第一條 本法施行地ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル者ニシテ外貨債ヲ所有スル者ニハ本法ニ依リ外貨債特別稅ヲ課ス
本法ニ於テ外貨債ト稱スルハ外國通貨ヲ以テ表示スル國債及地方債竝ニ日本法人ノ發行シタル社債ヲ謂フ
所得稅法第三條ノ二第一項(但書ヲ除ク)及第二項ノ規定ハ信託財產タル外貨債ノ利子ニ付之ヲ準用ス
第三條 外貨債利子ハ一月一日ヨリ六月三十日迄及七月一日ヨリ十二月三十一日迄ノ各期間中ニ於テ收入シタル外貨債ノ利子金額ニ依ル被相續人ノ收入シタル外貨債ノ利子金額ハ之ヲ相續人ノ收入シタル外貨債ノ利子金額ハ之ヲ相續人ノ收入シタル外貨債ノ利子金額ト看做ス
外貨債ニ付元本ノ所有者ニ非ザル者ガ利子ノ支拂ヲ受クルトキハ元本ノ所有者ガ支拂ヲ受クルモノト看做ス但シ利子ノ生ズル期間中ニ元本ノ所有者ニ異動アリタルトキハ最後ノ所有者ヲ以テ利子ノ支拂ヲ受クル者ト看做ス
第五條 外貨債特別稅ハ外貨債利子金額中外貨國債ニ在リテハ利率年五分、外貨國債以外ノ外貨債ニ在リテハ利率年五分五厘ニ相當スル金額ヲ超ユル金額ニ十分ノ七ヲ乘ジタル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第六條 外貨債特別稅ニ付納稅義務アル者ハ外貨債利子金額ヲ政府ニ申吿スベシ
第七條 外貨債利子金額ハ前條ノ申吿ニ依リ、申吿ナキトキ又ハ申吿ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
第八條 前條ノ規定ニ依リ外貨債利子金額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ納稅義務者ニ通知スベシ
第九條 外貨債特別稅ハ左ノ納期ニ於テ之ヲ徵收ス
一月一日ヨリ六月三十日迄ニ收入シタル利子ニ對スル分 其ノ年七月三十一日限
七月一日ヨリ十二月三十一日迄ニ收入シタル利子ニ對スル分 翌年一月三十一日限
納稅義務者納稅管理人ノ申吿ヲ爲サズシテ本法施行地外ニ住所若ハ居所ヲ移ストキ又ハ法人解散シ淸算結了セントスルトキハ前項ノ納期ニ拘ラズ直ニ其ノ外貨債特別稅ヲ徵收スルコトヲ得
第十條 收稅官吏ハ調査上必要アルトキハ外貨債ノ利子ノ支拂ヲ受ケ若ハ支拂ヲ爲スト認ムル者又ハ外貨債ノ利札ノ賣却若ハ買入ヲ爲スト認ムル者ニ質問ヲ爲シ又ハ其ノ帳簿物件ヲ檢査スルコトヲ得
第十一條 前條ノ規定ニ依ル帳簿物件ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ虛僞ノ記載ヲ爲シタル帳簿書類ヲ呈示シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十二條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ外貨債特別稅ヲ逋脫シタル者ハ其ノ逋脫シタル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科料ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ自首シタル者又ハ稅務署長ニ申出デタル者ハ其ノ罪ヲ問ハズ
第十三條 外貨債特別稅ノ調査ノ事務ニ從事シ又ハ從事シタル者其ノ調査ニ關シ知得タル祕密ヲ正當ノ事由ナクシテ漏洩シタルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十四條 第十二條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及第六十六條ノ規定ヲ適用セズ
第十五條 所得稅法第十二條、第七十二條第一項及第七十三條ノ規定ハ外貨債特別稅ニ付之ヲ準用ス
第十六條 大正九年法律第十二號第三條ノ規定ハ外貨債特別稅ニ付之ヲ準用ス
朝鮮、臺灣、關東州又ハ樺太ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル者ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ外貨債特別稅ヲ課セズ
第十七條 北海道、府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ハ外貨債特別稅ノ附加稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第十八條 外貨債特別稅ヲ課セラルル外貨債ノ利子ニ付所得稅(第一種所得稅ヲ除ク)又ハ資本利子稅ヲ課スル場合ニ於テハ其ノ利子金額ヨリ外貨債特別稅相當額ヲ控除シタル殘額ヲ以テ其ノ利子金額ト看做ス