郵便年金令
法令番号: 勅令第二百八十一號
公布年月日: 大正15年8月10日
法令の形式: 勅令
朕郵便年金令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十五年八月九日
內閣總理大臣 若槻禮次郞
遞信大臣 安達謙藏
勅令第二百八十一號
郵便年金令
第一條 郵便年金ハ卽時終身年金及据置終身年金トス
第二條 卽時終身年金ニ在リテハ年金契約ノ效力發生シタル日ヨリ年金受取人ノ死亡ニ至ル迄年金ノ支拂ヲ爲スモノトス
第三條 据置終身年金ニ在リテハ年金受取人カ一定ノ年齡ニ達シタル日ヨリ其ノ死亡ニ至ル迄年金ノ支拂ヲ爲スモノトス
第四條 据置終身年金ハ左ノ四種トス
一 五十歲支拂開始据置終身年金
二 五十五歲支拂開始据置終身年金
三 六十歲支拂開始据置終身年金
四 六十五歲支拂開始据置終身年金
第五條 新ニ年金受取人タルコトヲ得ル者ノ年齡ハ卽時終身年金ニ在リテハ四十歲以上八十歲以下、据置終身年金ニ在リテハ十二歲以上六十歲以下トス
第六條 年金契約ヲ爲シタル後年金受取人ノ年齡ニ付錯誤アルコトヲ發見シタル場合ニ於テ郵便年金法第五條ノ掛金拂込ノ日ノ年齡カ前條ノ範圍內ナルトキハ當初ヨリ其ノ年齡ニ基キテ年金契約ヲ爲シタルモノト看做シ年金額ヲ更正ス其ノ年齡カ卽時終身年金ニ付四十歲未滿ナルトキハ四十歲ニ達シタル日ニ於テ、据置終身年金ニ付十二歲未滿ナルトキハ十二歲ニ達シタル日ニ於テ年金契約ノ效力發生シタルモノト看做シ年金額ヲ更正ス
前項ノ規定ニ依リ年金額ヲ更正スル場合ニ於テ其ノ金額カ郵便年金法第三條ニ規定スル制限ヲ超ユルトキハ當初ヨリ最高ノ年金額ニ基キテ年金契約ヲ爲シタルモノト看做ス
第七條 掛金ノ算定ニ關シテハ年金受取人ノ年齡ハ出生ノ月ヨリ年金契約申込ノ月迄月ヲ以テ計算シ一年未滿ノ端數ヲ生シタルトキハ其ノ端數カ七月以上ナルトキハ之ヲ一年ニ切上ケ六月以下ナルトキハ之ヲ切捨ツ
第四條ノ年金支拂開始年齡ハ年金受取人カ年金契約申込ノ日ニ於テ前項ノ規定ニ依リ算出シタル年齡ニ達シタルモノト看做シ之ヲ計算ス
第八條 掛金ノ拂込ハ一時拂及分割拂トス
第九條 年金契約ノ申込ヲ爲スニハ之ト同時ニ掛金一時拂ノモノニ在リテハ掛金ノ全額ヲ、掛金分割拂ノモノニ在リテハ其ノ第一囘分ヲ拂込ムコトヲ要ス
第十條 掛金ハ左ノ基礎ニ依リ計算ス
一 明治四十五年內閣統計局ノ發表シタル第二表ノ死亡率ヨリ男子ニ在リテハ男子死亡率ノ二割ヲ、女子ニ在リテハ女子死亡率ノ三割ヲ減シテ作成シタル死亡生殘表
二 掛金一時拂ナルトキハ市場ニ於ケル公債ノ時價ニ準シ遞信大臣ノ定ムル豫定利率
掛金分割拂ナルトキハ年五分ノ豫定利率
年金受取人ノ爲ニ積立ツヘキ金額ハ前項ノ基礎ニ依リ純保險料式ヲ以テ之ヲ計算ス
第十一條 拂込掛金ノ返還ヲ請求スル權利ヲ留保セサル年金契約ニ於テ年金受取人死亡シ又ハ年金契約解除セラレタル場合未タ拂込マサル掛金アルトキハ之ヲ拂込ムコトヲ要セス
第十二條 年金ハ年金支拂ノ事由發生シタル日ヨリ三月每ニ各其ノ經過シタル期間分ヲ支拂フ但シ期間ノ中途ニ於テ年金受取人死亡シタルトキハ其ノ期間ニ付テハ月割ヲ以テ計算シ死亡ノ日ヲ含ム月割分迄ヲ支拂フ
第十三條 郵便年金法第七條ノ規定ニ依リ返還スヘキ拂込掛金ノ額ハ左ノ區別ニ依ル
年金受取人死亡シタル場合
死亡ノ日迄ノ拂込掛金(拂込ムヘキモノヲ含ム)ノ額但シ支拂ヒタル年金(支拂フヘキモノヲ含ム)アルトキハ其ノ金額ヲ差引キタル殘額
年金契約解除セラレタル場合
契約解除ノ日迄ノ拂込掛金(拂込ムヘキモノヲ含ム)ノ額ノ百分ノ九十以上ニシテ遞信大臣ノ定ムル額
年金契約變更セラレタル場合
契約變更ノ日迄ノ拂込掛金(拂込ムヘキモノヲ含ム)ノ額ヨリ變更後ノ契約ニ付當初ヨリ變更ノ日迄ニ拂込ムヘカリシ掛金ノ額ヲ差引キタル殘額ノ百分ノ九十以上ニシテ遞信大臣ノ定ムル額
附 則
本令ハ郵便年金法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕郵便年金令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十五年八月九日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
逓信大臣 安達謙蔵
勅令第二百八十一号
郵便年金令
第一条 郵便年金ハ即時終身年金及据置終身年金トス
第二条 即時終身年金ニ在リテハ年金契約ノ効力発生シタル日ヨリ年金受取人ノ死亡ニ至ル迄年金ノ支払ヲ為スモノトス
第三条 据置終身年金ニ在リテハ年金受取人カ一定ノ年齢ニ達シタル日ヨリ其ノ死亡ニ至ル迄年金ノ支払ヲ為スモノトス
第四条 据置終身年金ハ左ノ四種トス
一 五十歳支払開始据置終身年金
二 五十五歳支払開始据置終身年金
三 六十歳支払開始据置終身年金
四 六十五歳支払開始据置終身年金
第五条 新ニ年金受取人タルコトヲ得ル者ノ年齢ハ即時終身年金ニ在リテハ四十歳以上八十歳以下、据置終身年金ニ在リテハ十二歳以上六十歳以下トス
第六条 年金契約ヲ為シタル後年金受取人ノ年齢ニ付錯誤アルコトヲ発見シタル場合ニ於テ郵便年金法第五条ノ掛金払込ノ日ノ年齢カ前条ノ範囲内ナルトキハ当初ヨリ其ノ年齢ニ基キテ年金契約ヲ為シタルモノト看做シ年金額ヲ更正ス其ノ年齢カ即時終身年金ニ付四十歳未満ナルトキハ四十歳ニ達シタル日ニ於テ、据置終身年金ニ付十二歳未満ナルトキハ十二歳ニ達シタル日ニ於テ年金契約ノ効力発生シタルモノト看做シ年金額ヲ更正ス
前項ノ規定ニ依リ年金額ヲ更正スル場合ニ於テ其ノ金額カ郵便年金法第三条ニ規定スル制限ヲ超ユルトキハ当初ヨリ最高ノ年金額ニ基キテ年金契約ヲ為シタルモノト看做ス
第七条 掛金ノ算定ニ関シテハ年金受取人ノ年齢ハ出生ノ月ヨリ年金契約申込ノ月迄月ヲ以テ計算シ一年未満ノ端数ヲ生シタルトキハ其ノ端数カ七月以上ナルトキハ之ヲ一年ニ切上ケ六月以下ナルトキハ之ヲ切捨ツ
第四条ノ年金支払開始年齢ハ年金受取人カ年金契約申込ノ日ニ於テ前項ノ規定ニ依リ算出シタル年齢ニ達シタルモノト看做シ之ヲ計算ス
第八条 掛金ノ払込ハ一時払及分割払トス
第九条 年金契約ノ申込ヲ為スニハ之ト同時ニ掛金一時払ノモノニ在リテハ掛金ノ全額ヲ、掛金分割払ノモノニ在リテハ其ノ第一回分ヲ払込ムコトヲ要ス
第十条 掛金ハ左ノ基礎ニ依リ計算ス
一 明治四十五年内閣統計局ノ発表シタル第二表ノ死亡率ヨリ男子ニ在リテハ男子死亡率ノ二割ヲ、女子ニ在リテハ女子死亡率ノ三割ヲ減シテ作成シタル死亡生残表
二 掛金一時払ナルトキハ市場ニ於ケル公債ノ時価ニ準シ逓信大臣ノ定ムル予定利率
掛金分割払ナルトキハ年五分ノ予定利率
年金受取人ノ為ニ積立ツヘキ金額ハ前項ノ基礎ニ依リ純保険料式ヲ以テ之ヲ計算ス
第十一条 払込掛金ノ返還ヲ請求スル権利ヲ留保セサル年金契約ニ於テ年金受取人死亡シ又ハ年金契約解除セラレタル場合未タ払込マサル掛金アルトキハ之ヲ払込ムコトヲ要セス
第十二条 年金ハ年金支払ノ事由発生シタル日ヨリ三月毎ニ各其ノ経過シタル期間分ヲ支払フ但シ期間ノ中途ニ於テ年金受取人死亡シタルトキハ其ノ期間ニ付テハ月割ヲ以テ計算シ死亡ノ日ヲ含ム月割分迄ヲ支払フ
第十三条 郵便年金法第七条ノ規定ニ依リ返還スヘキ払込掛金ノ額ハ左ノ区別ニ依ル
年金受取人死亡シタル場合
死亡ノ日迄ノ払込掛金(払込ムヘキモノヲ含ム)ノ額但シ支払ヒタル年金(支払フヘキモノヲ含ム)アルトキハ其ノ金額ヲ差引キタル残額
年金契約解除セラレタル場合
契約解除ノ日迄ノ払込掛金(払込ムヘキモノヲ含ム)ノ額ノ百分ノ九十以上ニシテ逓信大臣ノ定ムル額
年金契約変更セラレタル場合
契約変更ノ日迄ノ払込掛金(払込ムヘキモノヲ含ム)ノ額ヨリ変更後ノ契約ニ付当初ヨリ変更ノ日迄ニ払込ムヘカリシ掛金ノ額ヲ差引キタル残額ノ百分ノ九十以上ニシテ逓信大臣ノ定ムル額
附 則
本令ハ郵便年金法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス