ニ存スル官租地ノ貸付ニ付テハ当分ノ内仍従前ノ例ニ依ル
第十八条 官有財産ノ増減異動ニシテ本令施行前ニ係ルモノノ報告ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
第十九条 国有財産現在額報告書ノ第一回分ハ昭和十二年三月三十一日ノ現在ニ依リ之ヲ調製スベシ
第二十条 国有財産法、国有財産法施行令及本令中国有財産ノ台帳、計算書及報告書ニ関スル規定ハ当分ノ内国有ノ林野及蕃地ニ付之ヲ適用セズ但シ国有財産ノ台帳記載事項ニ付調査ヲ為シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十一条 本令施行ノ際国有財産ノ台帳ニ登録スベキ土地及立木竹ノ価格ハ台湾総督ノ定ムル所ニ依リ算定シタル金額ニ依ル