放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第五十八号
公布年月日: 平成9年5月21日
法令の形式: 法律
放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成九年五月二十一日
内閣総理大臣 橋本龍太郎
法律第五十八号
放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律
(放送法の一部改正)
第一条 放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)の一部を次のように改正する。
第二条第二号の四中「音響」の下に「又はこれに伴う文字、図形その他の影像若しくは信号」を加え、同条第二号の五中「音響」の下に「、文字、図形その他の影像又は信号」を加え、同条第二号の六中「送る放送」の下に「であつて、超短波放送又はテレビジョン放送に該当しないもの」を加える。
第三条の二に次の一項を加える。
4 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送の放送番組の編集に当たつては、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。
第三条の二の二を削る。
第三条の四第五項中「、審議機関が第二項の規定により諮問に応じて答申し、又は意見を述べた事項があるときは」を削り、「その概要」を「次の各号に掲げる事項」に改め、同項に次の二号を加える。
一 審議機関が放送事業者の諮問に応じてした答申又は放送事業者に対して述べた意見の内容その他審議機関の議事の概要
二 第四項の規定により講じた措置の内容
第三条の四第五項を同条第六項とし、同条第四項の次に次の一項を加える。
5 放送事業者は、郵政省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を審議機関に報告しなければならない。
一 前項の規定により講じた措置の内容
二 第四条第一項の規定による訂正又は取消しの放送の実施状況
三 放送番組に関して申出のあつた苦情その他の意見の概要
第九条第一項第一号ニ(1)中「送る放送」を「送る多重放送」に改め、同号ニ(2)を削り、同号ニ(3)中「テレビジョン文字多重放送」の下に「(テレビジョン放送の電波に重畳して、文字、図形又は信号を送る多重放送をいう。)」を加え、同号ニ(3)を同号ニ(2)とする。
第九条の六中「、第三条の二の二中「を行う」とあるのは「を委託して行わせる」と」を削る。
第五十条の二第一項中「、第三条の二の二」を削り、同条第二項中「第三条の二第一項及び第三項」を「第三条の二第一項、第三項及び第四項」に、「同項」を「同条第三項」に改め、同条第三項中「第三条の二第一項及び第三項」を「第三条の二第一項、第三項及び第四項」に、「同条第一項及び第三項」を「同条第一項、第三項及び第四項」に、「同項」を「同条第三項」に改める。
第五十二条の四第一項中「以外の放送」の下に「(人工衛星の無線局により行われる放送を除く。)」を加え、「その他の提供条件について契約約款」を削り、「当該契約約款」を「当該料金」に改め、同条第二項中第二号を削り、第三号を第二号とし、同条第五項を同条第九項とし、同条第四項中「、又は」を「若しくは第三項の規定により届け出た料金及び第四項の認可を受けた契約約款又は」に改め、同項を同条第八項とし、同条第三項を同条第七項とし、同条第二項の次に次の四項を加える。
3 有料放送事業者は、その有料放送が多重放送以外の放送であり、かつ、人工衛星の無線局により行われる放送であるときは、国内受信者に提供する当該有料放送の役務の料金を定め、その実施前に、郵政大臣に届け出なければならない。当該料金を変更しようとするときも、同様とする。
4 有料放送事業者は、その有料放送が多重放送以外の放送であるときは、国内受信者に提供する当該有料放送の役務の提供条件(料金を除く。)について契約約款を定め、郵政大臣の認可を受けなければならない。当該契約約款を変更しようとするときも、同様とする。
5 郵政大臣は、前項の認可の申請が次の各号に適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。
一 有料放送事業者及びその国内受信者の責任に関する事項が適正かつ明確に定められているものであること。
二 特定の者に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと。
6 第四項の規定により契約約款で定めるべき提供条件について、郵政大臣が標準契約約款を定めて公示した場合(これを変更して公示した場合を含む。)において、有料放送事業者が、標準契約約款と同一の契約約款を定めようとして又は現に定めている契約約款を標準契約約款と同一のものに変更しようとして、あらかじめその旨を郵政大臣に届け出たときは、その契約約款については、同項の認可を受けたものとみなす。
第五十二条の七第一項中「受けた」の下に「有料放送の役務の料金又は同条第四項の認可を受けた」を加え、「料金その他の」を削り、「当該」の下に「料金又は」を加え、同条第二項中「届け出た」の下に「有料放送の役務の料金又は同条第七項の規定により届け出た」を加え、「料金その他の」を削り、「当該」の下に「料金又は」を加える。
第五十二条の二十八第一項中「、第三条の二の二中「を行う」とあるのは「を委託して行わせる」と」を削り、「「以外の放送」」を「同項及び同条第三項中「であるとき」とあるのは「を委託して行わせるものであるとき」と、同項及び同条第四項中「以外の放送」」に、「同条第三項」を「同条第七項」に、「、当該」を「において当該」に改める。
第五十三条の十第一項第二号中「第五十二条の四第一項」の下に「(有料放送の役務の料金の認可)、同条第四項」を、「第五十二条の七(有料放送の役務の」の下に「料金又は」を加え、同項第五号を同項第六号とし、同項第四号を同項第五号とし、同項第三号の次に次の一号を加える。
四 第五十二条の四第六項に規定する標準契約約款を制定し、変更し、又は廃止しようとするとき。
第五十三条の十第二項中「第四号」を「第五号」に改める。
第五十三条の十一中「前条第一項第四号及び第五号」を「前条第一項第五号及び第六号」に改める。
第五十四条第一項中「賄ろ」を「賄賂」に改め、同条第二項及び第三項中「賄ろ」を「賄賂」に改め、同条第四項中「わいろ」を「賄賂」に、「百万円」を「二百五十万円」に改め、同条第五項中「賄ろ」を「賄賂」に改める。
第五十五条中「五十万円」を「百万円」に改める。
第五十六条第一項中「二十万円」を「五十万円」に改める。
第五十六条の二中「二十万円」を「五十万円」に、「、又は同条第三項」を「若しくは同条第三項の規定により届け出た料金及び同条第四項の規定による認可を受けた契約約款又は同条第七項」に改める。
第五十六条の三中「第五十二条の四第五項」を「第五十二条の四第九項」に、「十万円」を「三十万円」に改める。
第五十八条から第五十九条までの規定中「十万円」を「二十万円」に改める。
附則中第十八項から第二十一項までを削り、附則に次の一項を加える。
(人工衛星の無線局により行われる放送についての特例)
18 当分の間、第五十二条の四第一項及び第三項中「人工衛星の無線局」とあるのは、「人工衛星の無線局(協会の放送局が開設されている人工衛星又はこれと同一の軌道若しくは位置にある人工衛星に開設するものであり、かつ、その無線設備の適合する技術基準(電波法第三章に定める技術基準をいう。以下この項において同じ。)が当該協会の放送局の無線設備が適合している技術基準と同一であるものを除く。)」とする。
(有線テレビジョン放送法の一部改正)
第二条 有線テレビジョン放送法(昭和四十七年法律第百十四号)の一部を次のように改正する。
第十三条第一項中「送る放送」の下に「であつて、テレビジョン放送に該当しないもの」を加える。
第十七条を次のように改める。
(放送法の準用)
第十七条 放送法第三条、第三条の二第一項及び第四項、第三条の三から第四条まで、第五十一条並びに第五十二条の規定は、有線テレビジョン放送(放送事業者のテレビジョン放送又はテレビジョン多重放送を受信し、そのすべての放送番組に変更を加えないで同時にこれを再送信する有線テレビジョン放送を除く。)について準用する。この場合において、同法第三条の五中「経済市況、自然事象及びスポーツに関する時事に関する事項その他郵政省令で定める事項のみを放送事項とする放送又は臨時かつ一時の目的(郵政省令で定めるものに限る。)のための放送」とあるのは「経済市況、自然事象及びスポーツに関する時事に関する事項その他郵政省令で定める事項のみを放送事項とする有線テレビジョン放送」と、同法第五十一条第一項中「委員七人(専ら多重放送を行う一般放送事業者の審議機関にあっては、郵政省令で定める七人未満の員数)」とあるのは「委員七人」と、同条第三項中「の放送局の放送区域(電波法第十四条第三項第三号の放送区域をいう。以下同じ。)又は委託して放送をさせる区域(以下この項において「放送区域等」という。)」とあり、及び「の放送区域等」とあるのは「の業務区域」と読み替えるものとする。
第二十五条第二項中「、第十七条第二項」を「若しくは第十七条」に改め、「第三条の三」の下に「、第三条の四(第二項を除く。)」を加え、「、第十七条第三項又は同条第四項において準用する同法第三条の四第三項若しくは第四項」を削る。
第三十三条及び第三十四条中「二十万円」を「五十万円」に改める。
第三十五条第一項中「二十万円」を「五十万円」に、「第十七条第二項」を「第十七条」に改める。
第三十六条中「十万円」を「三十万円」に改める。
第三十八条中「十万円」を「二十万円」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(放送法の一部改正に伴う経過措置)
2 この法律の施行の際現に第一条の規定による改正前の放送法(以下「旧法」という。)第五十二条の四第一項の規定により認可を受けている契約約款に定める料金であって第一条の規定による改正後の放送法(以下「新法」という。)第五十二条の四第一項の規定が適用される料金に該当するものは、同項の規定により認可を受けた料金とみなす。
3 この法律の施行の際現に旧法第五十二条の四第一項の規定により認可を受けている契約約款に定める料金であって新法第五十二条の四第三項の規定が適用される料金に該当するものは、同項の規定により届け出た料金とみなす。
4 この法律の施行の際現に旧法第五十二条の四第一項の規定により認可を受けている契約約款(料金に係る部分を除く。)は、新法第五十二条の四第四項の規定により認可を受けた契約約款とみなす。
5 この法律の施行の際現にされている旧法第五十二条の四第一項の規定による契約約款の認可の申請は、新法第五十二条の四第一項の規定が適用される料金に係るものにあっては同項の規定によりした認可の申請と、同条第三項の規定が適用される料金に係るものにあっては同項の規定によりした届出と、同条第四項の契約約款に係るものにあっては同項の規定によりした認可の申請とみなす。
6 この法律の施行の際現に電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の規定により旧法第二条第二号の四の超短波放送又は同条第二号の五のテレビジョン放送(以下「超短波放送等」という。)をする無線局の免許を受けている者と当該超短波放送等の電波に重畳して行う同条第二号の六の多重放送をする無線局の免許を受けている者が同一であるときは、当該多重放送をする無線局の無線設備は、当該超短波放送等をする無線局の無線設備でもあるものとみなし、当該超短波放送等をする無線局に対する電波法第二十一条、第五十三条又は第五十四条の規定の適用については、当該多重放送をする無線局の免許状に記載された電波の型式、周波数又は空中線電力は、当該超短波放送等をする無線局の免許状に記載された電波の型式、周波数又は空中線電力でもあるものとみなす。
7 この法律の施行の際現に電波法の規定により日本放送協会が受けている旧法第三条の二の二のテレビジョン音声多重放送をする無線局の免許は、この法律の施行の日に、その効力を失う。
(罰則に関する経過措置)
8 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律の一部改正)
9 身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律(平成五年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項中「影像を視覚障害者に対して説明するために放送される放送番組であって、当該テレビジョン放送の電波に重畳して行われるテレビジョン音声多重放送(同法第三条の二の二に規定するテレビジョン音声多重放送をいう。)の放送番組であるもの」を「静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組」に改め、同条第三項中「文字又は図形により聴覚障害者に対して説明するために放送される放送番組であって、当該テレビジョン放送の電波に重畳して行われるテレビジョン文字多重放送(放送法第三条の二の二に規定するテレビジョン文字多重放送をいう。)の放送番組であるもの」を「聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組」に改める。
郵政大臣 堀之内久男
内閣総理大臣 橋本龍太郎