商工会議所法
法令番号: 法律第四十九號
公布年月日: 昭和2年4月5日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル商工會議所法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年四月四日
內閣總理大臣 若槻禮次郞
商工大臣 藤澤幾之輔
法律第四十九號
商工會議所法
第一條 商工會議所ハ商工業ノ改善發達ヲ圖ルヲ以テ目的トス
第二條 商工會議所ハ法人トス
第三條 商工會議所ノ地區ハ市ノ區域ニ依ル但シ商工業ノ狀況ニ依リ必要アル場合ニ於テハ町ノ區域ニ依ルコトヲ得
特別ノ事情アル場合ニ於テハ市ト市町村又ハ町ト町村ヲ合シテ一地區ト爲スコトヲ得
第四條 商工會議所ヲ設立セントスルトキハ第十二條第一號ノ議員ノ被選擧權ヲ有スベキ者三十人以上發起人ト爲リ其ノ議員ノ選擧權ヲ有スベキ者三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五條 商工會議所ハ前條ノ設立ノ認可アリタル日ニ於テ成立ス
商工會議所成立ノ後役員ノ選任アル迄ノ間必要ナル事務ハ發起人之ヲ行フ
第六條 定款ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 名稱、地區及事務所ノ所在地
二 議員ノ定數竝ニ其ノ選擧及選定ニ關スル規定
三 役員ノ定數、權限及選任ニ關スル規定
四 會議ニ關スル規定
五 事業及其ノ執行ニ關スル規定
六 庶務及會計ニ關スル規定
第七條 商工會議所ハ其ノ目的ヲ達スル爲左ノ事業ヲ行フ
一 商工業ニ關スル通報
二 商工業ニ關スル仲介又ハ斡旋
三 商工業ニ關スル調停又ハ仲裁
四 商工業ニ關スル證明又ハ鑑定
五 商工業ニ關スル統計ノ調查及編纂
六 商工業ニ關スル營造物ノ設置及管理
七 其ノ他商工業ノ改善發達ヲ圖ルニ必要ナル事業
第八條 商工會議所ハ商工業ニ關スル事項ニ付行政廳ニ建議スルコトヲ得
商工會議所ハ行政廳ノ諮問ニ對シ答申スベシ
商工會議所ニ商業部及工業部ヲ置ク場合ニ於テハ部ハ定款ノ定ムル所ニ依リ各前二項ノ建議又ハ答申ヲ爲スコトヲ得
第九條 行政官廳ハ商工會議所ニ對シ商工業ニ關スル事項ノ調查ヲ命ズルコトヲ得
第十條 商工會議所ハ商工業者ニ對シ商工業ニ關スル統計其ノ他ノ調查ヲ爲ス爲必要ナル資料ノ提出ヲ求ムルコトヲ得
第十一條 商工會議所ニ議員總會ヲ置ク
第十二條 議員總會ハ左ニ揭グル者ヲ以テ之ヲ組織ス
一 第十四條乃至第十八條ノ規定ニ依リ被選擧權アル者ニ就キ選擧人ノ選擧シタル議員
二 地區內ノ重要商工業ヲ代表セシムル爲第十九條ノ規定ニ依リ選定シタル議員
第十三條 議員ノ定數ハ五十人以內トシ前條第二號ノ議員ノ員數ハ議員定數ノ五分ノ一トス但シ地方ノ狀況ニ依リ其ノ割合ヲ五分ノ一未滿トスルコトヲ妨ゲズ
同一商工會議所ニ於テ前條第一號ノ議員ト同條第二號ノ議員トヲ兼ヌルコトヲ得ズ
第十四條 左ノ條件ヲ具フル者ハ第十二條第一號ノ議員ノ選擧權ヲ有ス
一 帝國臣民又ハ帝國法令ニ依リ設立シタル會社ナルコト但シ會社ニ在リテハ資本又ハ財產ヲ目的トスル出資ノ半額以上及議決權ノ過半數ガ帝國臣民(帝國法令ニ依リ設立シタル法人ヲ含ム)ニ屬スルモノタルコトヲ要ス
二 商工會議所ノ地區內ニ於テ引續キ二年以上本店、支店其ノ他ノ營業場ヲ有スルコト
三 自己ノ名ヲ以テ商行爲ヲ爲スヲ業トスル者、取引所又ハ鑛業權者ニシテ商工會議所ノ地區內ニ於テ營業收益稅、取引所營業稅又ハ鑛產稅ヲ一年間ニ命令ノ定ムル額以上納ムルコト但シ地區外ニモ營業場ヲ有スル者ノ納稅額ノ算出方法ニ付テハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
前項第三號ノ納稅額決定以前ニ於テハ其ノ最近ニ決定セラレタル一年間ノ納稅額ヲ以テ其ノ納稅額ト看做ス
會社ノ資本又ハ財產ヲ目的トスル出資ガ命令ノ定ムル金額以上ナル場合ニ於テハ第一項第三號ノ納稅ニ關スル條件ヲ具ヘザルトキト雖モ第一項ノ選擧權ヲ有ス
家督相續ヲ爲シタル者ニ付テハ第一項ノ選擧權ニ關スル條件ニシテ被相續人ノ具備シタルモノハ之ヲ其ノ者ノ具備シタルモノト看做ス
合併後存續スル會社又ハ合併ニ因リテ設立シタル會社ニ付テハ前項ノ規定ヲ準用ス
第十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ前條ノ選擧權ヲ有セズ
一 破產者ニシテ復權ヲ得ザル者
二 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
三 六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
第十六條 第十二條第一號ノ議員ノ選擧權ヲ有スル者ハ其ノ被選擧權ヲ有ス
第十七條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ前條ノ被選擧權ヲ有セズ
一 禁治產者及準禁治產者
二 女子及年齡三十歲未滿ノ者
第十八條 第十二條第一號ノ議員ノ選擧ハ投票ニ依リ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
投票ハ選擧人自ラ之ヲ行フ但シ會社及無能力者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ代人ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ單記投票又ハ五人以內ノ連名投票ノ方法ニ依ル
選擧ハ選擧人ヲ二級ニ分チテ之ヲ行フコトヲ得
前五項ニ規定スルモノノ外選擧ノ方法、手續、取締其ノ他選擧ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條 第十二條第二號ノ議員ハ地區內ノ重要商工業一業種ニ付各一人トス
前項ノ重要商工業ノ種目ハ定款ヲ以テ之ヲ定ム
第一項ノ議員ハ第十四條第一項第一號ノ條件ヲ具フル者タルコトヲ要ス
第十五條又ハ第十七條各號ノ一ニ該當スル者ハ第一項ノ議員タルコトヲ得ズ
前四項ニ規定スルモノノ外第一項ノ議員ノ選定ニ關シテハ定款ノ定ムル所ニ依ル
第二十條 議員タル會社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ代表者ヲ定ムベシ
前項ノ代表者ハ會社ノ業務ヲ執行スル社員若ハ役員又ハ登記シタル支配人ニシテ帝國臣民タルコトヲ要ス
一人ニシテ同一商工會議所ニ於テ二以上ノ會社ノ代表者ト爲ルコトヲ得ズ
第二十一條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ前條ノ代表者タルコトヲ得ズ
一 第十五條又ハ第十七條各號ノ一ニ該當スル者
二 同一商工會議所ノ議員タル者
三 第十二條第一號ノ議員ノ選擧權及被選擧權停止中ノ者
第二十二條 議員ハ名譽職トス
第二十三條 議員ノ任期ハ四年トス
前項ノ期間ハ第十二條第一號ノ議員ノ總選擧ノ第一日ヨリ之ヲ起算ス
補闕議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任ス
第二十四條 第十二條第一號ノ議員ニシテ其ノ被選擧權ヲ有セザルニ至リタル者ハ其ノ職ヲ失フ但シ納稅ニ關スル條件ヲ失ヒタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十二條第一號ノ議員ニシテ其ノ選擧權及被選擧權ヲ停止セラレタル者亦前項ニ同ジ
第二十五條 左ノ事項ハ議員總會ノ議決ヲ經ルコトヲ要ス
一 定款ノ變更
二 經費ノ豫算及賦課徵收方法
三 事業報告及收支決算ノ承認
四 借入金
五 顧問ノ選任又ハ解任
六 議員又ハ役員ノ解任
七 過怠金ノ賦課
八 第十二條第一號ノ議員ノ選擧權及被選擧權ノ停止
九 商工會議所ノ解散
十 日本商工會議所設立ノ同意
十一 其ノ他重要ナル事項
前項第一號、第二號、第四號及第九號ニ揭グル事項ノ議決ハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十六條 議員總會ハ會頭之ヲ招集ス
議員總會ノ議長ハ會頭、會頭事故アルトキハ副會頭ヲ以テ之ニ充ツ會頭及副會頭共ニ事故アルトキハ出席議員ノ互選ニ依リ議長ヲ定ム
議員總會ハ議員三分ノ一以上出席スルニ非ザレバ之ヲ開クコトヲ得ズ
議員總會ノ議決ハ出席議員ノ過半數ニ依リ可否同數ナルトキハ議長之ヲ決ス
前條第一項第一號、第四號及第六號乃至第九號ニ揭グル事項ノ議決ハ議員三分ノ二以上出席シ其ノ出席議員三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ爲スベシ
第二十七條 商工會議所ニ左ノ役員ヲ置ク
會頭 一人
副會頭 一人又ハ二人
會頭ハ商工會議所ヲ代表シ所務ヲ總理ス
副會頭ハ會頭ヲ補佐シ會頭事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理ス
會頭及副會頭ノ外商工會議所ニハ定款ノ定ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第二十八條 役員ハ議員總會ニ於テ議員中ヨリ之ヲ選任ス
第二十九條 役員ノ任期ハ四年トス
前項ノ期間ハ第十二條第一號ノ議員ノ總選擧ノ第一日ヨリ之ヲ起算ス
第三十條 役員議員ノ職ヲ失ヒタルトキハ役員ノ職ヲ失フ
第三十一條 議員タル會社役員ニ選任セラレタル後第二十條第一項ノ規定ニ依ル其ノ代表者ニ異動ヲ生ジタルトキハ其ノ會社ハ役員ノ職ヲ失フ
第三十二條 役員ノ職務終了シタル場合ニ於テ所務ノ遂行ニ支障ヲ生ズル虞アルトキハ退職シタル役員ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ後任者ノ就職スル迄引續キ仍其ノ職務ヲ行フコトヲ得
第三十三條 商工會議所ハ定款ノ定ムル所ニ依リ重要ナル事項ニ付諮問ヲ爲ス爲議員定數ノ五分ノ一ヲ超エザル員數ノ顧問ヲ置クコトヲ得
顧問ハ商工業ニ關スル學識經驗アル者又ハ十年以上議員トシテ功勞顯著ナル者ヨリ之ヲ選任ス
顧問ハ名譽職トス
第三十四條 商工會議所ニ理事一人ヲ置ク
理事ハ會頭ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
理事ノ外商工會議所ニハ定款ノ定ムル所ニ依リ他ノ職員ヲ置クコトヲ得
第三十五條 商工會議所ハ必要ニ應ジ商業部、工業部又ハ其ノ他ノ部ヲ置クコトヲ得
部ノ名稱、組織、權限其ノ他部ニ關シ必要ナル事項ハ定款ヲ以テ之ヲ定ム
第三十六條 商工會議所ハ第十二條第一號ノ議員ノ選擧權ヲ有スル者ニ對シ經費ヲ賦課スルコトヲ得
第四十一條又ハ第五十二條ノ規定ニ依リ選擧權ヲ停止セラレタル者ニ對シテハ停止中ト雖モ經費ヲ賦課スルコトヲ得
商工會議所ノ經費賦課ノ額ニ關スル制限及經費賦課ノ方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十七條 商工會議所ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款違反者ヨリ過怠金ヲ徵收スルコトヲ得
第三十八條 經費又ハ過怠金ヲ滯納スル者アル場合ニ於テ會頭ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ商工會議所ハ其ノ徵收金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スベシ
前項ノ徵收金ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徵收金ニ次デ先取特權ヲ有シ其ノ時效ニ付テハ市町村稅ノ例ニ依ル
經費ノ賦課又ハ過怠金ノ徵收ニ關シテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ異議ノ申立、訴願及行政訴訟ヲ爲スコトヲ得
第三十九條 商工會議所ハ定款ノ定ムル所ニ依リ使用料及手數料ヲ徵收スルコトヲ得
前項ノ使用料及手數料ノ徵收ニ關シテハ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第四十條 商工會議所ハ職務ヲ怠リ其ノ他不正ノ行爲アリタル議員又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第四十一條 商工會議所ハ經費ヲ滯納シタル者ニ對シ其ノ滯納中、前條ノ規定ニ依リ解任セラレタル者ニ對シ解任ノ時ヨリ四年以內第十二條第一號ノ議員ノ選擧權及被選擧權ヲ停止スルコトヲ得
第四十二條 商工會議所ハ收支決算ヲ主務大臣ニ報告スベシ
商工會議所ハ少クトモ每年一囘其ノ事業成績ヲ主務大臣ニ報告スベシ
第四十三條 商工會議所ハ解散ノ後ト雖モ淸算ノ目的ノ範圍內ニ於テハ仍存續スルモノト看做ス
第四十四條 商工會議所解散シタルトキハ議員總會ニ於テ淸算人ヲ選任スベシ淸算人缺ケタルトキ亦同ジ
淸算人ノ選任ハ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
第四十五條 前條ノ規定ニ依リ淸算人タル者ナキトキハ行政官廳淸算人ヲ選任ス
第四十六條 淸算人ハ商工會議所ヲ代表シ淸算ヲ爲スニ必要ナル一切ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
第四十七條 淸算人ハ淸算及財產處分ノ方法ヲ定メ議員總會ノ議決ヲ經主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
議員總會前項ノ議決ヲ爲サズ又ハ爲スコト能ハザルトキハ淸算人ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ淸算及財產處分ノ方法ヲ定ムベシ
第四十八條 商工會議所ハ解散ノ後ト雖モ其ノ債務ヲ完濟スルニ必要ナル金額ヲ賦課徵收スルコトヲ得
前項ノ賦課徵收ニ關シテハ第三十六條及第三十八條ノ規定ヲ準用ス
第四十九條 主務大臣必要ト認ムルトキハ定款、經費ノ豫算及賦課徵收方法又ハ淸算及財產處分ノ方法ノ變更ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第五十條 第十二條第一號ノ議員ノ選擧法令又ハ定款ニ違反スルトキハ主務大臣ハ選擧又ハ當選ノ取消ヲ爲スコトヲ得
第五十一條 商工會議所ノ議決又ハ議員、役員若ハ淸算人ノ行爲法令若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ主務大臣ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 議員、役員又ハ淸算人ノ解任
二 商工會議所ノ議決ノ取消
三 商工會議所ノ事業ノ停止
四 商工會議所ノ解散
第五十二條 主務大臣ハ不正ノ行爲アリタルニ因リ第五十條ノ規定ニ基キ當選ヲ取消サレタル者又ハ前條第一號ノ規定ニ依リ解任セラレタル議員若ハ役員ニ對シ取消又ハ解任ノ時ヨリ四年以內第十二條第一號ノ議員ノ選擧權及被選擧權ヲ停止スルコトヲ得
第五十三條 商工會議所ハ共同シテ其ノ目的ヲ達スル爲日本商工會議所ヲ設立スルコトヲ得
日本商工會議所ハ法人トス
日本商工會議所ヲ設立セントスルトキハ六以上ノ商工會議所發起人ト爲リ商工會議所總數ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五十四條 日本商工會議所成立シタルトキハ商工會議所ハ總テ之ニ加入シタルモノト看做ス
日本商工會議所ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ朝鮮、臺灣、樺太、關東州又ハ外國ニ於テ設立シタル商工會議所ニ準ズル法人其ノ他ノ團體ヲ加入セシムルコトヲ得
第五十五條 日本商工會議所ニ總會ヲ置ク
總會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ所屬ノ各商工會議所其ノ他ノ團體ニ於テ選定シタル者ヲ以テ之ヲ組織ス
第五十六條 日本商工會議所ニ常議員會ヲ置ク
常議員會ハ定款ノ定ムル所ニ依リ所屬ノ商工會議所其ノ他ノ團體ニ於テ選定シタル者ヲ以テ之ヲ組織ス
常議員會ハ定款ニ依リ委任セラレタル總會ノ權限ニ屬スル事項ヲ議決ス但シ定款ノ變更及日本商工會議所ノ解散ノ議決ハ之ヲ爲スコトヲ得ズ
第五十七條 日本商工會議所ノ役員ハ所屬ノ商工會議所其ノ他ノ團體ノ役員中ヨリ之ヲ選任ス但シ特別ノ事由アルトキハ會頭又ハ副會頭ニ限リ所屬ノ商工會議所其ノ他ノ團體ノ役員ニ非ザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得
日本商工會議所所屬ノ商工會議所其ノ他ノ團體ノ役員中ヨリ選任セラレタル役員其ノ商工會議所其ノ他ノ團體ノ役員ノ職ヲ失ヒタルトキハ日本商工會議所ノ役員ノ職ヲ失フ
第五十八條 日本商工會議所ハ定款ノ定ムル所ニ依リ所屬ノ商工會議所其ノ他ノ團體ニ對シ經費ヲ分賦シ及過怠金ヲ徵收スルコトヲ得
第五十九條 第五條第一項、第六條乃至第十條、第二十條乃至第二十二條、第二十五條乃至第二十七條、第二十九條第一項、第三十二條乃至第三十五條、第三十六條第三項、第三十八條第三項、第三十九條、第四十條、第四十二條乃至第四十九條及第五十一條ノ規定ハ日本商工會議所ニ之ヲ準用ス
第六十條 主務大臣ハ本法ニ規定シタル其ノ職權ノ一部ヲ行政官廳ニ委任スルコトヲ得
第六十一條 第三條及第三十八條中町村トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ之ニ準ズベキモノトス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
商業會議所法ハ之ヲ廢止ス
商業會議所法ニ依リ設立セラレ本法施行ノ際現ニ存スル商業會議所ハ之ヲ本法ニ依リ設立シタル商工會議所ト看做ス
前項ノ規定ニ依ル商工會議所ニ付テハ議員ノ選擧又ハ選定ニ關スル規定ハ次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行シ其ノ施行前ニ於ケル議員ノ選擧ニ關スル事項ハ仍舊法ノ規定ニ依ル
第三項ノ規定ニ依ル商工會議所ニ付本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
日本銀行及橫濱正金銀行ハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ會社ト看做ス
