第一條 商工經濟會ハ國民經濟ノ總力ヲ最モ有效ニ發揮セシムル爲國策ニ協力シ產業經濟ノ圓滑ナル連絡ヲ圖ルト共ニ其ノ改善向上ニ努ムルコトヲ目的トス
本法ニ於テ產業經濟トハ第五條第一號ニ揭グル事業ニ關スル產業經濟ヲ謂フ
第四條 商工經濟會ハ其ノ目的ヲ達スル爲左ニ揭グル事業ヲ行フ
一 當該地區內ニ於ケル產業經濟ニ關スル統制ニ對スル協力
二 當該地區內ニ於ケル產業經濟ノ運營又ハ整備ニ關スル連絡
三 當該地區內ニ於ケル產業經濟ノ改善向上ニ關スル施設
五 前各號ニ揭グルモノノ外商工經濟會ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
第五條 商工經濟會ノ會員タル資格ヲ有スル者ハ左ニ揭グル者ニシテ地方長官ノ指定スルモノトス
一 當該地區內ニ營業所、工場又ハ事業場ヲ有シ商業、交易業、工業、鑛業、金融業、電氣事業、交通運輸業又ハ土木建築業ヲ營ム者
二 前號ニ揭グル事業ヲ營ム者ヲ以テ組織スル團體ニシテ當該地區內ニ事務所ヲ有スルモノ
三 前號ニ揭グル團體ノ外當該地區內ニ事務所ヲ有スル產業經濟ニ關スル團體
第六條 主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前條ノ規定ニ依リ會員タル資格ヲ有スル者ニ對シ商工經濟會ノ設立ヲ命ズベシ
前項ノ規定ニ依ル設立ノ命令アリタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ創立總會ヲ開キ定款其ノ他商工經濟會ノ設立ニ必要ナル事項ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第一項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル者主務大臣ノ指定スル期限迄ニ設立ノ認可ヲ申請セザルトキハ主務大臣ハ定款ノ作成其ノ他設立ニ關シ必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第七條 商工經濟會ノ定款ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
第八條 商工經濟會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
第九條 商工經濟會成立シタルトキハ其ノ會員タル資格ヲ有スル者ハ總テ其ノ商工經濟會ノ會員トス
第十條 商工經濟會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第十一條 商工經濟會ハ其ノ名稱中ニ商工經濟會ナル文字ヲ用フベシ
商工經濟會又ハ商工經濟會ヲ以テ組織スル國體ニ非ザル者ハ其ノ名稱中ニ商工經濟會ナル文字ヲ用フルコトヲ得ズ
商工經濟會ニハ前項ノ役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ副會頭二人以內又ハ理事長一人ヲ置クコトヲ得
副會頭ハ會頭ヲ輔佐シ豫メ會頭ノ定ムル順位ニ依リ會頭事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ會頭缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事長ハ會頭及副會頭ヲ輔佐シ會務ヲ掌理シ會頭及副會頭共ニ事故アルトキハ會頭ノ職務ヲ代理シ會頭及副會頭共ニ缺員ノトキハ會頭ノ職務ヲ行フ
理事ハ會頭、副會頭及理事長ヲ輔佐シ會務ヲ分掌シ豫メ會頭ノ定ムル順位ニ依リ會頭、副會頭及理事長共ニ事故アルトキハ會頭ノ職務ヲ代理シ會頭、副會頭及理事長共ニ缺員ノトキハ會頭ノ職務ヲ行フ
評議員ハ會頭ノ諮問ニ對シ答申シ又ハ會頭ニ對シ意見ヲ具申ス
第十四條 會頭ハ會頭銓衡委員ノ推薦シタル者ノ中ヨリ地方長官ノ意見ヲ徵シ主務大臣之ヲ命ズ
前項ノ會頭銓衡委員ハ當該商工經濟會ノ地區內ニ於ケル產業經濟ニ關シ經驗アル者及學識アル者ノ中ヨリ地方長官之ヲ命ズ
副會頭、理事長及理事ハ當該商工經濟會ノ地區內ニ於ケル產業經濟ニ關シ經驗アル者及學識アル者ノ中ヨリ地方長官ノ承認ヲ受ケ會頭之ヲ命ズ
評議員ハ評議員銓衡委員ノ推薦シタル者ノ中ヨリ會頭之ヲ命ズ
前項ノ評議員銓衡委員ハ會員及會員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ地方長官ノ承認ヲ受ケ會頭之ヲ命ズ
會頭必要アリト認ムルトキハ任期中ト雖モ地方長官ノ承認ヲ受ケ副會頭、理事長又ハ理事ヲ解任スルコトヲ得
會頭必要アリ認ムルトキハ何時ニテモ臨時總會ヲ招集スルコトヲ得
第十八條 會員ハ總會ニ於テ各一個ノ議決權ヲ有ス但シ第五條第二號ノ會員ニ付テハ定款ノ定ムル所ニ依リ一人ニ付十個ヲ超エザル範圍內ニ於テ二個以上ノ議決權ヲ有セシムルコトヲ得
第二十條 總會ハ會員三分ノ一以上出席スルニ非ザレバ之ヲ開クコトヲ得ズ
總會ノ議決ハ出席者ノ議決權ノ過半數ニ依リ可否同數ナルトキハ議長之ヲ決ス
定款ノ變更ノ議決ハ會員ノ半數以上出席シ出席者ノ議決權ノ三分ノ二以上ヲ以テ之ヲ爲ス
會員ハ代理人ヲ以テ議決權ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ之ヲ出席ト看做ス
前項ノ代理人ノ資格其ノ他代理人ニ關スル事項ハ定款ヲ以テ之ヲ定ム
第二十一條 商工經濟會ハ定款ノ定ムル所ニ依リ總會ニ代ルベキ總代會ヲ設クルコトヲ得
第二十二條 商工經濟會ハ產業經濟ニ關スル事項ニ付行政官廳ニ建議スルコトヲ得
第二十三條 商工經濟會ハ其ノ會員及會員タル團體ヲ組織スル者ニ對シ產業經濟ニ關スル事項ノ調査ヲ爲ス爲必要ナル資料ノ提出ヲ求ムルコトヲ得
第二十四條 商工經濟會ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員ニ對シ經費ヲ賦課スルコトヲ得
第二十五條 商工經濟會ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款ニ違反シタル會員ニ對シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第二十六條 第二十四條ノ規定ニ依ル賦課金又ハ過怠金ヲ滯納スル者アル場合ニ於テ商工經濟會ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ商工經濟會ハ其ノ徵收金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スベシ
前項中町村トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキモノトス
第一項ノ規定ニ依ル徵收金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徵收金ニ次ギ其ノ時效ニ付テハ市町村稅ノ例ニ依ル
第二十七條 商工經濟會ハ定款ノ定ムル所ニ依リ使用料及手數料ヲ徵收スルコトヲ得
前項ノ使用料及手數料ノ徵收ニ關シテハ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十八條 商工經濟會ハ其ノ地區內ノ必要ナル地ニ支部ヲ置キ其ノ事業ノ一部ヲ分掌セシムルコトヲ得
第二十九條 商工經濟會ノ支部ニ支部長ヲ置キ必要ニ應ジ參與ヲ置ク
支部長ハ商工經濟會ノ監事以外ノ役員中ヨリ地方長官ノ承認ヲ受ケ會頭之ヲ命ズ
第三十條 定款ノ變更、收支豫算及第二十四條ノ規定ニ依ル賦課金ノ賦課徵收方法ハ行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第三十一條 行政官廳ハ商工經濟會ニ對シ產業經濟ニ關スル事項ノ調査ヲ命ズルコトヲ得
第三十二條 行政官廳當該地區內ニ於ケル產業經濟ノ統制運營上必要アリト認ムルトキハ商工經濟會ニ對シ必要ナル事業ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ變更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十三條 行政官廳ハ商工經濟會ニ對シ業務及會計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
行政官廳必要アリト認ムルトキハ監事ヲシテ監査ノ結果ヲ報吿セシムルコトヲ得
第三十四條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ商工經濟會ヨリ其ノ事業ニ關シ報吿ヲ徵シ又ハ商工經濟會ノ業務ノ狀況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
第三十五條 總會若ハ總代會ノ議決又ハ役員ノ行爲ガ法令若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ行政官廳ハ總會若ハ總代會ノ議決ヲ取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第三十六條 商工經濟會ハ主務大臣ノ命令ニ因リテ解散ス
第三十七條 商工經濟會ノ解散及淸算ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十八條 本法ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ爲シタルトキハ會頭、副會頭、理事長又ハ理事ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス
第三十九條 第十一條第二項ノ規定ニ違反シ名稱中ニ商工經濟會ナル文字ヲ用ヒタル者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第四十條 樺太ニ於テ本法ヲ適用スルニ付必要ナル事項ニ關シテハ勅令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得