文部省直轄諸学校官制
法令番号: 勅令第百三十七號
公布年月日: 明治24年7月27日
法令の形式: 勅令
朕文部省直轄諸學校官制ノ改正ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十四年七月二十四日
內閣總理大臣 伯爵 松方正義
文部大臣 伯爵 大木喬任
勅令第百三十七號
文部省直轄諸學校官制
通則
第一條 文部省直轄高等師範學校女子高等師範學校高等商業學校高等中學校東京工業學校東京美術學校東京音樂學校東京盲啞學校ニ各左ノ職員ヲ置ク但敎官ノ人員ハ學科ノ種類其受持ノ都合及生徒ノ員數ニ應シ隨時別ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム又書記ノ定員竝特ニ各學校ニ就キ規定スルモノハ各學校ノ部ニ之ヲ揭ク
學校長 一人 奏任
但高等師範學校長及女子高等師範學校長ハ特ニ勅任トナスコトアルヘシ
敎授 奏任
助敎授 判任
舍監 專任二人 奏任
書記 判任
第二條 學校長ハ文部大臣ノ命ヲ承ケ校務ヲ掌理シ所屬職員ヲ統督ス
第三條 敎授ハ生徒ノ敎授ヲ掌ル
助敎授ハ敎授ノ職掌ヲ助ク
第四條 舍監ハ學校長ノ指揮ヲ承ケ生徒ノ取締ニ關スル事ヲ掌ル
第五條 書記ハ上官ノ命ヲ承ケ庶務會計ニ從事ス
第六條 學校長ハ校務上ノ須要ニ依リ文部大臣ノ許可ヲ得テ敎官ノ外外國敎師ヲ雇入レ又ハ俸給豫算定額內ニ於テ講師ヲ囑託シ及雇員ヲ使用スルコトヲ得
第七條 文部大臣ハ校務上ノ須要ニ依リ學校ニ商議委員會ヲ設クルコトアルヘシ其委員ハ文部大臣之ヲ命ス
高等師範學校
第八條 高等師範學校ハ師範學校中學校及小學校ノ敎員ヲ養成スル所トス
第九條 高等師範學校ニ附屬中學校及附屬小學校ヲ置ク
第十條 高等師範學校ニ東京敎育博物館ヲ附設ス
東京敎育博物館ハ普通敎育ニ關スル諸般ノ物品ヲ陳列シ參考ニ便スル所トス
第十一條 高等師範學校ニ特ニ左ノ職員ヲ置ク
敎諭 奏任
附屬中學校生徒ノ授業ヲ掌ル
助敎諭 判任
敎諭ノ職掌ヲ助ク
訓導 判任
附屬小學校生徒ノ授業ヲ掌ル
技手 判任
上官ノ命ヲ承ケ學科ニ關スル技術ニ從事ス又特ニ授業ヲ助ケシムルコトアルヘシ
第十二條 文部大臣ハ敎官ノ中ヨリ附屬學校主事及東京敎育博物館主事ヲ命シ其事務ヲ掌ヲシム
第十三條 書記ハ九人技手ハ五人ヲ以テ定員トス
女子高等師範學校
第十四條 女子高等師範學校ハ女子師範學校高等女學校及小學校ノ女敎員竝幼稚園ノ保姆ヲ養成スル所トス
第十五條 女子高等師範學校ニ附屬高等女學校附屬小學校及附屬幼稚園ヲ置ク
第十六條 女子高等師範學校ニ特ニ左ノ職員ヲ置ク
敎諭 奏任
附屬高等女學校生徒ノ授業ヲ掌ル
助敎諭 判任
敎諭ノ職掌ヲ助ク
訓導 判任
附屬小學校生徒ノ授業ヲ掌ル
保姆 判任
附屬幼稚園幼兒ノ保育ヲ掌ル
第十七條 文部大臣ハ敎官ノ中ヨリ附屬學校主事及附屬幼稚園主事ヲ命シ其事務ヲ掌ラシム
第十八條 書記ハ六人ヲ以テ定員トス
高等商業學校
