工業所有権戦時法施行令
法令番号: 勅令第百四十一號
公布年月日: 大正6年9月12日
法令の形式: 勅令
朕工業所有權戰時法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正六年九月十一日
內閣總理大臣 伯爵 寺內正毅
司法大臣 松室致
農商務大臣 仲小路廉
勅令第百四十一號
工業所有權戰時法施行令
第一條 工業所有權戰時法ニ依ル特許又ハ商標登錄ノ取消ハ職權ヲ以テ、特許發明ノ專用免許ハ申請ニ因リ農商務大臣之ヲ爲ス
前項ノ規定ニ依ル處分ハ時局ノ關係ニ於テ軍事上又ハ公益上必要アルトキニ限リ之ヲ爲スコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル處分ハ農商務部內ノ高等官又ハ學識經驗アル者ノ中ヨリ農商務大臣ノ命シタル五人又ハ七人ノ調査委員ノ審査ヲ經テ之ヲ爲スヘシ
第二條 專用ノ免許ハ同時ニ免許ヲ爲シ又ハ旣ニ爲シタル免許ノ趣旨ニ反セサルトキニ限リ數人ニ對シ各別ニ之ヲ爲スコトヲ得
專用ノ免許ニハ條件ヲ附スルコトヲ得
第三條 專用權ハ登錄ニ依リ發生ス
第四條 專用權ノ讓渡ハ農商務大臣ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
第五條 專用權ノ讓渡、變更、處分ノ制限、取消若ハ抛棄ニ依ル消滅又ハ專用免許ノ條件ノ附加若ハ變更ハ登錄スルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
專用權ヲ目的トスル質權ノ設定、移轉、變更、處分ノ制限又ハ消滅ニ付亦前項ニ同シ
第六條 專用ノ免許ヲ申請スル者ハ一件每ニ手數料五十圓ヲ納付スヘシ
第七條 專用權者ハ農商務大臣カ第一條第三項ノ調査委員ノ審査ヲ經テ定メタル標準ニ依リ專用料ヲ納付スヘシ
前項ノ標準ハ當該特許發明ノ實施ニ依ル生產物ノ價額ノ百分ノ三乃至十ノ範圍內ニ於テ之ヲ定ム但シ特別ノ事由アルトキハ之ニ依ラサルコトヲ得
第八條 農商務大臣ハ何時ニテモ專用權者ヲシテ其ノ事業若ハ財產ニ關シ報吿ヲ爲サシメ又ハ其ノ事業若ハ財產ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
第九條 前三條ノ規定ハ國ノ專用ニ付之ヲ適用セス
第十條 專用權者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ農商務大臣ハ專用ノ免許ヲ取消スコトヲ得
一 正當ノ事由ナクシテ專用權發生ノ日ヨリ三月內ニ當該特許發明ノ實施ノ準備ニ著手セサルトキ
二 當該特許發明ヲ適當ニ實施セサルトキ
三 專用免許ノ條件ニ違反シタルトキ
四 專用料ノ納付ヲ怠リタルトキ
五 第八條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サス、不正ノ報吿ヲ爲シ又ハ檢査ヲ妨ケタルトキ
農商務大臣軍事上又ハ公益上必要ト認ムルトキハ專用ノ免許ヲ取消スコトヲ得
附 則
本令ハ工業所有權戰時法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕工業所有権戦時法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正六年九月十一日
内閣総理大臣 伯爵 寺内正毅
司法大臣 松室致
農商務大臣 仲小路廉
勅令第百四十一号
工業所有権戦時法施行令
第一条 工業所有権戦時法ニ依ル特許又ハ商標登録ノ取消ハ職権ヲ以テ、特許発明ノ専用免許ハ申請ニ因リ農商務大臣之ヲ為ス
前項ノ規定ニ依ル処分ハ時局ノ関係ニ於テ軍事上又ハ公益上必要アルトキニ限リ之ヲ為スコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル処分ハ農商務部内ノ高等官又ハ学識経験アル者ノ中ヨリ農商務大臣ノ命シタル五人又ハ七人ノ調査委員ノ審査ヲ経テ之ヲ為スヘシ
第二条 専用ノ免許ハ同時ニ免許ヲ為シ又ハ既ニ為シタル免許ノ趣旨ニ反セサルトキニ限リ数人ニ対シ各別ニ之ヲ為スコトヲ得
専用ノ免許ニハ条件ヲ附スルコトヲ得
第三条 専用権ハ登録ニ依リ発生ス
第四条 専用権ノ譲渡ハ農商務大臣ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
第五条 専用権ノ譲渡、変更、処分ノ制限、取消若ハ抛棄ニ依ル消滅又ハ専用免許ノ条件ノ附加若ハ変更ハ登録スルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
専用権ヲ目的トスル質権ノ設定、移転、変更、処分ノ制限又ハ消滅ニ付亦前項ニ同シ
第六条 専用ノ免許ヲ申請スル者ハ一件毎ニ手数料五十円ヲ納付スヘシ
第七条 専用権者ハ農商務大臣カ第一条第三項ノ調査委員ノ審査ヲ経テ定メタル標準ニ依リ専用料ヲ納付スヘシ
前項ノ標準ハ当該特許発明ノ実施ニ依ル生産物ノ価額ノ百分ノ三乃至十ノ範囲内ニ於テ之ヲ定ム但シ特別ノ事由アルトキハ之ニ依ラサルコトヲ得
第八条 農商務大臣ハ何時ニテモ専用権者ヲシテ其ノ事業若ハ財産ニ関シ報告ヲ為サシメ又ハ其ノ事業若ハ財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得
第九条 前三条ノ規定ハ国ノ専用ニ付之ヲ適用セス
第十条 専用権者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ農商務大臣ハ専用ノ免許ヲ取消スコトヲ得
一 正当ノ事由ナクシテ専用権発生ノ日ヨリ三月内ニ当該特許発明ノ実施ノ準備ニ著手セサルトキ
二 当該特許発明ヲ適当ニ実施セサルトキ
三 専用免許ノ条件ニ違反シタルトキ
四 専用料ノ納付ヲ怠リタルトキ
五 第八条ノ規定ニ依ル報告ヲ為サス、不正ノ報告ヲ為シ又ハ検査ヲ妨ケタルトキ
農商務大臣軍事上又ハ公益上必要ト認ムルトキハ専用ノ免許ヲ取消スコトヲ得
附 則
本令ハ工業所有権戦時法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス