商工会議所法施行令
法令番号: 勅令第三百七十五號
公布年月日: 昭和2年12月28日
法令の形式: 勅令
朕商工會議所法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年十二月二十七日
內閣總理大臣 男爵 田中義一
商工大臣 中橋德五郞
勅令第三百七十五號
商工會議所法施行令
第一條 商工會議所ハ商工會議所法第十四條第一項ノ規定ニ依リ議員ノ選擧權ヲ有スル者ニ對シ一年間ノ營業收益稅、取引所營業稅又ハ鑛產稅ノ地區內ニ於ケル納稅額ヲ標準トシ左ノ制限內ニ於テ定ムル賦課率ニ依リ其ノ經費ヲ賦課スルコトヲ得
一 營業收益稅 百分ノ二十五
二 取引所營業稅 百分ノ十
三 鑛產稅 百分ノ二十
前項ノ納稅額決定以前ニ於テハ其ノ最近ニ決定セラレタル一年間ノ納稅額ヲ以テ其ノ納稅額ト看做ス
第二條 會社ニ對スル經費ノ賦課ニ付テハ營業收益稅法第十條第二項ノ規定ニ依ル資本利子稅額ノ控除ヲ爲サザルモノヲ以テ營業收益稅額ト看做ス
第三條 商工會議所ハ商工會議所法第十四條第三項ノ規定ニ依リ議員ノ選擧權ヲ有スル會社ニ對シ拂込資本又ハ財產ヲ目的トスル出資ノ金額ヲ標準トシ其ノ萬分ノ一以內ニ於テ定ムル賦課率ニ依リ其ノ經費ヲ賦課スルコトヲ得但シ商工會議所ノ地區外ニモ營業場ヲ有スル會社ニ付テハ別ニ命令ノ定ムル方法ニ依リ地區內ニ於ケル經費賦課ノ標準ト爲スベキ金額ヲ算出シ經費ヲ賦課ス
第四條 商工會議所法第十四條第一項ノ規定ニ依リ議員ノ選擧權ヲ有スル會社ニシテ同條第三項ノ規定ニ基ク命令ノ定ムル金額以上ノ資本額又ハ財產ヲ目的トスル出資額ヲ有スルモノニ對シテハ第一條ノ規定ニ拘ラズ前條ノ例ニ依リ經費ヲ賦課スルコトヲ妨ゲズ
第五條 商工會議所ノ經費ノ賦課又ハ過怠金ノ徵收ノ通知ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ商工會議所ニ對シ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ商工會議所ハ遲滯ナク議員總會ノ議決ヲ經テ決定ヲ爲シ異議申立人ニ之ヲ通知スベシ
異議ノ申立ニ關シテハ訴願法第五條、第八條第三項、第九條、第十條及第十二條乃至第十四條ノ規定ヲ準用ス
第六條 前條ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ地方長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル地方長官ノ裁決ニ付テハ商工會議所ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第七條 商工會議所法第三十八條第一項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ地方長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ市町村ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第八條 前二條ニ於テ地方長官トアルハ樺太ニ在リテハ樺太廳長官トス
第九條 第一條乃至前條ノ規定ハ商工會議所法第四十八條ノ規定ニ依リ債務ヲ完濟スルニ必要ナル金額ヲ賦課徵收スル場合ニ之ヲ準用ス但シ其ノ賦課率ハ第一條、第三條又ハ第四條ノ制限ニ依ラザルコトヲ得
第十條 日本商工會議所ハ商工會議所ニ對シ最近其ノ經費賦課ノ標準ト爲シタル一年間ノ納稅額ノ總額ヲ標準トシ其ノ百分ノ一以內ニ於テ定ムル率竝ニ最近其ノ經費賦課ノ標準ト爲シタル拂込資本及財產ヲ目的トスル出資ノ金額ノ總額ヲ標準トシ其ノ二十萬分ノ一以內ニ於テ定ムル率ニ依リ其ノ經費ヲ分賦スルコトヲ得但シ定款ノ定ムル所ニ依リ經費ノ二分ノ一ヲ限リ商工會議所ノ前年度ノ豫算額ヲ標準トシ之ヲ分賦スルコトヲ妨ゲズ
商工會議所以外ノ所屬團體ニ對スル日本商工會議所ノ經費分賦ノ方法ハ定款ノ定ムル所ニ依ル
第十一條 前條ノ規定ハ商工會議所法第五十九條ノ規定ニ依リ準用シタル同法第四十八條ノ規定ニ依リ債務ヲ完濟スルニ必要ナル金額ヲ賦課徵收スル場合ニ之ヲ準用ス但シ其ノ分賦スル率ハ前條ノ制限ニ依ラザルコトヲ得
第十二條 日本商工會議所ノ經費ノ分賦又ハ過怠金ノ徵收ノ通知ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ日本商工會議所ニ對シ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
第五條第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ異議ノ申立ニ之ヲ準用ス
第十三條 前條ノ異議ノ申立ニ關スル決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
附 則
本令ハ商工會議所法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
大正五年勅令第百七十號ハ之ヲ廢止ス
商工會議所法附則第三項ノ規定ニ依ル商工會議所ノ經費ハ次ノ總選擧ニ至ル迄ノ間商業會議所法ノ規定ニ依リ議員ノ選擧權ヲ有スル者ニ對シ之ヲ賦課ス
前項ノ賦課ニ關シテハ仍從前ノ規定ニ依ル
前二項ノ規定ハ商工會議所法附則第三項ノ規定ニ依ル商工會議所ガ同法第四十八條ノ規定ニ依リ債務ヲ完濟スルニ必要ナル金額ヲ賦課徵收スル場合ニ之ヲ準用ス
