人質による強要行為等の処罰に関する法律
法令番号: 法律第48号
公布年月日: 昭和53年5月16日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

近年、過激分子による航空機乗っ取りや在外公館占拠等の不法事犯が過激化・悪質化し、特に昨年のダッカ空港日航機乗っ取り事件では、武装集団が人質を取って政府に身代金等を要求するなど、民主主義体制の維持に重大な脅威となっている。政府は防止対策を推進し、第82回国会で航空機強取法等の改正を行ったが、さらなる対策として、人質による強要に係る特定行為を処罰する規定の新設と、人質殺害時の重罰化を柱とする本法案を提出することとした。人命を盾に不法な目的達成を図る卑劣な犯罪に対し、国家として断固たる姿勢で臨む必要があるためである。

参照した発言:
第84回国会 衆議院 法務委員会 第10号

審議経過

第84回国会

参議院
(昭和53年3月23日)
衆議院
(昭和53年3月24日)
(昭和53年4月4日)
(昭和53年4月7日)
(昭和53年4月11日)
(昭和53年4月14日)
(昭和53年4月18日)
(昭和53年4月20日)
参議院
(昭和53年4月27日)
(昭和53年5月11日)
(昭和53年5月12日)
人質による強要行為等の処罰に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十三年五月十六日
内閣総理大臣 福田赳夫
法律第四十八号
人質による強要行為等の処罰に関する法律
(人質による強要)
第一条 二人以上共同して、かつ、凶器を示して人を逮捕又は監禁した者が、これを人質にして、第三者に対し、義務のない行為をすること又は権利を行わないことを要求したときは、無期又は五年以上の懲役に処する。
第二条 航空機の強取等の処罰に関する法律(昭和四十五年法律第六十八号)第一条第一項の罪を犯した者が、当該航空機内にある者を人質にして、第三者に対し、義務のない行為をすること又は権利を行わないことを要求したときは、無期又は十年以上の懲役に処する。
(人質殺害)
第三条 第一条又は前条の罪を犯した者が、人質にされている者を殺したときは、死刑又は無期懲役に処する。
2 前項の未遂罪は、罰する。
(国外犯)
第四条 前三条の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
(航空機の強取等の処罰に関する法律の一部改正)
2 航空機の強取等の処罰に関する法律の一部を次のように改める。
第一条第二項を削り、同条第三項中「第一項」を「前項」に改め、同項を同条第二項とする。
第二条中「第一項又は第三項」を削る。
法務大臣 瀬戸山三男
内閣総理大臣 福田赳夫