(公告)
第十八条 金融機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、速やかに、預金保険機構に対し、被害回復分配金の支払手続の終了に係る公告をすることを求めなければならない。
一 第十二条第一項又は第二項の規定による申請がないとき。
二 第十二条第一項又は第二項の規定による申請のすべてについて第十三条の規定による決定があった場合において、支払該当者決定を受けた者がないとき。
三 前節又は第二十二条第二項の規定により支払うべき被害回復分配金のすべてについて、同節の規定によりこれを支払い、又は同項に規定する措置をとったとき。
四 対象預金口座等が犯罪利用預金口座等でないことが明らかになったとき。
2 預金保険機構は、前項の規定による求めがあったときは、遅滞なく、被害回復分配金の支払手続が終了した旨を公告しなければならない。
(預金保険機構への納付)
第十九条 金融機関は、第八条第三項又は前条第二項の規定による公告があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該各号に定める額に相当する額の金銭を、預金保険機構に納付しなければならない。
一 第八条第三項の規定による公告があったとき又は前条第二項の規定による公告があった場合において被害回復分配金の支払を行わなかったとき。 消滅預金等債権の額
二 前条第二項の規定による公告があった場合において、当該公告に係る対象預金口座等について支払った被害回復分配金の額の合計額が消滅預金等債権の額に満たないとき。 消滅預金等債権の額から当該被害回復分配金の額の合計額を控除した額
(犯罪被害者等の支援の充実等)
第二十条 預金保険機構は、前条(第二十四条第三項の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定により金銭の納付を受けたときは、当該納付を受けた金銭の額から当該金銭の額に第二十五条第四項の規定による支払に要する費用の額を考慮して主務省令で定める割合を乗じて得た額を控除した額の金銭を、主務省令で定めるところにより、犯罪被害者等の支援の充実のために支出するものとする。
2 預金保険機構は、前項の主務省令で定める割合を乗じて得た額の金銭について、その全部又は一部が第二十五条第四項の規定による支払のため必要がなくなったときは、前項の主務省令で定めるところにより、これを犯罪被害者等の支援の充実のために支出するものとする。
(損害賠償請求権等との関係)
第二十一条 被害回復分配金を支払ったときは、その支払を受けた者が有する当該被害回復分配金に係る対象犯罪行為に係る損害賠償請求権その他の請求権は、その支払を受けた額の限度において消滅する。
2 金融機関が第二十五条第一項又は第二項の規定による支払を行った場合において、その支払を受けた者が第四条第一項の規定の適用その他の前章又はこの章に規定する手続の実施に関し損害賠償請求権その他の請求権を有するときは、当該請求権は、その支払を受けた額の限度において消滅する。
(被害回復分配金の支払を受ける権利の消滅等)
第二十二条 被害回復分配金の支払手続において、被害回復分配金の支払を受ける権利は、第十六条第四項(次項又は第二十四条第二項の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定による公告があった時から六月間行使しないときは、消滅する。
2 金融機関は、前項の規定により被害回復分配金の支払を受ける権利が消滅した場合において、同一の対象預金口座等に係る被害回復分配金の支払について他に支払該当者決定を受けた者(被害回復分配金の支払を受ける権利が消滅した者を除く。以下「他の支払該当者」という。)があり、かつ、他の支払該当者について既に支払った被害回復分配金の額が犯罪被害額に満たないときは、遅滞なく、同項の規定により消滅した権利に係る被害回復分配金の額に相当する額の金銭を原資として、前節の規定の例により、他の支払該当者又はその一般承継人に対し、被害回復分配金の支払をしなければならない。ただし、同項の規定により消滅した権利に係る被害回復分配金の額が千円未満である場合は、この限りでない。
(被害回復分配金の支払を受ける権利の保護)
第二十三条 被害回復分配金の支払を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押さえる場合は、この限りでない。
(不正の手段により支払を受けた場合の返還等)
第二十四条 金融機関は、偽りその他不正の手段により被害回復分配金の支払を受けた者があるときは、その者からの被害回復分配金の返還に係る措置を適切に講ずるものとする。
2 金融機関は、前項に規定する者から被害回復分配金の返還を受けた場合において、他の支払該当者があり、かつ、他の支払該当者について既に支払った被害回復分配金の額が犯罪被害額に満たないときは、遅滞なく、返還を受けた額に相当する額の金銭を原資として、前節の規定の例により、他の支払該当者又はその一般承継人に対し、被害回復分配金の支払をしなければならない。ただし、同項に規定する者から返還を受けた額が千円未満である場合は、この限りでない。
3 第一項に規定する者から返還を受けた金銭の預金保険機構への納付については、第十九条の規定の例による。
(犯罪利用預金口座等でないことについて相当な理由があると認められる場合における支払の請求等)
第二十五条 対象預金口座等に係る名義人その他の消滅預金等債権に係る債権者(以下この条において「名義人等」という。)は、第八条第三項又は第十八条第二項の規定による公告があった後において、対象預金口座等に係る金融機関に対し第五条第一項第五号に掲げる期間内に同号の権利行使の届出を行わなかったことについてのやむを得ない事情その他の事情、当該対象預金口座等の利用の状況及び当該対象預金口座等への主要な入金の原因について必要な説明が行われたこと等により、当該対象預金口座等が犯罪利用預金口座等でないことについて相当な理由があると認められる場合には、当該金融機関に対し、消滅預金等債権の額に相当する額の支払を請求することができる。
2 名義人等は、対象預金口座等について、当該対象預金口座等に係る金融機関に対し第五条第一項第五号に掲げる期間内に同号の権利行使の届出を行わなかったことについてのやむを得ない事情その他の事情について必要な説明を行った場合において、対象犯罪行為による被害に係る財産以外の財産をもって当該対象預金口座等への振込みその他の方法による入金が行われているときは、第八条第三項又は第十八条第二項の規定による公告があった後において、当該対象預金口座等に係る金融機関に対し、消滅預金等債権の額から当該入金以外の当該対象預金口座等へのすべての入金の合計額を控除した額の支払を請求することができる。ただし、当該消滅預金等債権の額が当該合計額以下であるときは、この限りでない。
3 金融機関は、前二項の規定による支払を行おうとする場合において、第四条第一項の規定の適用その他の前章に規定する手続の実施に関し過失がないと思料するときは、その旨を預金保険機構に通知しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による支払を行った金融機関は、主務省令で定めるところにより、第四条第一項の規定の適用その他の前章に規定する手続の実施に関し過失がないことについて相当な理由があると認められるときは、預金保険機構に対し、第一項又は第二項の規定により支払った額に相当する額の支払を請求することができる。ただし、当該支払に係る預金口座等について被害回復分配金が支払われている場合において、この章に規定する手続の実施に関し金融機関に過失があるときは、その請求することができる額は、第一項又は第二項の規定により支払った額から金融機関の過失により支払った被害回復分配金の額の合計額を控除した額とする。
5 金融機関は、第一項又は第二項の規定による支払に係る預金口座等が犯罪利用預金口座等その他不正に利用された預金口座等である疑いがあると認めるときは、当該支払を停止する措置を講ずることができる。