株式会社農林漁業成長産業化支援機構法
法令番号: 法律第八十三号
公布年月日: 平成24年9月5日
法令の形式: 法律
株式会社農林漁業成長産業化支援機構法をここに公布する。
御名御璽
平成二十四年九月五日
内閣総理大臣 野田佳彦
法律第八十三号
株式会社農林漁業成長産業化支援機構法
目次
第一章
総則(第一条―第五条)
第二章
設立(第六条―第十一条)
第三章
管理
第一節
取締役等(第十二条・第十三条)
第二節
農林漁業成長産業化委員会(第十四条―第十九条)
第三節
定款の変更(第二十条)
第四章
業務
第一節
業務の範囲(第二十一条)
第二節
支援基準(第二十二条)
第三節
業務の実施(第二十三条―第二十五条)
第五章
国の援助等(第二十六条・第二十七条)
第六章
財務及び会計(第二十八条―第三十三条)
第七章
監督(第三十四条―第三十六条)
第八章
解散等(第三十七条・第三十八条)
第九章
雑則(第三十九条―第四十一条)
第十章
罰則(第四十二条―第四十九条)
附則
第一章 総則
(機構の目的)
第一条 株式会社農林漁業成長産業化支援機構は、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展、農山漁村の活性化並びに農林漁業者の経営の安定向上を図るためには、国内外の多様な需要に応じた我が国農林漁業の安定的な成長発展を図ることが重要であることに鑑み、地域との調和に配慮しつつ、我が国農林漁業が農林漁業者の所得を確保し、及び農山漁村において雇用機会を創出することができる成長産業となるようにするため、農林漁業者が主体となって、農林水産物、農林漁業の生産活動又は農山漁村の特色を生かしつつ、新商品の開発、生産若しくは需要の開拓、新たな販売の方式の導入若しくは販売の方式の改善、新役務の開発、提供若しくは需要の開拓又は農山漁村における再生可能エネルギーの開発、供給若しくは需要の開拓を行い、国内外における新たな事業分野を開拓する事業活動等に対し資金供給その他の支援を行うことを目的とする株式会社とする。
(数)
第二条 株式会社農林漁業成長産業化支援機構(以下「機構」という。)は、一を限り、設立されるものとする。
(株式)
第三条 政府は、常時、機構が発行している株式(株主総会において決議することができる事項の全部について議決権を行使することができないものと定められた種類の株式を除く。以下この項において同じ。)の総数の二分の一以上に当たる数の株式を保有していなければならない。
2 機構は、会社法(平成十七年法律第八十六号)第百九十九条第一項に規定する募集株式(第四十八条第一号において「募集株式」という。)若しくは同法第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権(同号において「募集新株予約権」という。)を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を発行しようとするときは、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
3 機構は、新株予約権の行使により株式を発行したときは、遅滞なく、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
(政府の出資)
第四条 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に出資することができる。
(商号)
第五条 機構は、その商号中に株式会社農林漁業成長産業化支援機構という文字を用いなければならない。
2 機構でない者は、その名称中に農林漁業成長産業化支援機構という文字を用いてはならない。
第二章 設立
(定款の記載又は記録事項)
第六条 機構の定款には、会社法第二十七条各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 機構の設立に際して発行する株式(以下「設立時発行株式」という。)の数(機構を種類株式発行会社として設立しようとする場合にあっては、その種類及び種類ごとの数)
二 設立時発行株式の払込金額(設立時発行株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。)
三 政府が割当てを受ける設立時発行株式の数(機構を種類株式発行会社として設立しようとする場合にあっては、その種類及び種類ごとの数)
四 会社法第百七条第一項第一号に掲げる事項
五 取締役会及び監査役を置く旨
六 第二十一条第一項各号に掲げる業務の完了により解散する旨
2 機構の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録してはならない。
一 会社法第二条第十二号に規定する委員会を置く旨
二 会社法第百三十九条第一項ただし書の別段の定め
(設立の認可等)
第七条 機構の発起人は、定款を作成し、かつ、発起人が割当てを受ける設立時発行株式を引き受けた後、速やかに、定款及び事業計画書を農林水産大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
第八条 農林水産大臣は、前条の規定による認可の申請があった場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 設立の手続及び定款の内容が法令の規定に適合するものであること。
二 定款に虚偽の記載若しくは記録又は虚偽の署名若しくは記名押印(会社法第二十六条第二項の規定による署名又は記名押印に代わる措置を含む。)がないこと。
三 業務の運営が健全に行われ、第二十一条第一項第一号に規定する対象事業活動及び同号に規定する対象事業者に対し資金供給その他の支援を行う事業活動の推進に寄与することが確実であると認められること。
2 農林水産大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項各号に掲げる基準に適合していると認めるときは、設立の認可をしなければならない。
(設立時取締役及び設立時監査役の選任及び解任)
第九条 会社法第三十八条第一項に規定する設立時取締役及び同条第二項第二号に規定する設立時監査役の選任及び解任は、農林水産大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(会社法の規定の読替え)
第十条 会社法第三十条第二項、第三十四条第一項、第五十九条第一項第一号及び第九百六十三条第一項の規定の適用については、同法第三十条第二項中「前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前」とあるのは「株式会社農林漁業成長産業化支援機構法(平成二十四年法律第八十三号)第八条第二項の認可の後株式会社農林漁業成長産業化支援機構の成立前は、定款」と、同法第三十四条第一項中「設立時発行株式の引受け」とあるのは「株式会社農林漁業成長産業化支援機構法第八条第二項の認可の」と、同号中「定款の認証の年月日及びその認証をした公証人の氏名」とあるのは「株式会社農林漁業成長産業化支援機構法第八条第二項の認可の年月日」と、同法第九百六十三条第一項中「第三十四条第一項」とあるのは「第三十四条第一項(株式会社農林漁業成長産業化支援機構法第十条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とする。
(会社法の規定の適用除外)
第十一条 会社法第三十条第一項及び第三十三条の規定は、機構の設立については、適用しない。
第三章 管理
第一節 取締役等
(取締役及び監査役の選任等の認可)
第十二条 機構の取締役及び監査役の選任及び解任の決議は、農林水産大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(取締役等の秘密保持義務)
第十三条 機構の取締役、会計参与、監査役若しくは職員又はこれらの職にあった者は、その職務上知ることができた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
第二節 農林漁業成長産業化委員会
(設置)
第十四条 機構に、農林漁業成長産業化委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(権限)
第十五条 委員会は、次に掲げる決定を行う。
一 第二十一条第一項第八号の規定により行う指導、勧告その他の措置の内容の決定
二 第二十三条第一項の対象事業活動支援の対象となる対象事業者又は対象事業活動支援団体及び当該対象事業活動支援の内容の決定
三 第二十五条第一項の株式等又は債権の譲渡その他の処分の決定
四 前三号に掲げるもののほか、会社法第三百六十二条第四項第一号及び第二号に掲げる事項のうち取締役会の決議により委任を受けた事項の決定
2 委員会は、前項第二号に掲げる決定を行おうとするときは、あらかじめ、農林漁業者その他の関係者の意見を聴かなければならない。
3 委員会は、第二十一条第一項第一号に規定する支援対象事業者及び同項第二号に規定する支援対象事業活動支援団体の事業活動の状況の適切な評価を行い、その結果を第一項各号に掲げる決定に反映させるものとする。
4 委員会は、第一項第一号から第三号までに掲げる決定について、取締役会から委任を受けたものとみなす。
(組織)
第十六条 委員会は、取締役である委員三人以上七人以内で組織する。
2 委員の中には、代表取締役及び社外取締役が、それぞれ一人以上含まれなければならない。
3 委員には、農業、林業又は漁業に関して専門的な知識と経験を有する者が含まれるようにしなければならない。
4 委員は、取締役会の決議により定める。
5 委員の選定及び解職の決議は、農林水産大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
6 委員は、それぞれ独立してその職務を執行する。
7 委員会に委員長を置き、委員の互選によってこれを定める。
8 委員長は、委員会の会務を総理する。
9 委員会は、あらかじめ、委員のうちから、委員長に事故がある場合に委員長の職務を代理する者を定めておかなければならない。
(運営)
第十七条 委員会は、委員長(委員長に事故があるときは、前条第九項に規定する委員長の職務を代理する者。次項及び第三項において同じ。)が招集する。
2 委員会は、委員長が出席し、かつ、現に在任する委員の総数の三分の二以上の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3 委員会の議事は、出席した委員の過半数をもって決する。可否同数のときは、委員長が決する。
4 前項の規定による決議について特別の利害関係を有する委員は、議決に加わることができない。
5 前項の規定により議決に加わることができない委員の数は、第二項に規定する現に在任する委員の数に算入しない。
6 監査役は、委員会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
7 委員会の委員であって委員会によって選定された者は、第三項の規定による決議後、遅滞なく、当該決議の内容を取締役会に報告しなければならない。
8 委員会の議事については、農林水産省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した委員及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
9 前項の議事録が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この項及び次条第二項第二号において同じ。)をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、農林水産省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
10 前各項及び次条に定めるもののほか、議事の手続その他委員会の運営に関し必要な事項は、委員会が定める。
(議事録)
第十八条 機構は、委員会の日から十年間、前条第八項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
2 株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、次に掲げる請求をすることができる。
一 前項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を農林水産省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3 債権者は、委員の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
4 裁判所は、前二項の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、機構に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、前二項の許可をすることができない。
5 会社法第八百六十八条第一項、第八百六十九条、第八百七十条第二項(第一号に係る部分に限る。)、第八百七十条の二、第八百七十一条本文、第八百七十二条(第五号に係る部分に限る。)、第八百七十二条の二、第八百七十三条本文、第八百七十五条及び第八百七十六条の規定は、第二項及び第三項の許可について準用する。
6 取締役は、第一項の議事録について第二項各号に掲げる請求をすることができる。
(登記)
第十九条 機構は、委員を選定したときは、二週間以内に、その本店の所在地において、委員の氏名を登記しなければならない。委員の氏名に変更を生じたときも、同様とする。
2 前項の規定による委員の選定の登記の申請書には、委員の選定及びその選定された委員が就任を承諾したことを証する書面を添付しなければならない。
3 委員の退任による変更の登記の申請書には、これを証する書面を添付しなければならない。
4 機構は、委員に選定された取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨を登記しなければならない。
第三節 定款の変更
第二十条 機構の定款の変更の決議は、農林水産大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第四章 業務
第一節 業務の範囲
第二十一条 機構は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとする。
一 支援対象事業者(農林漁業者が主体となって、農林水産物、農林漁業の生産活動又は農山漁村の特色を生かしつつ、新商品の開発、生産若しくは需要の開拓、新たな販売の方式の導入若しくは販売の方式の改善、新役務の開発、提供若しくは需要の開拓又は農山漁村における再生可能エネルギーの開発、供給若しくは需要の開拓を行うことにより、国内外における新たな事業分野を開拓する事業活動(以下「対象事業活動」という。)を行う事業者であって、地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律(平成二十二年法律第六十七号)第五条第一項の認定を受けたもの(以下「対象事業者」という。)のうち第二十三条第一項の規定により支援の対象となったものをいう。以下同じ。)に対する出資
二 支援対象事業活動支援団体(対象事業者に対し資金供給その他の支援を行う団体(以下「対象事業活動支援団体」という。)のうち第二十三条第一項の規定により支援の対象となったものをいう。以下同じ。)に対する出資
三 支援対象事業活動支援団体に対する基金(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第百三十一条に規定する基金をいう。)の拠出
四 支援対象事業者に対する資金の貸付け
五 支援対象事業者が発行する有価証券(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項に規定する有価証券及び同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利をいう。以下この号及び第十一号において同じ。)及び支援対象事業者が保有する有価証券の取得
六 支援対象事業者に対する金銭債権及び支援対象事業者が保有する金銭債権の取得
七 支援対象事業者の発行する社債(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第六十六条第一号に規定する短期社債を除く。)及び資金の借入れに係る債務の保証
八 第二号の資金供給その他の支援に関し、契約内容の適正化その他当該資金供給その他の支援の対象となった対象事業者の保護を図り、及び我が国農林漁業の安定的な成長発展の見地に立った対象事業活動支援(次条第一項に規定する対象事業活動支援をいう。)を行うため必要な支援対象事業活動支援団体に対する指導、勧告その他の措置
九 対象事業活動を行い、又は行おうとする事業者に対する専門家の派遣
十 対象事業活動を行い、又は行おうとする事業者に対する助言
十一 保有する株式、新株予約権、持分又は有価証券(第二十五条第一項及び第二項において「株式等」という。)の譲渡その他の処分
十二 債権の管理及び譲渡その他の処分
十三 前各号に掲げる業務に関連して必要な交渉及び調査
十四 対象事業活動及び対象事業者に対し資金供給その他の支援を行う事業活動を推進するために必要な調査及び情報の提供
十五 前各号に掲げる業務に附帯する業務
十六 前各号に掲げるもののほか、機構の目的を達成するために必要な業務
2 機構は、前項第十六号に掲げる業務を営もうとするときは、あらかじめ、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
第二節 支援基準
第二十二条 農林水産大臣は、機構が対象事業活動及び対象事業者に対し資金供給その他の支援を行う事業活動の支援(前条第一項第一号から第七号までに掲げる業務によりされるものに限る。以下「対象事業活動支援」という。)の対象となる対象事業者又は対象事業活動支援団体及び当該対象事業活動支援の内容を決定するに当たって従うべき基準(以下この条及び次条第一項において「支援基準」という。)を定めるものとする。
2 支援基準は、次に掲げる事項を含むものでなければならない。
一 対象事業者の意思決定における農林漁業者の主導性の確保に関する事項
二 農林漁業の安定的な成長発展を図るために必要な対象事業活動支援団体の選定及び監督に関する事項
3 支援基準は、次に掲げる事項に配慮して定められなければならない。
一 多様な農林漁業者により、及びその連携の下に担われている地域の農林漁業の健全な発展に資するものとすること。
二 農林漁業者の所得の確保及び農山漁村における雇用機会の創出その他農山漁村の活性化に資するものとすること。
三 対象事業者に対する資金供給その他の支援が農林漁業者その他の関係者の意向を尊重したものとなるようにすること。
4 農林水産大臣は、支援基準を定めようとするときは、あらかじめ、農林漁業者、農林漁業に関する団体その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
5 農林水産大臣は、第一項の規定により支援基準を定めようとするときは、あらかじめ、対象事業活動支援の対象となる活動に係る事業を所管する大臣(次条第三項及び第四項において「事業所管大臣」という。)の意見を聴かなければならない。
6 農林水産大臣は、第一項の規定により支援基準を定めたときは、これを公表するものとする。
第三節 業務の実施
(支援決定)
第二十三条 機構は、対象事業活動支援を行おうとするときは、支援基準に従って、その対象となる対象事業者又は対象事業活動支援団体及び当該対象事業活動支援の内容を決定しなければならない。
2 機構は、対象事業活動支援をするかどうかを決定しようとするときは、あらかじめ、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
3 農林水産大臣は、前項の認可の申請があったときは、遅滞なく、その内容を事業所管大臣に通知するとともに、農林漁業者その他の関係者の意見を聴かなければならない。
4 事業所管大臣は、前項の規定による通知を受けた場合において、当該対象事業者又は対象事業活動支援団体の属する事業分野の実態を考慮して必要があると認めるときは、農林水産大臣に対して意見を述べることができる。
(支援決定の撤回)
第二十四条 機構は、次に掲げる場合には、速やかに、前条第一項の規定による決定(次項において「支援決定」という。)を撤回しなければならない。
一 支援対象事業者が対象事業活動を行わないとき。
二 支援対象事業活動支援団体が対象事業者に対し資金供給その他の支援を行わないとき。
三 支援対象事業者又は支援対象事業活動支援団体が破産手続開始の決定、再生手続開始の決定、更生手続開始の決定、特別清算開始の命令又は外国倒産処理手続の承認の決定を受けたとき。
2 機構は、前項の規定により支援決定を撤回したときは、直ちに、支援対象事業者又は支援対象事業活動支援団体に対し、その旨を通知しなければならない。
(株式等の譲渡その他の処分等)
第二十五条 機構は、その保有する支援対象事業者又は支援対象事業活動支援団体に係る株式等又は債権の譲渡その他の処分の決定を行おうとするときは、あらかじめ、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
2 機構は、経済情勢、支援対象事業者又は支援対象事業活動支援団体の事業の状況その他の事情を考慮しつつ、平成四十五年三月三十一日までに、保有する全ての株式等及び債権の譲渡その他の処分を行うよう努めなければならない。
3 機構が債務の保証を行う場合におけるその対象となる貸付金の償還期限は、平成四十五年三月三十一日まででなければならない。
第五章 国の援助等
(国の援助等)
第二十六条 農林水産大臣及び国の行政機関の長は、機構並びに支援対象事業者及び支援対象事業活動支援団体に対し、これらの者の行う事業の円滑かつ確実な実施に関し必要な助言その他の援助を行うよう努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、農林水産大臣及び国の行政機関の長は、機構並びに支援対象事業者及び支援対象事業活動支援団体の行う事業の円滑かつ確実な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
(財政上の措置等)
第二十七条 国は、対象事業活動支援その他の対象事業活動の円滑かつ確実な実施に寄与する事業を促進するために必要な財政上又は税制上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
第六章 財務及び会計
(予算の認可)
第二十八条 機構は、毎事業年度の開始前に、その事業年度の予算を農林水産大臣に提出して、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の予算には、その事業年度の事業計画及び資金計画に関する書類を添付しなければならない。
(剰余金の配当等の決議)
第二十九条 機構の剰余金の配当その他の剰余金の処分の決議は、農林水産大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(財務諸表)
第三十条 機構は、毎事業年度終了後三月以内に、その事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書を農林水産大臣に提出しなければならない。
(政府の貸付け)
第三十一条 政府は、機構に対して資金の貸付けをすることができる。
(借入金及び社債)
第三十二条 機構は、政府以外の者から資金の借入れをし、又は社債の発行をしようとするときは、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
2 機構の借入金の現在額及び社債の元本に係る債務の現在額の合計額は、機構の資本金及び準備金の額の合計額に政令で定める倍数を乗じて得た額を超えることとなってはならない。
(政府保証)
第三十三条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、機構の前条第一項の借入れ又は社債に係る債務について、保証契約をすることができる。
第七章 監督
(監督)
第三十四条 機構は、農林水産大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。
2 農林水産大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(財務大臣との協議)
第三十五条 農林水産大臣は、第八条第二項、第二十条、第二十一条第二項、第二十八条第一項、第二十九条、第三十二条第一項又は第三十八条の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
(業務の実績に関する評価)
第三十六条 農林水産大臣は、機構の事業年度ごとの業務の実績について、評価を行わなければならない。
2 農林水産大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、機構に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。
第八章 解散等
(機構の解散)
第三十七条 機構は、第二十一条第一項各号に掲げる業務の完了により解散する。
(合併等の決議)
第三十八条 機構の合併、分割、事業の譲渡又は譲受け及び解散の決議は、農林水産大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第九章 雑則
(報告の徴収等)
第三十九条 農林水産大臣は、機構の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときその他この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、機構の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 農林水産大臣は、機構の業務の健全かつ適切な運営を確保するため特に必要があると認めるときその他この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、支援対象事業活動支援団体に対して機構の業務の状況に関し参考となるべき報告をさせ、又はその職員に、支援対象事業活動支援団体の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、機構の業務の状況に関し参考となるべき業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
3 前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
4 第一項及び第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
5 支援対象事業活動支援団体は、正当な理由があるときは、第二項の規定による報告又は立入検査を拒むことができる。
(地方公共団体等の支援)
第四十条 地方公共団体及び農業協同組合、森林組合、漁業協同組合その他の農林漁業者を直接又は間接の構成員とする団体は、対象事業活動の円滑かつ確実な実施が図られるよう、対象事業者及び対象事業活動支援団体に対し、必要な支援を行うよう努めなければならない。
(関係者相互の連携及び協力)
第四十一条 地方公共団体、機構及び農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法(平成十四年法律第五十二号)第五条に規定する承認会社その他の関係者は、対象事業活動の円滑かつ確実な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。
第十章 罰則
第四十二条 機構の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。
2 前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第四十三条 前条第一項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第四十四条 第四十二条第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
2 前条第一項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。
第四十五条 機構の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役若しくは職員又はこれらの職にあった者が、第十三条の規定に違反してその職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第四十六条 第三十九条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした機構の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員は、五十万円以下の罰金に処する。
第四十七条 第三十九条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
第四十八条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、百万円以下の過料に処する。
一 第三条第二項の規定に違反して、募集株式若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を発行したとき。
二 第三条第三項の規定に違反して、株式を発行した旨の届出を行わなかったとき。
三 第十九条第一項又は第四項の規定に違反して、登記することを怠ったとき。
四 第二十一条第二項の規定に違反して、業務を行ったとき。
五 第二十三条第二項又は第二十五条第一項の規定に違反して、農林水産大臣の認可を受けなかったとき。
六 第二十八条第一項の規定に違反して、予算の認可を受けなかったとき。
七 第三十条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書若しくは事業報告書を提出せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。
八 第三十二条第一項の規定に違反して、資金を借り入れ、又は社債を発行したとき。
九 第三十四条第二項の規定による命令に違反したとき。
第四十九条 第五条第二項の規定に違反して、その名称中に農林漁業成長産業化支援機構という文字を用いた者は、十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現にその名称中に農林漁業成長産業化支援機構という文字を使用している者については、第五条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第三条 機構の成立の日の属する事業年度の機構の予算については、第二十八条第一項中「毎事業年度の開始前に」とあるのは、「その成立後遅滞なく」とする。
第四条 非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成二十三年法律第五十三号)の施行の日前においては、第十八条第五項中「第八百七十条第二項(第一号に係る部分に限る。)、第八百七十条の二」とあるのは「第八百七十条(第一号に係る部分に限る。)」と、「第五号に係る部分に限る。)、第八百七十二条の二」とあるのは「第四号に係る部分に限る。)」とする。
(検討)
第五条 政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(租税特別措置法の一部改正)
第六条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第八十四条の六に次の一項を加える。
5 株式会社農林漁業成長産業化支援機構の登記に係る登録免許税については、登録免許税法別表第一第二十四号(一)カ中「若しくは特別取締役」とあるのは、「、特別取締役若しくは株式会社農林漁業成長産業化支援機構法(平成二十四年法律第八十三号)第十九条第一項(登記)の委員」とする。
財務大臣 安住淳
農林水産大臣 郡司彰
内閣総理大臣 野田佳彦