朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル水先法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年三月十三日
內閣總理大臣 侯爵 山縣有朋
遞信大臣 子爵 芳川顯正
法律第六十三號
水先法
第一條 水先人ハ水先免狀ヲ有スルコトヲ要ス
水先人ニアラサル者ハ水先區ニ於テ船舶ノ水路ヲ嚮導スルコトヲ得ス
第二條 水先免狀ハ左ノ條件ヲ具備スル者ニ授與ス
一 帝國臣民ナルコト
二 主務大臣ノ定ムル試驗規定ニ依リ試驗ニ合格シタルコト
三 水先人名簿ニ登錄セラレタルコト
第三條 左ノ各號ニ該當スル者ハ水先人タルコトヲ得ス
一 滿二十三年ニ達セサル者及滿六十年以上ノ者
二 剝奪公權者
三 家資分散者及破產者
四 瘋癲白痴者及身體不具又ハ羸弱ニシテ業務ヲ營ムニ不適當ナル者
五 水先免狀ノ行使ヲ禁止セラレタル者
第四條 水先人ハ左ノ各號ニ該當スル場合ニ於テハ其ノ業務ヲ營ムコトヲ得ス
一 公權ヲ行フコトヲ停止セラレタルトキ
二 水先免狀ノ行使ヲ停止若ハ假停止セラレ又ハ之ヲ差押ヘラレタルトキ
第五條 水先人其ノ業務ニ從事スルトキハ水先免狀及水先法令書ヲ携帶スヘシ
水先人ハ當該官吏若ハ公吏ノ命令ニ依リ又ハ水先人ヲ要招シタル船長ノ要求ニ依リ水先免狀又ハ水先法令書ヲ開示スヘシ
第六條 水先人其ノ業務ニ從事スル爲水先船ニ乘込ミタルトキハ晝間ニ在リテハ水先旗ヲ揭揚シ夜間ニ在リテハ海上衝突豫防法第八條ノ規定ニ依ルヘシ
第七條 水先人ヲ要招セントスルトキハ船長ハ水先信號ヲ爲スヘシ
第八條 水先人水先信號ヲ認メタルトキハ直ニ要招ニ應スヘシ
二艘以上ノ船舶ニ於テ同時ニ水先信號ヲ爲シタルトキハ水先人ハ自己ニ最モ近キ船舶ノ要招ニ應スヘシ
二艘以上ノ船舶ニ於テ同時ニ水先信號ヲ爲シタル場合ニ於テ其ノ中ニ危難ニ罹リタル船舶アルトキハ水先人ハ前項ノ規定ニ拘ラス該船舶ノ要招ニ應スヘシ
第九條 二人以上ノ水先人同時ニ要招ニ應シタルトキハ其ノ何レヲシテ水路ヲ嚮導セシムヘキカハ船長ノ選擇スル所ニ依ル
第十條 水先人水先船ヲ去リタルトキハ水先旗ヲ撤去スヘシ
第十一條 水先人水路ヲ嚮導スヘキ船舶ニ乘込ミタルトキハ其ノ氏名及水先人タルコトヲ船長ニ吿知スヘシ
第十二條 水先人水路ヲ嚮導スヘキ船舶ニ乘込ミタルトキハ船長ハ水先信號ヲ撤去シ船舶ノ名稱、船舶所有者ノ氏名、船籍港、積量及喫水ヲ水先人ニ吿知シ且水先人ノ要求アルトキハ其ノ證明書類ヲ開示スヘシ
第十三條 水先人ハ同時ニ二艘以上ノ船舶ノ水路ヲ嚮導スルコトヲ得ス但シ船舶運航ノ自由ヲ得ス又ハ水先人ヲ得ル能ハサル爲其ノ船舶ト水路ヲ嚮導スヘキ船舶ト曳綱ヲ以テ聯結セラレタルトキハ此ノ限ニアラス
第十四條 水先人水路ヲ嚮導シタルトキハ船長ニ對シ水先案內料ヲ請求スル權利ヲ有ス
前條但書ノ場合ニ於テハ水先人ハ各艘ノ船舶ニ付前項ノ權利ヲ有ス
第十五條 水先案內料ハ命令ヲ以テ定ムル額ヲ超過スルコトヲ得ス
第十六條 水先人ハ水先修業生一名ニ限リ水路ヲ嚮導スヘキ船舶ニ之ヲ伴フコトヲ得但シ二名以上ヲ伴ハントスルトキハ船長ノ承諾ヲ經ヘシ
第十七條 水先區、水先旗ノ樣式及水先信號ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條 主務大臣ハ水先區ヲ指定シテ水先人ノ員數ヲ制限シ水先人組合ヲ設ケシメ又ハ水先船ノ免狀及艤裝ニ關シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
水先人組合ハ規約ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十九條 水先人其ノ業務ニ從事スルニ當リ左ノ各號ニ該當スル場合ニ於テハ海員審判所ハ裁決ヲ以テ之ヲ懲戒ス
一 過失、懈怠又ハ不當ノ行爲ニ因リ船舶ニ損害ヲ加ヘ又ハ之ヲ沈沒セシメタルトキ
二 過失、懈怠又ハ不當ノ行爲ニ因リ人ヲ死傷ニ致シタルトキ
三 業務ヲ怠リ又ハ業務上ノ義務ニ違反シタルトキ
四 亂醉、粗暴其ノ他ノ失行アリタルトキ
水先人組合ニ屬スル水先人其ノ組合規約中命令ノ規定ニ依リ懲戒ニ付スヘキ事項ニ違反シタルトキ亦前項ニ同シ
第二十條 前條ニ依リ審判ニ付スヘキ事件ノ管轄ハ其ノ水先人ノ住所ヲ管轄スル地方海員審判所ニ屬ス
前項ノ事件海員懲戒法ノ規定ニ依リ審判ニ付スヘキ事件ト關聯スルトキハ前項ノ管轄ハ海員懲戒法ニ依ル事件ヲ管轄スル地方海員審判所ニ屬ス
第二十一條 水先人ノ懲戒ニ關シ此ノ法律ニ規定ナキモノニ付テハ海員懲戒法ノ規定ヲ準用ス
第二十二條 水先人其ノ業務ヲ怠リ因テ船舶ヲ毀損シ若ハ之ヲ沈沒セシメ又ハ人ヲ死傷ニ致シタルトキハ一月以上三年以下ノ重禁錮ニ處シ又ハ五十圓以上六百圓以下ノ罰金ニ處ス
水先人ニアラサル者水先區ニ於テ水路ヲ嚮導シ因テ船舶ヲ毀損シ若ハ之ヲ沈沒セシメ又ハ人ヲ死傷ニ致シタルトキ亦前項ニ同シ
第二十三條 左ノ各號ニ該當スル者ハ二圓以上二百五十圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第四條ノ規定ニ違反シテ水先人ノ業務ヲ營ミタル者及之ヲシテ水路ヲ嚮導セシメタル者
二 第八條第二項第三項又ハ第十三條ノ規定ニ違反シタル者
三 第十五條ノ規定ニ違反シテ水先案內料ヲ授受シタル者
四 水先免狀ヲ貸付シ之ヲ行使セシメタル者
五 詐僞ノ目的ヲ以テ船舶ノ喫水若ハ積量ニ付水先人ニ對シ不實ノ吿知ヲ爲シ又ハ喫水ノ標識ヲ變更シタル者
六 水路ノ嚮導ヲ要求セラレタル場合ニ於テ正當ノ理由ナクシテ之ニ應セサル者又ハ之ニ應シタルモ正當ノ理由ナクシテ水路ヲ嚮導セサル者
七 水路ノ嚮導ヲ要求シタル場合ニ於テ正當ノ理由ナクシテ水先人ヲシテ水路ヲ嚮導セシメス又ハ正當ノ理由ナクシテ水先人ヲ水先區外ニ伴ヒタル者
八 水先人ニアラスシテ水先區ニ於テ水路ヲ嚮導シタル者
第二十四條 左ノ各號ニ該當スル者ハ二圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第五條第六條第十條第十一條又ハ第十二條ノ規定ニ違反シタル者
二 水先人ヲ要招スル爲ニアラスシテ水先信號又ハ之ト誤認シ易キ信號ヲ爲シタル者
三 水先人第十六條ノ規定ニ依リ水先修業生ヲ伴ヒタル場合ニ於テ之ヲ拒ミタル者又ハ同條但書ノ規定ニ違反シテ水先修業生ヲ伴ヒタル者
四 第十八條第一項ニ依リ定ムル規定ニ從ヒテ水先船ヲ艤裝セス又ハ水先船免狀ヲ有セスシテ水先船ヲ使用シタル者
五 水先人ニアラスシテ水先旗若ハ之ト誤認シ易キ旗ヲ船舶ニ揭揚シ又ハ海上衝突豫防法第八條ノ㸃燈及信號ヲ爲シタル者
六 水先人ニアラスシテ第十八條第一項ニ依リ定ムル規定ニ從ヒテ艤裝シタル水先船又ハ之ト誤認シ易キ船舶ヲ使用シタル者
第二十五條 船長水先區ニ於テ水先人ニアラサル者ヲシテ水路ヲ嚮導セシメタルトキハ命令ヲ以テ定メタル當該水先區ノ水先案內料ト同額以上二倍以下ノ罰金ニ處ス
第二十六條 水路ヲ嚮導セシメサレハ航行危險ナル場合ニ於テ水先人ヲ得ル能ハサルカ爲水先人ニアラサル者ヲシテ水路ヲ嚮導セシメタルモノナルトキハ前條及第二十三條第八號ノ規定ヲ適用セス
第二十七條 此ノ法律中船長ニ關スル規定ハ船長ニ代ハリテ其ノ職務ヲ行フ者ニ亦之ヲ適用ス
附 則
第二十八條 此ノ法律施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十九條 明治十一年第三十七號布吿ハ此ノ法律施行ノ日ヨリ之ヲ廢止ス
第三十條 明治十一年第三十七號布吿ニ依リテ授與シタル水先免狀ハ主務大臣ノ定ムル所ニ從ヒ此ノ法律ニ依リテ授與スル水先免狀ト交換ス
前項ノ交換ヲ了スルマテハ舊水先免狀ハ該免狀ニ記載スル水先區中此ノ法律ニ依リテ定メタル水先區ニ該當スル部分ニ限リ之ヲ代用スルコトヲ得
舊水先免狀ヲ有スル者第三條ノ各號ニ該當スルトキハ前二項ノ規定ヲ適用セス
第三十一條 此ノ法律施行前ヨリ其ノ施行後マテ引續キ水路ヲ嚮導スル場合ニ於テハ水先案內料ハ明治十一年第三十七號布吿ニ依リテ之ヲ算定スヘシ
第三十二條 第十九條第二十條及第二十一條ノ規定ハ左ノ各號ニ該當スル場合ニ於テ亦之ヲ適用ス
一 明治十一年第三十七號布吿ニ依リテ審問ヲ要スルモノニシテ此ノ法律ニ依リ懲戒スヘキ行爲此ノ法律施行前ニ發生シ其ノ施行後ニ至リテ發覺シタルトキ
二 前號ノ行爲此ノ法律施行ノ際審問中ナルトキ
第三十三條 此ノ法律施行後五年間ヲ限リ主務大臣ハ第二條第一號ノ規定ニ拘ラス水先免狀ヲ授與スルコトヲ得
前項ニ依リ授與シタル水先免狀ハ前項ノ期間滿了ノ後ト雖其ノ效力ヲ失フコトナシ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル水先法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年三月十三日
内閣総理大臣 侯爵 山県有朋
逓信大臣 子爵 芳川顕正
法律第六十三号
水先法
第一条 水先人ハ水先免状ヲ有スルコトヲ要ス
水先人ニアラサル者ハ水先区ニ於テ船舶ノ水路ヲ嚮導スルコトヲ得ス
第二条 水先免状ハ左ノ条件ヲ具備スル者ニ授与ス
一 帝国臣民ナルコト
二 主務大臣ノ定ムル試験規定ニ依リ試験ニ合格シタルコト
三 水先人名簿ニ登録セラレタルコト
第三条 左ノ各号ニ該当スル者ハ水先人タルコトヲ得ス
一 満二十三年ニ達セサル者及満六十年以上ノ者
二 剥奪公権者
三 家資分散者及破産者
四 瘋癲白痴者及身体不具又ハ羸弱ニシテ業務ヲ営ムニ不適当ナル者
五 水先免状ノ行使ヲ禁止セラレタル者
第四条 水先人ハ左ノ各号ニ該当スル場合ニ於テハ其ノ業務ヲ営ムコトヲ得ス
一 公権ヲ行フコトヲ停止セラレタルトキ
二 水先免状ノ行使ヲ停止若ハ仮停止セラレ又ハ之ヲ差押ヘラレタルトキ
第五条 水先人其ノ業務ニ従事スルトキハ水先免状及水先法令書ヲ携帯スヘシ
水先人ハ当該官吏若ハ公吏ノ命令ニ依リ又ハ水先人ヲ要招シタル船長ノ要求ニ依リ水先免状又ハ水先法令書ヲ開示スヘシ
第六条 水先人其ノ業務ニ従事スル為水先船ニ乗込ミタルトキハ昼間ニ在リテハ水先旗ヲ掲揚シ夜間ニ在リテハ海上衝突予防法第八条ノ規定ニ依ルヘシ
第七条 水先人ヲ要招セントスルトキハ船長ハ水先信号ヲ為スヘシ
第八条 水先人水先信号ヲ認メタルトキハ直ニ要招ニ応スヘシ
二艘以上ノ船舶ニ於テ同時ニ水先信号ヲ為シタルトキハ水先人ハ自己ニ最モ近キ船舶ノ要招ニ応スヘシ
二艘以上ノ船舶ニ於テ同時ニ水先信号ヲ為シタル場合ニ於テ其ノ中ニ危難ニ罹リタル船舶アルトキハ水先人ハ前項ノ規定ニ拘ラス該船舶ノ要招ニ応スヘシ
第九条 二人以上ノ水先人同時ニ要招ニ応シタルトキハ其ノ何レヲシテ水路ヲ嚮導セシムヘキカハ船長ノ選択スル所ニ依ル
第十条 水先人水先船ヲ去リタルトキハ水先旗ヲ撤去スヘシ
第十一条 水先人水路ヲ嚮導スヘキ船舶ニ乗込ミタルトキハ其ノ氏名及水先人タルコトヲ船長ニ告知スヘシ
第十二条 水先人水路ヲ嚮導スヘキ船舶ニ乗込ミタルトキハ船長ハ水先信号ヲ撤去シ船舶ノ名称、船舶所有者ノ氏名、船籍港、積量及喫水ヲ水先人ニ告知シ且水先人ノ要求アルトキハ其ノ証明書類ヲ開示スヘシ
第十三条 水先人ハ同時ニ二艘以上ノ船舶ノ水路ヲ嚮導スルコトヲ得ス但シ船舶運航ノ自由ヲ得ス又ハ水先人ヲ得ル能ハサル為其ノ船舶ト水路ヲ嚮導スヘキ船舶ト曳綱ヲ以テ連結セラレタルトキハ此ノ限ニアラス
第十四条 水先人水路ヲ嚮導シタルトキハ船長ニ対シ水先案内料ヲ請求スル権利ヲ有ス
前条但書ノ場合ニ於テハ水先人ハ各艘ノ船舶ニ付前項ノ権利ヲ有ス
第十五条 水先案内料ハ命令ヲ以テ定ムル額ヲ超過スルコトヲ得ス
第十六条 水先人ハ水先修業生一名ニ限リ水路ヲ嚮導スヘキ船舶ニ之ヲ伴フコトヲ得但シ二名以上ヲ伴ハントスルトキハ船長ノ承諾ヲ経ヘシ
第十七条 水先区、水先旗ノ様式及水先信号ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八条 主務大臣ハ水先区ヲ指定シテ水先人ノ員数ヲ制限シ水先人組合ヲ設ケシメ又ハ水先船ノ免状及艤装ニ関シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
水先人組合ハ規約ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十九条 水先人其ノ業務ニ従事スルニ当リ左ノ各号ニ該当スル場合ニ於テハ海員審判所ハ裁決ヲ以テ之ヲ懲戒ス
一 過失、懈怠又ハ不当ノ行為ニ因リ船舶ニ損害ヲ加ヘ又ハ之ヲ沈没セシメタルトキ
二 過失、懈怠又ハ不当ノ行為ニ因リ人ヲ死傷ニ致シタルトキ
三 業務ヲ怠リ又ハ業務上ノ義務ニ違反シタルトキ
四 乱酔、粗暴其ノ他ノ失行アリタルトキ
水先人組合ニ属スル水先人其ノ組合規約中命令ノ規定ニ依リ懲戒ニ付スヘキ事項ニ違反シタルトキ亦前項ニ同シ
第二十条 前条ニ依リ審判ニ付スヘキ事件ノ管轄ハ其ノ水先人ノ住所ヲ管轄スル地方海員審判所ニ属ス
前項ノ事件海員懲戒法ノ規定ニ依リ審判ニ付スヘキ事件ト関連スルトキハ前項ノ管轄ハ海員懲戒法ニ依ル事件ヲ管轄スル地方海員審判所ニ属ス
第二十一条 水先人ノ懲戒ニ関シ此ノ法律ニ規定ナキモノニ付テハ海員懲戒法ノ規定ヲ準用ス
第二十二条 水先人其ノ業務ヲ怠リ因テ船舶ヲ毀損シ若ハ之ヲ沈没セシメ又ハ人ヲ死傷ニ致シタルトキハ一月以上三年以下ノ重禁錮ニ処シ又ハ五十円以上六百円以下ノ罰金ニ処ス
水先人ニアラサル者水先区ニ於テ水路ヲ嚮導シ因テ船舶ヲ毀損シ若ハ之ヲ沈没セシメ又ハ人ヲ死傷ニ致シタルトキ亦前項ニ同シ
第二十三条 左ノ各号ニ該当スル者ハ二円以上二百五十円以下ノ罰金ニ処ス
一 第四条ノ規定ニ違反シテ水先人ノ業務ヲ営ミタル者及之ヲシテ水路ヲ嚮導セシメタル者
二 第八条第二項第三項又ハ第十三条ノ規定ニ違反シタル者
三 第十五条ノ規定ニ違反シテ水先案内料ヲ授受シタル者
四 水先免状ヲ貸付シ之ヲ行使セシメタル者
五 詐偽ノ目的ヲ以テ船舶ノ喫水若ハ積量ニ付水先人ニ対シ不実ノ告知ヲ為シ又ハ喫水ノ標識ヲ変更シタル者
六 水路ノ嚮導ヲ要求セラレタル場合ニ於テ正当ノ理由ナクシテ之ニ応セサル者又ハ之ニ応シタルモ正当ノ理由ナクシテ水路ヲ嚮導セサル者
七 水路ノ嚮導ヲ要求シタル場合ニ於テ正当ノ理由ナクシテ水先人ヲシテ水路ヲ嚮導セシメス又ハ正当ノ理由ナクシテ水先人ヲ水先区外ニ伴ヒタル者
八 水先人ニアラスシテ水先区ニ於テ水路ヲ嚮導シタル者
第二十四条 左ノ各号ニ該当スル者ハ二円以上百円以下ノ罰金ニ処ス
一 第五条第六条第十条第十一条又ハ第十二条ノ規定ニ違反シタル者
二 水先人ヲ要招スル為ニアラスシテ水先信号又ハ之ト誤認シ易キ信号ヲ為シタル者
三 水先人第十六条ノ規定ニ依リ水先修業生ヲ伴ヒタル場合ニ於テ之ヲ拒ミタル者又ハ同条但書ノ規定ニ違反シテ水先修業生ヲ伴ヒタル者
四 第十八条第一項ニ依リ定ムル規定ニ従ヒテ水先船ヲ艤装セス又ハ水先船免状ヲ有セスシテ水先船ヲ使用シタル者
五 水先人ニアラスシテ水先旗若ハ之ト誤認シ易キ旗ヲ船舶ニ掲揚シ又ハ海上衝突予防法第八条ノ点灯及信号ヲ為シタル者
六 水先人ニアラスシテ第十八条第一項ニ依リ定ムル規定ニ従ヒテ艤装シタル水先船又ハ之ト誤認シ易キ船舶ヲ使用シタル者
第二十五条 船長水先区ニ於テ水先人ニアラサル者ヲシテ水路ヲ嚮導セシメタルトキハ命令ヲ以テ定メタル当該水先区ノ水先案内料ト同額以上二倍以下ノ罰金ニ処ス
第二十六条 水路ヲ嚮導セシメサレハ航行危険ナル場合ニ於テ水先人ヲ得ル能ハサルカ為水先人ニアラサル者ヲシテ水路ヲ嚮導セシメタルモノナルトキハ前条及第二十三条第八号ノ規定ヲ適用セス
第二十七条 此ノ法律中船長ニ関スル規定ハ船長ニ代ハリテ其ノ職務ヲ行フ者ニ亦之ヲ適用ス
附 則
第二十八条 此ノ法律施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十九条 明治十一年第三十七号布告ハ此ノ法律施行ノ日ヨリ之ヲ廃止ス
第三十条 明治十一年第三十七号布告ニ依リテ授与シタル水先免状ハ主務大臣ノ定ムル所ニ従ヒ此ノ法律ニ依リテ授与スル水先免状ト交換ス
前項ノ交換ヲ了スルマテハ旧水先免状ハ該免状ニ記載スル水先区中此ノ法律ニ依リテ定メタル水先区ニ該当スル部分ニ限リ之ヲ代用スルコトヲ得
旧水先免状ヲ有スル者第三条ノ各号ニ該当スルトキハ前二項ノ規定ヲ適用セス
第三十一条 此ノ法律施行前ヨリ其ノ施行後マテ引続キ水路ヲ嚮導スル場合ニ於テハ水先案内料ハ明治十一年第三十七号布告ニ依リテ之ヲ算定スヘシ
第三十二条 第十九条第二十条及第二十一条ノ規定ハ左ノ各号ニ該当スル場合ニ於テ亦之ヲ適用ス
一 明治十一年第三十七号布告ニ依リテ審問ヲ要スルモノニシテ此ノ法律ニ依リ懲戒スヘキ行為此ノ法律施行前ニ発生シ其ノ施行後ニ至リテ発覚シタルトキ
二 前号ノ行為此ノ法律施行ノ際審問中ナルトキ
第三十三条 此ノ法律施行後五年間ヲ限リ主務大臣ハ第二条第一号ノ規定ニ拘ラス水先免状ヲ授与スルコトヲ得
前項ニ依リ授与シタル水先免状ハ前項ノ期間満了ノ後ト雖其ノ効力ヲ失フコトナシ