航空法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第67号
公布年月日: 平成27年9月11日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

無人航空機は撮影、農薬散布、インフラ点検等の分野で急速に普及している一方、人が密集している場所への落下事案が発生するなど安全性への懸念が生じている。このため、無人航空機の飛行禁止空域及び飛行方法等の基本的なルールを定めることにより、無人航空機の安全な飛行を確保し、航空機の運航や地上の人等への影響を防止する必要があることから、本法律案を提案するものである。

参照した発言:
第189回国会 衆議院 国土交通委員会 第18号

審議経過

第189回国会

衆議院
(平成27年8月4日)
(平成27年8月26日)
(平成27年8月27日)
参議院
(平成27年9月1日)
(平成27年9月3日)
(平成27年9月4日)
航空法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十七年九月十一日
内閣総理大臣 安倍晋三
法律第六十七号
航空法の一部を改正する法律
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)の一部を次のように改正する。
目次中「第九章 雑則(第百三十二条―第百三十七条の四)」を
第九章
無人航空機(第百三十二条―第百三十二条の三)
第十章
雑則(第百三十三条―第百三十七条の四)
に、「第十章」を「第十一章」に改める。
第一条中「図ること」を「図ること等」に改める。
第二条第一項中「及び飛行船」を「、飛行船」に、「航空の用に供することができる機器」を「機器」に改め、同条に次の一項を加える。
22 この法律において「無人航空機」とは、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であつて構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)をいう。
第百五十七条の三の次に次の一条を加える。
(無人航空機の飛行等に関する罪)
第百五十七条の四 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第百三十二条の規定に違反して、無人航空機を飛行させた者
二 第百三十二条の二第一号から第四号までの規定に違反して、無人航空機を飛行させた者
三 第百三十二条の二第五号の規定に違反して、無人航空機により同号の物件を輸送した者
四 第百三十二条の二第六号の規定に違反して、無人航空機から物件を投下した者
第十章を第十一章とする。
第百三十二条を削る。
第九章を第十章とし、第八章の次に次の一章を加える。
第九章 無人航空機
(飛行の禁止空域)
第百三十二条 何人も、次に掲げる空域においては、無人航空機を飛行させてはならない。ただし、国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
一 無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域
二 前号に掲げる空域以外の空域であつて、国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域の上空
(飛行の方法)
第百三十二条の二 無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。ただし、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、次の各号に掲げる方法のいずれかによらずに飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないことについて国土交通大臣の承認を受けたときは、その承認を受けたところに従い、これを飛行させることができる。
一 日出から日没までの間において飛行させること。
二 当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること。
三 当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること。
四 祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。
五 当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。
六 地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと。
(捜索、救助等のための特例)
第百三十二条の三 前二条の規定は、都道府県警察その他の国土交通省令で定める者が航空機の事故その他の事故に際し捜索、救助その他の緊急性があるものとして国土交通省令で定める目的のために行う無人航空機の飛行については、適用しない。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(検討)
第二条 政府は、無人航空機(この法律による改正後の第二条第二十二項に規定する無人航空機をいう。以下この条において同じ。)に関連する技術の進歩の状況、無人航空機の利用の多様化の状況その他の事情を勘案し、無人航空機の飛行の安全に一層寄与し、かつ、無人航空機を使用する事業の健全な発展に資する方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律の一部改正)
第三条 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律(昭和二十七年法律第二百三十二号)の一部を次のように改正する。
第二項中「並びに第百三十一条」を「、第百三十一条、第百三十二条並びに第百三十二条の二」に改める。
(自衛隊法の一部改正)
第四条 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)の一部を次のように改正する。
第百七条第一項中「第九十条」の下に「、第百三十二条、第百三十二条の二」を加える。
国土交通大臣 太田昭宏
防衛大臣 中谷元
内閣総理大臣 安倍晋三