本法ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六號布告刑法ノ重罪ノ刑ニ處セラレタル者ハ之ヲ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ト看做ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル商工会議所法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年四月四日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
商工大臣 藤沢幾之輔
法律第四十九号
商工会議所法
第一条 商工会議所ハ商工業ノ改善発達ヲ図ルヲ以テ目的トス
第二条 商工会議所ハ法人トス
第三条 商工会議所ノ地区ハ市ノ区域ニ依ル但シ商工業ノ状況ニ依リ必要アル場合ニ於テハ町ノ区域ニ依ルコトヲ得
特別ノ事情アル場合ニ於テハ市ト市町村又ハ町ト町村ヲ合シテ一地区ト為スコトヲ得
第四条 商工会議所ヲ設立セントスルトキハ第十二条第一号ノ議員ノ被選挙権ヲ有スベキ者三十人以上発起人ト為リ其ノ議員ノ選挙権ヲ有スベキ者三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ創立総会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五条 商工会議所ハ前条ノ設立ノ認可アリタル日ニ於テ成立ス
商工会議所成立ノ後役員ノ選任アル迄ノ間必要ナル事務ハ発起人之ヲ行フ
第六条 定款ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 名称、地区及事務所ノ所在地
二 議員ノ定数並ニ其ノ選挙及選定ニ関スル規定
三 役員ノ定数、権限及選任ニ関スル規定
四 会議ニ関スル規定
五 事業及其ノ執行ニ関スル規定
六 庶務及会計ニ関スル規定
第七条 商工会議所ハ其ノ目的ヲ達スル為左ノ事業ヲ行フ
一 商工業ニ関スル通報
二 商工業ニ関スル仲介又ハ斡旋
三 商工業ニ関スル調停又ハ仲裁
四 商工業ニ関スル証明又ハ鑑定
五 商工業ニ関スル統計ノ調査及編纂
六 商工業ニ関スル営造物ノ設置及管理
七 其ノ他商工業ノ改善発達ヲ図ルニ必要ナル事業
第八条 商工会議所ハ商工業ニ関スル事項ニ付行政庁ニ建議スルコトヲ得
商工会議所ハ行政庁ノ諮問ニ対シ答申スベシ
商工会議所ニ商業部及工業部ヲ置ク場合ニ於テハ部ハ定款ノ定ムル所ニ依リ各前二項ノ建議又ハ答申ヲ為スコトヲ得
第九条 行政官庁ハ商工会議所ニ対シ商工業ニ関スル事項ノ調査ヲ命ズルコトヲ得
第十条 商工会議所ハ商工業者ニ対シ商工業ニ関スル統計其ノ他ノ調査ヲ為ス為必要ナル資料ノ提出ヲ求ムルコトヲ得
第十一条 商工会議所ニ議員総会ヲ置ク
第十二条 議員総会ハ左ニ掲グル者ヲ以テ之ヲ組織ス
一 第十四条乃至第十八条ノ規定ニ依リ被選挙権アル者ニ就キ選挙人ノ選挙シタル議員
二 地区内ノ重要商工業ヲ代表セシムル為第十九条ノ規定ニ依リ選定シタル議員
第十三条 議員ノ定数ハ五十人以内トシ前条第二号ノ議員ノ員数ハ議員定数ノ五分ノ一トス但シ地方ノ状況ニ依リ其ノ割合ヲ五分ノ一未満トスルコトヲ妨ゲズ
同一商工会議所ニ於テ前条第一号ノ議員ト同条第二号ノ議員トヲ兼ヌルコトヲ得ズ
第十四条 左ノ条件ヲ具フル者ハ第十二条第一号ノ議員ノ選挙権ヲ有ス
一 帝国臣民又ハ帝国法令ニ依リ設立シタル会社ナルコト但シ会社ニ在リテハ資本又ハ財産ヲ目的トスル出資ノ半額以上及議決権ノ過半数ガ帝国臣民(帝国法令ニ依リ設立シタル法人ヲ含ム)ニ属スルモノタルコトヲ要ス
二 商工会議所ノ地区内ニ於テ引続キ二年以上本店、支店其ノ他ノ営業場ヲ有スルコト
三 自己ノ名ヲ以テ商行為ヲ為スヲ業トスル者、取引所又ハ鉱業権者ニシテ商工会議所ノ地区内ニ於テ営業収益税、取引所営業税又ハ鉱産税ヲ一年間ニ命令ノ定ムル額以上納ムルコト但シ地区外ニモ営業場ヲ有スル者ノ納税額ノ算出方法ニ付テハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
前項第三号ノ納税額決定以前ニ於テハ其ノ最近ニ決定セラレタル一年間ノ納税額ヲ以テ其ノ納税額ト看做ス
会社ノ資本又ハ財産ヲ目的トスル出資ガ命令ノ定ムル金額以上ナル場合ニ於テハ第一項第三号ノ納税ニ関スル条件ヲ具ヘザルトキト雖モ第一項ノ選挙権ヲ有ス
家督相続ヲ為シタル者ニ付テハ第一項ノ選挙権ニ関スル条件ニシテ被相続人ノ具備シタルモノハ之ヲ其ノ者ノ具備シタルモノト看做ス
合併後存続スル会社又ハ合併ニ因リテ設立シタル会社ニ付テハ前項ノ規定ヲ準用ス
第十五条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ前条ノ選挙権ヲ有セズ
一 破産者ニシテ復権ヲ得ザル者
二 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者