第十九條 高等商業學校ハ商務ヲ處理經營スヘキ者又ハ商業科ノ敎員タルヘキ者ヲ養成スル所トス
第二十條 高等商業學校ニ附屬主計學校ヲ置ク
附屬主計學校ハ官廳及銀行會社等ノ會計事務ニ關スル必須ノ學科及實務ヲ敎授スル所トス
第二十一條 文部大臣ハ敎官ノ中ヨリ附屬主計學校主事ヲ命シ其事務ヲ掌ラシム
第二十二條 書記ハ十人ヲ以テ定員トス
高等中學校
第二十三條 高等中學校ハ高等ノ普通敎育ヲ授ケ及大學竝高等專門學科ノ學習ニ須要ナル豫備ヲ爲サシムル所トス
高等中學校ハ全國ヲ五區ニ分畫シ每區ニ一校ヲ置キ第一高等中學校第二高等中學校第三高等中學校第四高等中學校第五高等中學校トス其區域ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル
第二十四條 高等中學校ハ法科文科理科醫科工科農科商科等ノ專門學部ヲ設クルコトヲ得
第二十五條 文部大臣ハ敎官ノ中ヨリ專門學部主事ヲ命シ部務ヲ掌ラシム
第二十六條 諸學校通則第一條ニ依リ文部大臣ノ管理ニ屬スル高等中學校ハ山口高等中學校及鹿兒島高等中學造士館トス
第二十七條 山口高等中學校及鹿兒島高等中學造士館ハ總テ此官制ノ規定ニ依ル
第二十八條 各高等中學校書記ノ定員左ノ如シ
第一高等中學校 十四人
第二高等中學校 六人
第三高等中學校 十三人
第四高等中學校 六人
第五高等中學校 十人
山口高等中學校 五人
鹿兒島高等中學造士館 五人
東京工業學校
第二十九條 東京工業學校ハ職工長又ハ工業科ノ敎員タルヘキ者ヲ養成スル所トス
第三十條 東京工業學校ニ附屬職工徒弟學校ヲ置ク
附屬職工徒弟學校ハ主トシテ木工若クハ金工ヲ業トスル者ノ子弟ニ實業ヲ授ケ適良ノ職工ヲ養成スル所トス
第三十一條 東京工業學校ニ舍監ヲ置カス
第三十二條 東京工業學校ニ特ニ技手ヲ置ク判任トス
技手ハ上官ノ命ヲ承ケ學科ニ關スル技術ニ從事ス又特ニ授業ヲ助ケシムルコトアルヘシ
第三十三條 文部大臣ハ敎官ノ中ヨリ附屬職工徒弟學校主事ヲ命シ其事務ヲ掌ラシム
第三十四條 書記ハ六人技手ハ十人ヲ以テ定員トス
東京美術學校
第三十五條 東京美術學校ハ繪畫彫刻建築及美術工藝ノ技術者又ハ普通ノ圖畫敎員タルヘキ者ヲ養成スル所トス
第三十六條 東京美術學校ニ舍監ヲ置カス
第三十七條 東京美術學校ニ特ニ技手ヲ置ク判任トス
技手ハ上官ノ命ヲ承ケ學科ニ關スル技術ニ從事ス又特ニ授業ヲ助ケシムルコトアルヘシ
第三十八條 書記ハ五人技手ハ二人ヲ以テ定員トス
東京音樂學校
第三十九條 東京音樂學校ハ音樂師又ハ音樂敎員タルヘキ者ヲ養成スル所トス
第四十條 東京音樂學校ニ舍監ヲ置カス
第四十一條 書記ハ四人ヲ以テ定員トス
東京盲啞學校
第四十二條 東京盲啞學校ハ盲啞敎育法ノ模範ヲ示シ兼テ盲啞ヲ敎育スル所トス
第四十三條 東京盲啞學校ニ第一條ニ定ムル所ノ敎授助敎授及舍監ヲ置カス左ノ職員ヲ置ク
敎諭 奏任
助敎諭 判任
第四十四條 敎諭ハ生徒ノ授業ヲ掌リ助敎諭ハ敎諭ノ職掌ヲ助ク
第四十五條 書記ハ二人ヲ以テ定員トス
附 則
第四十六條 本令ハ明治二十四年八月十六日ヨリ施行ス
朕文部省直轄諸学校官制ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十四年七月二十四日
内閣総理大臣 伯爵 松方正義
文部大臣 伯爵 大木喬任
勅令第百三十七号
文部省直轄諸学校官制
通則
第一条 文部省直轄高等師範学校女子高等師範学校高等商業学校高等中学校東京工業学校東京美術学校東京音楽学校東京盲唖学校ニ各左ノ職員ヲ置ク但教官ノ人員ハ学科ノ種類其受持ノ都合及生徒ノ員数ニ応シ随時別ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム又書記ノ定員並特ニ各学校ニ就キ規定スルモノハ各学校ノ部ニ之ヲ掲ク
学校長 一人 奏任
但高等師範学校長及女子高等師範学校長ハ特ニ勅任トナスコトアルヘシ
教授 奏任
助教授 判任
舎監 専任二人 奏任
書記 判任
第二条 学校長ハ文部大臣ノ命ヲ承ケ校務ヲ掌理シ所属職員ヲ統督ス
第三条 教授ハ生徒ノ教授ヲ掌ル
助教授ハ教授ノ職掌ヲ助ク
第四条 舎監ハ学校長ノ指揮ヲ承ケ生徒ノ取締ニ関スル事ヲ掌ル
第五条 書記ハ上官ノ命ヲ承ケ庶務会計ニ従事ス
第六条 学校長ハ校務上ノ須要ニ依リ文部大臣ノ許可ヲ得テ教官ノ外外国教師ヲ雇入レ又ハ俸給予算定額内ニ於テ講師ヲ嘱託シ及雇員ヲ使用スルコトヲ得
第七条 文部大臣ハ校務上ノ須要ニ依リ学校ニ商議委員会ヲ設クルコトアルヘシ其委員ハ文部大臣之ヲ命ス
高等師範学校
第八条 高等師範学校ハ師範学校中学校及小学校ノ教員ヲ養成スル所トス
第九条 高等師範学校ニ附属中学校及附属小学校ヲ置ク
第十条 高等師範学校ニ東京教育博物館ヲ附設ス
東京教育博物館ハ普通教育ニ関スル諸般ノ物品ヲ陳列シ参考ニ便スル所トス
第十一条 高等師範学校ニ特ニ左ノ職員ヲ置ク
教諭 奏任
附属中学校生徒ノ授業ヲ掌ル
助教諭 判任
教諭ノ職掌ヲ助ク
訓導 判任
附属小学校生徒ノ授業ヲ掌ル
技手 判任
上官ノ命ヲ承ケ学科ニ関スル技術ニ従事ス又特ニ授業ヲ助ケシムルコトアルヘシ
第十二条 文部大臣ハ教官ノ中ヨリ附属学校主事及東京教育博物館主事ヲ命シ其事務ヲ掌ヲシム
第十三条 書記ハ九人技手ハ五人ヲ以テ定員トス
女子高等師範学校
第十四条 女子高等師範学校ハ女子師範学校高等女学校及小学校ノ女教員並幼稚園ノ保姆ヲ養成スル所トス
第十五条 女子高等師範学校ニ附属高等女学校附属小学校及附属幼稚園ヲ置ク
第十六条 女子高等師範学校ニ特ニ左ノ職員ヲ置ク
教諭 奏任
附属高等女学校生徒ノ授業ヲ掌ル
助教諭 判任
教諭ノ職掌ヲ助ク
訓導 判任
附属小学校生徒ノ授業ヲ掌ル
保姆 判任
附属幼稚園幼児ノ保育ヲ掌ル
第十七条 文部大臣ハ教官ノ中ヨリ附属学校主事及附属幼稚園主事ヲ命シ其事務ヲ掌ラシム
第十八条 書記ハ六人ヲ以テ定員トス
高等商業学校
第十九条 高等商業学校ハ商務ヲ処理経営スヘキ者又ハ商業科ノ教員タルヘキ者ヲ養成スル所トス
