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陸軍武官進級令
法令番号: 勅令第百九十九號
公布年月日: 大正5年8月14日
法令の形式: 勅令
沿革
被改正法
リンク
改正:
大正10年3月31日 勅令第56号
改正:
昭和2年6月30日 勅令第207号
改正:
昭和11年8月1日 勅令第249号
全改:
昭和16年3月8日 勅令第197号
全改:
陸軍武官進級令
廃止:
陸軍予備後備武官進級令
国立国会図書館『官報』
国立公文書館『御署名原本』
日本法令索引
朕陸軍武官進級令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正五年八月十二日
內閣總理大臣 侯爵 大隈重信
陸軍大臣 大島健一
勅令第百九十九號
陸軍武官進級令
第一章 總則
第一條
陸軍武官ハ級ヲ逐ヒ歷進セシム
第二條
陸軍武官ハ其ノ官ニ必要ナル實役停年ヲ超エタル者ニ非サレハ進級セシムルコトヲ得ス
第三條
陸軍武官ノ進級ハ拔擢進級及先任進級ニ依ル
第四條
陸軍武官將校相當官、各部准士官及各部下士ヲ除クノ拔擢進級候補ハ上官タル將校職權ニ依リ之ヲ選定シ其ノ上官タル將校選定ノ適否ヲ判定スルノ權ヲ有ス
將校相當官、各部准士官及各部下士ノ拔擢選定及判定ニ付テハ各部每ニ前項ノ例ニ依ル
第五條
休職又ハ停職中ノ者ハ之ヲ進級セシメサルモノトス
第六條
休職又ハ停職ノ期間ハ實役停年ニ算入セス
俘虜ト爲リ又ハ戰地ニ於テ生死不明ト爲リタル期間ニ付亦前項ニ同シ但シ正當ノ事由アルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二章 平時進級
第一節 將校同相當官ノ進級
第七條
現役將校同相當官ノ各官ニ必要ナル實役停年左ノ如シ
中將 四年
少將同相當官 三年
大佐同相當官 二年
中佐同相當官 二年
少佐同相當官 三年
大尉同相當官 四年
中尉同相當官 二年
少尉同相當官 二年
第八條
現役將校ニシテ兵科ヲ轉シタル者ノ實役停年ニハ轉科前ニ於ケル同級ノ官ノ實役停年ヲ通算ス
第九條
現役將校ハ尉官ノ階級ニ於テ三年以上隊附勤務ニ服シタル者ニ非サレハ大尉ヨリ少佐ニ、佐官ノ階級ニ於テ二年以上隊附勤務ニ服シタル者ニ非サレハ大佐ヨリ少將ニ進級セシメサルヲ例トス將校相當官ノ進級亦之ニ準ス
第十條
中將ヨリ大將ニ進級セシムルニハ歷戰者又ハ樞要ナル軍務ノ經歷ヲ有スル者ニシテ功績特ニ顯著ナル者ノ中ヨリ特旨ヲ以テ親任スルモノトス
第十一條
將官ヲ進級セシメ及大佐ヲ少將ニ進級セシムルハ上旨ニ出ツルモノトス此ノ場合ニ於テハ先ツ內旨ヲ陸軍大臣ニ諭スヲ例トス
同級ニ在ル將校相當官ノ進級ニ付亦前項ニ同シ
第十二條
現役ノ中少佐同相當官、大尉同相當官及二等樂長ノ進級ハ拔擢進級トス
第十三條
現役中尉同相當官ノ進級ハ拔擢進級一ト先任進級一トヲ交互ニ行ヒ現役少尉同相當官二等樂長ヲ除クノ進級ハ拔擢進級一ト先任進級二トヲ交互ニ行フモノトス
第十四條
現役將校同相當官ノ拔擢進級候補及其ノ列序ノ決定ハ上裁ニ依ル
第十五條
前條ノ決定アリタルトキハ陸軍大臣ハ上旨ヲ奉シテ拔擢進級候補決定名簿ヲ調製シ之ヲ上奏スヘシ
第十六條
現役將校同相當官ノ進級ハ中少佐同相當官、大尉同相當官及二等樂長ニ在リテハ拔擢進級候補決定名簿ノ列序ニ從ヒ中少尉同相當官二等樂長ヲ除クニ在リテハ第十三條ノ規定ニ依ル順序及拔擢進級候補決定名簿ノ列序ニ從ヒ陸軍大臣進級上奏ヲ爲スヘシ
第十七條
前條ノ規定ニ依ル進級ハ兵科又ハ部每ニ之ヲ行フ但シ現役中少尉憲兵科ヲ除クハ更ニ將校團每ニ之ヲ行フヲ例トシ其ノ官衙學校附ノ者ハ原所屬將校團ニ屬スル者トス
第十八條
停職者及陸軍將校分限令第六條第一項第五號ノ規定ニ依ル休職者ハ拔擢進級候補決定名簿ヨリ之ヲ削除ス
第十九條
豫備役後備役將校同相當官將官同相當官及大佐同相當官ヲ除クニシテ軍隊、官衙又ハ學校ニ武官ノ職ヲ奉シ勤務ノ成績優秀ナル者ハ必要ニ應シ臨時拔擢シテ之ヲ進級セシムルコトヲ得
第二十條
豫備役後備役中少尉同相當官ニシテ少クトモ二囘ノ勤務演習ニ服シ其ノ成績優秀ナル者ハ特ニ選拔シテ進級ノ爲ニスル勤務演習ニ服セシメ技能ヲ査閱シタル後臨時拔擢シテ之ヲ進級セシムルコトヲ得
第二十一條
前二條ノ規定ニ依ル拔擢進級ニ關シテハ現役將校同相當官ノ例ニ依ル
第二十二條
陸軍大臣ハ每年將校同相當官實役停年名簿ヲ調製シ之ヲ上奏スヘシ
第二節 准士官下士ノ進級
第二十三條
現役准士官下士ノ各官ニ必要ナル實役停年左ノ如シ
樂長補 三年
曹長及其ノ同級ノ官 二年
軍曹及其ノ同級ノ官 一年
伍長及其ノ同級ノ官 六月
第二十四條
現役下士ニシテ其ノ兵科ヲ轉シタル者又ハ免官者ニシテ復官シタル者ノ實役停年ニハ轉科前又ハ免官前ニ於ケル同級ノ官ノ實役停年ヲ通算ス
第二十五條
現役准士官下士ノ進級ハ拔擢進級トス
第二十六條
第十四條乃至第十八條ノ規定ハ現役樂長補ヲ二等樂長ニ進級セシムルニ付之ヲ準用ス
第二十七條
現役曹長及其ノ同級ノ官ヲ准士官ニ進級セシメ又ハ現役下士ヲ進級セシムルニハ候補及其ノ列序ハ師團長若ハ之ト同等以上ノ權アル長官又ハ軍務局長、經理局長若ハ醫務局長之ヲ決定シテ拔擢進級候補決定名簿ヲ調製スヘシ
第二十八條
第十九條及第二十條ノ規定ハ豫備役後備役下士ノ進級ニ關シ之ヲ準用ス
第二十九條
前條ノ規定ニ依ル拔擢進級ニ關シテハ現役下士ノ例ニ依ル
第三章 戰時進級
第三十條
戰時又ハ事變ノ際ノ進級ハ前章ニ依ルノ外本章ニ依ル
第三十一條
補充上必要アルトキハ第七條及第二十三條ノ實役停年ハ之ヲ半減スルコトヲ得
第三十二條
補充上必要アルトキハ第九條ノ規定ハ之ヲ適用セサルコトヲ得
第三十三條
必要アルトキハ先任進級ニ依ラス總テ拔擢進級ニ依ルコトヲ得
第三十四條
現役中少尉ノ進級ニハ第十七條但書ノ規定ニ拘ラス特別ノ範圍ヲ定ムルコトヲ得
第三十五條
第十九條ノ規定ハ召集セラレタル豫備役後備役武官ノ進級ニ付之ヲ準用ス退役將校同相當官ニシテ國民軍ニ編入セラレタル者ノ進級ニ付亦同シ
第三十六條
左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ第二條及第三條ノ規定ニ拘ラス其ノ際特ニ進級セシムルコトヲ得
一
敵前ニ在リテ殊勳ヲ奏シ首將之ヲ全軍ニ布吿シタル者
二
殊勳ヲ奏シタル者又ハ勳功顯著ナル者ニシテ傷痍又ハ疾病ノ爲危篤ニ陷リタル者
第三十七條
敵前ノ軍隊ニ在リテ人員缺乏シ定規ニ依ルコト能ハサルトキハ前數條ノ規定ニ拘ラス特ニ進級セシムルコトヲ得
第三十八條
戰地ニ臨ムノ首將ニハ特ニ進級セシムルノ權ヲ假スコトアルヘシ
附 則
本令ハ大正五年八月十五日ヨリ之ヲ施行ス但シ第九條ノ規定ハ大正九年十一月一日ヨリ之ヲ施行ス
陸軍豫備役後備役武官進級令ハ之ヲ廢止ス
朕陸軍武官進級令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正五年八月十二日
内閣総理大臣 侯爵 大隈重信
陸軍大臣 大島健一
勅令第百九十九号
陸軍武官進級令
第一章 総則
第一条
陸軍武官ハ級ヲ逐ヒ歴進セシム
第二条
陸軍武官ハ其ノ官ニ必要ナル実役停年ヲ超エタル者ニ非サレハ進級セシムルコトヲ得ス
第三条
陸軍武官ノ進級ハ抜擢進級及先任進級ニ依ル
第四条
陸軍武官将校相当官、各部准士官及各部下士ヲ除クノ抜擢進級候補ハ上官タル将校職権ニ依リ之ヲ選定シ其ノ上官タル将校選定ノ適否ヲ判定スルノ権ヲ有ス
将校相当官、各部准士官及各部下士ノ抜擢選定及判定ニ付テハ各部毎ニ前項ノ例ニ依ル
第五条
休職又ハ停職中ノ者ハ之ヲ進級セシメサルモノトス
第六条
休職又ハ停職ノ期間ハ実役停年ニ算入セス
俘虜ト為リ又ハ戦地ニ於テ生死不明ト為リタル期間ニ付亦前項ニ同シ但シ正当ノ事由アルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二章 平時進級
第一節 将校同相当官ノ進級
第七条
現役将校同相当官ノ各官ニ必要ナル実役停年左ノ如シ
中将 四年
少将同相当官 三年
大佐同相当官 二年
中佐同相当官 二年
少佐同相当官 三年
大尉同相当官 四年
中尉同相当官 二年
少尉同相当官 二年
第八条
現役将校ニシテ兵科ヲ転シタル者ノ実役停年ニハ転科前ニ於ケル同級ノ官ノ実役停年ヲ通算ス
第九条
現役将校ハ尉官ノ階級ニ於テ三年以上隊附勤務ニ服シタル者ニ非サレハ大尉ヨリ少佐ニ、佐官ノ階級ニ於テ二年以上隊附勤務ニ服シタル者ニ非サレハ大佐ヨリ少将ニ進級セシメサルヲ例トス将校相当官ノ進級亦之ニ準ス
第十条
中将ヨリ大将ニ進級セシムルニハ歴戦者又ハ枢要ナル軍務ノ経歴ヲ有スル者ニシテ功績特ニ顕著ナル者ノ中ヨリ特旨ヲ以テ親任スルモノトス
第十一条
将官ヲ進級セシメ及大佐ヲ少将ニ進級セシムルハ上旨ニ出ツルモノトス此ノ場合ニ於テハ先ツ内旨ヲ陸軍大臣ニ諭スヲ例トス
同級ニ在ル将校相当官ノ進級ニ付亦前項ニ同シ
第十二条
現役ノ中少佐同相当官、大尉同相当官及二等楽長ノ進級ハ抜擢進級トス
第十三条
現役中尉同相当官ノ進級ハ抜擢進級一ト先任進級一トヲ交互ニ行ヒ現役少尉同相当官二等楽長ヲ除クノ進級ハ抜擢進級一ト先任進級二トヲ交互ニ行フモノトス
第十四条
現役将校同相当官ノ抜擢進級候補及其ノ列序ノ決定ハ上裁ニ依ル
第十五条
前条ノ決定アリタルトキハ陸軍大臣ハ上旨ヲ奉シテ抜擢進級候補決定名簿ヲ調製シ之ヲ上奏スヘシ
第十六条
現役将校同相当官ノ進級ハ中少佐同相当官、大尉同相当官及二等楽長ニ在リテハ抜擢進級候補決定名簿ノ列序ニ従ヒ中少尉同相当官二等楽長ヲ除クニ在リテハ第十三条ノ規定ニ依ル順序及抜擢進級候補決定名簿ノ列序ニ従ヒ陸軍大臣進級上奏ヲ為スヘシ
第十七条
前条ノ規定ニ依ル進級ハ兵科又ハ部毎ニ之ヲ行フ但シ現役中少尉憲兵科ヲ除クハ更ニ将校団毎ニ之ヲ行フヲ例トシ其ノ官衙学校附ノ者ハ原所属将校団ニ属スル者トス
第十八条
停職者及陸軍将校分限令第六条第一項第五号ノ規定ニ依ル休職者ハ抜擢進級候補決定名簿ヨリ之ヲ削除ス
第十九条
予備役後備役将校同相当官将官同相当官及大佐同相当官ヲ除クニシテ軍隊、官衙又ハ学校ニ武官ノ職ヲ奉シ勤務ノ成績優秀ナル者ハ必要ニ応シ臨時抜擢シテ之ヲ進級セシムルコトヲ得
第二十条
予備役後備役中少尉同相当官ニシテ少クトモ二回ノ勤務演習ニ服シ其ノ成績優秀ナル者ハ特ニ選抜シテ進級ノ為ニスル勤務演習ニ服セシメ技能ヲ査閲シタル後臨時抜擢シテ之ヲ進級セシムルコトヲ得
第二十一条
前二条ノ規定ニ依ル抜擢進級ニ関シテハ現役将校同相当官ノ例ニ依ル
第二十二条
陸軍大臣ハ毎年将校同相当官実役停年名簿ヲ調製シ之ヲ上奏スヘシ
第二節 准士官下士ノ進級
第二十三条
現役准士官下士ノ各官ニ必要ナル実役停年左ノ如シ
楽長補 三年
曹長及其ノ同級ノ官 二年
軍曹及其ノ同級ノ官 一年
伍長及其ノ同級ノ官 六月
第二十四条
現役下士ニシテ其ノ兵科ヲ転シタル者又ハ免官者ニシテ復官シタル者ノ実役停年ニハ転科前又ハ免官前ニ於ケル同級ノ官ノ実役停年ヲ通算ス
第二十五条
現役准士官下士ノ進級ハ抜擢進級トス
第二十六条
第十四条乃至第十八条ノ規定ハ現役楽長補ヲ二等楽長ニ進級セシムルニ付之ヲ準用ス
第二十七条
現役曹長及其ノ同級ノ官ヲ准士官ニ進級セシメ又ハ現役下士ヲ進級セシムルニハ候補及其ノ列序ハ師団長若ハ之ト同等以上ノ権アル長官又ハ軍務局長、経理局長若ハ医務局長之ヲ決定シテ抜擢進級候補決定名簿ヲ調製スヘシ
第二十八条
第十九条及第二十条ノ規定ハ予備役後備役下士ノ進級ニ関シ之ヲ準用ス
第二十九条
前条ノ規定ニ依ル抜擢進級ニ関シテハ現役下士ノ例ニ依ル
第三章 戦時進級
第三十条
戦時又ハ事変ノ際ノ進級ハ前章ニ依ルノ外本章ニ依ル
第三十一条
補充上必要アルトキハ第七条及第二十三条ノ実役停年ハ之ヲ半減スルコトヲ得
第三十二条
補充上必要アルトキハ第九条ノ規定ハ之ヲ適用セサルコトヲ得
第三十三条
必要アルトキハ先任進級ニ依ラス総テ抜擢進級ニ依ルコトヲ得
第三十四条
現役中少尉ノ進級ニハ第十七条但書ノ規定ニ拘ラス特別ノ範囲ヲ定ムルコトヲ得
第三十五条
第十九条ノ規定ハ召集セラレタル予備役後備役武官ノ進級ニ付之ヲ準用ス退役将校同相当官ニシテ国民軍ニ編入セラレタル者ノ進級ニ付亦同シ
第三十六条
左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ第二条及第三条ノ規定ニ拘ラス其ノ際特ニ進級セシムルコトヲ得
一
敵前ニ在リテ殊勲ヲ奏シ首将之ヲ全軍ニ布告シタル者
二
殊勲ヲ奏シタル者又ハ勲功顕著ナル者ニシテ傷痍又ハ疾病ノ為危篤ニ陥リタル者
第三十七条
敵前ノ軍隊ニ在リテ人員欠乏シ定規ニ依ルコト能ハサルトキハ前数条ノ規定ニ拘ラス特ニ進級セシムルコトヲ得
第三十八条
戦地ニ臨ムノ首将ニハ特ニ進級セシムルノ権ヲ仮スコトアルヘシ
附 則
本令ハ大正五年八月十五日ヨリ之ヲ施行ス但シ第九条ノ規定ハ大正九年十一月一日ヨリ之ヲ施行ス
陸軍予備役後備役武官進級令ハ之ヲ廃止ス
本文
詳細・沿革