第一條 治安維持法ノ罪ヲ犯シタル者ニ對シ刑ノ執行猶豫ノ言渡アリタル場合又ハ訴追ヲ必要トセザル爲公訴ヲ提起セザル場合ニ於テハ保護觀察審査會ノ決議ニ依リ本人ヲ保護觀察ニ付スルコトヲ得本人刑ノ執行ヲ終リ又ハ假出獄ヲ許サレタル場合亦同ジ
第二條 保護觀察ニ於テハ本人ヲ保護シテ更ニ罪ヲ犯スノ危險ヲ防止スル爲其ノ思想及行動ヲ觀察スルモノトス
第三條 保護觀察ハ本人ヲ保護觀察所ノ保護司ノ觀察ニ付シ又ハ保護者ニ引渡シ若ハ保護團體、寺院、敎會、病院其ノ他適當ナル者ニ委託シテ之ヲ爲ス
第四條 保護觀察ニ付セラレタル者ニ對シテハ居住、交友又ハ通信ノ制限其ノ他適當ナル條件ノ遵守ヲ命ズルコトヲ得
第五條 保護觀察ノ期間ハ二年トス特ニ繼續ノ必要アル場合ニ於テハ保護觀察審査會ノ決議ニ依リ之ヲ更新スルコトヲ得
第六條 第一條ニ定ムル事由ノ生ジタル場合ニ於テ必要アルトキハ本人ニ對シ保護觀察審査會ノ決議前假ニ第三條ノ處分ヲ爲スコトヲ得
第七條 第三條又ハ第四條ノ處分ハ其ノ執行中何時ニテモ之ヲ取消シ又ハ變更スルコトヲ得前條ノ處分ニ付亦同ジ
第八條 保護觀察所ハ必要アルトキハ保護司ヲシテ本人ヲ同行セシムルコトヲ得
第九條 保護觀察所及保護司ハ其ノ職務ヲ行フニ付公務所又ハ公務員ニ對シ囑託ヲ爲シ其ノ他必要ナル補助ヲ求ムルコトヲ得
第十條 本人ヲ保護團體、寺院、敎會、病院又ハ適當ナル者ニ委託シタルトキハ委託ヲ受ケタル者ニ對シ之ニ因リテ生ジタル費用ノ全部又ハ一部ヲ給付スルコトヲ得
第十一條 前條ノ費用ハ保護觀察所ノ命令ニ依リ本人又ハ本人ヲ扶養スル義務アル者ヨリ其ノ全部又ハ一部ヲ徵收スルコトヲ得此ノ命令ニ付テハ非訟事件手續法第二百八條ノ規定ヲ準用ス
前項ノ命令ニ不服アル者ハ命令ノ吿知ヲ受ケタル日ヨリ一月內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得此ノ出訴ハ執行停止ノ效力ヲ有セズ
第十二條 少年ニシテ治安維持法ノ罪ヲ犯シタル者ニハ少年法ノ保護處分ニ關スル規定ヲ適用セズ
第十三條 本法ハ陸軍刑法第八條、第九條及海軍刑法第八條、第九條ニ揭グル者ニハ之ヲ適用セズ
第十四條 保護觀察所及保護觀察審査會ノ組織及權限竝ニ保護觀察ノ實行ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム