製鉄業奨励法
法令番号: 法律第二十七號
公布年月日: 大正6年7月25日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル製鐵業奬勵法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正六年七月二十四日
內閣總理大臣 伯爵 寺內正毅
內務大臣 男爵 後藤新平
農商務大臣 仲小路廉
大藏大臣 勝田主計
法律第二十七號
製鐵業奬勵法
第一條 一ノ場所ニ於テ一年三萬五千佛噸以上ノ製銑能力又ハ製鋼能力ヲ有スル設備ヲ以テ營ム製鐵事業ハ土地收用法第二條ノ土地ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得ル事業トシ同法ヲ適用ス
前項ノ規定ニ依リ他人ノ土地ヲ收用又ハ使用シ得ヘキ製鐵事業ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條 一ノ場所ニ於テ一年五千二百五十佛噸以上ノ製銑能力又ハ製鋼能力ヲ有スル設備ヲ以テ製鐵事業ヲ營ム者ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ開業ノ年及其ノ翌年ヨリ十年間其ノ場所ニ於ケル事業ニ付營業稅及業務ヨリ生スル所得ニ對スル所得稅ヲ免除ス
前項ノ規定ニ依リ營業稅及所得稅ノ免除ヲ受クヘキ製鐵事業ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條 一ノ場所ニ於テ一年五千二百五十佛噸以上ノ製銑能力又ハ製鋼能力ヲ增加スル設備ヲ爲シタルトキハ能力增加ノ年及其ノ翌年ヨリ十年間其ノ增加シタル能力ニ付前條ノ規定ヲ準用ス
第四條 前二條ノ規定ニ於テ五千二百五十佛噸トアルハ低燐銑鐵製造事業ニ付テハ二千五百佛噸トス
前項低燐銑鐵ノ標準成分ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條 農商務大臣ノ認可ヲ受ケタル計畫ニ基キ命令ノ定ムル期間內ニ製鐵能力ノ設備又ハ其ノ能力增加ノ設備ヲ完成スルトキハ其ノ完成ノ年ヲ以テ第二條ノ開業ノ年又ハ第三條ノ能力增加ノ年ト看做ス
前項ノ規定ニ依ル設備完成前其ノ設備ニ依リ事業ヲ營ム場合ニ於テモ其ノ能力ニ付營業稅及所得稅ヲ免除ス但シ前項ノ期間內ニ設備ヲ完成セサルトキハ此ノ限ニ在ラス
第六條 製鐵ノ事業ヲ繼續スル者又ハ其ノ事業ヲ繼續スルモノト認ムヘキ事實アル者ハ前事業者カ本法ニ依ル營業稅及所得稅免除期間內ニ在ルトキハ其ノ期間ヲ繼承ス
第七條 北海道、府縣及市町村其ノ他之ニ準スヘキモノハ本法ニ依リ營業稅及所得稅ヲ免除セラレタル製鐵事業者ニ對シ其ノ免除セラレタル部分ニ相當スル資本金額、從業者、營業用ノ工作物若ハ物件、使用動力又ハ收入ヲ標準トシテ課稅スルコトヲ得ス但シ市町村其ノ他之ニ準スヘキモノニシテ特別ノ事情ニ基キ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
附 則
第八條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條 本法施行ノ際現ニ製鐵事業ヲ營ム者本法施行後三年內ニ一ノ場所ニ於テ第二條ノ能力ヲ有スル設備ヲ爲スニ至リタル場合ニ於テ開業ノ年ノ翌年ヨリ十年ヲ經過セサルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ殘期間第二條ノ規定ヲ準用ス
第十條 本法施行前ヨリ一ノ場所ニ於テ第二條ノ能力ヲ有スル設備ヲ以テ製鐵事業ヲ營ム者其ノ開業ノ年ノ翌年又ハ第三條ノ能力ヲ增加スル設備ヲ爲シタル年ノ翌年ヨリ本法施行ノ日迄ニ十年ヲ經過セサルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ殘期間第二條又ハ第三條ノ規定ヲ準用ス
第十一條 第四條及第五條ノ規定ハ前二條ノ規定ノ適用ニ付之ヲ準用ス
第十二條 第一條ノ能力ヲ有スル製鐵事業ノ設備又ハ一ノ場所ニ於テ一年三萬五千佛噸以上ノ製銑能力若ハ製鋼能力ヲ增加スル設備ヲ爲ス爲必要ナル器具、機械其ノ他ノ材料ヲ輸入スルトキハ本法施行ノ日ヨリ十年間勅令ノ定ムル所ニ依リ輸入稅ヲ免除ス本法施行ノ際現ニ製鐵事業ヲ營ム者本法施行後三年內ニ一ノ場所ニ於テ一年三萬五千佛噸以上ノ製銑能力又ハ製鋼能力ヲ有スルニ至ル爲必要ナル設備ヲ爲ス場合亦同シ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル製鉄業奨励法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正六年七月二十四日
