朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル農工銀行補助法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年四月十八日
內閣總理大臣 侯爵 伊藤博文
大藏大臣 子爵 渡邊國武
法律第八十四號
農工銀行補助法
第一條 農工銀行法ニ依リ設立スル農工銀行ノ營業ヲ補助スル爲政府ハ豫算ニ定ムル所ニ從ヒ其ノ營業區域ヲ管轄スル府縣(沖繩縣ヲ除ク)ニ其ノ株式引受資金ヲ交付ス
前項ノ交付金額ハ該府縣ノ宅地鑛泉地池沼ヲ除キ有租地段別百町ニ付七十圓以內トス但シ如何ナル場合ニ於テモ一府縣ニ交付スル總額三十萬圓ヲ超過シ又ハ農工銀行拂込資本金ノ三分ノ一ヲ超過スルコトヲ得ス
第二條 北海道及沖繩縣ニ設立スル農工銀行ノ營業ヲ補助スル爲其ノ創立初季ヨリ十箇年ヲ限リ政府ハ豫算ニ定ムル所ニ從ヒ北海道ノ農工銀行ニ二萬五千圓以內沖繩縣ノ農工銀行ニ五千圓以內ヲ每年交付ス但シ農工銀行ノ拂込資本金額ニ對シ一箇年百分ノ五ノ割合ヲ超過スルコトヲ得ス
第三條 府縣ハ第一條ノ交付金ヲ農工銀行ノ株式引受ニ供スルノ外他ニ使用スルコトヲ得ス
第四條 此ノ法律ニ依リ府縣ノ引受ケタル株式ニ對シテハ農工銀行ハ其ノ創立初季ヨリ五箇年間ハ利益配當ヲ爲スコトヲ要セス
前項ノ期限經過後仍五箇年間ハ農工銀行ハ前項府縣引受ノ株式ニ對スル配當金ヲ悉皆準備金ニ繰入ルヘシ
第五條 農工銀行ハ前條ノ期限ヲ經過シタル後ハ此ノ法律ニ依リ府縣ノ引受ケタル株式ニ對シ他ノ株式ト同一ノ利益配當ヲ爲スヘシ
前項ノ配當金ハ府縣ノ收入ニ繰入ルルモノトス
第六條 府縣ハ此ノ法律ニ依リ其ノ引受ケタル農工銀行ノ株式ヲ離權スルコトヲ得ス但シ第七條ノ場合ハ此ノ限ニ在ラス
第七條 農工銀行創立初季ヨリ十箇年經過ノ後府縣知事ハ府縣會ノ議決ヲ經內務大臣及大藏大臣ノ認可ヲ得テ此ノ法律ニ依リ引受ケタル農工銀行ノ株式ヲ市町村ニ交付スルコトヲ得
市町村ハ前項ニ依リ交付セラレタル農工銀行ノ株式ヲ基本財產ト爲スヘシ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル農工銀行補助法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年四月十八日
内閣総理大臣 侯爵 伊藤博文
大蔵大臣 子爵 渡辺国武
法律第八十四号
農工銀行補助法
第一条 農工銀行法ニ依リ設立スル農工銀行ノ営業ヲ補助スル為政府ハ予算ニ定ムル所ニ従ヒ其ノ営業区域ヲ管轄スル府県(沖縄県ヲ除ク)ニ其ノ株式引受資金ヲ交付ス
前項ノ交付金額ハ該府県ノ宅地鉱泉地池沼ヲ除キ有租地段別百町ニ付七十円以内トス但シ如何ナル場合ニ於テモ一府県ニ交付スル総額三十万円ヲ超過シ又ハ農工銀行払込資本金ノ三分ノ一ヲ超過スルコトヲ得ス
第二条 北海道及沖縄県ニ設立スル農工銀行ノ営業ヲ補助スル為其ノ創立初季ヨリ十箇年ヲ限リ政府ハ予算ニ定ムル所ニ従ヒ北海道ノ農工銀行ニ二万五千円以内沖縄県ノ農工銀行ニ五千円以内ヲ毎年交付ス但シ農工銀行ノ払込資本金額ニ対シ一箇年百分ノ五ノ割合ヲ超過スルコトヲ得ス
第三条 府県ハ第一条ノ交付金ヲ農工銀行ノ株式引受ニ供スルノ外他ニ使用スルコトヲ得ス
第四条 此ノ法律ニ依リ府県ノ引受ケタル株式ニ対シテハ農工銀行ハ其ノ創立初季ヨリ五箇年間ハ利益配当ヲ為スコトヲ要セス
前項ノ期限経過後仍五箇年間ハ農工銀行ハ前項府県引受ノ株式ニ対スル配当金ヲ悉皆準備金ニ繰入ルヘシ
第五条 農工銀行ハ前条ノ期限ヲ経過シタル後ハ此ノ法律ニ依リ府県ノ引受ケタル株式ニ対シ他ノ株式ト同一ノ利益配当ヲ為スヘシ
前項ノ配当金ハ府県ノ収入ニ繰入ルルモノトス
第六条 府県ハ此ノ法律ニ依リ其ノ引受ケタル農工銀行ノ株式ヲ離権スルコトヲ得ス但シ第七条ノ場合ハ此ノ限ニ在ラス
第七条 農工銀行創立初季ヨリ十箇年経過ノ後府県知事ハ府県会ノ議決ヲ経内務大臣及大蔵大臣ノ認可ヲ得テ此ノ法律ニ依リ引受ケタル農工銀行ノ株式ヲ市町村ニ交付スルコトヲ得
市町村ハ前項ニ依リ交付セラレタル農工銀行ノ株式ヲ基本財産ト為スヘシ