第二十条 高等商業学校ニ附属主計学校ヲ置ク
附属主計学校ハ官庁及銀行会社等ノ会計事務ニ関スル必須ノ学科及実務ヲ教授スル所トス
第二十一条 文部大臣ハ教官ノ中ヨリ附属主計学校主事ヲ命シ其事務ヲ掌ラシム
第二十二条 書記ハ十人ヲ以テ定員トス
高等中学校
第二十三条 高等中学校ハ高等ノ普通教育ヲ授ケ及大学並高等専門学科ノ学習ニ須要ナル予備ヲ為サシムル所トス
高等中学校ハ全国ヲ五区ニ分画シ毎区ニ一校ヲ置キ第一高等中学校第二高等中学校第三高等中学校第四高等中学校第五高等中学校トス其区域ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル
第二十四条 高等中学校ハ法科文科理科医科工科農科商科等ノ専門学部ヲ設クルコトヲ得
第二十五条 文部大臣ハ教官ノ中ヨリ専門学部主事ヲ命シ部務ヲ掌ラシム
第二十六条 諸学校通則第一条ニ依リ文部大臣ノ管理ニ属スル高等中学校ハ山口高等中学校及鹿児島高等中学造士館トス
第二十七条 山口高等中学校及鹿児島高等中学造士館ハ総テ此官制ノ規定ニ依ル
第二十八条 各高等中学校書記ノ定員左ノ如シ
第一高等中学校 十四人
第二高等中学校 六人
第三高等中学校 十三人
第四高等中学校 六人
第五高等中学校 十人
山口高等中学校 五人
鹿児島高等中学造士館 五人
東京工業学校
第二十九条 東京工業学校ハ職工長又ハ工業科ノ教員タルヘキ者ヲ養成スル所トス
第三十条 東京工業学校ニ附属職工徒弟学校ヲ置ク
附属職工徒弟学校ハ主トシテ木工若クハ金工ヲ業トスル者ノ子弟ニ実業ヲ授ケ適良ノ職工ヲ養成スル所トス
第三十一条 東京工業学校ニ舎監ヲ置カス
第三十二条 東京工業学校ニ特ニ技手ヲ置ク判任トス
技手ハ上官ノ命ヲ承ケ学科ニ関スル技術ニ従事ス又特ニ授業ヲ助ケシムルコトアルヘシ
第三十三条 文部大臣ハ教官ノ中ヨリ附属職工徒弟学校主事ヲ命シ其事務ヲ掌ラシム
第三十四条 書記ハ六人技手ハ十人ヲ以テ定員トス
東京美術学校
第三十五条 東京美術学校ハ絵画彫刻建築及美術工芸ノ技術者又ハ普通ノ図画教員タルヘキ者ヲ養成スル所トス
第三十六条 東京美術学校ニ舎監ヲ置カス
第三十七条 東京美術学校ニ特ニ技手ヲ置ク判任トス
技手ハ上官ノ命ヲ承ケ学科ニ関スル技術ニ従事ス又特ニ授業ヲ助ケシムルコトアルヘシ
第三十八条 書記ハ五人技手ハ二人ヲ以テ定員トス
東京音楽学校
第三十九条 東京音楽学校ハ音楽師又ハ音楽教員タルヘキ者ヲ養成スル所トス
第四十条 東京音楽学校ニ舎監ヲ置カス
第四十一条 書記ハ四人ヲ以テ定員トス
東京盲唖学校
第四十二条 東京盲唖学校ハ盲唖教育法ノ模範ヲ示シ兼テ盲唖ヲ教育スル所トス
第四十三条 東京盲唖学校ニ第一条ニ定ムル所ノ教授助教授及舎監ヲ置カス左ノ職員ヲ置ク
教諭 奏任
助教諭 判任
第四十四条 教諭ハ生徒ノ授業ヲ掌リ助教諭ハ教諭ノ職掌ヲ助ク
第四十五条 書記ハ二人ヲ以テ定員トス
附 則
第四十六条 本令ハ明治二十四年八月十六日ヨリ施行ス