朕商工会議所法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年十二月二十七日
内閣総理大臣 男爵 田中義一
商工大臣 中橋徳五郎
勅令第三百七十五号
商工会議所法施行令
第一条 商工会議所ハ商工会議所法第十四条第一項ノ規定ニ依リ議員ノ選挙権ヲ有スル者ニ対シ一年間ノ営業収益税、取引所営業税又ハ鉱産税ノ地区内ニ於ケル納税額ヲ標準トシ左ノ制限内ニ於テ定ムル賦課率ニ依リ其ノ経費ヲ賦課スルコトヲ得
一 営業収益税 百分ノ二十五
二 取引所営業税 百分ノ十
三 鉱産税 百分ノ二十
前項ノ納税額決定以前ニ於テハ其ノ最近ニ決定セラレタル一年間ノ納税額ヲ以テ其ノ納税額ト看做ス
第二条 会社ニ対スル経費ノ賦課ニ付テハ営業収益税法第十条第二項ノ規定ニ依ル資本利子税額ノ控除ヲ為サザルモノヲ以テ営業収益税額ト看做ス
第三条 商工会議所ハ商工会議所法第十四条第三項ノ規定ニ依リ議員ノ選挙権ヲ有スル会社ニ対シ払込資本又ハ財産ヲ目的トスル出資ノ金額ヲ標準トシ其ノ万分ノ一以内ニ於テ定ムル賦課率ニ依リ其ノ経費ヲ賦課スルコトヲ得但シ商工会議所ノ地区外ニモ営業場ヲ有スル会社ニ付テハ別ニ命令ノ定ムル方法ニ依リ地区内ニ於ケル経費賦課ノ標準ト為スベキ金額ヲ算出シ経費ヲ賦課ス
第四条 商工会議所法第十四条第一項ノ規定ニ依リ議員ノ選挙権ヲ有スル会社ニシテ同条第三項ノ規定ニ基ク命令ノ定ムル金額以上ノ資本額又ハ財産ヲ目的トスル出資額ヲ有スルモノニ対シテハ第一条ノ規定ニ拘ラズ前条ノ例ニ依リ経費ヲ賦課スルコトヲ妨ゲズ
第五条 商工会議所ノ経費ノ賦課又ハ過怠金ノ徴収ノ通知ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ商工会議所ニ対シ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得
前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ商工会議所ハ遅滞ナク議員総会ノ議決ヲ経テ決定ヲ為シ異議申立人ニ之ヲ通知スベシ
異議ノ申立ニ関シテハ訴願法第五条、第八条第三項、第九条、第十条及第十二条乃至第十四条ノ規定ヲ準用ス
第六条 前条ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ地方長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル地方長官ノ裁決ニ付テハ商工会議所ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第七条 商工会議所法第三十八条第一項ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ地方長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ市町村ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第八条 前二条ニ於テ地方長官トアルハ樺太ニ在リテハ樺太庁長官トス
第九条 第一条乃至前条ノ規定ハ商工会議所法第四十八条ノ規定ニ依リ債務ヲ完済スルニ必要ナル金額ヲ賦課徴収スル場合ニ之ヲ準用ス但シ其ノ賦課率ハ第一条、第三条又ハ第四条ノ制限ニ依ラザルコトヲ得
第十条 日本商工会議所ハ商工会議所ニ対シ最近其ノ経費賦課ノ標準ト為シタル一年間ノ納税額ノ総額ヲ標準トシ其ノ百分ノ一以内ニ於テ定ムル率並ニ最近其ノ経費賦課ノ標準ト為シタル払込資本及財産ヲ目的トスル出資ノ金額ノ総額ヲ標準トシ其ノ二十万分ノ一以内ニ於テ定ムル率ニ依リ其ノ経費ヲ分賦スルコトヲ得但シ定款ノ定ムル所ニ依リ経費ノ二分ノ一ヲ限リ商工会議所ノ前年度ノ予算額ヲ標準トシ之ヲ分賦スルコトヲ妨ゲズ
商工会議所以外ノ所属団体ニ対スル日本商工会議所ノ経費分賦ノ方法ハ定款ノ定ムル所ニ依ル
第十一条 前条ノ規定ハ商工会議所法第五十九条ノ規定ニ依リ準用シタル同法第四十八条ノ規定ニ依リ債務ヲ完済スルニ必要ナル金額ヲ賦課徴収スル場合ニ之ヲ準用ス但シ其ノ分賦スル率ハ前条ノ制限ニ依ラザルコトヲ得
第十二条 日本商工会議所ノ経費ノ分賦又ハ過怠金ノ徴収ノ通知ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ日本商工会議所ニ対シ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得
第五条第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ異議ノ申立ニ之ヲ準用ス
第十三条 前条ノ異議ノ申立ニ関スル決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
附 則
本令ハ商工会議所法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
大正五年勅令第百七十号ハ之ヲ廃止ス
商工会議所法附則第三項ノ規定ニ依ル商工会議所ノ経費ハ次ノ総選挙ニ至ル迄ノ間商業会議所法ノ規定ニ依リ議員ノ選挙権ヲ有スル者ニ対シ之ヲ賦課ス
前項ノ賦課ニ関シテハ仍従前ノ規定ニ依ル
前二項ノ規定ハ商工会議所法附則第三項ノ規定ニ依ル商工会議所ガ同法第四十八条ノ規定ニ依リ債務ヲ完済スルニ必要ナル金額ヲ賦課徴収スル場合ニ之ヲ準用ス