朕交際官並領事費用條例ノ改正ヲ裁可ス
御名御璽
明治十九年七月二日
內閣總理大臣 伯爵 伊藤博文
外務大臣 伯爵 井上馨
勅令第四十九號
交際官並領事費用條例
第一條 海外在勤ノ公使領事以下官員ノ年俸ハ第一號表ニ照シテ之ヲ支給ス但任所着翌日ヨリ起算シ任所出發ノ前日マテ日割ヲ以テ支給ス
第二條 公使領事參事官書記官赴任前許可ヲ得テ妻ヲ携帶スル者及赴任後許可ヲ得テ任所ヘ妻ヲ呼寄スル者ハ總テ其妻任所着翌日ヨリ起算シ任所出發歸朝ノ前日マテ日割ヲ以テ妻携帶ノ俸給ヲ支給ス
第三條 出發前ノ俸給ハ新拜命ノ官員出發前滯京ノ日數ヲ六十日ト定メ第二號表ニ照シ通貨ヲ以テ支給ス妻携帶ノ許可ヲ得タル公使領事參事官書記官ニハ其給額ノ二割增ヲ支給ス
第四條 前條ノ期限內ニ於テ任所替ヲ命セラレタル者ハ出發前ノ俸給ヲ六十日ニ分割シ前任所後任所ニ從ヒ支給ス又出發ノ延期ヲ命セラレタル者ハ六十日以後ハ第四號表公用滯京ノ項ニ照シテ支給シ病氣ニテ出發ノ延期ヲ願出タル者ハ同表養痾歸朝ノ項ニ照シテ支給ス
第五條 出發前三十日以內ニ於テ免官セラレタル者及赴任ヲ免セラレタル者ハ出發前俸給ノ半額ヲ返納セシムヘシ又免官免任ノ期三十日以後ニ方レハ其給額ヲ六十日ニ割リ之ヲ返納セシムヘシ
其願ニ依リ赴任ヲ免セラレタル者ハ悉皆返納セシムヘシ
第六條 往返旅中俸給ハ本邦任所往返旅中上陸賄料馬車代公用郵便稅電信料接持費等一切ノ諸雜費ニ充ツルモノトス
第七條 往返旅中俸給ハ現日數ニ拘ハラス又赴任歸朝ノ途次交際或ハ貿易ノ景況視察ノ爲メ許可ヲ得テ他ノ地方ヘ巡囘スルニ拘ハラス第三號表本任所ノ項ニ就テ支給ス
第八條 養痾歸省等願ニ依リ歸朝スル者ニモ亦前條ノ俸給ヲ支給スト雖モ任所ニ於テ免官ノ者ニハ之ヲ支給セス
第九條 任所往返ノ途次命ヲ受ケテ他ノ公館等ニ巡囘シ或ハ航行中非常ノ事故アリテ郵船ヲ待合セ又ハ某港ニ滯留スル者之カ爲メ第三號表中限日數ヨリ延着スルトキハ外務大臣定ムル所ノ費額ヲ支給ス
第十條 甲地在勤ノ者乙地ヘ任所替ヲ命セラレタルトキハ旅中俸給トシテ甲地出發ノ日ヨリ乙地着任ノ日マテヲ算シ本邦任所往返旅中俸給ノ額ヲ日割トシ現日數ニ乘シテ支給ス
第十一條 公使領事交代スルトキ公使ハ解任狀捧呈謁見濟ノ日ヲ以テ事務ヲ引繼キ領事ハ新任領事到着ノ日ヨリ一週間內ニ之ヲ引繼キ共ニ其當日ヨリ三週間內ニ其任所ヲ發程スヘシ
第十二條 公使領事歸朝ヲ命セラレ又ハ歸朝ノ許可ヲ得或ハ任所替ヲ命セラレタルトキハ其命令到達ノ日ヨリ三週間內ニ事務ヲ其代理者ニ引繼キ任所ヲ發程スヘシ
第十三條 參事官書記官交際官試補書記生ノ交代幷歸朝任所替發程期日ハ第十一條第十二條ノ例ニ同シ
第十四條 發程ノ延期ヲ命セラレタル者ノ外公館ノ公務ニ依リ發程ノ延期ヲ要スル者ハ外務大臣ノ許可ヲ得テ仍ホ一週間延期スルコトヲ得ヘシト雖モ此延期中ハ公使領事ハ年俸二分ノ一參事官以下ハ年俸三分ノ二日割ヲ以テ支給ス
病氣其他事故ニ依リ出發ヲ延期セシ公使領事ニハ年俸三分ノ一參事官以下ニハ年俸二分ノ一日割ヲ以テ支給ス
第十五條 任所ヲ轉スル者ニハ事務引繼濟ニ抅ハラス新任ノ年俸ヲ支給ス
第十六條 公使領事公用ニテ在留國內外ニ旅行スルトキ其代理ヲ任スルコトアルモ事務ノ引繼ヲ爲スニ及ハス故ニ代理者ニ代理年俸ヲ支給セスシテ公館費用ハ公使領事ノ擔任トス
第十七條 公使領事任所不在中其代理者ニハ本任官出發ノ日ヨリ起算シ本官ノ年俸ヲ支給セス代理年俸ヲ支給ス本任官歸任スルカ或ハ新任公使領事到着スルトキハ事務引繼ノ日數ニ抅ハラス着翌日ヨリ代理者ニ代理年俸ヲ支給セス
第十八條 交代濟歸朝ノ後無任所外交官ヲ命セラレサル者ニハ着京翌日ヨリ百八十日ヲ限リ第四號表交代濟歸朝日當ノ項ニ照シテ日給ヲ支給ス此期滿レハ官吏非職條例ニ依リ非職ヲ命ス但非職俸ハ交代濟歸朝日當ノ三分ノ二ヲ以テ算出スヘシ
第十九條 在勤滿三箇年以上ニ彌リ外務大臣ノ許可ヲ得往復順路ノ日數ヲ除キ六箇月間賜暇歸朝ノ者ニハ着京翌日ヨリ第四號表賜暇歸朝ノ項ニ照シテ日給ヲ支給ス
休暇期日ヲ過キ病氣其他ノ事故ニ依リ歸任ヲ延期スル者ニハ同表養痾滯京ノ項ニ照シテ日給ヲ支給ス
第二十條 公用ニテ歸朝ヲ命セラレタル者及航海不便ノ港ニシテ每歲冬季例ニ從ヒ閉館シ隨テ歸朝スル者ノ日給支給法亦前條ニ同シ
第二十一條 歸省養痾等ノ許可ヲ得テ歸朝スル者ニハ着京翌日ヨリ第四號表養痾歸朝ノ項ニ照シテ日給ヲ支給ス
第二十二條 臨時代理公使ニハ代理公使ノ年俸ヲ支給ス
第二十三條 貿易事務官其他特設ノ官名ヲ以テ領事ノ職務ヲ行ハシムル場合ニ於テハ其官等ニ應シ領事ノ例ニ照シテ年俸其他ノ支給ヲ爲スヘシ
第二十四條 公使領事以下死亡シタルトキハ第四號表一時賜金年俸三分ノ一ヲ給與ス海外ニ於テ死亡シタル者ニハ別ニ在勤年俸一箇月分ヲ支給ス
赴任前死亡シタルトキハ出發前ノ俸給ヲ返納セシムルニ及ハス
第二十五條 移轉費、交際費、事務所費、公館雇員費、妻幷從者旅費、航行費、陸路費、在留國內外公用旅行雜費、公館借入、公館備付品科目買上代價幷修埋費、事務引繼前後經費負擔ノ區分、公館經費、公館非常準備金其他計算等ニ關スル細則ハ外務大藏兩大臣ノ定ムル所ニ依ル
【表】
【表】
【表】
【表】
朕交際官並領事費用条例ノ改正ヲ裁可ス
御名御璽
明治十九年七月二日
内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
外務大臣 伯爵 井上馨
勅令第四十九号
交際官並領事費用条例
第一条 海外在勤ノ公使領事以下官員ノ年俸ハ第一号表ニ照シテ之ヲ支給ス但任所着翌日ヨリ起算シ任所出発ノ前日マテ日割ヲ以テ支給ス
第二条 公使領事参事官書記官赴任前許可ヲ得テ妻ヲ携帯スル者及赴任後許可ヲ得テ任所ヘ妻ヲ呼寄スル者ハ総テ其妻任所着翌日ヨリ起算シ任所出発帰朝ノ前日マテ日割ヲ以テ妻携帯ノ俸給ヲ支給ス
第三条 出発前ノ俸給ハ新拝命ノ官員出発前滞京ノ日数ヲ六十日ト定メ第二号表ニ照シ通貨ヲ以テ支給ス妻携帯ノ許可ヲ得タル公使領事参事官書記官ニハ其給額ノ二割増ヲ支給ス
第四条 前条ノ期限内ニ於テ任所替ヲ命セラレタル者ハ出発前ノ俸給ヲ六十日ニ分割シ前任所後任所ニ従ヒ支給ス又出発ノ延期ヲ命セラレタル者ハ六十日以後ハ第四号表公用滞京ノ項ニ照シテ支給シ病気ニテ出発ノ延期ヲ願出タル者ハ同表養痾帰朝ノ項ニ照シテ支給ス
第五条 出発前三十日以内ニ於テ免官セラレタル者及赴任ヲ免セラレタル者ハ出発前俸給ノ半額ヲ返納セシムヘシ又免官免任ノ期三十日以後ニ方レハ其給額ヲ六十日ニ割リ之ヲ返納セシムヘシ
其願ニ依リ赴任ヲ免セラレタル者ハ悉皆返納セシムヘシ
第六条 往返旅中俸給ハ本邦任所往返旅中上陸賄料馬車代公用郵便税電信料接持費等一切ノ諸雑費ニ充ツルモノトス
第七条 往返旅中俸給ハ現日数ニ拘ハラス又赴任帰朝ノ途次交際或ハ貿易ノ景況視察ノ為メ許可ヲ得テ他ノ地方ヘ巡回スルニ拘ハラス第三号表本任所ノ項ニ就テ支給ス
第八条 養痾帰省等願ニ依リ帰朝スル者ニモ亦前条ノ俸給ヲ支給スト雖モ任所ニ於テ免官ノ者ニハ之ヲ支給セス
第九条 任所往返ノ途次命ヲ受ケテ他ノ公館等ニ巡回シ或ハ航行中非常ノ事故アリテ郵船ヲ待合セ又ハ某港ニ滞留スル者之カ為メ第三号表中限日数ヨリ延着スルトキハ外務大臣定ムル所ノ費額ヲ支給ス
第十条 甲地在勤ノ者乙地ヘ任所替ヲ命セラレタルトキハ旅中俸給トシテ甲地出発ノ日ヨリ乙地着任ノ日マテヲ算シ本邦任所往返旅中俸給ノ額ヲ日割トシ現日数ニ乗シテ支給ス
第十一条 公使領事交代スルトキ公使ハ解任状捧呈謁見済ノ日ヲ以テ事務ヲ引継キ領事ハ新任領事到着ノ日ヨリ一週間内ニ之ヲ引継キ共ニ其当日ヨリ三週間内ニ其任所ヲ発程スヘシ
第十二条 公使領事帰朝ヲ命セラレ又ハ帰朝ノ許可ヲ得或ハ任所替ヲ命セラレタルトキハ其命令到達ノ日ヨリ三週間内ニ事務ヲ其代理者ニ引継キ任所ヲ発程スヘシ
第十三条 参事官書記官交際官試補書記生ノ交代並帰朝任所替発程期日ハ第十一条第十二条ノ例ニ同シ
第十四条 発程ノ延期ヲ命セラレタル者ノ外公館ノ公務ニ依リ発程ノ延期ヲ要スル者ハ外務大臣ノ許可ヲ得テ仍ホ一週間延期スルコトヲ得ヘシト雖モ此延期中ハ公使領事ハ年俸二分ノ一参事官以下ハ年俸三分ノ二日割ヲ以テ支給ス
病気其他事故ニ依リ出発ヲ延期セシ公使領事ニハ年俸三分ノ一参事官以下ニハ年俸二分ノ一日割ヲ以テ支給ス
第十五条 任所ヲ転スル者ニハ事務引継済ニ拘ハラス新任ノ年俸ヲ支給ス
第十六条 公使領事公用ニテ在留国内外ニ旅行スルトキ其代理ヲ任スルコトアルモ事務ノ引継ヲ為スニ及ハス故ニ代理者ニ代理年俸ヲ支給セスシテ公館費用ハ公使領事ノ担任トス
第十七条 公使領事任所不在中其代理者ニハ本任官出発ノ日ヨリ起算シ本官ノ年俸ヲ支給セス代理年俸ヲ支給ス本任官帰任スルカ或ハ新任公使領事到着スルトキハ事務引継ノ日数ニ拘ハラス着翌日ヨリ代理者ニ代理年俸ヲ支給セス
第十八条 交代済帰朝ノ後無任所外交官ヲ命セラレサル者ニハ着京翌日ヨリ百八十日ヲ限リ第四号表交代済帰朝日当ノ項ニ照シテ日給ヲ支給ス此期満レハ官吏非職条例ニ依リ非職ヲ命ス但非職俸ハ交代済帰朝日当ノ三分ノ二ヲ以テ算出スヘシ
第十九条 在勤満三箇年以上ニ弥リ外務大臣ノ許可ヲ得往復順路ノ日数ヲ除キ六箇月間賜暇帰朝ノ者ニハ着京翌日ヨリ第四号表賜暇帰朝ノ項ニ照シテ日給ヲ支給ス
休暇期日ヲ過キ病気其他ノ事故ニ依リ帰任ヲ延期スル者ニハ同表養痾滞京ノ項ニ照シテ日給ヲ支給ス
第二十条 公用ニテ帰朝ヲ命セラレタル者及航海不便ノ港ニシテ毎歳冬季例ニ従ヒ閉館シ随テ帰朝スル者ノ日給支給法亦前条ニ同シ
第二十一条 帰省養痾等ノ許可ヲ得テ帰朝スル者ニハ着京翌日ヨリ第四号表養痾帰朝ノ項ニ照シテ日給ヲ支給ス
第二十二条 臨時代理公使ニハ代理公使ノ年俸ヲ支給ス
第二十三条 貿易事務官其他特設ノ官名ヲ以テ領事ノ職務ヲ行ハシムル場合ニ於テハ其官等ニ応シ領事ノ例ニ照シテ年俸其他ノ支給ヲ為スヘシ
第二十四条 公使領事以下死亡シタルトキハ第四号表一時賜金年俸三分ノ一ヲ給与ス海外ニ於テ死亡シタル者ニハ別ニ在勤年俸一箇月分ヲ支給ス
赴任前死亡シタルトキハ出発前ノ俸給ヲ返納セシムルニ及ハス
第二十五条 移転費、交際費、事務所費、公館雇員費、妻並従者旅費、航行費、陸路費、在留国内外公用旅行雑費、公館借入、公館備付品科目買上代価並修埋費、事務引継前後経費負担ノ区分、公館経費、公館非常準備金其他計算等ニ関スル細則ハ外務大蔵両大臣ノ定ムル所ニ依ル
【表】
【表】
【表】
【表】