(登記法中改正追加ノ件)
法令番号: 法律第七十八號
公布年月日: 明治23年9月2日
法令の形式: 法律
朕登記法中改正追加ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム此法律ハ明治二十三年十一月一日ヨリ施行スヘキコトヲ命ス
御名御璽
明治二十三年九月一日
內閣總理大臣 伯爵 山縣有朋
內務大臣 伯爵 西鄕從道
司法大臣 伯爵 山田顯義
大藏大臣 伯爵 松方正義
法律第七十八號
明治十九年法律第一號登記法中左ノ通改正追加ス
第一條ニ左ノ一項ヲ加フ
農商務省特許局ニ於テ登錄シタル特許意匠及商標ノ登記ハ本人ノ居住地ヲ管轄スル登記所ニ於テ之ヲ爲ス可シ
第八條 登記ハ契約者雙方又ハ其代理人登記所ニ出頭シテ之ヲ請求ス可シ
登記ヲ請フ者アルトキハ登記官吏ハ之ヲ受付帳ニ記載シ契約者ヨリ差出シタル書類ノ受取證ヲ下付ス可シ
登記ヲ爲スニハ登記ノ番號ヲ記シ登記官吏之ニ署名捺印ス可シ
第九條第一項ノ「命令書」ノ下ニ「又ハ官廳ノ照會書」ノ八字ヲ加フ
第二項ヲ削除シ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ記入ハ裁判所又ハ官廳ヨリ直ニ之ヲ求ム可シ
第十一條中「出頭シテ」ノ四字ヲ削除ス
第十四條 地所建物船舶ノ賣買讓與ニ付キ登記ヲ請フトキハ契約者雙方出頭シテ其證書ヲ示シ其署名捺印シタル謄本一通ヲ差出ス可シ但第九條第十六條第十七條第十八條及第十九條ノ登記ニ付テハ證書ヲ示スノ限ニ在ラス
本條ノ謄本ハ登記簿ノ一部トシテ之ヲ添ヘ置ク可シ
證書ニ塗抹改竄アリテ利害關係人ノ承諾シタル證ナク登記官吏ノ求ニ應シ請求者ヨリ之ヲ疏明スルコト能ハサルトキハ登記官吏ハ登記ヲ拒絕スルコトヲ得
第十五條第二項中「親屬」ノ下「又」ノ上ニ「二名以上」ノ四字ヲ加フ
第十六條ニ左ノ一項ヲ加フ
本條ノ登記ハ其處分ヲ爲シタル官廳ヨリ直ニ之ヲ求ム可シ本項ノ規定ハ第十七條及第十九條ノ場合ニモ亦之ヲ準用ス
第二十一條第一項
地所建物船舶ノ質入書入ニ付テモ亦第十四條ヲ準用ス
第二十三條 質入書入契約ノ全部若クハ一部ノ解除又ハ變更ニ付テモ亦第十四條ヲ準用ス
第二十八條ニ左ノ一項ヲ加フ
第九條第十六條第十七條及第十九條ノ場合ニ於テ處分ヲ爲シタル官廳ヨリ登記ヲ求ムルニハ登記料ハ登記印紙ヲ請求書ニ貼用シテ其官廳ニ納メシメ官廳ヨリ之ヲ登記所ニ送付ス可シ
第二十九條 第十五條ノ登記ニ關シ地所ニ付テハ一筆每ニ金三錢ヲ納メシメ建物船舶ニ付テハ時價相當ノ價格ヲ定メ第二十五條ニ揭クル金額ノ區別ニ從ヒ每一件ニ其登記料ノ五分一ヲ納メシム但一件ニ付金三錢ヨリ下スコトヲ得ス
第十五條第一項ノ場合ニ於テ家督相續ノ日ヨリ六十日ヲ經過シタルモノニ付テハ讓與ノ登記料ヲ納メシム
第四十條 登記簿ニ未タ登記セサル地所建物船舶ニ付キ從來保有セル所有權ヲ明確ナラシメント欲スル者ハ管轄登記所ニ其所有權ノ登記ヲ請フコトヲ得
右ノ登記ヲ請フ者ハ物件ヲ明示シタル請求書ニ其所有權ノ證明書類ヲ添ヘ之ヲ登記所ニ差出ス可シ但其所有權ヲ取得シタルコトヲ證スル證書ヲ其證明書トシテ差出ストキハ第十四條ヲ準用ス
本條ノ登記ニ關シ地所ニ付テハ一筆每ニ金壹錢ヲ納メシメ建物船舶ニ付テハ一件每ニ金壹錢ヲ納メシム
第四十一條 登記所ハ初テ登記ヲ爲シタル地所ニ付テハ之ヲ其地ノ土地臺帳所管廳ニ通知シ其所管廳ヨリハ右ノ地所ニ付キ分合筆又ハ地番號及地目ノ變換アル每ニ之ヲ登記所ニ通知ス可シ
土地臺帳所管廳ハ明治二十二年勅令第三十九號ニ依リ登記所ヨリ所有ノ移轉又ハ質入ニ付キ通知ヲ受ケタル地所ニ關シ前項ノ變換アルトキモ亦通知ヲ爲ス可シ
登記所ハ前二項ノ通知ニ依リテ登記簿ニ其變換ノ旨ヲ追記ス可シ
朕登記法中改正追加ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム此法律ハ明治二十三年十一月一日ヨリ施行スヘキコトヲ命ス
御名御璽
明治二十三年九月一日
内閣総理大臣 伯爵 山県有朋
内務大臣 伯爵 西郷従道
司法大臣 伯爵 山田顕義
大蔵大臣 伯爵 松方正義
法律第七十八号
明治十九年法律第一号登記法中左ノ通改正追加ス
第一条ニ左ノ一項ヲ加フ
農商務省特許局ニ於テ登録シタル特許意匠及商標ノ登記ハ本人ノ居住地ヲ管轄スル登記所ニ於テ之ヲ為ス可シ
第八条 登記ハ契約者双方又ハ其代理人登記所ニ出頭シテ之ヲ請求ス可シ
登記ヲ請フ者アルトキハ登記官吏ハ之ヲ受付帳ニ記載シ契約者ヨリ差出シタル書類ノ受取証ヲ下付ス可シ
登記ヲ為スニハ登記ノ番号ヲ記シ登記官吏之ニ署名捺印ス可シ
第九条第一項ノ「命令書」ノ下ニ「又ハ官庁ノ照会書」ノ八字ヲ加フ
第二項ヲ削除シ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ記入ハ裁判所又ハ官庁ヨリ直ニ之ヲ求ム可シ
第十一条中「出頭シテ」ノ四字ヲ削除ス
第十四条 地所建物船舶ノ売買譲与ニ付キ登記ヲ請フトキハ契約者双方出頭シテ其証書ヲ示シ其署名捺印シタル謄本一通ヲ差出ス可シ但第九条第十六条第十七条第十八条及第十九条ノ登記ニ付テハ証書ヲ示スノ限ニ在ラス
本条ノ謄本ハ登記簿ノ一部トシテ之ヲ添ヘ置ク可シ
証書ニ塗抹改竄アリテ利害関係人ノ承諾シタル証ナク登記官吏ノ求ニ応シ請求者ヨリ之ヲ疏明スルコト能ハサルトキハ登記官吏ハ登記ヲ拒絶スルコトヲ得
第十五条第二項中「親属」ノ下「又」ノ上ニ「二名以上」ノ四字ヲ加フ
第十六条ニ左ノ一項ヲ加フ
本条ノ登記ハ其処分ヲ為シタル官庁ヨリ直ニ之ヲ求ム可シ本項ノ規定ハ第十七条及第十九条ノ場合ニモ亦之ヲ準用ス
第二十一条第一項
地所建物船舶ノ質入書入ニ付テモ亦第十四条ヲ準用ス
第二十三条 質入書入契約ノ全部若クハ一部ノ解除又ハ変更ニ付テモ亦第十四条ヲ準用ス
第二十八条ニ左ノ一項ヲ加フ
第九条第十六条第十七条及第十九条ノ場合ニ於テ処分ヲ為シタル官庁ヨリ登記ヲ求ムルニハ登記料ハ登記印紙ヲ請求書ニ貼用シテ其官庁ニ納メシメ官庁ヨリ之ヲ登記所ニ送付ス可シ
第二十九条 第十五条ノ登記ニ関シ地所ニ付テハ一筆毎ニ金三銭ヲ納メシメ建物船舶ニ付テハ時価相当ノ価格ヲ定メ第二十五条ニ掲クル金額ノ区別ニ従ヒ毎一件ニ其登記料ノ五分一ヲ納メシム但一件ニ付金三銭ヨリ下スコトヲ得ス
第十五条第一項ノ場合ニ於テ家督相続ノ日ヨリ六十日ヲ経過シタルモノニ付テハ譲与ノ登記料ヲ納メシム
第四十条 登記簿ニ未タ登記セサル地所建物船舶ニ付キ従来保有セル所有権ヲ明確ナラシメント欲スル者ハ管轄登記所ニ其所有権ノ登記ヲ請フコトヲ得
右ノ登記ヲ請フ者ハ物件ヲ明示シタル請求書ニ其所有権ノ証明書類ヲ添ヘ之ヲ登記所ニ差出ス可シ但其所有権ヲ取得シタルコトヲ証スル証書ヲ其証明書トシテ差出ストキハ第十四条ヲ準用ス
本条ノ登記ニ関シ地所ニ付テハ一筆毎ニ金壱銭ヲ納メシメ建物船舶ニ付テハ一件毎ニ金壱銭ヲ納メシム
第四十一条 登記所ハ初テ登記ヲ為シタル地所ニ付テハ之ヲ其地ノ土地台帳所管庁ニ通知シ其所管庁ヨリハ右ノ地所ニ付キ分合筆又ハ地番号及地目ノ変換アル毎ニ之ヲ登記所ニ通知ス可シ
土地台帳所管庁ハ明治二十二年勅令第三十九号ニ依リ登記所ヨリ所有ノ移転又ハ質入ニ付キ通知ヲ受ケタル地所ニ関シ前項ノ変換アルトキモ亦通知ヲ為ス可シ
登記所ハ前二項ノ通知ニ依リテ登記簿ニ其変換ノ旨ヲ追記ス可シ