(取引所ノ資本金、営業保証金、株式、手数料、積立金及売買取引ノ方法ニ関スル規程並仲買人免許料金額ノ件)
法令番号: 勅令第七十四號
公布年月日: 明治26年7月22日
法令の形式: 勅令
朕取引所ノ資本金、營業保證金、株式、手數料、積立金及賣買取引ノ方法ニ關スル規程竝仲買人免許料金額ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十六年七月二十一日
農商務大臣 伯爵 後藤象二郞
勅令第七十四號
第一條 株式會社組織ノ取引所ノ資本金ハ三萬圓以上トス
農商務大臣ハ賣買取引ノ狀況ニ因リ必要ト認ムルトキハ資本金額ヲ增加セシムルコトヲ得
第二條 會員組織ノ取引所ノ創設及維持ノ資本金ハ其會員ノ醵金ヲ以テ之ニ充ツヘシ解散ノ場合ニ於テ存留スル資本及其他ノ財產ハ一切ノ義務ヲ解除シタル後ニ於テ現時ノ各會員ニ平分スヘシ
第三條 取引所ニシテ倉庫ヲ設置スルトキハ其倉庫ニ關スル資本金ハ第一條及第二條ノ資本金以外ニ之ヲ增加スヘシ
第四條 株式會社組織ノ取引所ノ營業保證金額ハ其資本金額ノ三分ノ一トス但倉庫ノ爲メ增加シタル資本金ハ之ヲ算入セス
營業保證金ハ營業開始前大藏省預金局預金ノ證書若クハ國債地方債證券ヲ以テ其全額ヲ地方廳ニ納ムヘシ但國債地方債證券ヲ以テ納入スル場合ニ於テハ其價格ハ農商務大臣ノ指定スル所ニ依ルヘシ
資本金增額ノ場合ニ於テ增納スヘキ營業保證金ハ農商務大臣ノ指定スル日限マテニ其手續ヲ爲スヘシ
第五條 取引所ノ資本金ノ各株式ハ其株金ノ半額以上拂込前ニ讓渡ヲ爲スコトヲ得ス
第六條 會員組織ノ取引所ニ於テハ利益ヲ會員ニ分配スルノ目的ヲ以テ手數料ヲ徵收スルコトヲ得ス
第七條 取引所ニ於テ賣買雙方ヨリ徵收スル手數料ハ取引所ノ組織、賣買ノ物件、賣買ノ方法及賣買ノ狀況ニ應シ賣買約定代金ノ千分ノ八ヲ超過スルコトヲ得ス
農商務大臣ハ必要ト認ムルトキハ前項ノ定限以內ニ於テ取引所ノ手數料ノ率ヲ改定セシムルコトヲ得
第八條 會員組織ノ取引所ハ每年其總收入金ノ二十分ノ一ニ相當スル金額ヲ準備ノ積立金トシテ積置クヘシ但準備ノ積立金額資本金額ノ四分ノ一以上ニ達シタルトキハ農商務大臣ノ認可ヲ受ケ其積立ヲ停止シ若クハ其積立金額ノ率ヲ減少スルコトヲ得
第九條 取引所ノ準備ノ積立金ヲ支出セントスルトキハ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十條 取引所ハ每日一定ノ時間ニ於テ直取引、延取引及定期取引ノ市場ヲ開閉スヘシ但定款ヲ以テ定例及臨時休業ヲ爲スノ場合ヲ規定スルコトヲ得
第十一條 取引所ノ賣買取引ノ契約ハ現物、見本又ハ銘柄ニ依リ取結フヘシ
第十二條 取引所ノ賣買取引ノ契約履行ノ期限ハ當日ヨリ起算シ直取引ハ五日以內延取引ハ百五十日以內賣買雙方約定ノ日限ニ依リ定期取引ハ三箇月以內取引所指定ノ限月ニ依ルヘシ
第十三條 取引所ノ定期取引ニ限リ左ノ方法ヲ用ウルコトヲ得
一 單位ヲ定メテ賣買スルノ方法
二 競賣買ヲ爲スノ方法
三 米ニ限リ標準物ヲ以テ賣買契約ヲ爲シ取引所ニ於テ豫メ指定スル同種商品ノ格付ニ從ヒ代品ヲ以テ受渡ヲ爲スノ方法
四 契約期限內ニ於テ爲シタル轉賣買戾ヲ取引所ノ帳簿ニ記載スル所ニ依リ相殺スルノ方法
五 賣買雙方ヨリ證據金ヲ差出サシムルノ方法
取引所ハ特ニ農商務大臣ノ認可ヲ受ケ直取引及延取引ニ於テモ亦賣買雙方ヨリ證據金ヲ差出サシムルノ方法ヲ用ウルコトヲ得
第十四條 取引所ニ於テ賣買取引ノ契約ヲ爲シタルトキハ賣買雙方ノ氏名賣買品ノ數量及其價格ヲ取引所ノ帳簿ニ記載スヘシ
