風俗営業取締法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第2号
公布年月日: 昭和34年2月10日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

現行の風俗営業取締法は昭和22年に制定され、料理店やカフェー等の営業を規制してきたが、近年、法律の対象外である深夜喫茶等の類似営業や深夜営業の飲食店において、風紀上の弊害が看過できない状況となっている。特に、遊興の場を提供し享楽的雰囲気を助長する営業形態が増加し、青少年の健全育成に有害な影響を及ぼしている。そこで、照明を暗くしたり見通しの悪い狭い客席を設けたりする喫茶店やバーを新たに風俗営業に含め、また深夜営業の飲食店に対しても都道府県が条例で必要な制限を定められるようにするため、本法律案を提出するものである。

参照した発言:
第31回国会 参議院 地方行政委員会 第2号

審議経過

第31回国会

参議院
(昭和33年12月11日)
(昭和33年12月12日)
(昭和33年12月15日)
衆議院
(昭和33年12月16日)
(昭和33年12月19日)
(昭和34年1月30日)
(昭和34年2月3日)
(昭和34年2月3日)
(昭和34年5月2日)
風俗営業取締法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十四年二月十日
内閣総理大臣 岸信介
法律第二号
風俗営業取締法の一部を改正する法律
風俗営業取締法(昭和二十三年法律第百二十二号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
風俗営業等取締法
第一条を次のように改める。
(定義)
第一条 この法律で「風俗営業」とは、次の各号の一に該当する営業をいう。
一 キャバレーその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客席で客の接待をして客に飲食をさせる営業
二 待合、料理店、カフェーその他客席で客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
三 ナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(第一号に該当する営業を除く。)
四 ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業(第一号又は前号に該当する営業を除く。)
五 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、総理府令で定めるところにより計つた客席における照度を十ルクス(これにより難い特別の事情がある場合において、都道府県が条例で十ルクスに満たない照度を定めたときは、その照度)以下として営むもの(第一号から第三号までに掲げる営業として営むものを除く。)
六 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見とおすことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル(これにより難い特別の事情がある場合において、都道府県が条例で五平方メートルに満たない広さを定めたときは、その広さ)以下である客席を設けて営むもの
七 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業
第二条第三項中「第三号」を「第七号」に改める。
第四条中「(以下営業者という。)」を削る。
第四条の次に次の一条を加える。
(深夜における飲食店営業の規制)
第四条の二 都道府県は、条例により、客席を設けて客に飲食をさせる営業(以下「飲食店営業」という。)の深夜(午後十一時から翌日の日出時までの時間をいい、都道府県が条例でこの時間内においてこれと異なる時間を定めたときは、その時間とする。以下同じ。)における業態について、善良の風俗を害する行為を防止するために必要な制限を定めることができる。
2 公安委員会は、飲食店営業を営む者又はその代理人、使用人その他の従業者が、深夜における当該営業に関し、深夜において、法令又は前項の規定に基く都道府県の条例に違反する行為をした場合において、善良の風俗を害する虞があるときは、当該営業を営む者に対し、当該施設を用いて営む深夜における飲食店営業について、期間を定めてその停止を命じ、又は善良の風俗を害する行為を防止するために必要な処分をすることができる。
第五条第一項中「前条」を「第四条」に、「営業の許可を取り消し、又は」を「営業の許可を取り消し、若しくは営業の停止を命じ、又は前条第二項の規定により、」に、「当該営業者」を「当該営業を営む者」に改め、同条第二項中「前条」を「第四条又は前条第二項」に、「当該営業者」を「当該営業を営む者」に改める。
第六条第一項中「当該官吏及び吏員」を「警察官」に改め、同項に後段として次のように加え、同条第二項中「当該官吏及び吏員」を「警察官」に改める。
深夜においては、飲食店営業の営業所についても、同様とする。
第七条第一項中「第四条」の下に「若しくは第四条の二第二項」を加え、「三箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する」を「一年以下の懲役若しくは三万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」に改め、同条第二項中「条例に違反し、又は第六条の規定による当該官吏及び吏員の立入を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを三千円以下の罰金に処する」を「条例に違反した者は、これを六箇月以下の懲役若しくは一万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」に改め、同条第三項中「又は虚偽の居出をした者は、これを千円以下の罰金に処する」を「若しくは虚偽の届出をし、又は第六条の規定による警察官の立入を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを五千円以下の罰金に処する」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過規定)
2 この法律の施行の際現にこの法律による改正後の第一条第五号又は第六号に掲げる営業を営んでいる者は、この法律の施行の日から起算して三十日間は、第二条第一項の規定による許可を受けたものとみなす。
3 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(関係法律の一部改正)
4 旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。
第八条第二号中「風俗営業取締法」を「風俗営業等取締法」に、「及び第二号」を「から第六号まで」に改める。
5 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)の一部を次のように改正する。
第三十四条第四号の三中「風俗営業取締法」を「風俗営業等取締法(昭和二十三年法律第百二十二号)」に、「又は第二号」を「から第六号まで」に改める。
内閣総理大臣 岸信介
厚生大臣 坂田道太