第一條 種痘ハ左ノ定期ニ於テ之ヲ行フ但シ痘瘡ヲ經過シタル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
一 第一期 出生ヨリ翌年六月ニ至ル間但シ不善感ナルトキハ翌年六月ニ至ル間ニ於テ更ニ種痘ヲ行フヘシ
二 第二期 數ヘ歲十歲但シ不善感ナルトキハ翌年十二月ニ至ル間ニ於テ更ニ種痘ヲ行フヘシ
定期前二年以內ニ善感シタル種痘ハ第二期ノ種痘ト看做ス
第二條 保護者ハ未成年者ヲシテ種痘ヲ受ケシムルノ義務ヲ負フ
第三條 左ニ揭クル者ハ未成年ノ生徒、院生若ハ之ニ準スヘキ者又ハ未成年ノ寄寓者ヲシテ種痘ヲ受ケシメ又ハ保護者ヲシテ其ノ義務ヲ履行セシムヘシ
一 學校、育兒院又ハ之ニ準スヘキ場所ノ校長、院長其ノ他首長
二 敎育、監護又ハ傭使ノ目的ヲ以テ人ヲ寄寓セシムル者
前項各號ニ揭クル者ノ法定代理人アルトキハ法定代理人ニ前項ノ規定ヲ適用ス
第四條 新ニ保護者ト爲リ又ハ新ニ前條ノ關係ヲ生シタルトキハ種痘ヲ受ケサルカ又ハ之ヲ受ケタル證跡不明ナル未成年者ヲシテ六月以內ニ種痘ヲ受ケシメ又ハ保護者ヲシテ其ノ義務ヲ履行セシムヘシ
前項ノ期間內ニ其ノ手續ヲ爲シ難キ事由アルトキハ市町村長區長ヲ以テ戶籍吏ニ充ツル市ニ於テハ區長以下之ニ準スニ屆出ツヘシ
未成年者ヲ傭使スル雇主ニ關シテハ其ノ之ヲ寄寓セシメサル場合ト雖前二項ノ規定ヲ適用ス
第六條 市町村長ハ種痘定期ニ在ル者ノ種痘期日ヲ指定スヘシ
第七條 疾病其ノ他ノ事故ニ因リテ市町村長ノ指定シタル期日ニ種痘ヲ受ケシムルコト能ハサル場合ニ於テハ保護者又ハ第三條ノ義務者ハ其ノ事由ヲ具シ市町村長ニ猶豫ヲ申請スルコトヲ得
前項ニ依リ種痘ヲ猶豫シタルトキハ市町村長ハ其ノ證ヲ交付スヘシ
第八條 市町村長ハ第一期種痘ヲ完了シ又ハ之ヲ要セサルニ至リタル者ヲ戶籍吏ニ通知シ戶籍吏ハ戶籍簿ノ欄外ニ符號ヲ以テ之ヲ記入スヘシ
前項ノ記入ニ關スル事務ニ付テハ戶籍法第五條ノ規定ヲ準用ス
第九條 市町村長ノ指定シタル期日ニ種痘ヲ受ケス其ノ他種痘ヲ怠リ又ハ之ヲ受ケタル證跡不明ナル未成年者アルトキハ市町村長ハ更ニ期日ヲ指定シテ種痘ヲ受ケシメ又ハ直ニ種痘ヲ行フヘシ
第十條 種痘ヲ怠リタル者又ハ種痘ヲ受ケタル證跡不明ナル者ノ定期外ニ受ケタル種痘ハ第一條第二項ノ場合ヲ除クノ外其ノ定期種痘ト看做ス
第十一條 第五條ノ種痘ヲ受ケタル者ノ保護者又ハ第三條ノ義務者ハ市町村長ノ指定シタル期日ニ於テ檢診ヲ受ケシムヘシ但シ其ノ期日ニ檢診ヲ受ケシムルコト能ハサル事由アルトキハ市町村長ニ屆出ツヘシ
市町村長ハ前項ノ檢診ヲ經タル者ニ種痘濟證ヲ交付スヘシ
第一項ノ場合ニ於テ必要アルトキハ痘漿ヲ採收スルコトヲ得
第十二條 醫師定期種痘ヲ施シタル者ヲ檢診シタルトキハ種痘證ヲ交付スヘシ
前項ノ場合ニ於テ種痘證ヲ受ケタル者ノ保護者又ハ第三條ノ義務者ハ十日以內ニ市町村長ニ屆出ツヘシ
第十三條 醫師ハ其ノ診療ニ係ル痘瘡患者全治シタルトキ之ニ痘瘡經過證ヲ交付スヘシ
第十四條 當該吏員ノ請求アルトキハ保護者又ハ第三條ノ義務者ハ種痘濟證又ハ種痘證ヲ提示セシムヘシ但シ命令ニ別段ノ規定アル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第十五條 地方長官ハ痘瘡豫防上必要ト認ムルトキハ種痘ヲ受クヘキ者ノ範圍及期日ヲ指定シテ臨時種痘ヲ命スルコトヲ得
第十六條 醫師虛僞ノ種痘證ヲ交付シ又ハ檢診セスシテ種痘證ヲ交付シタルトキハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十八條 第十二條又ハ第十四條ニ違反シタル者ハ十圓以下ノ科料ニ處ス
第十九條 官廳公署及官立公立ノ學校等ニ於テハ第三條第一項及第四條第一項乃至第三項ノ規定ニ準シ其ノ措置ヲ爲スヘシ
第二十條 本法ニ於テ保護者ト稱スルハ未成年者ニ對シ親權ヲ行フ者又ハ後見人、親權ヲ行フ者又ハ後見人ナキトキハ戶主、戶主未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ戶主ニ對シ親權ヲ行フ者又ハ後見人ヲ謂フ
本法中市町村又ハ市町村長トアルハ市制町村制ヲ施行セサル地ニ於テハ之ニ準スヘキモノニ該當ス