労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律
法令番号: 法律第88号
公布年月日: 昭和45年5月22日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

経済成長に伴う補償の充実要望や、ILO121号条約による国際水準の引き上げを背景に、労働者災害補償保険制度の改善が求められていた。労働者災害補償保険審議会での建議を受け、障害補償年金の給付額引き上げ、遺族補償年金の給付基礎年額の引き上げ、遺族補償一時金の増額、年金支払いの効率化などを行う。また、遺族補償年金の前払い一時金制度を5年間延長し、保険料のメリット制適用範囲を拡大する。これらの改正により、労災保険の給付水準がILO121号条約の水準に達することとなる。

参照した発言:
第63回国会 衆議院 本会議 第16号

審議経過

第63回国会

衆議院
(昭和45年4月3日)
参議院
(昭和45年4月24日)
衆議院
(昭和45年4月27日)
(昭和45年4月28日)
参議院
(昭和45年4月28日)
衆議院
(昭和45年5月6日)
(昭和45年5月7日)
参議院
(昭和45年5月13日)
(昭和45年5月13日)
(昭和45年5月13日)
労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十五年五月二十二日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第八十八号
労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律
第一条 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の一部を次のように改正する。
第十二条の六に次の一項を加える。
業務上の負傷又は疾病がなおつたことにより長期傷病補償給付を受ける権利が消滅し、かつ、当該負傷又は疾病がなおつたとき身体に障害が存することにより障害補償年金を受ける権利が生じた場合において、当該長期傷病補償給付を受ける権利が消滅した月の翌月以後の分として長期傷病補償給付たる年金が支払われたときは、その支払われた年金は、当該障害補償年金の内払とみなす。
第十六条の二第一項各号列記以外の部分中「者を含む。」の下に「以下同じ。」を加える。
第十六条の三に次の一項を加える。
遺族補償年金を受ける権利を有する遺族が妻であり、かつ、当該妻と生計を同じくしている遺族補償年金を受けることができる遺族がない場合において、当該妻が次の各号の一に該当するに至つたときは、その該当するに至つた月の翌月から、遺族補償年金の額を改定する。
一 五十歳又は五十五歳に達したとき(別表第一の労働省令で定める廃疾の状態にあるときを除く。)。
二 別表第一の労働省令で定める廃疾の状態になり、又はその事情がなくなつたとき(五十五歳以上であるときを除く。)。
第二十二条の二を第二十二条の三とし、第二十二条の次に次の一条を加える。
第二十二条の二 保険給付を受ける権利を有する者は、労働省令で定めるところにより、政府に対して、保険給付に関し必要な労働省令で定める事項を届け出、又は保険給付に関し必要な労働省令で定める書類その他の物件を提出しなければならない。
第四十七条の三中「正当な理由がなくて、」の下に「第二十二条の二の規定による届出をせず、若しくは書類その他の物件の提出をしないとき、又は」を加える。
別表第一障害補償年金の項中「二四〇日分」を「二八〇日分」に、「二一三日分」を「二四八日分」に、「一八八日分」を「二一九日分」に、「一六四日分」を「一九一日分」に、「一四二日分」を「一六五日分」に、「一二〇日分」を「一四〇日分」に、「一〇〇日分」を「一一七日分」に改め、同表遺族補償年金の項を次のように改める。
遺族補償年金
次の各号に掲げる遺族補償年金を受ける権利を有する遺族及びその者と生計を同じくしている遺族補償年金を受けることができる遺族の人数の区分に応じ、当該各号に掲げる額
一 一人 給付基礎日額に三百六十五を乗じて得た額(以下「給付基礎年額」という。)の百分の三十に相当する額。ただし、五十五歳以上の妻又は労働省令で定める廃疾の状態にある妻にあつては給付基礎年額の百分の四十に相当する額とし、五十歳以上五十五歳未満の妻(当該労働省令で定める廃疾の状態にある妻を除く。)にあつては給付基礎年額の百分の三十五に相当する額とする。
二 二人 給付基礎年額の百分の四十五に相当する額
三 三人 給付基礎年額の百分の五十に相当する額
四 四人 給付基礎年額の百分の五十五に相当する額
五 五人以上 給付基礎年額の百分の六十に相当する額
別表第二遺族補償一時金の項中「四〇〇日分」を「一、〇〇〇日分」に改める。
第二条 労働者災害補償保険法の一部を改正する法律(昭和四十年法律第百三十号)の一部を次のように改正する。
附則第四十条を次のように改める。
第四十条 削除
附則第四十二条第一項中「五年以内」を「十年以内」に改める。
附則第四十三条第一項中「「遺族一人」とあるのは「遺族(労働者災害補償保険法の一部を改正する法律(昭和四十年法律第百三十号)附則第四十三条第一項に規定する遺族であつて六十歳未満であるものを除く。)一人」」を「「遺族補償年金を受けることができる遺族」とあるのは「遺族補償年金を受けることができる遺族(労働者災害補償保険法の一部を改正する法律(昭和四十年法律第百三十号)附則第四十三条第一項に規定する遺族であつて六十歳未満であるものを除く。)」」に改める。
第三条 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)の一部を次のように改正する。
第二号に次の一項を加える。
4 この法律において「保険年度」とは、四月一日から翌年三月三十一日までをいう。
第十二条第三項中「百人以上の労働者を使用する事業その他労働省令で定める規模の事業」を「連続する三保険年度中の各保険年度において次の各号のいずれかに該当する事業」に、「十二月三十一日」を「当該連続する三保険年度の次の保険年度に属する十二月三十一日」に、「次の保険年度(四月一日から翌年三月三十一日までをいう。以下同じ。)」を「同日を含む保険年度の次の保険年度」に改め、同項に次の各号を加える。
一 百人以上の労働者を使用する事業
二 三十人以上百人未満の労働者を使用する事業であつて、当該労働者の数に当該事業と同種の事業に係る労災保険率を乗じて得た数が労働省令で定める数以上であるもの
三 前二号に掲げる事業のほか、労働省令で定める規模の事業
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第三条の規定は、昭和四十八年十二月三十一日から施行する。
(経過措置)
第二条 第一条の規定による改正後の労働者災害補償保険法(以下「新法」という。)別表第一の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後の期間に係る障害補償年金及び遺族補償年金について適用し、同日前の期間に係る障害補償年金及び遺族補償年金については、なお従前の例による。
2 新法別表第二の規定は、施行日以後に支給すべき事由の生じた遺族補償一時金について適用し、同日前に支給すべき事由の生じた遺族補償一時金については、なお従前の例による。
第三条 施行日以後の期間に係る障害補償年金及び遺族補償年金に関する労働者災害補償保険法の一部を改正する法律附則第十五条第二項、第四十一条第一項及び第四十二条第五項の規定の適用については、これらの規定中「新法」とあるのは、「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律(昭和四十五年法律第八十八号)第一条の規定による改正後の労働者災害補償保険法」とする。
(失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正)
第四条 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(昭和四十四年法律第八十五号)の一部を次のように改正する。
第三十三条中労働者災害補償保険法の一部を改正する法律附則第十三条の改正規定の次に次のように加える。
附則第四十二条第五項中「、第二十七条、第三十条の二」を削り、「第五章の規定」の下に「並びに労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)第十二条第三項及び第二十条第一項の規定」を加える。
労働大臣 野原正勝
内閣総理大臣 佐藤栄作