(目的)
第一条 この法律は、我が国森林が気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書第三条の規定に基づく約束の履行に果たす役割の重要性にかんがみ、平成二十四年度までの間における森林の間伐等の実施を促進するため、農林水産大臣が策定する基本指針等について定めるとともに、市町村が作成する特定間伐等促進計画に基づく間伐等に関する特別の措置を講じ、もって森林の適正な整備に寄与することを目的とする。
(基本指針)
第二条 農林水産大臣は、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第四条第一項の規定によりたてられた全国森林計画に適合して、森林(同法第二条第一項に規定する森林をいう。以下同じ。)の間伐又は造林で平成二十四年度までの間に行われるもの(以下「特定間伐等」という。)の実施の促進に関する基本指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。
2 基本指針においては、次に掲げる事項につき、次条第一項の基本方針の指針となるべきものを定めるものとする。
一 特定間伐等の実施の促進の意義及び目標に関する事項
二 特定間伐等の実施を促進するための措置を講ずべき区域の設定に関する基本的な事項
三 前号の区域において実施すべき特定間伐等に関する基本的な事項
四 前三号に掲げるもののほか、特定間伐等の実施の促進に関する重要事項
3 基本指針は、地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)第八条第一項に規定する京都議定書目標達成計画と調和するものでなければならない。
4 農林水産大臣は、基本指針を定めようとするときは、環境大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 農林水産大臣は、基本指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、環境大臣その他関係行政機関の長及び都道府県知事に通知しなければならない。
6 前二項の規定は、基本指針の変更について準用する。
(基本方針)
第三条 都道府県知事は、基本指針に即するとともに、森林法第五条第一項の規定によりたてられた地域森林計画に適合して、当該都道府県の区域内における特定間伐等の実施の促進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めることができる。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
二 特定間伐等の実施を促進するための措置を講ずべき区域の基準
三 次条第一項に規定する特定間伐等促進計画の作成に関する事項
四 前三号に掲げるもののほか、特定間伐等の実施の促進に関する事項
3 都道府県知事は、基本方針を定めようとするときは、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に協議しなければならない。
4 都道府県知事は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、関係市町村長に通知し、かつ、農林水産大臣に報告しなければならない。
5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。
(特定間伐等促進計画)
第四条 その区域の全部又は一部が前条第二項第二号の基準に適合する区域内にある市町村は、基本方針に即するとともに、森林法第十条の五第一項の規定によりたてられた市町村森林整備計画に適合して、当該市町村の区域内における特定間伐等の実施の促進に関する計画(以下「特定間伐等促進計画」という。)を作成することができる。
2 特定間伐等促進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
三 第一号の区域において実施する特定間伐等に係る次に掲げる事項
イ 間伐を実施する森林についての所在場所別の間伐主体、間伐時期、間伐面積、間伐樹種、間伐林齢、間伐立木材積及び間伐方法その他間伐に関する事項
ロ 造林する森林についての所在場所別の造林主体、造林時期、造林面積、造林樹種及び造林方法その他造林に関する事項
ハ イの間伐又はロの造林を実施するために必要な作業路網その他の施設の設置に関する事項
四 前三号に掲げるもののほか、特定間伐等の実施の促進に関する事項
3 特定間伐等促進計画に市町村以外の者が実施する特定間伐等に係る事項を記載しようとする市町村は、当該事項について、あらかじめ、当該市町村以外の者の同意を得なければならない。
4 市町村以外の者であって特定間伐等を実施しようとするものは、市町村に対し、当該特定間伐等に係る事項をその内容に含む特定間伐等促進計画の案の作成についての提案をすることができる。
5 前項の市町村は、同項の提案を踏まえた特定間伐等促進計画の案を作成する必要がないと判断したときは、その旨及びその理由を、当該提案をした者に通知しなければならない。
6 市町村は、特定間伐等促進計画を作成しようとするときは、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。
7 市町村は、特定間伐等促進計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県知事に当該特定間伐等促進計画の写しを送付しなければならない。
8 第三項から前項までの規定は、特定間伐等促進計画の変更について準用する。
(交付金の交付等)
第五条 特定間伐等促進計画を作成した市町村は、次項の交付金を充てて当該特定間伐等促進計画に基づく特定間伐等(前条第二項第三号ハの施設の設置を含む。以下この条、次条第一項及び第八条第一項において同じ。)の実施(市町村以外の者が実施する特定間伐等に要する費用の一部の負担を含む。次項において同じ。)をしようとするときは、当該特定間伐等促進計画を農林水産大臣に提出しなければならない。
2 国は、前項の市町村に対し、同項の規定により提出された特定間伐等促進計画に基づく特定間伐等の実施に要する経費に充てるため、農林水産省令で定めるところにより、予算の範囲内で、交付金を交付することができる。
3 前項の交付金を充てて行う事業に要する費用については、森林法その他の法令の規定に基づく国の負担又は補助は、当該規定にかかわらず、行わないものとする。
4 前三項に定めるもののほか、第二項の交付金の交付に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
(地方債の特例等)
第六条 地方公共団体が、特定間伐等促進計画に基づく特定間伐等を実施し、又は当該特定間伐等で総務省令で定める者が実施するものに関する助成を行おうとする場合において、当該実施又は助成に要する経費のうち総務省令で定めるものであって地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条各号に規定する経費に該当しないものは、同条第五号に規定する経費とみなす。
2 地方公共団体が特定間伐等促進計画を達成するために行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。
(伐採の届出の特例)
第七条 特定間伐等の実施主体として特定間伐等促進計画に定められた者が当該特定間伐等促進計画に従って行う立木の伐採については、森林法第十条の八第一項本文の規定は、適用しない。
(国等の援助等)
第八条 国及び地方公共団体は、特定間伐等促進計画に基づく特定間伐等の実施主体に対し、当該特定間伐等の確実かつ効果的な実施に関し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、農林水産大臣、関係行政機関の長、関係地方公共団体及び同項の実施主体は、特定間伐等促進計画の円滑な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。