外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法等の一部を改正する法律
法令番号: 法律第63号
公布年月日: 昭和44年7月17日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

我が国海運は輸出入貨物の安定輸送確保と国際収支改善に重要な役割を担っているが、海運市況の悪化により経営危機に陥っていた。政府は海運業再建整備方策を推進し、海運企業は外航船舶の建造を進めてきた。しかし、経済の高度成長が続く中、より大規模な外航船腹の拡充が必要である。海運造船合理化審議会は、海運国際収支改善のため今後6年間で2050万総トンの外航船舶建造が必要とし、船主負担金利を年5.65%とする利子補給の実施を答申した。政府はこの答申に沿って1969年度予算案で措置を講じ、その内容を本法で規定することとした。

参照した発言:
第61回国会 衆議院 運輸委員会 第17号

審議経過

第61回国会

参議院
(昭和44年4月3日)
衆議院
(昭和44年4月11日)
(昭和44年4月15日)
(昭和44年4月16日)
(昭和44年4月22日)
(昭和44年4月25日)
(昭和44年5月8日)
参議院
(昭和44年5月15日)
(昭和44年6月5日)
(昭和44年6月10日)
(昭和44年6月12日)
(昭和44年6月17日)
(昭和44年6月18日)
外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十四年七月十七日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第六十三号
外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法等の一部を改正する法律
(外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部改正)
第一条 外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法(昭和二十八年法律第一号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
外航船舶建造融資利子補給臨時措置法
第一条中「支給し、及び損失補償を行う」を「支給する」に改める。
第二条の見出しを「(利子補給金を支給する契約)」に改め、同条中「以外の金融機関で政令で定める範囲のものがその資金を融通するときは、政令で定めるところにより、当該融資につき利子補給金を支給し、又は当該融資によつて受けた損失を補償する」を「及び一般金融機関(日本開発銀行以外の金融機関で政令で定める範囲のものをいう。以下同じ。)がともにその資金を融通するときは、当該融通された資金のうち運輸省令で定める範囲のもの(以下「対象融資」という。)について利子補給金を支給する」に改める。
第三条中「旨の契約」の下に「(以下「利子補給契約」という。)」を加え、「当該契約」を「当該利子補給契約」に、「十箇年度」を「十一年度」に改める。
第四条から第八条までを次のように改める。
(利子補給金の限度額)
第四条 政府は、毎年度、利子補給契約を結ぶ場合には、各利子補給契約において支給することとする利子補給金の総額の合計額が、当該年度の予算で定める金額をこえることとならないようにしなければならない。
第五条 政府は、利子補給契約を結ぶ場合には、当該利子補給契約において支給することとする利子補給金の総額が、当該利子補給契約において定める当該船舶の予定しゆん工日の前の期間について運輸省令で定める方法により計算した対象融資の融資残高及び当該予定しゆん工日以後八年間について次に掲げるところにより計算した対象融資の融資残高に、それぞれ次項の規定による利子補給率を乗じて計算した額の合計額をこえることとならないようにしなければならない。
一 日本開発銀行による融資に係る利子補給金については、次に掲げる条件で当該対象融資の総額を償還するものとすること。
イ 定期船(もつぱら海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第二条第三項の定期航路事業の用に供することを目的として建造される船舶をいう。以下同じ。)の建造に係る融資の場合 当該融資契約が結ばれた日以後元本三年間据置き十年間半年賦均等償還
ロ 定期船以外の船舶の建造に係る融資の場合 当該融資契約が結ばれた日以後元本三年間据置き八年間半年賦均等償還
二 一般金融機関による融資に係る利子補給金については、当該予定しゆん工日以後八年間半年賦均等償還の条件で当該対象融資の総額を償還するものとすること。
2 利子補給率は、日本開発銀行による融資については、当該融資の利率と年利五分五厘との差の範囲内において、一般金融機関による融資については、一般金融機関による設備資金の融資でその償還期限が当該融資と同程度であるものの利率のうち当該融資契約が結ばれた当時において最も低いと認められる利率と年利六分との差の範囲内において、運輸大臣が大蔵大臣と協議して定めるものとする。
(利子補給金を支給すべき融資残高)
第六条 政府は、利子補給契約を結ぶ場合には、最初に対象融資が融通された日から、当該船舶の予定しゆん工日から八年を経過した日の前日までの期間における対象融資の融資残高を、利子補給金を支給すべき対象融資の融資残高としなければならない。
