帝国学士院規程
法令番号: 勅令第百四十九號
公布年月日: 明治39年6月13日
法令の形式: 勅令
朕帝國學士院規程ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年六月十二日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
文部大臣 牧野伸顯
勅令第百四十九號
帝國學士院規程
第一條 帝國學士院ハ文部大臣ノ管理ニ屬シ學術ノ發達ヲ圖リ敎化ヲ裨補スルヲ以テ目的トス
第二條 帝國學士院會員ハ帝國學士院ニ於テ碩學中ヨリ推選シ勅旨ヲ以テ之ヲ命ス
第三條 外國人ニシテ帝國ニ於ケル學術ノ發達ニ關シ特別ノ功勞アル者ハ帝國學士院ニ於テ之ヲ客員ト爲スコトヲ得
第四條 帝國學士院ハ左ノ二部ニ分チ會員ハ各專攻ノ學科ニ依リテ之ニ分屬ス
第一部 文學及社會的諸學科
第二部 理學及其ノ應用諸學科
第五條 帝國學士院會員ノ定員ハ六十人トス
第六條 帝國學士院ハ會議ヲ開キ學術及敎化ニ關スル事項ヲ審議ス
會議ハ總會及部會トス
第七條 帝國學士院會員ハ專攻ノ學科ニ付論文ヲ提出シ又ハ報吿ヲ爲スモノトス
第八條 帝國學士院ハ學術ニ關スル論文、考案、資料等ヲ募集スルコトヲ得
第九條 帝國學士院ハ文部大臣ノ認可ヲ受ケ外國ニ於ケル學術上ノ團體ト共同シテ硏究ヲ爲シ又ハ其ノ會員トナルコトヲ得
第十條 文部大臣ハ學術及敎化ニ關スル事項ニ付帝國學士院ニ諮詢スルコトヲ得
第十一條 帝國學士院ハ少クトモ每年一囘院務ニ關スル報吿書ヲ文部大臣ニ提出スヘシ
第十二條 帝國學士院ニ院長一人、幹事一人及部長二人ヲ置ク
院長及幹事ハ總會ニ於テ、部長ハ部會ニ於テ會員中ヨリ之ヲ互選シ文部大臣ノ認可ヲ受クヘシ
院長、幹事及部長ノ任期ハ三年トス
第十三條 院長ハ院務ヲ總理シ總會ニ於テ其ノ議長ト爲ル
院長事故アルトキハ幹事其ノ職務ヲ代理ス
幹事ハ院長ノ指揮ヲ承ケ院務ヲ掌理ス
部長ハ院長ノ指揮ヲ承ケ部務ヲ掌理シ部會ニ於テ其ノ議長トナル
第十四條 院長、幹事及部長ニハ手當ヲ給スルコトヲ得
第十五條 滿六十歲以上ノ會員ニハ特ニ年金ヲ給スルコトヲ得
第十六條 帝國學士院ニ書記四人ヲ置キ文部省所屬ノ判任官ヲ以テ之ニ充ツ
書記ハ院長、幹事及部長ノ命ヲ承ケ庶務ニ從事ス
書記ニハ手當ヲ給スルコトヲ得
第十七條 學術上ノ調査ノ爲會員中ニ於テ擔當者ヲ定メタルトキハ手當ヲ給スルコトヲ得
第十八條 帝國學士院ハ文部大臣ノ認可ヲ受ケ會則ヲ定ムルコトヲ得
附 則
第十九條 東京學士會院規程及東京學士會院規程補則ハ之ヲ廢止ス
第二十條 本令施行ノ際東京學士會院會員及客員タル者ハ本令ノ規定ニ依リ帝國學士院會員及客員タル者トス
第二十一條 東京學士會院規程第五條ニ依リテ年金ヲ受クル者ハ本令施行ノ後仍同額ノ年金ヲ受ク
第二十二條 本令ノ規定ニ依リ帝國學士院長ノ就任スルニ至ル迄ハ元東京學士會院會長ニ於テ、幹事及部長ノ就任スルニ至ル迄ハ元東京學士會院幹事ニ於テ其ノ職務ヲ行フヘシ
朕帝国学士院規程ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年六月十二日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
文部大臣 牧野伸顕
勅令第百四十九号
帝国学士院規程
第一条 帝国学士院ハ文部大臣ノ管理ニ属シ学術ノ発達ヲ図リ教化ヲ裨補スルヲ以テ目的トス
第二条 帝国学士院会員ハ帝国学士院ニ於テ碩学中ヨリ推選シ勅旨ヲ以テ之ヲ命ス
第三条 外国人ニシテ帝国ニ於ケル学術ノ発達ニ関シ特別ノ功労アル者ハ帝国学士院ニ於テ之ヲ客員ト為スコトヲ得
第四条 帝国学士院ハ左ノ二部ニ分チ会員ハ各専攻ノ学科ニ依リテ之ニ分属ス
第一部 文学及社会的諸学科
第二部 理学及其ノ応用諸学科
第五条 帝国学士院会員ノ定員ハ六十人トス
第六条 帝国学士院ハ会議ヲ開キ学術及教化ニ関スル事項ヲ審議ス
会議ハ総会及部会トス
第七条 帝国学士院会員ハ専攻ノ学科ニ付論文ヲ提出シ又ハ報告ヲ為スモノトス
第八条 帝国学士院ハ学術ニ関スル論文、考案、資料等ヲ募集スルコトヲ得
第九条 帝国学士院ハ文部大臣ノ認可ヲ受ケ外国ニ於ケル学術上ノ団体ト共同シテ研究ヲ為シ又ハ其ノ会員トナルコトヲ得
第十条 文部大臣ハ学術及教化ニ関スル事項ニ付帝国学士院ニ諮詢スルコトヲ得
第十一条 帝国学士院ハ少クトモ毎年一回院務ニ関スル報告書ヲ文部大臣ニ提出スヘシ
第十二条 帝国学士院ニ院長一人、幹事一人及部長二人ヲ置ク
院長及幹事ハ総会ニ於テ、部長ハ部会ニ於テ会員中ヨリ之ヲ互選シ文部大臣ノ認可ヲ受クヘシ
院長、幹事及部長ノ任期ハ三年トス
第十三条 院長ハ院務ヲ総理シ総会ニ於テ其ノ議長ト為ル
院長事故アルトキハ幹事其ノ職務ヲ代理ス
幹事ハ院長ノ指揮ヲ承ケ院務ヲ掌理ス
部長ハ院長ノ指揮ヲ承ケ部務ヲ掌理シ部会ニ於テ其ノ議長トナル
第十四条 院長、幹事及部長ニハ手当ヲ給スルコトヲ得
第十五条 満六十歳以上ノ会員ニハ特ニ年金ヲ給スルコトヲ得
第十六条 帝国学士院ニ書記四人ヲ置キ文部省所属ノ判任官ヲ以テ之ニ充ツ
書記ハ院長、幹事及部長ノ命ヲ承ケ庶務ニ従事ス
書記ニハ手当ヲ給スルコトヲ得
第十七条 学術上ノ調査ノ為会員中ニ於テ担当者ヲ定メタルトキハ手当ヲ給スルコトヲ得
第十八条 帝国学士院ハ文部大臣ノ認可ヲ受ケ会則ヲ定ムルコトヲ得
附 則
第十九条 東京学士会院規程及東京学士会院規程補則ハ之ヲ廃止ス
第二十条 本令施行ノ際東京学士会院会員及客員タル者ハ本令ノ規定ニ依リ帝国学士院会員及客員タル者トス
第二十一条 東京学士会院規程第五条ニ依リテ年金ヲ受クル者ハ本令施行ノ後仍同額ノ年金ヲ受ク
第二十二条 本令ノ規定ニ依リ帝国学士院長ノ就任スルニ至ル迄ハ元東京学士会院会長ニ於テ、幹事及部長ノ就任スルニ至ル迄ハ元東京学士会院幹事ニ於テ其ノ職務ヲ行フヘシ