三 六年未満ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
第十六条 第十二条第一号ノ議員ノ選挙権ヲ有スル者ハ其ノ被選挙権ヲ有ス
第十七条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ前条ノ被選挙権ヲ有セズ
一 禁治産者及準禁治産者
二 女子及年齢三十歳未満ノ者
第十八条 第十二条第一号ノ議員ノ選挙ハ投票ニ依リ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
投票ハ選挙人自ラ之ヲ行フ但シ会社及無能力者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ代人ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ単記投票又ハ五人以内ノ連名投票ノ方法ニ依ル
選挙ハ選挙人ヲ二級ニ分チテ之ヲ行フコトヲ得
前五項ニ規定スルモノノ外選挙ノ方法、手続、取締其ノ他選挙ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九条 第十二条第二号ノ議員ハ地区内ノ重要商工業一業種ニ付各一人トス
前項ノ重要商工業ノ種目ハ定款ヲ以テ之ヲ定ム
第一項ノ議員ハ第十四条第一項第一号ノ条件ヲ具フル者タルコトヲ要ス
第十五条又ハ第十七条各号ノ一ニ該当スル者ハ第一項ノ議員タルコトヲ得ズ
前四項ニ規定スルモノノ外第一項ノ議員ノ選定ニ関シテハ定款ノ定ムル所ニ依ル
第二十条 議員タル会社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ代表者ヲ定ムベシ
前項ノ代表者ハ会社ノ業務ヲ執行スル社員若ハ役員又ハ登記シタル支配人ニシテ帝国臣民タルコトヲ要ス
一人ニシテ同一商工会議所ニ於テ二以上ノ会社ノ代表者ト為ルコトヲ得ズ
第二十一条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ前条ノ代表者タルコトヲ得ズ
一 第十五条又ハ第十七条各号ノ一ニ該当スル者
二 同一商工会議所ノ議員タル者
三 第十二条第一号ノ議員ノ選挙権及被選挙権停止中ノ者
第二十二条 議員ハ名誉職トス
第二十三条 議員ノ任期ハ四年トス
前項ノ期間ハ第十二条第一号ノ議員ノ総選挙ノ第一日ヨリ之ヲ起算ス
補闕議員ハ其ノ前任者ノ残任期間在任ス
第二十四条 第十二条第一号ノ議員ニシテ其ノ被選挙権ヲ有セザルニ至リタル者ハ其ノ職ヲ失フ但シ納税ニ関スル条件ヲ失ヒタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十二条第一号ノ議員ニシテ其ノ選挙権及被選挙権ヲ停止セラレタル者亦前項ニ同ジ
第二十五条 左ノ事項ハ議員総会ノ議決ヲ経ルコトヲ要ス
一 定款ノ変更
二 経費ノ予算及賦課徴収方法
三 事業報告及収支決算ノ承認
四 借入金
五 顧問ノ選任又ハ解任
六 議員又ハ役員ノ解任
七 過怠金ノ賦課
八 第十二条第一号ノ議員ノ選挙権及被選挙権ノ停止
九 商工会議所ノ解散
十 日本商工会議所設立ノ同意
十一 其ノ他重要ナル事項
前項第一号、第二号、第四号及第九号ニ掲グル事項ノ議決ハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十六条 議員総会ハ会頭之ヲ招集ス
議員総会ノ議長ハ会頭、会頭事故アルトキハ副会頭ヲ以テ之ニ充ツ会頭及副会頭共ニ事故アルトキハ出席議員ノ互選ニ依リ議長ヲ定ム
議員総会ハ議員三分ノ一以上出席スルニ非ザレバ之ヲ開クコトヲ得ズ
議員総会ノ議決ハ出席議員ノ過半数ニ依リ可否同数ナルトキハ議長之ヲ決ス
前条第一項第一号、第四号及第六号乃至第九号ニ掲グル事項ノ議決ハ議員三分ノ二以上出席シ其ノ出席議員三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ為スベシ
第二十七条 商工会議所ニ左ノ役員ヲ置ク
会頭 一人
副会頭 一人又ハ二人
会頭ハ商工会議所ヲ代表シ所務ヲ総理ス
副会頭ハ会頭ヲ補佐シ会頭事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理ス
会頭及副会頭ノ外商工会議所ニハ定款ノ定ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第二十八条 役員ハ議員総会ニ於テ議員中ヨリ之ヲ選任ス
第二十九条 役員ノ任期ハ四年トス
前項ノ期間ハ第十二条第一号ノ議員ノ総選挙ノ第一日ヨリ之ヲ起算ス
