第一條 本法ニ於テ花柳病ト稱スルハ黴毒、淋病及軟性下疳ヲ謂フ
第二條 主務大臣ハ業態上花柳病傳播ノ虞アル者ヲ診療セシムル爲市又ハ特ニ必要ト認ムル其ノ他ノ公共團體ニ對シ診療所ノ設置ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設置スル診療所ニ於ケル診療ノ費用ノ負擔及徵收ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條 國庫ハ勅令ノ定ムル所ニ從ヒ前條ノ規定ニ依リ診療所ヲ設置スル市其ノ他ノ公共團體ニ對シ其ノ診療所ニ關シ市其ノ他ノ公共團體ノ支出スル經費ノ六分ノ一乃至二分ノ一ヲ補助ス
第四條 主務大臣ハ期間ヲ指定シ適當ト認ムル公私立ノ診療所ヲ其ノ承諾ヲ得テ第二條第一項ノ規定ニ依リ設置スル診療所ニ代用スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第二條第二項及前條ノ規定ヲ準用ス
第五條 傳染ノ虞アル花柳病ニ罹レルコトヲ知リテ賣淫ヲ爲シタル者ハ三月以下ノ懲役ニ處ス
傳染ノ虞アル花柳病ニ罹レルコトヲ知リ又ハ知ルベクシテ賣淫ノ媒合又ハ容止ヲ爲シタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前二項ノ場合ニ於テ傳染防止ニ付相當ノ方法ヲ講ジタル者ハ其ノ刑ヲ減輕ス
第六條 醫師傳染ノ虞アル花柳病ニ罹レル者ヲ診斷シタルトキハ傳染ノ危險及傳染防止ノ方法ヲ指示スベシ
第七條 花柳病ニ關スル賣藥ハ其ノ容器又ハ被包ニ其ノ成分及分量、成分不明ナルモノハ其ノ本質及製造法ノ要旨ヲ記載スルニ非ザレバ之ヲ發賣スルコトヲ得ズ
賣藥營業者前項ノ規定ニ違反シタルトキハ地方長官ハ其ノ發賣ノ免許ヲ取消スコトヲ得
第八條 前條第一項ノ規定ニ違反シタル者ハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス