製鉄所特別会計法
法令番号: 法律第四十六號
公布年月日: 大正15年3月31日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル製鐵所特別會計法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十五年三月三十日
內閣總理大臣 若槻禮次郞
大藏大臣 濱口雄幸
商工大臣 片岡直溫
法律第四十六號
製鐵所特別會計法
第一條 製鐵所ノ事業ヲ經營スル爲從來ノ固定資本及据置運轉資本竝將來ノ製鐵所益金及本會計ノ負擔ニ屬スル公債又ハ借入金ヲ以テ資本ト爲シ其ノ歲入ヲ以テ其ノ歲出ニ充テ特別會計ヲ設置ス
第二條 製鐵所ニ於テ固定財產ノ擴張及改良ニ要スル經費ヲ支辨スル爲必要アルトキハ公債ヲ發行シ又ハ借入ヲ爲スコトヲ得但シ公債又ハ借入金ノ額ニ付テハ帝國議會ノ協贊ヲ經ヘシ
製鐵所ニ於テ運轉資金ニ充ツル爲必要アルトキハ最高六千萬圓ヲ限度トシ公債ヲ發行シ又ハ借入ヲ爲スコトヲ得
第三條 左ニ揭クル國債ハ本會計ノ負擔トス
一 製鐵所ノ削設及擴張ニ必要ナル經費ヲ支辨スル爲從來發行シタル公債及之カ借換ノ爲從來發行シタル公債
二 前條ノ規定ニ依ル公債又ハ借入金
三 前二號ニ規定スル國債ノ借換ノ爲起債シタル國債
前項ニ規定スル國債ノ償還金、利子、割引料竝發行及償還ニ關スル經費ノ支出ニ必要ナル金額ハ每年度之ヲ國債整理基金特別會計ニ繰入ルヘシ
第四條 本會計ハ之ヲ資本勘定、用品勘定及作業勘定ニ區分ス
第五條 資本勘定ハ作業益金繰入金、固定財產減價償却繰入金、公債募集金、借入金、固定財產ノ賣拂代金其ノ他附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ固定財產ノ擴張費改良費補充費、本勘定ニ於テ使用スル固定財產ノ維持修理費、國債償還金其ノ他附屬諸費ヲ以テ其ノ歲出トス
第六條 用品勘定ハ用品收入、工作收入其ノ他附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ用品費、工作費、本勘定ニ於テ使用スル固定財產ノ維持修理費減價償却金其ノ他附屬諸費ヲ以テ其ノ歲出トス
第七條 作業勘定ハ作業上ノ諸收入、固定財產ノ貸付料、預金利子其ノ他附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ作業上ノ諸費用、總係費、本勘定ニ於テ使用スル固定財產ノ維持修理費減價償却金、國債ノ利子割引料其ノ他附屬諸費ヲ以テ其ノ歲出トス
第八條 需要ノ增加ニ基ク生產又ハ販賣ノ增加ニ因リテ生シタル豫算ノ不足ヲ補フ爲用品勘定及作業勘定ノ歲出ニ豫備費ヲ設クヘシ
第九條 用品勘定又ハ作業勘定ニ於テ使用スル固定財產ノ減價償却金ハ之ヲ資本勘定ニ繰入ルヘシ
第十條 用品勘定又ハ作業勘定ニ於テ決算上生シタル利益又ハ損失ハ之ヲ資本勘定ニ移シ整理スヘシ
第十一條 資本勘定ニ於テ決算上生シタル利益ハ之ヲ製鐵所益金トシ資本ニ組入ルヘシ
資本勘定ニ於テ決算上損失ヲ生シタルトキハ之ヲ製鐵所損金トシ資本ヲ減額スヘシ
第十二條 政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ之ヲ帝國議會ニ提出スヘシ
第十三條 本會計ニ於テ支拂上現金ニ不足アルトキハ本會計ノ負擔ニ於テ最高千萬圓ヲ限度トシ一時借入ヲ爲シ又ハ融通證券ヲ發行スルコトヲ得
一時借入金及融通證券ニ依ル資金ハ當該年度內ニ之ヲ返還スヘシ
第十四條 本會計ニ於テ支拂上現金ニ餘裕アルトキハ之ヲ大藏省預金部ニ預入ルヘシ
第十五條 本會計ノ收入支出及損益計算ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
第十六條 本法ハ大正十六年度ヨリ之ヲ施行ス
第十七條 
作業會計法第一條第一號乃至第六號ヲ左ノ如ク改メ同法第二條第三項ヲ削ル
第一 印刷局
第二 海軍火藥廠
第三 海軍燃料廠
第四 專賣局
第十八條 
明治三十八年法律第十七號第一條第一項中「及製鐵所」、「專賣局ニ在リテハ」及「製鐵所ニ在リテハ九千八百萬圓」ヲ削ル
第十九條 本法ニ依リ本會計ニ於テ借入ヲ爲シ又ハ一時借入ヲ爲ス必要アル場合ニ於テハ當分ノ內當該年度內ニ限リ國庫餘裕金ヲ繰替使用スルコトヲ得
第二十條 本法施行前ニ於ケル製鐵所特別會計(作業會計法ニ依ルモノ)ニ屬スル收入及支出ノ未濟額ハ之ヲ本會計ニ繰越スヘシ
第二十一條 一般會計ノ歲出豫算ニ於ケル製鐵所擴張費ハ大正十六年度以降本會計ノ所屬トス
一般會計ノ歲出豫算ニ於ケル製鐵所擴張費及製鐵所設備補足費ニシテ大正十五年度ヨリ翌年度ニ繰越ヲ要スルモノハ之ヲ本會計ニ移シ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ繰越ヲ爲シタル場合ニ於テハ一般會計ハ其ノ繰越額ニ相當スル金額ヲ本會計ニ繰入ルヘシ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル製鉄所特別会計法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十五年三月三十日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
大蔵大臣 浜口雄幸
商工大臣 片岡直温
法律第四十六号
製鉄所特別会計法
第一条 製鉄所ノ事業ヲ経営スル為従来ノ固定資本及据置運転資本並将来ノ製鉄所益金及本会計ノ負担ニ属スル公債又ハ借入金ヲ以テ資本ト為シ其ノ歳入ヲ以テ其ノ歳出ニ充テ特別会計ヲ設置ス
第二条 製鉄所ニ於テ固定財産ノ拡張及改良ニ要スル経費ヲ支弁スル為必要アルトキハ公債ヲ発行シ又ハ借入ヲ為スコトヲ得但シ公債又ハ借入金ノ額ニ付テハ帝国議会ノ協賛ヲ経ヘシ
製鉄所ニ於テ運転資金ニ充ツル為必要アルトキハ最高六千万円ヲ限度トシ公債ヲ発行シ又ハ借入ヲ為スコトヲ得
第三条 左ニ掲クル国債ハ本会計ノ負担トス
一 製鉄所ノ削設及拡張ニ必要ナル経費ヲ支弁スル為従来発行シタル公債及之カ借換ノ為従来発行シタル公債
二 前条ノ規定ニ依ル公債又ハ借入金
三 前二号ニ規定スル国債ノ借換ノ為起債シタル国債
前項ニ規定スル国債ノ償還金、利子、割引料並発行及償還ニ関スル経費ノ支出ニ必要ナル金額ハ毎年度之ヲ国債整理基金特別会計ニ繰入ルヘシ
第四条 本会計ハ之ヲ資本勘定、用品勘定及作業勘定ニ区分ス
第五条 資本勘定ハ作業益金繰入金、固定財産減価償却繰入金、公債募集金、借入金、固定財産ノ売払代金其ノ他附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ固定財産ノ拡張費改良費補充費、本勘定ニ於テ使用スル固定財産ノ維持修理費、国債償還金其ノ他附属諸費ヲ以テ其ノ歳出トス
第六条 用品勘定ハ用品収入、工作収入其ノ他附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ用品費、工作費、本勘定ニ於テ使用スル固定財産ノ維持修理費減価償却金其ノ他附属諸費ヲ以テ其ノ歳出トス
第七条 作業勘定ハ作業上ノ諸収入、固定財産ノ貸付料、預金利子其ノ他附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ作業上ノ諸費用、総係費、本勘定ニ於テ使用スル固定財産ノ維持修理費減価償却金、国債ノ利子割引料其ノ他附属諸費ヲ以テ其ノ歳出トス
第八条 需要ノ増加ニ基ク生産又ハ販売ノ増加ニ因リテ生シタル予算ノ不足ヲ補フ為用品勘定及作業勘定ノ歳出ニ予備費ヲ設クヘシ
第九条 用品勘定又ハ作業勘定ニ於テ使用スル固定財産ノ減価償却金ハ之ヲ資本勘定ニ繰入ルヘシ
第十条 用品勘定又ハ作業勘定ニ於テ決算上生シタル利益又ハ損失ハ之ヲ資本勘定ニ移シ整理スヘシ
第十一条 資本勘定ニ於テ決算上生シタル利益ハ之ヲ製鉄所益金トシ資本ニ組入ルヘシ
資本勘定ニ於テ決算上損失ヲ生シタルトキハ之ヲ製鉄所損金トシ資本ヲ減額スヘシ
第十二条 政府ハ毎年本会計ノ歳入歳出予算ヲ調製シ歳入歳出ノ総予算ト共ニ之ヲ帝国議会ニ提出スヘシ
第十三条 本会計ニ於テ支払上現金ニ不足アルトキハ本会計ノ負担ニ於テ最高千万円ヲ限度トシ一時借入ヲ為シ又ハ融通証券ヲ発行スルコトヲ得
一時借入金及融通証券ニ依ル資金ハ当該年度内ニ之ヲ返還スヘシ
第十四条 本会計ニ於テ支払上現金ニ余裕アルトキハ之ヲ大蔵省預金部ニ預入ルヘシ
第十五条 本会計ノ収入支出及損益計算ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
第十六条 本法ハ大正十六年度ヨリ之ヲ施行ス
第十七条 
作業会計法第一条第一号乃至第六号ヲ左ノ如ク改メ同法第二条第三項ヲ削ル
第一 印刷局
第二 海軍火薬廠
第三 海軍燃料廠
第四 専売局
第十八条 
明治三十八年法律第十七号第一条第一項中「及製鉄所」、「専売局ニ在リテハ」及「製鉄所ニ在リテハ九千八百万円」ヲ削ル
第十九条 本法ニ依リ本会計ニ於テ借入ヲ為シ又ハ一時借入ヲ為ス必要アル場合ニ於テハ当分ノ内当該年度内ニ限リ国庫余裕金ヲ繰替使用スルコトヲ得
第二十条 本法施行前ニ於ケル製鉄所特別会計(作業会計法ニ依ルモノ)ニ属スル収入及支出ノ未済額ハ之ヲ本会計ニ繰越スヘシ
第二十一条 一般会計ノ歳出予算ニ於ケル製鉄所拡張費ハ大正十六年度以降本会計ノ所属トス
一般会計ノ歳出予算ニ於ケル製鉄所拡張費及製鉄所設備補足費ニシテ大正十五年度ヨリ翌年度ニ繰越ヲ要スルモノハ之ヲ本会計ニ移シ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ繰越ヲ為シタル場合ニ於テハ一般会計ハ其ノ繰越額ニ相当スル金額ヲ本会計ニ繰入ルヘシ