日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律
法令番号: 法律第110号
公布年月日: 昭和27年4月28日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

日米行政協定の締結に伴い、合衆国軍隊の用に供する国有財産の管理・処分について、国有財産法等の特例を設ける必要が生じたため、本法案を提出した。主な内容は、①国有財産を合衆国軍隊の用に供する間、無償で使用を認めること、②合衆国から返還された場合の原状回復や補償を請求しないこと、③合衆国軍隊の用途・目的を妨げない範囲で他者への使用・収益を許可できること、④国有財産を貸し付けている場合は適正な補償のもと契約解除できること、⑤特別会計所属の国有財産は一般会計に移管した上で合衆国の使用に供すること、などである。

参照した発言:
第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第42号

審議経過

第13回国会

参議院
(昭和27年3月28日)
衆議院
(昭和27年3月29日)
(昭和27年4月1日)
(昭和27年4月2日)
参議院
(昭和27年4月2日)
衆議院
(昭和27年4月3日)
参議院
(昭和27年4月3日)
衆議院
(昭和27年4月10日)
(昭和27年4月11日)
参議院
(昭和27年4月11日)
衆議院
(昭和27年4月14日)
参議院
(昭和27年4月14日)
衆議院
(昭和27年4月15日)
参議院
(昭和27年4月15日)
(昭和27年4月16日)
(昭和27年4月17日)
(昭和27年4月21日)
(昭和27年4月23日)
衆議院
(昭和27年7月31日)
参議院
(昭和27年7月31日)
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年四月二十八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百十号
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律
(目的)
第一條 この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定(以下「行政協定」という。)を実施するため、アメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)の軍隊の用に供する国有の財産(国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二條に定める国有財産並びに同法の適用を受けない国有の動産及び権利をいう。以下同じ。)について、その管理及び処分の特例を設けることを目的とする。
(無償使用)
第二條 国は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約(以下「條約」という。)第一條に掲げる目的を遂行するため国有の財産を合衆国の軍隊の用に供する必要があるときは、無償で、その用に供する間、合衆国に対して当該財産の使用を許すことができる。
(原状回復請求権の放棄)
第三條 前條の規定により合衆国に使用を許した国有の財産については、国は、当該財産の返還に当り、合衆国に対し、その原状回復又はこれに代る補償の請求を行わないものとする。
(一時使用等の許可)
第四條 国は、第二條の規定により合衆国に使用を許した国有の財産について、行政協定第二條第四項(a)の規定に基き、その用途又は目的を妨げない限度において、他の者にその使用又は収益を許すことができる。
2 前項の規定により使用又は収益を許した場合において、その使用又は収益をする権利は、合衆国が当該財産を返還した時において消滅する。
(貸付契約の解除)
第五條 国有財産法第二十四條(同法第十九條及び第二十六條において準用する場合を含む。)の規定は、第二條の規定により合衆国に国有の財産の使用を許すため必要を生じた場合について準用する。この場合において、国有財産法第二十四條中「国又は公共団体において公共用、公用又は国の企業若しくは公益事業」とあるのは、「国においてアメリカ合衆国の軍隊」と読み替えるものとする。
(特別会計に属する国有の財産の所管換等)
第六條 特別会計に属する国有の財産につき第二條の規定により合衆国に使用を許す場合においては、当該財産は、一般会計に所管換若しくは所属替をし、又は一般会計の使用として整理するものとする。
附 則
この法律は、條約の効力発生の日から施行する。
内閣総理大臣 吉田茂
法務総裁 木村篤太郎
外務大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人
文部大臣 天野貞祐
厚生大臣 吉武恵市
農林大臣 広川弘禅
通商産業大臣 高橋龍太郎
運輸大臣 村上義一
郵政大臣 佐藤栄作
電気通信大臣 佐藤栄作
労働大臣 吉武恵市
建設大臣 野田卯一
経済安定本部総裁 吉田茂
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年四月二十八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百十号
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(以下「行政協定」という。)を実施するため、アメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)の軍隊の用に供する国有の財産(国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二条に定める国有財産並びに同法の適用を受けない国有の動産及び権利をいう。以下同じ。)について、その管理及び処分の特例を設けることを目的とする。
(無償使用)
第二条 国は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(以下「条約」という。)第一条に掲げる目的を遂行するため国有の財産を合衆国の軍隊の用に供する必要があるときは、無償で、その用に供する間、合衆国に対して当該財産の使用を許すことができる。
(原状回復請求権の放棄)
第三条 前条の規定により合衆国に使用を許した国有の財産については、国は、当該財産の返還に当り、合衆国に対し、その原状回復又はこれに代る補償の請求を行わないものとする。
(一時使用等の許可)
第四条 国は、第二条の規定により合衆国に使用を許した国有の財産について、行政協定第二条第四項(a)の規定に基き、その用途又は目的を妨げない限度において、他の者にその使用又は収益を許すことができる。
2 前項の規定により使用又は収益を許した場合において、その使用又は収益をする権利は、合衆国が当該財産を返還した時において消滅する。
(貸付契約の解除)
第五条 国有財産法第二十四条(同法第十九条及び第二十六条において準用する場合を含む。)の規定は、第二条の規定により合衆国に国有の財産の使用を許すため必要を生じた場合について準用する。この場合において、国有財産法第二十四条中「国又は公共団体において公共用、公用又は国の企業若しくは公益事業」とあるのは、「国においてアメリカ合衆国の軍隊」と読み替えるものとする。
(特別会計に属する国有の財産の所管換等)
第六条 特別会計に属する国有の財産につき第二条の規定により合衆国に使用を許す場合においては、当該財産は、一般会計に所管換若しくは所属替をし、又は一般会計の使用として整理するものとする。
附 則
この法律は、条約の効力発生の日から施行する。
内閣総理大臣 吉田茂
法務総裁 木村篤太郎
外務大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人
文部大臣 天野貞祐
厚生大臣 吉武恵市
農林大臣 広川弘禅
通商産業大臣 高橋龍太郎
運輸大臣 村上義一
郵政大臣 佐藤栄作
電気通信大臣 佐藤栄作
労働大臣 吉武恵市
建設大臣 野田卯一
経済安定本部総裁 吉田茂