内閣総理大臣 伯爵 寺内正毅
内務大臣 男爵 後藤新平
農商務大臣 仲小路廉
大蔵大臣 勝田主計
法律第二十七号
製鉄業奨励法
第一条 一ノ場所ニ於テ一年三万五千仏噸以上ノ製銑能力又ハ製鋼能力ヲ有スル設備ヲ以テ営ム製鉄事業ハ土地収用法第二条ノ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル事業トシ同法ヲ適用ス
前項ノ規定ニ依リ他人ノ土地ヲ収用又ハ使用シ得ヘキ製鉄事業ノ範囲ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二条 一ノ場所ニ於テ一年五千二百五十仏噸以上ノ製銑能力又ハ製鋼能力ヲ有スル設備ヲ以テ製鉄事業ヲ営ム者ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ開業ノ年及其ノ翌年ヨリ十年間其ノ場所ニ於ケル事業ニ付営業税及業務ヨリ生スル所得ニ対スル所得税ヲ免除ス
前項ノ規定ニ依リ営業税及所得税ノ免除ヲ受クヘキ製鉄事業ノ範囲ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三条 一ノ場所ニ於テ一年五千二百五十仏噸以上ノ製銑能力又ハ製鋼能力ヲ増加スル設備ヲ為シタルトキハ能力増加ノ年及其ノ翌年ヨリ十年間其ノ増加シタル能力ニ付前条ノ規定ヲ準用ス
第四条 前二条ノ規定ニ於テ五千二百五十仏噸トアルハ低燐銑鉄製造事業ニ付テハ二千五百仏噸トス
前項低燐銑鉄ノ標準成分ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五条 農商務大臣ノ認可ヲ受ケタル計画ニ基キ命令ノ定ムル期間内ニ製鉄能力ノ設備又ハ其ノ能力増加ノ設備ヲ完成スルトキハ其ノ完成ノ年ヲ以テ第二条ノ開業ノ年又ハ第三条ノ能力増加ノ年ト看做ス
前項ノ規定ニ依ル設備完成前其ノ設備ニ依リ事業ヲ営ム場合ニ於テモ其ノ能力ニ付営業税及所得税ヲ免除ス但シ前項ノ期間内ニ設備ヲ完成セサルトキハ此ノ限ニ在ラス
第六条 製鉄ノ事業ヲ継続スル者又ハ其ノ事業ヲ継続スルモノト認ムヘキ事実アル者ハ前事業者カ本法ニ依ル営業税及所得税免除期間内ニ在ルトキハ其ノ期間ヲ継承ス
第七条 北海道、府県及市町村其ノ他之ニ準スヘキモノハ本法ニ依リ営業税及所得税ヲ免除セラレタル製鉄事業者ニ対シ其ノ免除セラレタル部分ニ相当スル資本金額、従業者、営業用ノ工作物若ハ物件、使用動力又ハ収入ヲ標準トシテ課税スルコトヲ得ス但シ市町村其ノ他之ニ準スヘキモノニシテ特別ノ事情ニ基キ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
附 則
第八条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九条 本法施行ノ際現ニ製鉄事業ヲ営ム者本法施行後三年内ニ一ノ場所ニ於テ第二条ノ能力ヲ有スル設備ヲ為スニ至リタル場合ニ於テ開業ノ年ノ翌年ヨリ十年ヲ経過セサルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ残期間第二条ノ規定ヲ準用ス
第十条 本法施行前ヨリ一ノ場所ニ於テ第二条ノ能力ヲ有スル設備ヲ以テ製鉄事業ヲ営ム者其ノ開業ノ年ノ翌年又ハ第三条ノ能力ヲ増加スル設備ヲ為シタル年ノ翌年ヨリ本法施行ノ日迄ニ十年ヲ経過セサルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ残期間第二条又ハ第三条ノ規定ヲ準用ス
第十一条 第四条及第五条ノ規定ハ前二条ノ規定ノ適用ニ付之ヲ準用ス
第十二条 第一条ノ能力ヲ有スル製鉄事業ノ設備又ハ一ノ場所ニ於テ一年三万五千仏噸以上ノ製銑能力若ハ製鋼能力ヲ増加スル設備ヲ為ス為必要ナル器具、機械其ノ他ノ材料ヲ輸入スルトキハ本法施行ノ日ヨリ十年間勅令ノ定ムル所ニ依リ輸入税ヲ免除ス本法施行ノ際現ニ製鉄事業ヲ営ム者本法施行後三年内ニ一ノ場所ニ於テ一年三万五千仏噸以上ノ製銑能力又ハ製鋼能力ヲ有スルニ至ル為必要ナル設備ヲ為ス場合亦同シ