第一條 質屋營業ヲ爲サムトスル者ハ行政廳ノ免許ヲ受クヘシ支店ヲ設クルトキ亦同シ
第三條 質屋物品ヲ質ニ取ラムトスルトキハ質置主ニ於テ其ノ物品ヲ質入シ得ヘキ權利ヲ有スルコトヲ確認シタル後之ヲ爲スヘシ若不正品ノ疑アルトキハ直ニ警察官ニ申吿スヘシ
第四條 住所、氏名ノ詳カナラサル者ヨリ物品ヲ質ニ取ルコトヲ得ス但シ住所、氏名ノ詳カナル者其ノ證人タルトキ又ハ警察官ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第五條 質屋ハ質契約及質物處分ニ關スル事項ヲ帳簿ニ記載スヘシ
屋質ハ質契約ノ證トシテ質札又ハ通帳ヲ質置主ニ交付スヘシ
帳簿、質札及通帳ノ製方及樣式ハ命令ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ得
第七條 傳染病毒ニ汚染シタル物品ナリト認ムルモノハ消毒シタル後ニ非サレハ之ヲ質ニ取ルコトヲ得ス
前項ノ物品ニシテ警察官ニ於テ未タ消毒セサルモノト認ムルトキハ直ニ消毒法ヲ施サシメ命ニ從ハサレハ之ヲ官沒ス
轉質ハ必要ノ場合ニ限リ命令ヲ以テ制限シ若ハ禁止スルコトヲ得
第九條 質屋ハ左ニ揭クル制限內ノ利子ノ外何等ノ名義ヲ以テスルモ金錢ヲ領收スルコトヲ得ス
貸金二十五錢以下ハ一箇月一錢、一圓以下ハ一箇月百分ノ四、五圓以下ハ一箇月百分ノ三、十圓以下ハ一箇月百分ノ二半
本條ニ違反シタル質契約ハ其ノ違反セル部分ニ限リ無效トス
第十條 質置主ハ流質期限前ハ何時タリトモ元利金ヲ辨濟シテ其ノ質物ヲ受戾スコトヲ得
第十一條 質屋ハ流質期限經過ノ後何時タリトモ其ノ質物ヲ處分スルコトヲ得
第十二條 質屋ハ何人ニ拘ラス質札又ハ通帳ヲ所持スル者ニ其ノ質物ヲ返還スルコトヲ得
第十三條 贓物ニシテ特ニ識別シ得ヘキ物品ニ限リ警察官ニ於テ必要アリト認ムルモノハ品觸ヲ發スルコトヲ得
第十四條 贓物ノ品觸アルトキハ到達シタル年月日ヲ其ノ品觸寫書ニ附記スヘシ品觸到達以後六箇月內ニ品觸ニ相當スル物品ヲ質ニ取リ若ハ質物トシテ占有セルコトヲ覺知スルトキハ直ニ警察官ニ屆出ヘシ
第十五條 警察官ハ犯罪ノ嫌疑アル物品若ハ遺失物又ハ傳染病毒汚染ノ物品アリト認ムルトキハ何時タリトモ質物及帳簿ノ檢査ヲ爲シ時宜ニ依リ十日以內ヲ限リ其ノ物品ヲ差押ヘ又ハ帳簿ヲ差出サシムルコトヲ得
警察官ニ於テ物品ヲ押收シタルトキハ領置證書ヲ交付スヘシ
第十六條 質物ニシテ遺失物若ハ贓物ニ係ルトキハ警察官之ヲ徵收シ被害者ニ還付スルコトヲ得若被害者知レサルトキハ徵收シタル日ヨリ二箇年ノ後官沒スルコトヲ得
第十七條 營業ニ關スル帳簿ヲ廢棄セムトスルトキハ警察官ノ許可ヲ受クヘシ
第十八條 質屋法律命令ニ違犯シ行政廳ニ於テ必要ト認ムルトキハ其ノ營業ヲ禁止又ハ停止スルコトヲ得
第十九條 禁止ノ處分ヲ受ケタル者ハ他人ノ名義ヲ以テ質屋營業ヲ爲シ又ハ質屋營業者ノ代理人タルコトヲ得ス停止ノ處分ヲ受ケタル者其ノ期間亦同シ
第二十條 質屋廢業シ若ハ營業ヲ禁止セラレタルトキト雖其ノ以前ニ成立シタル質契約及其ノ質物ニ付テハ尙ホ此ノ法律ヲ適用ス停止ノ處分ヲ受ケタル者其ノ期間亦同シ
第二十一條 行政廳ハ何時タリトモ營業ノ禁止ヲ解クコトヲ得
第二十二條 左ニ揭クル諸項ノ一ニ該當スル者ハ二圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第十五條ノ場合ニ於テ虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ故意ニ物品、帳簿ヲ毀損亡失シタル者
第二十三條 第一條第二項、第二條、第三條、第四條、第五條第一項及第二項、第六條、第七條第一項、第十四條及第十七條ニ違反シタル者ハ二圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十四條 此ノ法律ヲ犯シタル者ニハ刑法ノ數罪俱發ノ例ヲ用井ス
第二十五條 質屋營業上ニ就テハ家屬又ハ雇人ノ所爲ト雖營業者其ノ責ニ任ス
第二十六條 此ノ法律ヲ施行スル爲ニ必要ナル細則ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム