調達庁設置法等の一部を改正する法律
法令番号: 法律第147号
公布年月日: 昭和29年6月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

本法律案は、日本国における国際連合軍の地位に関する協定等の締結に伴い、調達庁の任務を拡大するものである。具体的には、国連軍の作為・不作為から生じる事故の補償事務、米軍と国連軍の共同不法行為による事故の補償事務、軍事援助顧問団用の施設・役務の調達及び返還に関する事務、駐留軍等の調達契約から生じる紛争処理を新たに調達庁の任務として追加する。これに伴い、調達庁の権限や各部の所掌事務に必要な改正を行うとともに、総務部に調停官、不動産部に連絡調査官を設置する。また、国連軍及び軍事援助顧問団のために労務に服する国家雇用者の身分・勤務条件について必要な規定を設けるものである。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 内閣委員会 第32号

審議経過

第19回国会

参議院
(昭和29年5月8日)
衆議院
(昭和29年5月13日)
(昭和29年5月20日)
(昭和29年5月21日)
(昭和29年5月21日)
参議院
(昭和29年5月26日)
(昭和29年5月27日)
(昭和29年5月28日)
衆議院
(昭和29年6月15日)
参議院
(昭和29年6月15日)
調達庁設置法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年六月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百四十七号
調達庁設置法等の一部を改正する法律
(調達庁設置法の一部改正)
第一条 調達庁設置法(昭和二十四年法律第百二十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第三号中「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定第十八条」を「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(以下「行政協定」という。)第十八条、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定(以下「国連軍協定」という。)第十八条及び日本国における合衆国軍隊及び国際連合の軍隊の共同の作為又は不作為から生ずる請求権に関する議定書(以下「請求権に関する議定書」という。)」に改め、同条に次の二号を加える。
四 日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定(以下「相互防衛援助協定」という。)第七条の規定に基くアメリカ合衆国政府の責務を本邦において遂行する同国政府の職員(以下「軍事援助顧問団」という。)の使用に供する宿舎等の施設及び役務の調達並びに提供した施設の返還
五 駐留軍及び軍事援助顧問団(以下「駐留軍等」という。)による又はそのための調達に関する契約から生ずる紛争の処理
第四条第十三号中「アメリカ合衆国政府」を「駐留軍の派遣国政府」に改め、同条中第十四号を第十五号とし、第十三号の次に次の一号を加える。
十四 アメリカ合衆国政府との間に前条第四号に規定する宿舎等の施設及び役務の調達に関する契約を締結すること。
第四条に次の三号を加える。
十六 駐留軍に対する施設及び区域(これに附随する動産及び権利を含む。以下同じ。)の提供に伴い工作物等を設置し若しくは補修する工事及び日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律(昭和二十八年法律第二百四十六号)第一条に規定する損失を防止する工事を実施し、若しくはこれらの工事に関する役務を提供し、又は関係地方公共団体にその実施若しくは提供を委託すること。
十七 関係地方公共団体に対し前号に規定する工事又は役務の補助金を交付すること。
十八 前各号に掲げるものの外、法律(これに基く命令を含む。)に基き調達庁に属させられた権限
第六条第三項を次のように改める。
3 総務部に調停官一人を置く。調停官は、命を受けて第七条第十九号に規定する事務を掌理する。
4 不動産部に次長一人を置く。次長は、部長を助け、部務(連絡調査官の所掌に属するものを除く。)を整理する。
5 不動産部に連絡調査官五人以内を置く。連絡調査官は、部長を助け、第八条第一号に規定する事務(施設及び区域の提供に関するものを除く。)について駐留軍、利害関係人又は関係行政機関との連絡、交渉及びそれらの間の意見の調整に関する事務並びに第八条第五号に規定する事務について軍事援助顧問団又は利害関係人との連絡、交渉及びそれらの間の意見の調整に関する事務を掌理する。
6 労務部に次長一人を置く。次長は、部長を助け、部務を整理する。
第七条第十六号中「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定第十八条」を「行政協定第十八条、国連軍協定第十八条及び請求権に関する議定書の規定」に改め、同条第十八号中「駐留軍」を「駐留軍等」に改め、同条中第十九号を第二十号とし、第十八号の次に次の一号を加える。
十九 駐留軍等による又はそのための工事並びに役務及び需品の調達に関する契約から生ずる紛争の処理に関すること。
第八条第一号から第六号までを次のように改める。
一 駐留軍の使用に供する施設及び区域の決定及び提供並びに提供した施設及び区域の使用条件の変更又は返還に関すること。
二 前号に定める提供、その使用条件の変更又は返還に伴う補償及び求償に関すること。
三 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律(昭和二十七年法律第二百四十三号)の施行に関すること。
四 日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律の施行に関すること。
五 軍事援助顧問団の使用に供する宿舎等の施設の提供又は返還に関すること。
六 提供した施設及び区域の記録に関すること。
第九条第一号中「駐留軍のため労務に従事する者(以下「駐留軍労務者」という。)」を「駐留軍等のために労務に服する者(以下「駐留軍等労務者」という。)」に改め、同条第二号及び第三号中「駐留軍労務者」を「駐留軍等労務者」に改める。
第十条中「第七条第十六号及び」を削る。
(日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部改正)
第二条 日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律(昭和二十七年法律第百七十四号)の一部を次のように改正する。
第八条の見出しを「(駐留軍等労務者の身分)」に改め、同条中「アメリカ合衆国軍隊」の下に「、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基き本邦内にある国際連合の軍隊又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第七条の規定に基くアメリカ合衆国政府の責務を本邦において遂行する同国政府の職員」を加え、「駐留軍労務者」を「駐留軍等労務者」に改める。
第九条の見出しを「(駐留軍等労務者の勤務条件)」に改め、同条中「駐留軍労務者」を「駐留軍等労務者」に改める。
(国家公務員共済組合法の一部改正)
第三条 国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。
第一条に次の二号を加える。
四 日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基き本邦内にある国際連合の軍隊のために労務に服する者
五 日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第七条の規定に基くアメリカ合衆国政府の責務を本邦において遂行する同国政府の職員のために労務に服する者
第二条第二項第二号中「特別調達庁」を「調達庁」に改める。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。但し、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に係る改正の部分は、同協定の効力発生の日、日本国における合衆国軍隊及び国際連合の軍隊の共同の作為又は不作為から生ずる請求権に関する議定書に係る改正の部分は、同議定書の効力発生の日、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に係る改正の部分は、同協定の効力発生の日から施行する。
内閣総理大臣 吉田茂