樺太地方鉄道補助法
法令番号: 法律第四十號
公布年月日: 大正10年4月4日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル樺太地方鐵道補助法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年四月二日
內閣總理大臣 原敬
大藏大臣 子爵 高橋是淸
法律第四十號
樺太地方鐵道補助法
第一條 樺太ニ於テ鐵道ヲ經營スル株式會社ノ每營業年度ニ於ケル益金カ鐵道ノ經營ニ要スル拂込資本金額ニ對シ年八分ノ割合ニ達セサルトキハ政府ハ會社ニ對シ設立登記ノ日ヨリ十年ヲ限リ其ノ不足額ヲ補給スルコトヲ得但シ補助金ハ鐵道ノ經營ニ要スル拂込資本金額ニ對シ年八分ニ相當スル金額ヲ超ユルコトヲ得ス
第二條 社債又ハ借入金ニシテ鐵道ノ建設費ニ充ツルモノニ對シテハ社債ノ登記又ハ借入金ヲ爲シタル日ヨリ十年ヲ限リ年八分ニ相當スル金額ヲ限度トシ社債又ハ借入金ノ利足ヲ補給スルコトヲ得但シ其ノ社債又ハ借入金ヲ以テ建設シタル鐵道ヨリ生スル益金アルトキハ之ニ相當スル金額ヲ控除ス
第三條 政府ハ必要アリト認ムルトキハ一會社ノ經營スル鐵道ヲ數區ニ分チ各區ニ付前二條ノ規定ニ準シ補助ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テ會社カ資本又ハ拂込資本金額ヲ增加シ一區又ハ數區ノ鐵道ヲ經營スルトキハ當該區ノ鐵道ニ對スル補助ノ期間ハ資本增加又ハ拂込資本金額變更ノ登記ノ日ヨリ之ヲ起算スルコトヲ得
第四條 前三條ノ規定ニ依ル益金、拂込資本金額、社債及借入金ハ政府ノ定ムル所ニ依リ算出シタル金額ニ依ル
第五條 補助金ノ年總額ハ最高五十萬圓トス
第六條 補助金ノ每年度ノ豫算殘額ハ遞次之ヲ翌年度ニ繰越シ使用スルコトヲ得
第七條 補助ヲ受クル會社カ法令、法令ニ基キテ爲ス命令、免許若ハ補助ニ附シタル條件ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキハ政府ハ其ノ補助ヲ停止シ又ハ廢止スルコトヲ得
第八條 補助ヲ受クル會社カ補助期間中左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ政府ノ定ムル所ニ依リ旣ニ交付シタル補助金ヲ償還セシム
一 免許ヲ取消サレタルトキ
二 期限內ニ工事施行ノ認可ヲ申請セス若ハ工事ニ著手セス又ハ工事施行ノ認可ヲ得サルニ因リ免許其ノ效力ヲ失ヒタルトキ
三 合併以外ノ事由ニ因リ營業開始前解散シタルトキ
第九條 詐欺ニ因リテ補助金ヲ受ケタルトキハ法定ノ利息ヲ附シテ之ヲ償還セシム
第十條 前二條ノ規定ニ依ル償還金ハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ徵收スルコトヲ得但シ先取特權ノ順位ハ國稅ニ次クモノトス
附 則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル樺太地方鉄道補助法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年四月二日
内閣総理大臣 原敬
大蔵大臣 子爵 高橋是清
法律第四十号
樺太地方鉄道補助法
第一条 樺太ニ於テ鉄道ヲ経営スル株式会社ノ毎営業年度ニ於ケル益金カ鉄道ノ経営ニ要スル払込資本金額ニ対シ年八分ノ割合ニ達セサルトキハ政府ハ会社ニ対シ設立登記ノ日ヨリ十年ヲ限リ其ノ不足額ヲ補給スルコトヲ得但シ補助金ハ鉄道ノ経営ニ要スル払込資本金額ニ対シ年八分ニ相当スル金額ヲ超ユルコトヲ得ス
第二条 社債又ハ借入金ニシテ鉄道ノ建設費ニ充ツルモノニ対シテハ社債ノ登記又ハ借入金ヲ為シタル日ヨリ十年ヲ限リ年八分ニ相当スル金額ヲ限度トシ社債又ハ借入金ノ利足ヲ補給スルコトヲ得但シ其ノ社債又ハ借入金ヲ以テ建設シタル鉄道ヨリ生スル益金アルトキハ之ニ相当スル金額ヲ控除ス
第三条 政府ハ必要アリト認ムルトキハ一会社ノ経営スル鉄道ヲ数区ニ分チ各区ニ付前二条ノ規定ニ準シ補助ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テ会社カ資本又ハ払込資本金額ヲ増加シ一区又ハ数区ノ鉄道ヲ経営スルトキハ当該区ノ鉄道ニ対スル補助ノ期間ハ資本増加又ハ払込資本金額変更ノ登記ノ日ヨリ之ヲ起算スルコトヲ得
第四条 前三条ノ規定ニ依ル益金、払込資本金額、社債及借入金ハ政府ノ定ムル所ニ依リ算出シタル金額ニ依ル
第五条 補助金ノ年総額ハ最高五十万円トス
第六条 補助金ノ毎年度ノ予算残額ハ逓次之ヲ翌年度ニ繰越シ使用スルコトヲ得
第七条 補助ヲ受クル会社カ法令、法令ニ基キテ為ス命令、免許若ハ補助ニ附シタル条件ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行為ヲ為シタルトキハ政府ハ其ノ補助ヲ停止シ又ハ廃止スルコトヲ得
第八条 補助ヲ受クル会社カ補助期間中左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ政府ノ定ムル所ニ依リ既ニ交付シタル補助金ヲ償還セシム
一 免許ヲ取消サレタルトキ
二 期限内ニ工事施行ノ認可ヲ申請セス若ハ工事ニ著手セス又ハ工事施行ノ認可ヲ得サルニ因リ免許其ノ効力ヲ失ヒタルトキ
三 合併以外ノ事由ニ因リ営業開始前解散シタルトキ
第九条 詐欺ニ因リテ補助金ヲ受ケタルトキハ法定ノ利息ヲ附シテ之ヲ償還セシム
第十条 前二条ノ規定ニ依ル償還金ハ国税滞納処分ノ例ニ依リ之ヲ徴収スルコトヲ得但シ先取特権ノ順位ハ国税ニ次クモノトス
附 則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス