製鉄業奨励法施行令
法令番号: 勅令第百二十六號
公布年月日: 大正6年8月30日
法令の形式: 勅令
朕製鐵業奬勵法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正六年八月二十九日
內閣總理大臣 伯爵 寺內正毅
內務大臣 男爵 後藤新平
農商務大臣 仲小路廉
大藏大臣 勝田主計
勅令第百二十六號
製鐵業奬勵法施行令
第一條 製鐵業奬勵法ニ依リ他人ノ土地ヲ收用又ハ使用シ得ヘキ製鐵事業ハ銑鐵、鋼鐵、壓延鋼材(軌條及繼目鈑ヲ含ム)、鍛鋼製品若ハ鑄鋼製品ノ素材又ハ農商務大臣ノ指定シタル副生物ノ製造ニ關スル事業トス營業稅及所得稅ノ免除ヲ受クヘキ製鐵事業亦同シ
第二條 低燐銑鐵ノ標準成分ハ燐ノ含有量萬分ノ四以下トス
低燐銑鐵製造事業ニ付營業稅及所得稅ノ免除ヲ受ケムトスル者ハ開業又ハ能力增加前其ノ事業ノ計畫ニ付農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ之ヲ變更セムトスルトキ亦同シ
前項ノ規定ニ依ル認可ハ農商務大臣低燐銑鐵ノ製造不確實ト認ムルトキハ之ヲ取消スコトヲ得
第三條 製鐵業奬勵法第五條第一項ノ期間ハ製鐵能力一年三萬五千佛噸未滿ノ場合ニ在リテハ二年、十萬佛噸未滿ノ場合ニ在リテハ三年、十萬佛噸以上ノ場合ニ在リテハ五年內ニ於テ農商務大臣之ヲ定ム
前項ノ期間ハ農商務大臣災害其ノ他已ムヲ得サル事由アリト認ムルトキハ一年ヲ限リ之ヲ延長スルコトヲ得
第四條 所得稅ノ免除ヲ受ケムトスル者ハ所得稅法第七條又ハ第八條ノ規定ニ依リ所得ヲ申吿スルトキ其ノ旨所轄稅務署ニ申請スヘシ
前項ノ場合ニ於テ免除ヲ受クヘキ事業ヨリ生スル所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スルトキハ之ヲ區別シタル計算書ヲ添附スヘシ
第五條 營業稅ノ免除ヲ受ケムトスル者ハ營業稅法第十三條ノ規定ニ依リ營業名及課稅標準ヲ申吿スルトキ其ノ旨所轄稅務署ニ申請スヘシ
前項ノ場合ニ於テ免除ヲ受クヘキ營業ト其ノ他ノ營業トヲ兼營スルトキハ之ヲ區別シタル內譯書ヲ添附スヘシ
第六條 農商務大臣必要ト認ムルトキハ營業稅及所得稅ノ免除ヲ受ケムトスル者ヲシテ製鐵事業ニ關スル書類又ハ製鐵原料若ハ製品ノ試料ヲ提出セシメ當該官吏ヲシテ製鐵事業ニ關スル設備、帳簿其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
第七條 收稅官吏必要ト認ムルトキハ前條ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
附 則
第八條 本令ハ製鐵業奬勵法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第九條 本令施行ノ年ニ於テ免除スヘキ營業稅及第三種ノ所得ニ係ル所得稅ハ其ノ年ノ決定稅額ニ依リ月割ヲ以テ之ヲ定ム
本令施行ノ日ノ屬スル事業年度ニ付免除スヘキ第一種ノ所得ニ係ル所得稅ハ其ノ事業年度ノ決定稅額ニ依リ月割ヲ以テ之ヲ定ム
第十條 本令施行ノ年ニ於ケル第四條又ハ第五條ノ申請ニシテ其ノ期限ノ經過シタルモノハ本令施行後一月內ニ之ヲ爲スヘシ
第十一條 第三條ノ規定ハ製鐵業奬勵法第十一條ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十二條 輸入稅ノ免除ヲ受クルコトヲ得ヘキ器具、機械其ノ他ノ材料ノ種類ハ第一條ニ揭クル製鐵事業ノ爲必要ナル物ニシテ農商務大臣ノ指定シタルモノニ限ル
輸入稅ノ免除ヲ受クヘキ物ヲ輸入セムトスル者ハ豫メ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十三條 輸入稅ノ免除ヲ受ケムトスル者ハ輸入申吿ヲ爲ス場合ニ於テ前條第二項ノ規定ニ依ル認可書ヲ添附スヘシ
前項ノ輸入申吿ハ製鐵事業者ノ名ヲ以テスルコトヲ要ス
第十四條 輸入稅ノ免除ヲ受ケタル物ヲ目的タル用途ニ供セサルトキハ其ノ輸入稅ヲ追徵ス但シ其ノ物ヲ製鐵業奬勵法ニ依リ輸入稅ノ免除ヲ受クルコトヲ得ヘキ他ノ用途ニ使用セムトスル場合ニ於テ農商務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ旨稅關ニ申吿シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第十五條 稅關官吏必要ト認ムルトキハ第六條ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
朕製鉄業奨励法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正六年八月二十九日
内閣総理大臣 伯爵 寺内正毅
内務大臣 男爵 後藤新平
農商務大臣 仲小路廉
大蔵大臣 勝田主計
勅令第百二十六号
製鉄業奨励法施行令
第一条 製鉄業奨励法ニ依リ他人ノ土地ヲ収用又ハ使用シ得ヘキ製鉄事業ハ銑鉄、鋼鉄、圧延鋼材(軌条及継目鈑ヲ含ム)、鍛鋼製品若ハ鋳鋼製品ノ素材又ハ農商務大臣ノ指定シタル副生物ノ製造ニ関スル事業トス営業税及所得税ノ免除ヲ受クヘキ製鉄事業亦同シ
第二条 低燐銑鉄ノ標準成分ハ燐ノ含有量万分ノ四以下トス
低燐銑鉄製造事業ニ付営業税及所得税ノ免除ヲ受ケムトスル者ハ開業又ハ能力増加前其ノ事業ノ計画ニ付農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ之ヲ変更セムトスルトキ亦同シ
前項ノ規定ニ依ル認可ハ農商務大臣低燐銑鉄ノ製造不確実ト認ムルトキハ之ヲ取消スコトヲ得
第三条 製鉄業奨励法第五条第一項ノ期間ハ製鉄能力一年三万五千仏噸未満ノ場合ニ在リテハ二年、十万仏噸未満ノ場合ニ在リテハ三年、十万仏噸以上ノ場合ニ在リテハ五年内ニ於テ農商務大臣之ヲ定ム
前項ノ期間ハ農商務大臣災害其ノ他已ムヲ得サル事由アリト認ムルトキハ一年ヲ限リ之ヲ延長スルコトヲ得
第四条 所得税ノ免除ヲ受ケムトスル者ハ所得税法第七条又ハ第八条ノ規定ニ依リ所得ヲ申告スルトキ其ノ旨所轄税務署ニ申請スヘシ
前項ノ場合ニ於テ免除ヲ受クヘキ事業ヨリ生スル所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スルトキハ之ヲ区別シタル計算書ヲ添附スヘシ
第五条 営業税ノ免除ヲ受ケムトスル者ハ営業税法第十三条ノ規定ニ依リ営業名及課税標準ヲ申告スルトキ其ノ旨所轄税務署ニ申請スヘシ
前項ノ場合ニ於テ免除ヲ受クヘキ営業ト其ノ他ノ営業トヲ兼営スルトキハ之ヲ区別シタル内訳書ヲ添附スヘシ
第六条 農商務大臣必要ト認ムルトキハ営業税及所得税ノ免除ヲ受ケムトスル者ヲシテ製鉄事業ニ関スル書類又ハ製鉄原料若ハ製品ノ試料ヲ提出セシメ当該官吏ヲシテ製鉄事業ニ関スル設備、帳簿其ノ他ノ物件ノ検査ヲ為サシムルコトヲ得
第七条 収税官吏必要ト認ムルトキハ前条ノ検査ヲ為スコトヲ得
附 則
第八条 本令ハ製鉄業奨励法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第九条 本令施行ノ年ニ於テ免除スヘキ営業税及第三種ノ所得ニ係ル所得税ハ其ノ年ノ決定税額ニ依リ月割ヲ以テ之ヲ定ム
本令施行ノ日ノ属スル事業年度ニ付免除スヘキ第一種ノ所得ニ係ル所得税ハ其ノ事業年度ノ決定税額ニ依リ月割ヲ以テ之ヲ定ム
第十条 本令施行ノ年ニ於ケル第四条又ハ第五条ノ申請ニシテ其ノ期限ノ経過シタルモノハ本令施行後一月内ニ之ヲ為スヘシ
第十一条 第三条ノ規定ハ製鉄業奨励法第十一条ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十二条 輸入税ノ免除ヲ受クルコトヲ得ヘキ器具、機械其ノ他ノ材料ノ種類ハ第一条ニ掲クル製鉄事業ノ為必要ナル物ニシテ農商務大臣ノ指定シタルモノニ限ル
輸入税ノ免除ヲ受クヘキ物ヲ輸入セムトスル者ハ予メ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十三条 輸入税ノ免除ヲ受ケムトスル者ハ輸入申告ヲ為ス場合ニ於テ前条第二項ノ規定ニ依ル認可書ヲ添附スヘシ
前項ノ輸入申告ハ製鉄事業者ノ名ヲ以テスルコトヲ要ス
第十四条 輸入税ノ免除ヲ受ケタル物ヲ目的タル用途ニ供セサルトキハ其ノ輸入税ヲ追徴ス但シ其ノ物ヲ製鉄業奨励法ニ依リ輸入税ノ免除ヲ受クルコトヲ得ヘキ他ノ用途ニ使用セムトスル場合ニ於テ農商務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ旨税関ニ申告シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第十五条 税関官吏必要ト認ムルトキハ第六条ノ検査ヲ為スコトヲ得