第十五條 賣買取引ノ物件代金ノ受渡ハ取引所ノ役員立會ノ上執行スヘシ
第十六條 取引所ノ仲買人免許料ノ金額ハ拾圓トス
朕取引所ノ資本金、営業保証金、株式、手数料、積立金及売買取引ノ方法ニ関スル規程並仲買人免許料金額ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十六年七月二十一日
農商務大臣 伯爵 後藤象二郎
勅令第七十四号
第一条 株式会社組織ノ取引所ノ資本金ハ三万円以上トス
農商務大臣ハ売買取引ノ状況ニ因リ必要ト認ムルトキハ資本金額ヲ増加セシムルコトヲ得
第二条 会員組織ノ取引所ノ創設及維持ノ資本金ハ其会員ノ醵金ヲ以テ之ニ充ツヘシ解散ノ場合ニ於テ存留スル資本及其他ノ財産ハ一切ノ義務ヲ解除シタル後ニ於テ現時ノ各会員ニ平分スヘシ
第三条 取引所ニシテ倉庫ヲ設置スルトキハ其倉庫ニ関スル資本金ハ第一条及第二条ノ資本金以外ニ之ヲ増加スヘシ
第四条 株式会社組織ノ取引所ノ営業保証金額ハ其資本金額ノ三分ノ一トス但倉庫ノ為メ増加シタル資本金ハ之ヲ算入セス
営業保証金ハ営業開始前大蔵省預金局預金ノ証書若クハ国債地方債証券ヲ以テ其全額ヲ地方庁ニ納ムヘシ但国債地方債証券ヲ以テ納入スル場合ニ於テハ其価格ハ農商務大臣ノ指定スル所ニ依ルヘシ
資本金増額ノ場合ニ於テ増納スヘキ営業保証金ハ農商務大臣ノ指定スル日限マテニ其手続ヲ為スヘシ
第五条 取引所ノ資本金ノ各株式ハ其株金ノ半額以上払込前ニ譲渡ヲ為スコトヲ得ス
第六条 会員組織ノ取引所ニ於テハ利益ヲ会員ニ分配スルノ目的ヲ以テ手数料ヲ徴収スルコトヲ得ス
第七条 取引所ニ於テ売買双方ヨリ徴収スル手数料ハ取引所ノ組織、売買ノ物件、売買ノ方法及売買ノ状況ニ応シ売買約定代金ノ千分ノ八ヲ超過スルコトヲ得ス
農商務大臣ハ必要ト認ムルトキハ前項ノ定限以内ニ於テ取引所ノ手数料ノ率ヲ改定セシムルコトヲ得
第八条 会員組織ノ取引所ハ毎年其総収入金ノ二十分ノ一ニ相当スル金額ヲ準備ノ積立金トシテ積置クヘシ但準備ノ積立金額資本金額ノ四分ノ一以上ニ達シタルトキハ農商務大臣ノ認可ヲ受ケ其積立ヲ停止シ若クハ其積立金額ノ率ヲ減少スルコトヲ得
第九条 取引所ノ準備ノ積立金ヲ支出セントスルトキハ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十条 取引所ハ毎日一定ノ時間ニ於テ直取引、延取引及定期取引ノ市場ヲ開閉スヘシ但定款ヲ以テ定例及臨時休業ヲ為スノ場合ヲ規定スルコトヲ得
第十一条 取引所ノ売買取引ノ契約ハ現物、見本又ハ銘柄ニ依リ取結フヘシ
第十二条 取引所ノ売買取引ノ契約履行ノ期限ハ当日ヨリ起算シ直取引ハ五日以内延取引ハ百五十日以内売買双方約定ノ日限ニ依リ定期取引ハ三箇月以内取引所指定ノ限月ニ依ルヘシ
第十三条 取引所ノ定期取引ニ限リ左ノ方法ヲ用ウルコトヲ得
一 単位ヲ定メテ売買スルノ方法
二 競売買ヲ為スノ方法
三 米ニ限リ標準物ヲ以テ売買契約ヲ為シ取引所ニ於テ予メ指定スル同種商品ノ格付ニ従ヒ代品ヲ以テ受渡ヲ為スノ方法
四 契約期限内ニ於テ為シタル転売買戻ヲ取引所ノ帳簿ニ記載スル所ニ依リ相殺スルノ方法
五 売買双方ヨリ証拠金ヲ差出サシムルノ方法
取引所ハ特ニ農商務大臣ノ認可ヲ受ケ直取引及延取引ニ於テモ亦売買双方ヨリ証拠金ヲ差出サシムルノ方法ヲ用ウルコトヲ得
第十四条 取引所ニ於テ売買取引ノ契約ヲ為シタルトキハ売買双方ノ氏名売買品ノ数量及其価格ヲ取引所ノ帳簿ニ記載スヘシ
第十五条 売買取引ノ物件代金ノ受渡ハ取引所ノ役員立会ノ上執行スヘシ
第十六条 取引所ノ仲買人免許料ノ金額ハ拾円トス