第三十条 役員議員ノ職ヲ失ヒタルトキハ役員ノ職ヲ失フ
第三十一条 議員タル会社役員ニ選任セラレタル後第二十条第一項ノ規定ニ依ル其ノ代表者ニ異動ヲ生ジタルトキハ其ノ会社ハ役員ノ職ヲ失フ
第三十二条 役員ノ職務終了シタル場合ニ於テ所務ノ遂行ニ支障ヲ生ズル虞アルトキハ退職シタル役員ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ後任者ノ就職スル迄引続キ仍其ノ職務ヲ行フコトヲ得
第三十三条 商工会議所ハ定款ノ定ムル所ニ依リ重要ナル事項ニ付諮問ヲ為ス為議員定数ノ五分ノ一ヲ超エザル員数ノ顧問ヲ置クコトヲ得
顧問ハ商工業ニ関スル学識経験アル者又ハ十年以上議員トシテ功労顕著ナル者ヨリ之ヲ選任ス
顧問ハ名誉職トス
第三十四条 商工会議所ニ理事一人ヲ置ク
理事ハ会頭ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
理事ノ外商工会議所ニハ定款ノ定ムル所ニ依リ他ノ職員ヲ置クコトヲ得
第三十五条 商工会議所ハ必要ニ応ジ商業部、工業部又ハ其ノ他ノ部ヲ置クコトヲ得
部ノ名称、組織、権限其ノ他部ニ関シ必要ナル事項ハ定款ヲ以テ之ヲ定ム
第三十六条 商工会議所ハ第十二条第一号ノ議員ノ選挙権ヲ有スル者ニ対シ経費ヲ賦課スルコトヲ得
第四十一条又ハ第五十二条ノ規定ニ依リ選挙権ヲ停止セラレタル者ニ対シテハ停止中ト雖モ経費ヲ賦課スルコトヲ得
商工会議所ノ経費賦課ノ額ニ関スル制限及経費賦課ノ方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十七条 商工会議所ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款違反者ヨリ過怠金ヲ徴収スルコトヲ得
第三十八条 経費又ハ過怠金ヲ滞納スル者アル場合ニ於テ会頭ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村税ノ例ニ依リ之ヲ処分ス此ノ場合ニ於テ商工会議所ハ其ノ徴収金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スベシ
前項ノ徴収金ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徴収金ニ次デ先取特権ヲ有シ其ノ時効ニ付テハ市町村税ノ例ニ依ル
経費ノ賦課又ハ過怠金ノ徴収ニ関シテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ異議ノ申立、訴願及行政訴訟ヲ為スコトヲ得
第三十九条 商工会議所ハ定款ノ定ムル所ニ依リ使用料及手数料ヲ徴収スルコトヲ得
前項ノ使用料及手数料ノ徴収ニ関シテハ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第四十条 商工会議所ハ職務ヲ怠リ其ノ他不正ノ行為アリタル議員又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第四十一条 商工会議所ハ経費ヲ滞納シタル者ニ対シ其ノ滞納中、前条ノ規定ニ依リ解任セラレタル者ニ対シ解任ノ時ヨリ四年以内第十二条第一号ノ議員ノ選挙権及被選挙権ヲ停止スルコトヲ得
第四十二条 商工会議所ハ収支決算ヲ主務大臣ニ報告スベシ
商工会議所ハ少クトモ毎年一回其ノ事業成績ヲ主務大臣ニ報告スベシ
第四十三条 商工会議所ハ解散ノ後ト雖モ清算ノ目的ノ範囲内ニ於テハ仍存続スルモノト看做ス
第四十四条 商工会議所解散シタルトキハ議員総会ニ於テ清算人ヲ選任スベシ清算人欠ケタルトキ亦同ジ
清算人ノ選任ハ行政官庁ノ認可ヲ受クベシ
第四十五条 前条ノ規定ニ依リ清算人タル者ナキトキハ行政官庁清算人ヲ選任ス
第四十六条 清算人ハ商工会議所ヲ代表シ清算ヲ為スニ必要ナル一切ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
第四十七条 清算人ハ清算及財産処分ノ方法ヲ定メ議員総会ノ議決ヲ経主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
議員総会前項ノ議決ヲ為サズ又ハ為スコト能ハザルトキハ清算人ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ清算及財産処分ノ方法ヲ定ムベシ
第四十八条 商工会議所ハ解散ノ後ト雖モ其ノ債務ヲ完済スルニ必要ナル金額ヲ賦課徴収スルコトヲ得
前項ノ賦課徴収ニ関シテハ第三十六条及第三十八条ノ規定ヲ準用ス
第四十九条 主務大臣必要ト認ムルトキハ定款、経費ノ予算及賦課徴収方法又ハ清算及財産処分ノ方法ノ変更ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第五十条 第十二条第一号ノ議員ノ選挙法令又ハ定款ニ違反スルトキハ主務大臣ハ選挙又ハ当選ノ取消ヲ為スコトヲ得
第五十一条 商工会議所ノ議決又ハ議員、役員若ハ清算人ノ行為法令若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ主務大臣ハ左ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 議員、役員又ハ清算人ノ解任
二 商工会議所ノ議決ノ取消
三 商工会議所ノ事業ノ停止
四 商工会議所ノ解散
第五十二条 主務大臣ハ不正ノ行為アリタルニ因リ第五十条ノ規定ニ基キ当選ヲ取消サレタル者又ハ前条第一号ノ規定ニ依リ解任セラレタル議員若ハ役員ニ対シ取消又ハ解任ノ時ヨリ四年以内第十二条第一号ノ議員ノ選挙権及被選挙権ヲ停止スルコトヲ得
第五十三条 商工会議所ハ共同シテ其ノ目的ヲ達スル為日本商工会議所ヲ設立スルコトヲ得
日本商工会議所ハ法人トス
日本商工会議所ヲ設立セントスルトキハ六以上ノ商工会議所発起人ト為リ商工会議所総数ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ創立総会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五十四条 日本商工会議所成立シタルトキハ商工会議所ハ総テ之ニ加入シタルモノト看做ス
日本商工会議所ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ朝鮮、台湾、樺太、関東州又ハ外国ニ於テ設立シタル商工会議所ニ準ズル法人其ノ他ノ団体ヲ加入セシムルコトヲ得
第五十五条 日本商工会議所ニ総会ヲ置ク
総会ハ命令ノ定ムル所ニ依リ所属ノ各商工会議所其ノ他ノ団体ニ於テ選定シタル者ヲ以テ之ヲ組織ス
第五十六条 日本商工会議所ニ常議員会ヲ置ク
常議員会ハ定款ノ定ムル所ニ依リ所属ノ商工会議所其ノ他ノ団体ニ於テ選定シタル者ヲ以テ之ヲ組織ス
常議員会ハ定款ニ依リ委任セラレタル総会ノ権限ニ属スル事項ヲ議決ス但シ定款ノ変更及日本商工会議所ノ解散ノ議決ハ之ヲ為スコトヲ得ズ
第五十七条 日本商工会議所ノ役員ハ所属ノ商工会議所其ノ他ノ団体ノ役員中ヨリ之ヲ選任ス但シ特別ノ事由アルトキハ会頭又ハ副会頭ニ限リ所属ノ商工会議所其ノ他ノ団体ノ役員ニ非ザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得
日本商工会議所所属ノ商工会議所其ノ他ノ団体ノ役員中ヨリ選任セラレタル役員其ノ商工会議所其ノ他ノ団体ノ役員ノ職ヲ失ヒタルトキハ日本商工会議所ノ役員ノ職ヲ失フ
第五十八条 日本商工会議所ハ定款ノ定ムル所ニ依リ所属ノ商工会議所其ノ他ノ団体ニ対シ経費ヲ分賦シ及過怠金ヲ徴収スルコトヲ得
第五十九条 第五条第一項、第六条乃至第十条、第二十条乃至第二十二条、第二十五条乃至第二十七条、第二十九条第一項、第三十二条乃至第三十五条、第三十六条第三項、第三十八条第三項、第三十九条、第四十条、第四十二条乃至第四十九条及第五十一条ノ規定ハ日本商工会議所ニ之ヲ準用ス
第六十条 主務大臣ハ本法ニ規定シタル其ノ職権ノ一部ヲ行政官庁ニ委任スルコトヲ得
第六十一条 第三条及第三十八条中町村トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ之ニ準ズベキモノトス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
商業会議所法ハ之ヲ廃止ス
商業会議所法ニ依リ設立セラレ本法施行ノ際現ニ存スル商業会議所ハ之ヲ本法ニ依リ設立シタル商工会議所ト看做ス
前項ノ規定ニ依ル商工会議所ニ付テハ議員ノ選挙又ハ選定ニ関スル規定ハ次ノ総選挙ヨリ之ヲ施行シ其ノ施行前ニ於ケル議員ノ選挙ニ関スル事項ハ仍旧法ノ規定ニ依ル
第三項ノ規定ニ依ル商工会議所ニ付本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
日本銀行及横浜正金銀行ハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ会社ト看做ス
本法ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六号布告刑法ノ重罪ノ刑ニ処セラレタル者ハ之ヲ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者ト看做ス