(利子補給金の支給額)
第七条 政府は、利子補給契約により利子補給金を支給する場合には、当該利子補給契約において定められた利子補給金の総額の範囲内において、運輸省令で定める期間(以下「単位期間」という。)ごとに、当該単位期間における対象融資の実際の融資残高(予定しゆん工日以後の期間については、その融資残高が第五条第一項第一号又は第二号の規定により計算した融資残高をこえるときはその計算した融資残高)に同条第二項の規定による利子補給率を乗じて計算した額を、運輸省令で定めるところにより、支給するものとする。
(利子の減額)
第八条 日本開発銀行及び一般金融機関は、利子補給契約により政府から利子補給金の支給を受けたときは、当該利子補給契約に係る融資契約による利子で当該利子補給金に係る単位期間において生ずるものの額を、当該融資契約に定める利子額から当該利子補給金の額に相当する金額だけ差し引いた金額としなければならない。
第九条から第十一条までを削り、第十二条の見出し中「納付金」を「納付金の納付等」に改め、同条中「第二条の規定による利子補給金を支給する旨の契約に係る融資を受けている会社は、その」を「利子補給契約に係る融資を受けた会社は、その末日が当該利子補給契約が結ばれた日から十五年を経過していない決算期に係る」に、「第十四条第一項第一号」を「次条第一項」に、「総額をいう。以下同じ」を「総額をいう」に、「当該利益に係る決算期に属する期間について金融機関が支給を受ける利子補給金の額に相当する金額」を「そのこえる金額の四分の一以上四分の三以下の金額の範囲内で政令で定める方法により算出した金額」に改め、同条に次のただし書を加える。
ただし、その額は、当該決算期の末日における国庫納付義務残高(結ばれた日から十五年を経過していない利子補給契約に係る融資ごとに、当該融資について日本開発銀行及び一般金融機関が前条の規定により利子額から差し引いた金額の累計額から、当該会社がこの法律の規定により国庫に納付し、又は納付すべき金額に相当する金額のうち政令で定める方法により割り当てた金額の累計額を控除した金額の合計額をいう。以下同じ。)を限度とする。
第十二条に次の一項を加え、同条を第九条とする。
2 政府は、前項本文の規定により国庫に納付すべきものとして算出された金額が当該会社に係る当該決算期の末日における国庫納付義務残高をこえる場合には、日本開発銀行及び一般金融機関に対し、そのこえる金額の範囲内において、当該会社に対する融資に係る利子補給契約により当該決算期の後最初に支給することとなつている利子補給金のうち、当該融資契約による利子で当該決算期の末日までに生ずるものに係る部分の金額を、政令で定めるところにより、支給しないものとする。
第十三条を削り、第十四条第一項を次のように改め、同条を第十条とする。
運輸大臣は、利子補給契約に係る融資を受けた会社であつて、当該利子補給契約により現に政府が日本開発銀行又は一般金融機関に対し利子補給金を支給することとなつているもの又は現に国庫納付義務残高が存するものに対し、不当な経理の是正その他経理の改善若しくは不当な競争の排除について勧告をし、又は業務若しくは経埋の監査をすることができる。
第十条の次に次の一条を加える。
(勧告に従わなかつた場合等における納付金)
第十一条 運輸大臣は、利子補給契約に係る融資を受けた会社が次の各号の一に該当したときは、当該会社に対し、国庫納付義務残高の範囲内の金額を国庫に納付すべきことを命ずることができる。
一 前条第一項の規定によりした勧告に従わなかつたとき。
二 第二条の規定により当該会社がした申請における船舶の仕様と異なる仕様により船舶の建造を請け負わせたとき。
第十五条を削り、第十六条第一項中「第十二条、第十三条」を「第九条第一項」に改め、同条を第十二条とする。
第十七条を第十三条とし、第十八条第一項中「第十四条第一項第三号」を「第十条第一項」に改め、同条を第十四条とする。
第十九条から第二十一条までを削り、第二十二条の見出し中「措置」を「措置等」に改め、同条中「金融機関が、」を「日本開発銀行又は一般金融機関が」に、「第二条の規定による契約」を「利子補給契約」に改め、「、補償すべき損失の全部若しくは一部を補償せず」及び「若しくは補償金」を削り、同条に次の一項を加え、同条を第十五条とする。
2 政府は、利子補給契約に係る融資を受けた会社が第十一条各号の一に該当したとき又はこの法律の規定により国庫に納付すべき金額を納付しないときは、日本開発銀行及び一般金融機関に対し、当該会社に対する対象融資について支給すべき利子補給金の全部又は一部を支給しないことができる。
第十五条の次に次の一条を加える。
(政令への委任)
第十六条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な手続その他の事項については、政令で定める。
第二十三条中「第十八条第一項」を「第十四条第一項」に改め、同条を第十七条とする。
附則に次の一項を加える。
4 政府が利子補給契約を結ぶことができるのは、昭和五十年三月三十一日までとする。
(海運業の再建整備に関する臨時措置法の一部改正)
第二条 海運業の再建整備に関する臨時措置法(昭和三十八年法律第百十八号)の一部を次のように改正する。
第九条を次のように改める。
第九条 削除
第十条中「十年」を「五年」に改め、「猶予利子」の下に「(当該決算期の末日の後に第八条の規定により支払うべきこととなつた猶予利子を除く。)」を加える。
第十一条中「及び第九条」を削り、「外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法(昭和二十八年法律第一号)第十二条又は第十三条」を「外航船舶建造融資利子補給臨時措置法(昭和二十八年法律第一号)第九条第一項」に、「これらの規定にかかわらず」を「同項の規定にかかわらず」に、「これらの規定により算出した」を「同項の規定により納付すべき」に、「これらの規定による」を「同項の規定による」に、「これらの差額」を「その差額」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法(昭和三十六年法律第九十六号。以下「旧開銀利子補給法」という。)は、廃止する。
3 この法律の施行前に結ばれた改正前の外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法(以下「旧法」という。)第二条又は旧開銀利子補給法第一条の規定による利子補給金を支給する旨の契約(以下「旧利子補給契約」という。)は、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法(以下「新法」という。)第二条の規定による利子補給金を支給する旨の契約とみなして、新法の規定を適用する。ただし、旧利子補給契約により支給すべき利子補給金の額の計算については、なお従前の例による。
4 旧利子補給契約に係る融資を受けた会社が、その末日がこの法律の施行の日の前である決算期に係る決算において利益を計上した場合における納付金の納付については、なお従前の例による。
5 この法律の施行の際現に旧法第十五条の規定(旧開銀利子補給法第六条の規定により適用することとされていた場合を含む。)により納付すべきこととなつていた納付金の納付については、なお従前の例による。
6 この法律の施行の日においてその受けた融資に係る旧利子補給契約が結ばれた日から十五年を経過していない会社で、この法律の施行の日までに旧法の規定(旧開銀利子補給法第六条の規定により適用することとされていた場合を含む。)により国庫に納付した納付金の額が旧開銀利子補給法若しくは旧法の規定により当該融資につき日本開発銀行及び旧法第二条の日本開発銀行以外の金融機関で政令で定める範囲のもの(以下「日本開発銀行等」という。)が支給を受けた利子補給金の総額に達していないもの又はこの法律の施行後もその受けた融資に係る旧利子補給契約により政府が日本開発銀行等に対し利子補給金を支給することとなつている会社は、この法律の施行の日から起算して二月を経過する日までに、その末日がこの法律の施行の日以後である決算期に係る決算において利益を計上した場合における納付金の納付について旧開銀利子補給法及び旧法の規定の例によるべきことを、運輸省令で定めるところにより、運輸大臣に申し出ることができる。
7 前項の規定による申出をした会社については、新法第九条から第十四条まで、第十五条第二項及び第十七条の規定にかかわらず、旧法第十二条から第十八条まで及び第二十三条の規定(旧開銀利子補給法第六条の規定により適用することとされていた場合を含む。)の例による。
8 海運業の再建整備に関する臨時措置法(以下「再建整備法」という。)の規定による支払猶予を受けた会社(附則第六項の規定による申出をすることができる会社を除く。)は、この法律の施行の日から起算して二月を経過する日までに、当該会社に係る確認日から起算して五年を経過した日の属する決算期の末日までに支払わなかつた猶予利子(当該決算期の末日の後に同法第八条の規定により支払うベきこととなつた猶予利子を除く。)の支払いについて改正前の同法の規定の例によるべきことを、運輸省令で定めるところにより、運輸大臣に申し出ることができる。
9 前項の規定による申出をした会社の同項の猶予利子の支払いについては、改正後の再建整備法第十条の規定にかかわらず、改正前の同法第九条及び第十条の規定の例による。
10 附則第六項の規定による申出をした会社で再建整備法の規定による支払猶予を受けたものの附則第八項の猶予利子の支払いについては、当該会社を同項の規定による申出をした会社とみなして、前項の規定を適用する。
11 前項の会社が同項の規定により適用することとされた附則第九項においてその例によるものとされた改正前の再建整備法第九条又は第十条の規定により猶予利子を支払うこととなつた場合における附則第七項においてその例によるものとされた旧法第十二条又は第十三条の規定(旧開銀利子補給法第六条の規定により適用することとされていた場合を含む。)による納付金の納付の義務については、改正後の再建整備法第十一条の規定にかかわらず、改正前の同法第十一条の規定の例による。
12 附則第六項又は第八項の規定による申出をした会社は、新法第二条の規定による申請をすることができない。
13 この法律の施行前に日本開発銀行等が旧開銀利子補給法若しくは旧法又は旧利子補給契約に違反した行為に対する措置については、なお従前の例による。
14 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
15 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第十五号の五中「、利子補給をし、及び損失補償」を「利子補給」に改める。
第二十三条第一項第六号の二中「及び損失補償」を削る。
大蔵大臣 福田赳夫
運輸大臣 原田憲
内閣総理大臣 佐藤栄作