陸軍予備後備武官進級令
法令番号: 勅令第百六十二號
公布年月日: 明治27年9月8日
法令の形式: 勅令
朕陸軍豫備後備武官進級令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十七年九月七日
陸軍大臣 伯爵 大山巖
勅令第百六十二號
陸軍豫備後備武官進級令
第一條 戰時若クハ事變ノ際ニ召集シ又ハ平時特ニ進級ノ爲ニスル勤務演習ニ召集シタル陸軍豫備後備武官ハ本令ノ規程ニ依リ進級セシムルコトヲ得
第二條 陸軍豫備後備武官ノ進級ハ級ヲ逐テ歷進セシム
第三條 陸軍豫備後備武官ノ進級ハ拔擢トス
第四條 陸軍豫備後備武官ニシテ現役武官ノ進級停年ニ等シキ年數ヲ超ヘタルトキハ其ノ中ニ就キ特ニ選拔シ之ヲ進級ノ爲ニスル勤務演習ニ服セシメ實地ノ技能ヲ査閱シ及第ノ者ヲ進級セシム
戰時若クハ事變ニ際シ召集中ハ缺員ニ應シ拔擢シテ進級セシムルコトヲ得
第五條 戰時ニ在テハ前條進級停年ヲ其ノ半ニ減スルコトヲ得
第六條 將校ハ職權ニ依テ部下ヲ拔擢スルノ權ヲ有ス但直屬長官アル者ハ其ノ監督ノ下ニ在テ之ヲ行フ
第七條 豫備後備特務曹長ノ少尉ニ進級スルハ特例トス此ノ選ニ當ルヲ得ル者ハ功績拔群ニシテ士官タルノ學力ヲ有スル者ニ限ル
第八條 左ニ揭クル場合ニ在テハ前諸條ノ例ニ依ラス進級セシムルコトヲ得
一 敵前ニ在テ殊勳ヲ奏シ首將之ヲ全軍ニ布吿セシ者
二 敵前ノ軍隊ニ在テ人員缺乏シ補除定規ヲ履ム能ハサルトキ
第九條 興軍ノ日ニ方リテ戰地ニ臨ムノ首將ニハ特ニ進級補除ノ權ヲ假スコトアルヘシ
第十條 豫備後備將校准士官下士ノ進級除任ハ現役將校准士官下士ノ例ニ依ル
師團長、屯田兵司令官ハ戰時若クハ事變ニ際シ聯隊長若クハ之ト同等以上ノ權アル團隊長ニ直ニ下士任官ノ權ヲ委任スルコトヲ得
第十一條 大本營ニ軍事內局ヲ置キ將校同相當官ノ人事ヲ取扱フトキハ其ノ取扱ニ係ルモノニ付テハ前條ヲ適用セス
第十二條 陸軍豫備後備將校相當官竝衞生部、軍吏部ノ下士及諸工下長ノ進級ニモ本令ヲ適用ス
朕陸軍予備後備武官進級令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十七年九月七日
陸軍大臣 伯爵 大山巌
勅令第百六十二号
陸軍予備後備武官進級令
第一条 戦時若クハ事変ノ際ニ召集シ又ハ平時特ニ進級ノ為ニスル勤務演習ニ召集シタル陸軍予備後備武官ハ本令ノ規程ニ依リ進級セシムルコトヲ得
第二条 陸軍予備後備武官ノ進級ハ級ヲ逐テ歴進セシム
第三条 陸軍予備後備武官ノ進級ハ抜擢トス
第四条 陸軍予備後備武官ニシテ現役武官ノ進級停年ニ等シキ年数ヲ超ヘタルトキハ其ノ中ニ就キ特ニ選抜シ之ヲ進級ノ為ニスル勤務演習ニ服セシメ実地ノ技能ヲ査閲シ及第ノ者ヲ進級セシム
戦時若クハ事変ニ際シ召集中ハ欠員ニ応シ抜擢シテ進級セシムルコトヲ得
第五条 戦時ニ在テハ前条進級停年ヲ其ノ半ニ減スルコトヲ得
第六条 将校ハ職権ニ依テ部下ヲ抜擢スルノ権ヲ有ス但直属長官アル者ハ其ノ監督ノ下ニ在テ之ヲ行フ
第七条 予備後備特務曹長ノ少尉ニ進級スルハ特例トス此ノ選ニ当ルヲ得ル者ハ功績抜群ニシテ士官タルノ学力ヲ有スル者ニ限ル
第八条 左ニ掲クル場合ニ在テハ前諸条ノ例ニ依ラス進級セシムルコトヲ得
一 敵前ニ在テ殊勲ヲ奏シ首将之ヲ全軍ニ布告セシ者
二 敵前ノ軍隊ニ在テ人員欠乏シ補除定規ヲ履ム能ハサルトキ
第九条 興軍ノ日ニ方リテ戦地ニ臨ムノ首将ニハ特ニ進級補除ノ権ヲ仮スコトアルヘシ
第十条 予備後備将校准士官下士ノ進級除任ハ現役将校准士官下士ノ例ニ依ル
師団長、屯田兵司令官ハ戦時若クハ事変ニ際シ連隊長若クハ之ト同等以上ノ権アル団隊長ニ直ニ下士任官ノ権ヲ委任スルコトヲ得
第十一条 大本営ニ軍事内局ヲ置キ将校同相当官ノ人事ヲ取扱フトキハ其ノ取扱ニ係ルモノニ付テハ前条ヲ適用セス
第十二条 陸軍予備後備将校相当官並衛生部、軍吏部ノ下士及諸工下長ノ進級ニモ本令ヲ適用ス