一年現役兵条例
法令番号: 勅令第四百七十六號
公布年月日: 大正8年11月27日
法令の形式: 勅令
朕一年現役兵條例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正八年十一月二十六日
內閣總理大臣 原敬
陸軍大臣 田中義一
勅令第四百七十六號
一年現役兵條例
第一條 徵兵令第十四條ノ規定ニ依リ一年現役兵トシテ現役ニ服スヘキ者ハ師範學校卒業ノ年又ハ其ノ翌年入營セシメ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ敎職ニ在ル地又ハ其ノ師範學校所在地ノ師管內ノ步兵聯隊ニ編入シ服役セシム
朝鮮、臺灣、樺太、關東州又ハ支那ニ於テ敎職ニ在ル者ヲ編入スル部隊ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第二條 一年現役兵ノ現役年期ハ其ノ入營ノ年ノ四月一日ヨリ起算ス
第三條 一年現役兵ノ入營期日ハ每年四月一日トス
第四條 一年現役兵傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ前條ノ入營期日ニ入營シ難キ者ニ付テハ師團長臺灣ニ於テハ臺灣軍司令官ハ其ノ月三十日迄ニ於テ其ノ入營期日ヲ指定スルコトヲ得
第五條 陸軍大臣ハ戰時又ハ事變ノ際其ノ他必要ノ場合ニ於テハ第一條第一項ノ規定ニ依ル服役部隊又ハ前二條ニ規定スル入營期日ヲ變更スルコトヲ得
陸軍大臣ハ前項ノ規定ニ依リ入營期日ヲ變更シタル場合ニ於テ第二條ノ規定ニ依ル現役年期ノ起算ノ日ヲ變更スルコトヲ得
第六條 陸軍大臣ハ其ノ定ムル所ニ依リ一年現役兵入營ニ際シ已ムヲ得サル事故アル場合ニ於テ前三條ノ規定ニ依ル入營期日ノ後十日內其ノ入營期日ヲ延期スルコトヲ得
第七條 第四條ニ規定スル事故ニ因リ四月三十日迄ニ入營シ難キ者ハ翌年之ヲ入營セシム
第八條 一年現役兵トシテ現役ニ服スヘキ者ノ身體檢査ニ關スル事項ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第九條 一年現役兵ハ入營後槪ネ四月ノ後之ニ一等卒ヲ、槪ネ六月ノ後之ニ上等兵ヲ命シ槪ネ九月ノ後之ヲ伍長ノ階級ニ進メ現役滿期退營ノ際軍曹ニ任ス
第十條 一年現役兵左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ前條ノ規定ヲ適用セス
一 怠慢ニシテ勤務ヲ習得セサル者又ハ習得ノ見込ナキ者
二 軍紀ヲ紊リ、法則ヲ犯シ又ハ品行不正ニシテ改悛ノ見込ナキ者
第十一條 一年現役兵前條ノ規定ニ該當スル者ヲ除クニシテ豫備役後備役將校タルノ希望ヲ有スル者ハ志願ニ由リ現役滿期前終末試驗ヲ受クルコトヲ得
第十二條 前條ノ規定ニ依リ志願シタル者傷痍疾病等ニ因リ終末試驗ヲ受ケサルトキハ現役滿期後一年內ニ終末試驗ヲ受クルコトヲ得
第十三條 前二條ノ規定ニ依リ終末試驗ヲ受ケタル者ニ付テハ學科及術科ノ試驗ノ成績ト平素ニ於ケル勤務ノ成績トヲ參酌シテ及落ヲ決定シ及第者ニハ終末試驗及第證書ヲ交付ス
第十四條 一年現役兵傷痍疾病ニ因リ現役ニ堪ヘサルトキハ現役ヲ、永久兵役ニ堪ヘサルトキハ兵役ヲ免除ス
前項ノ規定ニ依リ現役ヲ免除セラレタル者ハ第一國民兵役ニ服セシム
第十五條 一年現役兵ニハ給料ヲ給セス
身體檢査ノ爲ノ往復旅費、入營旅費及歸鄕旅費ハ之ヲ給ス
第十六條 朝鮮、臺灣、樺太、關東州又ハ支那ニ於テ敎職ニ在ル者ニシテ一年現役兵トシテ現役ニ服スヘキモノニ關スル調査ハ朝鮮總督府道知事、臺灣總督府總務長官、樺太廳長官、關東廳事務總長又ハ領事官ヲシテ之ヲ爲サシムルコトヲ得
附 則
本令ハ大正八年十二月一日ヨリ之ヲ施行ス
陸軍六週間現役兵條例ハ之ヲ廢止ス
大正七年法律第二十四號附則第七項乃至第九項ノ規定ノ適用ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
朕一年現役兵条例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正八年十一月二十六日
内閣総理大臣 原敬
陸軍大臣 田中義一
勅令第四百七十六号
一年現役兵条例
第一条 徴兵令第十四条ノ規定ニ依リ一年現役兵トシテ現役ニ服スヘキ者ハ師範学校卒業ノ年又ハ其ノ翌年入営セシメ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ教職ニ在ル地又ハ其ノ師範学校所在地ノ師管内ノ歩兵連隊ニ編入シ服役セシム
朝鮮、台湾、樺太、関東州又ハ支那ニ於テ教職ニ在ル者ヲ編入スル部隊ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第二条 一年現役兵ノ現役年期ハ其ノ入営ノ年ノ四月一日ヨリ起算ス
第三条 一年現役兵ノ入営期日ハ毎年四月一日トス
第四条 一年現役兵傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ前条ノ入営期日ニ入営シ難キ者ニ付テハ師団長台湾ニ於テハ台湾軍司令官ハ其ノ月三十日迄ニ於テ其ノ入営期日ヲ指定スルコトヲ得
第五条 陸軍大臣ハ戦時又ハ事変ノ際其ノ他必要ノ場合ニ於テハ第一条第一項ノ規定ニ依ル服役部隊又ハ前二条ニ規定スル入営期日ヲ変更スルコトヲ得
陸軍大臣ハ前項ノ規定ニ依リ入営期日ヲ変更シタル場合ニ於テ第二条ノ規定ニ依ル現役年期ノ起算ノ日ヲ変更スルコトヲ得
第六条 陸軍大臣ハ其ノ定ムル所ニ依リ一年現役兵入営ニ際シ已ムヲ得サル事故アル場合ニ於テ前三条ノ規定ニ依ル入営期日ノ後十日内其ノ入営期日ヲ延期スルコトヲ得
第七条 第四条ニ規定スル事故ニ因リ四月三十日迄ニ入営シ難キ者ハ翌年之ヲ入営セシム
第八条 一年現役兵トシテ現役ニ服スヘキ者ノ身体検査ニ関スル事項ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第九条 一年現役兵ハ入営後概ネ四月ノ後之ニ一等卒ヲ、概ネ六月ノ後之ニ上等兵ヲ命シ概ネ九月ノ後之ヲ伍長ノ階級ニ進メ現役満期退営ノ際軍曹ニ任ス
第十条 一年現役兵左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ前条ノ規定ヲ適用セス
一 怠慢ニシテ勤務ヲ習得セサル者又ハ習得ノ見込ナキ者
二 軍紀ヲ紊リ、法則ヲ犯シ又ハ品行不正ニシテ改悛ノ見込ナキ者
第十一条 一年現役兵前条ノ規定ニ該当スル者ヲ除クニシテ予備役後備役将校タルノ希望ヲ有スル者ハ志願ニ由リ現役満期前終末試験ヲ受クルコトヲ得
第十二条 前条ノ規定ニ依リ志願シタル者傷痍疾病等ニ因リ終末試験ヲ受ケサルトキハ現役満期後一年内ニ終末試験ヲ受クルコトヲ得
第十三条 前二条ノ規定ニ依リ終末試験ヲ受ケタル者ニ付テハ学科及術科ノ試験ノ成績ト平素ニ於ケル勤務ノ成績トヲ参酌シテ及落ヲ決定シ及第者ニハ終末試験及第証書ヲ交付ス
第十四条 一年現役兵傷痍疾病ニ因リ現役ニ堪ヘサルトキハ現役ヲ、永久兵役ニ堪ヘサルトキハ兵役ヲ免除ス
前項ノ規定ニ依リ現役ヲ免除セラレタル者ハ第一国民兵役ニ服セシム
第十五条 一年現役兵ニハ給料ヲ給セス
身体検査ノ為ノ往復旅費、入営旅費及帰郷旅費ハ之ヲ給ス
第十六条 朝鮮、台湾、樺太、関東州又ハ支那ニ於テ教職ニ在ル者ニシテ一年現役兵トシテ現役ニ服スヘキモノニ関スル調査ハ朝鮮総督府道知事、台湾総督府総務長官、樺太庁長官、関東庁事務総長又ハ領事官ヲシテ之ヲ為サシムルコトヲ得
附 則
本令ハ大正八年十二月一日ヨリ之ヲ施行ス
陸軍六週間現役兵条例ハ之ヲ廃止ス
大正七年法律第二十四号附則第七項乃至第九項ノ規定ノ適用ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル