主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第90号
公布年月日: 平成18年6月21日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

麦は主食として重要な役割を果たし、水田営農での転作・裏作作物や畑作営農での輪作作物として重要な地位を占めている。しかし、国内産麦は需要に応じた計画的生産が求められる中で品質・生産性の向上に遅れが見られ、製粉業等は国際競争力強化が必要となっている。また、農業全体では構造改革の加速化とWTO国際規律強化への対応が求められている。そこで、農政全体の課題に対応し需要に応じた良品質な麦の生産を推進するため、民間流通を基本とした麦の需給及び価格の安定を図る新たな麦政策を構築することとした。

参照した発言:
第164回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号

審議経過

第164回国会

衆議院
(平成18年3月23日)
(平成18年4月5日)
(平成18年4月12日)
(平成18年4月20日)
(平成18年4月26日)
(平成18年5月11日)
(平成18年5月16日)
(平成18年5月17日)
(平成18年5月18日)
参議院
(平成18年5月25日)
(平成18年5月30日)
(平成18年5月31日)
(平成18年6月1日)
(平成18年6月8日)
(平成18年6月13日)
(平成18年6月14日)
主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十八年六月二十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第九十号
主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律
主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項中「その適切な買入れ、」を「麦の需給の適確な見通しを策定し、これに基づき、麦の供給が不足する事態に備えた備蓄の円滑な運営を図るとともに、麦の適切な」に改める。
第三条に次の一項を加える。
3 この法律において「麦の備蓄」とは、麦の輸入の途絶等によりその供給が不足する事態に備え、必要な数量の麦を在庫として保有することをいう。
第四十一条を次のように改める。
(麦の需給見通し)
第四十一条 農林水産大臣は、麦の需給及び価格の安定を図るため、政令で定めるところにより、毎年、麦の需給に関する見通し(以下「需給見通し」という。)を定めるものとする。
2 需給見通しにおいては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 麦の種類別需要数量に関する事項
二 前号の種類別需要数量に対応する麦の生産数量及び輸入数量に関する事項
三 麦の備蓄の種類別目標数量その他麦の備蓄の運営に関する事項
四 その他麦の需給の安定に関する重要事項
3 第四条第三項から第七項までの規定は、需給見通しについて準用する。この場合において、同条第三項中「前項第二号」とあるのは「第四十一条第二項第一号及び第二号」と、同条第六項中「米穀」とあるのは「麦」と読み替えるものとする。
第四十二条の見出しを「(麦等の輸入を目的とする買入れ及び当該麦の売渡し)」に改め、同条第一項中「次項、第四十四条及び第四十五条」を「第五項及び次条から第四十五条まで」に改め、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第一項の次に次の三項を加える。
2 政府は、前項の輸入を目的とする買入れに係る麦を、随意契約により売り渡すものとする。ただし、農林水産大臣が随意契約によることを不適当と認める場合には、入札の方法による一般競争契約又は指名競争契約のうち農林水産大臣が選択する競争契約により売り渡すものとする。
3 第一項の輸入を目的とする買入れに係る麦を前項の規定により売り渡す場合の価格は、国際約束に従って農林水産大臣が定めて告示する額を、当該麦の買入れの価格に加えて得た額を超えてはならない。
4 第一項の規定による麦の買入れ及び第二項の規定による当該麦の売渡しは、麦の適切な供給及び麦の備蓄の円滑な運営を図るため、需給見通しに即して行うものとする。
第四十三条を次のように改める。
(輸入に係る麦等の特別な方式による買入れ及び売渡し)
第四十三条 政府は、麦等の輸入を行おうとする者及び当該輸入に係る麦等の買受けを行おうとする者の連名による申込みに応じて、当該輸入に係る麦等を買い入れることができる。
2 政府は、前項の規定により買い入れた麦等を同項の買受けの申込みを行った者に対し、当該申込みに応じて売り渡すものとする。
3 第一項の規定により買い入れた麦等を前項の規定により売り渡す場合の価格は、国際約束に従って農林水産大臣が定めて告示する額を、当該麦等の買入れの価格に加えて得た額を超えてはならない。
4 第一項の規定による麦の買入れ及び第二項の規定による当該麦の売渡しは、麦の適切な供給を図るため、需給見通しに即して行うものとする。
第四十四条中「「前条」の下に「、第四十二条」を加える。
第四十五条第一項ただし書中「第四十二条第二項において準用する第三十条第二項の規定による政府の委託を受けて輸入する場合並びに国内の需給及び価格の安定に悪影響を及ぼすおそれのないものとして政令で定める麦等を輸入する」を「次に掲げる」に改め、同項に次の各号を加える。
一 第四十二条第五項において準用する第三十条第二項の規定による政府の委託を受けて輸入する場合
二 第四十三条の規定による連名による申込みに応じて行う政府の買入れ及び売渡しに係る麦等を輸入する場合
三 国内の需給及び価格の安定に悪影響を及ぼすおそれのないものとして政令で定める麦等を輸入する場合
第四十六条の見出し中「及び麦」を削り、同条第一項中「政府は」の下に「、主要食糧の適正かつ円滑な供給を図るため特に必要があると認めるときは」を加え、「及び第四十二条」を「、第四十二条及び第四十三条」に改め、「及び麦」を削り、同条第二項中「第三十一条」の下に「、第四十二条及び第四十三条」を加え、「及び麦」を削る。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十九年四月一日から施行する。ただし、次条及び附則第七条の規定は、公布の日から施行する。
(需給見通しに関する経過措置)
第二条 農林水産大臣は、この法律の施行前においても、この法律による改正後の主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(次項において「新法」という。)第四十一条の規定の例により、同条第一項に規定する需給見通し(次項において「需給見通し」という。)を定め、これを公表することができる。
2 前項の規定により定められた需給見通しは、この法律の施行の日において新法第四十一条の規定により定められたものとみなす。
(農産物検査法の一部改正)
第三条 農産物検査法(昭和二十六年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第六条第一項を削り、同条第二項中「で前項の品位等検査に係る麦以外のもの」を削り、同項を同条とする。
第十五条第二項中「第六条第一項又は」を削る。
第十七条第三項第一号中「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」の下に「(平成六年法律第百十三号)」を加える。
第三十七条中第一号を削り、第二号を第一号とし、同号の次に次の一号を加える。
二 第十五条第二項の規定に違反した者
(飼料需給安定法の一部改正)
第四条 飼料需給安定法(昭和二十七年法律第三百五十六号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中「基づき、」の下に「大麦及び小麦について」を加え、「により大麦及び小麦の」を「による」に改め、「買入れ」の下に「及び同法第四十三条第一項の規定による買入れ」を加える。
第五条第四項を削る。
(地価税法の一部改正)
第五条 地価税法(平成三年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。
別表第一第二十一号イ中「第四十一条第一項(麦の政府買入れ)又は第四十二条第一項(麦等の輸入を目的とする買入れ)」を「第四十二条第一項(麦等の輸入を目的とする買入れ及び当該麦の売渡し)、第四十三条第一項(輸入に係る麦等の特別な方式による買入れ及び売渡し)又は第四十六条第一項(米穀以外の主要食糧の買入れ及び売渡し)」に改める。
(罰則に関する経過措置)
第六条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第七条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
財務大臣 谷垣禎一
農林水産大臣 中川昭一
内閣総理大臣 小泉純一郎